implant4さんで、Roland V-Synth GT Version 2.0を試奏させていただきました。美品であり、早晩implant4さんのサイトの在庫リストにアップされる個体だと思います。

Roland V-Synth GTは、
KORG M3、
R3、
YAMAHA MOTIF XSと同じ、NAMM SHOW 2007で発表されました。
平成19(2007)年3月、私は発売数ヶ月前でプリセット音が半作りの状態のV-Synth GTを試奏させていただく機会があり、
Roland V-Synth GT試奏記にまとめました。

その後、Roland V-Synth GTはVersion 2.0へと進化しました。
Roland V-Synth GT Version 2.0に記しています。そこでも書いたのですが、Version 2.0への進化はあくまでソフトウェア上の事であり、物理的に何かが増装されたという事ではなく、V-Synth GTの旧機もVersion 2.0にアップデートできます。

ただ、このステッカーが貼ってあるか否か、つまりV-Synth GT Version 2.0の状態で出荷された個体か否かにこだわる向きがあると聞いた事があります。私はV-Synth GT Version 2.0にしても
KORG M3 XPANDEDにしても、ステッカーが無い方が良いのですけどね。
Roland V-Synth GT 2.0のあまりにも多岐に渡る機能を、限られた時間で試す事は難しく、このRoland V-Synth GT Version 2.0試奏記では、Roland V-Synth GT試奏記で触れた使用感やAP-SYNTHESIS(Articulative Phrase Synthesis)を、もう少し踏み込んだ形で記したいと思います。

Roland V-Synth GT Version 2.0のフロントパネル。
演奏操作子はタッチビューの左側に、そして、音色設定の操作子は右側に集約されています。

V-Synthシリーズの機能及び外観上の特徴の一つであるタイムトリップパッド。

V-Synthシリーズ独特のランプが二つ付いたDビームコントローラー、機能を任意に割り振れる二つのつまみ、アルパジエーターのオンオフボタンやテンポコントロールのつまみ、公演時等の為に音色を一つのボタン操作で呼び出す為のパッチパレット等。
画面上にタブとして存在する
Roland Fantom Gとは違い、プロエディットボタンが物理的に露出する形でフロントパネル上にあります。

タッチビューと、音色エディットのページ毎に役割を割り振られているE1~E8つまみ。

カーソルボタンに囲われる形のダイヤル、各パラメータのバリュー入力には使えないテンキー、DEC/INCボタン。
細かい事なのですが、ダイヤルとDEC/INCボタンの位置関係に関して、私は
V-Synthの前モデルの方が使いやすく感じました。

ここの操作子はタッチビュー上でも出来る事ばかりです。
Roland V-Synth 2.0試奏記の時と同様、今回の試奏でも私が手指で触れることは全くありませんでした。
ストラクチャー表を見ても分かるとおりAP-SYNTHESYSは、アナログモデリングやバリフレーズ、COSMの流れとは独立した形で存在しています。

しかしながら、AP-SYNTHESYSのエディットに入るタッチビュー上のAPSynタブは、この流れの最後、TVAの後ろに付随するように存在しています。

V-Synth GT Version 2.0の鍵盤。

他のモデル同様、裏におもりが付いています。

ベンダーレバーと、アサイナブルボタン。コルグの場合、
TRINITYの時からあったのですが、ローランドのシンセでこの位置にアサイナブルボタンが設けられたのは、このV-Synth GTからです。


リアパネル。
今回の試奏を、もっぱらAP-SYNTHESYSに費やしました。以下、それについて記します。

先ほど触れたAPSynタブを指定するとAP-SYNTHESYSのエディットページに入ります。
フレーズモデルページは、波形モデルとフレーズモデルで楽器のモデルを組みます。画面は竜笛の波形とフルートの組み合わせです。

モディファイページは、選択したフレーズモデルで内容が変わります。画面はフルートの不レースモデルの状態で、スラーノイズ(息を吹き込んだまま指孔を押さえ変えた時の音)のレベルや、ブレスノイズレベルがあります。

アドバンストページ。ここもフレーズモデルの選択で内容が変わります。主に鍵盤やコントローラーによる変化に関するパラメータ群です。
AP-SYNTHESYSの音色としての生々しさや演奏上のマニュアル感は素晴らしいのですが、同時に奏者の特徴を、シビアには汲まないシンセサイザーエンジンのような気がしました。
また、周期変化や径時変化に、もう少し本来のシンセサイザーの要素が加味できたらとも思いました。もっとも、システムシンセのアナログシーケンサーや
KORG MS2000シリーズや
RADIASのモッドシーケンスのような機能、V-Synthのマルチステップモジュレータは、この辺の事で威力を発揮するのかもしれません。しかしながら今回、試すのを忘れました。
AP-SYNTHESYSは、木管や二胡(アルフー)等をそつがなくそれっぽく聴かせる分には便利だと思うのですが、自分のキャラクターを加味する上で、私ならワークステーション機のシンセサイザーエンジン部と併せる形で一つの音を作る事になると思います。もちろんV-Synth GTにはアナログモデリングやバリフレーズ、ボーカルデザイナーといった別の音源が組み込まれているので、それらと併用することを前提での設計なのかもしれません。

NAMM 2007で発表された各メーカーの上級機のうち、今も現行機なのは、このRoland V-Synth GT Version 2.0だけです。また、機能も奏者やマニピュレータとの接点も、とにかく贅を尽くした感のあるモデルは、やはりこのRoland V-Synth GT Version 2.0だけだと思います。
ワークステーション機Fantom Gの製造終了に伴う後継機のアナウンスが無く、現時点でローランドにおいて上級機と呼べるラインナップは、V-Synth GT Version 2.0と
JUPITER-80です。
JUPITER-80のシンセサイザーエンジンSuper NATURALとV-Synth GTのAP-SYNTHESYSは、用途が被ります。もしV-Synth GTの後継機があるとしたら、AP-SYNTHESYSを略し、そのコストを奏者やマニピュレータとの物理的な接点の部分に回されたものを希望したいと思います。


つまり、V-Synth GT Version 2.0の後継機とは、実はV-Synth 2.0の後継機であってほしいというのが、今回試奏してみての感想です。それとENVに関して、ADSRではなくワークステーション機のようなタイムとレベルで構成されたものであってほしいと思います。
Roland V-Synth GT Version 2.0
http://www.roland.co.jp/synth/V-SynthGT_ver2/index.html