Roland GAIA SH-01試奏記
musikmesse 2010で発表され平成22(2010)年4月24日から販売が開始されたアナログモデリングシンセサイザー、Roland GAIA SH-01を試奏しました。
コルグのアナログモデリング機のホイールの場合、MS2000の時から+/-を逆転させる事ができるのですが、SH-201に続きGAIA SH-01のベンダーレバーもそれはできません。しかしながらホイールと違い、ベンダーレバーやジョイスティックの場合、その事に対する不満はありません。
ピッチベンドの設定に関して、世間ではピッチを下げる方により大きなバリューを設定する人が多いそうなのですが、私の場合は逆で、たとえばKORG TRITON Le 61で作った笛、さまざま(1)の場合、-2/+3としています。
しかしながらGAIA SH-01の操作子はローランドのサイトにもあるとおり、つまみ、スライダーとも適度な重みがあり、細やかな設定がしやすくなっています。特段各パラメーターを一づつ増減するDEC/INCボタンの必要性を感じませんでした。
つまみ/スライダーの細やかさにしても、ベンダーレバーのレンジ設定にしても、なんだかローランドさんがこのブログをご覧になったのかと思えるほど、本当に我が意を得たりな出来映えです。GAIA SH-01で私が最も気に入った部分です。
その後、平成24(2012)年11月末implant4さんで再び試奏をさせていただきました。平成22年5月1日の第1稿に、implant4さんで撮影させていただいた画像と若干の記述を加える形で、第2稿をアップいたしました。
製造が終了した前モデルRoland SH-201(Roland SH-201試奏記、店頭で喜多郎miniKORG 700Sリードを作る方法Roland SH-201の場合参照)との比較も交えながら記事を書きます。
製造が終了した前モデルRoland SH-201(Roland SH-201試奏記、店頭で喜多郎miniKORG 700Sリードを作る方法Roland SH-201の場合参照)との比較も交えながら記事を書きます。
筐体全体の印象が、SH-201にはどこか無骨な印象を持ったのですが、GAIA SH-01は柔らかいように思えます。筐体の角(かど)を丸くしているからかもしれません。カラーリングもSH-201がメタリックだったのに対して、GAIA SH-01は優しい配色のような気がします。
SH-201は一つのパッチにアッパー/ロワーの二つのトーンでしたが、GAIA SH-01はトーンは三つあります。ただし、SH-201は一つのトーンに二つのオシレータがありましたが、GAIA SH-01は一つ。Roland D-50以来連綿と続いているトーンの考え方を踏襲した形になっています。
SH-201は一つのパッチにアッパー/ロワーの二つのトーンでしたが、GAIA SH-01はトーンは三つあります。ただし、SH-201は一つのトーンに二つのオシレータがありましたが、GAIA SH-01は一つ。Roland D-50以来連綿と続いているトーンの考え方を踏襲した形になっています。
三つのトーンを全部発声させることも、鳴らすものと鳴らさないものを選択する事も出来ます。例えば喜多郎miniKORG 700SリードのオートベンドのON/OFFに関して、ピッチEGを設定したトーンとしないトーンを作り分けて同一パッチとして保存し、演奏しながら選び変えるといった事が可能です。同じ事はコルグのアナログモデリングシンセの場合、KORG R3試奏記(1)に書いたとおり、不可能です。
パッチの選択はSH-201の場合、バンクボタンとナンバーボタンが独立して存在するのですが、GAIA SH-01は、バンクボタンを押した後(この時点で今選ばれているバンクのボタンが点滅する)、1~8のボタンを押してバンクを選び、次にもう一度1~8のボタンを選択します。同一バンク内でパッチを選ぶ場合は、バンクボタンは押さずに1~8を選びます。
鍵盤。他社の10万円を切るモデルよりも、ローランドのシンセの鍵盤には剛性があると思います。
恒例の鍵盤を裏から拝見の図。FS鍵盤のような仕切りや、最近流行のおもりはありません。
GAIA SH-01は、Roland JP-8000やSH-201といった、これまでのローランドの鍵盤付きアナログモデリングシンセよりも1オクターブ分鍵盤が少ないのですが、それゆえ小型軽量化に成功しています。
GAIA SH-01の仕様で気に入っている事の一つなのですが、ベンダーレバーを倒す行為に対して、ダウン/アップ個別にレンジを設定できます。自分の手指に合わせた緻密な設定ができると思います。ワークステーション機では当たり前の事なのですが、アナログモデリングシンセでは無かったのではないでしょうか。
その事についてKORG R3試奏記(2)で、
その事についてKORG R3試奏記(2)で、
PITCH-Bページのベンドホイールのレンジに関して、ワークステーション機の場合、ジョイスティック/ベンダーレバーを右左に倒す、つまりホイールでいえば押した時と手前に引いた時の変化の幅を個別に設定できるのですが、R3は残念ながら他のアナログモデリング機同様押す/引くの絶対値しか設定できません。
と、暗に不満であると書きました。
コルグのアナログモデリング機のホイールの場合、MS2000の時から+/-を逆転させる事ができるのですが、SH-201に続きGAIA SH-01のベンダーレバーもそれはできません。しかしながらホイールと違い、ベンダーレバーやジョイスティックの場合、その事に対する不満はありません。
ピッチベンドの設定に関して、世間ではピッチを下げる方により大きなバリューを設定する人が多いそうなのですが、私の場合は逆で、たとえばKORG TRITON Le 61で作った笛、さまざま(1)の場合、-2/+3としています。
つまみの形状はSH-201がオリジナルなものなのに対して、GAIA SH-01は他のモデルのものを流用しています。私は形状そのものは、つまんだだけでどこを指しているか判るSH-201のものが好きなのですが、感触はGAIA SH-01の方が好ましく思いました。もちろん4年間店頭で酷使されたSH-201のつまみには、疲労があるとは思います。
逆にスライダーは、SH-201がV字谷の底を走る形の、同じ時期のDTMキーボードのものを共有しているのですが、GAIA SH-01は新たに作られたものではないでしょうか。これも操作感に関してGAIA SH-01の方が気に入りました。
かつてRoland SH-201試奏記で、
逆にスライダーは、SH-201がV字谷の底を走る形の、同じ時期のDTMキーボードのものを共有しているのですが、GAIA SH-01は新たに作られたものではないでしょうか。これも操作感に関してGAIA SH-01の方が気に入りました。
かつてRoland SH-201試奏記で、
加齢のせいか昨今長時間シンセの前に座っていることができず、現実問題として能率を考慮せざるを得なくなってきています。デジタルアクセスコントロールの緻密さや幅の広さをとるか、つまみ/スライダー操作による簡便さをとるか、思案中
としながらも、デジタルアクセスコントロールかつまみ操作かで、
アナログモデリング、つまりデジタルシンセであるRoland SH-201やちょうど10年前の今頃登場したRoland JP-8000にしても、いざLFOやEGまわりのパラメーターを操作するにあたって、どうしてもつまみやスライダーを爪の先で突くように微妙に操作しないと目的とするポイントを探り当てる事ができず、精神的にかえって消耗してしまい、結果的に私にとって非能率的な楽器あるという評価を下さざるを得ません
と結論づけました。
しかしながらGAIA SH-01の操作子はローランドのサイトにもあるとおり、つまみ、スライダーとも適度な重みがあり、細やかな設定がしやすくなっています。特段各パラメーターを一づつ増減するDEC/INCボタンの必要性を感じませんでした。
つまみ/スライダーの細やかさにしても、ベンダーレバーのレンジ設定にしても、なんだかローランドさんがこのブログをご覧になったのかと思えるほど、本当に我が意を得たりな出来映えです。GAIA SH-01で私が最も気に入った部分です。
リアパネル。
ペダル端子は一つ。フットスイッチかエクスプレッションペダルかを選ばなければなりません。USB端子はメモリ用とパソコンとの接続用があり、パソコン用はMIDIだけでなく音声も送る事ができます。
ペダル端子は一つ。フットスイッチかエクスプレッションペダルかを選ばなければなりません。USB端子はメモリ用とパソコンとの接続用があり、パソコン用はMIDIだけでなく音声も送る事ができます。
LFOは、SH-201は1トーンに二つあったのですが、GAIA SH-01は一つです。ただし、前者がディスティネーションを選択する形だったのに対して、後者はビブラート(オシレータ)、グロウル(フィルター)、トレモロ(アンプ)のデプスを各々に設定できます。波形はSH-201と同じで、フェイドタイムのみでディレイタイムが無いのも同じです。
オシレータは、ピッチつまみの可変幅が、SH-201はワイドボタンを併せて使う形で-24〜+24まででしたが、GAIA SH-01はつまみだけで-24~+24です。リングモジュレータやシンクロは、1トーン2オシレータのSH-201は一つのトーン内で行えましたが、1トーン1オシレータのGAIA SH-01は、トーン1と2のオシレータ間で行います。
GAIA SH-01のオシレータ波形は、フィードバックオシレータが無い以外は、SH-201と同じです。かつてのRoland JP-8000/8080やコルグのアナログモデリング機のコントロール1/2に相当する、パルス波以外の波形をも変調するパラメーターは無いのですが、各々三つのバリエーションがあります。
喜多郎miniKORG 700Sリードを真似るヒントを書くと、オシレータ波形に三角波のバリエーション2を選ぶ、です。この三角波は、あきらかにminiKORG 700、700Sを意識したものです。また、パルス波のバリエーション2に設定して、PWを目盛り2から4の間あたりで気に入ったポイントを探すという手もあります。
GAIA SH-01のオシレータ波形は、フィードバックオシレータが無い以外は、SH-201と同じです。かつてのRoland JP-8000/8080やコルグのアナログモデリング機のコントロール1/2に相当する、パルス波以外の波形をも変調するパラメーターは無いのですが、各々三つのバリエーションがあります。
喜多郎miniKORG 700Sリードを真似るヒントを書くと、オシレータ波形に三角波のバリエーション2を選ぶ、です。この三角波は、あきらかにminiKORG 700、700Sを意識したものです。また、パルス波のバリエーション2に設定して、PWを目盛り2から4の間あたりで気に入ったポイントを探すという手もあります。
フィルターやアンプは特に変更は無いと思います。ベロシティでフィルターの開きや音量はコントロールできますが、ENVの各要素には働きません。
内蔵エフェクトは大幅に増えています。空間系(リバーブ、ディレイ)に加え、歪みや変調系、そしてローブーストが加わっています。同時に5系統が使えます。
ポルタメントタイムは、SH-201と同じくポルタメントボタンを押しながら1〜8ボタンの上を指を滑らせるようにして設定する方法以外に、ポルタメントボタンを押しながら、オクターブボタンを押して一づつ増減させる、エフェクトのコントロール1かLFOのフェイドタイムスライダーを動かすという手段があります。
画面が無いので、各パラメーターがどういう状態なのかを、JP-8000/8080のように本体で視認する方法はありません。コルグのアナログモデリングシンセやDJツールのような、オリジナルバリューランプがあると便利なのですが…。Roland GAIA SYNTHESIZER SOUND DESIGNERというパッケージソフトが、別売りで用意されています。
画面が無いので、各パラメーターがどういう状態なのかを、JP-8000/8080のように本体で視認する方法はありません。コルグのアナログモデリングシンセやDJツールのような、オリジナルバリューランプがあると便利なのですが…。Roland GAIA SYNTHESIZER SOUND DESIGNERというパッケージソフトが、別売りで用意されています。
Roland GAIA SH-01は、1パッチのトーンが三つあるといった仕様よりも、奏者やマニピュレータとの接点、楽器としてより重要な部分に、新鮮味を感じました。
全てのパラメーターではないものの、GAIA SH-01は各パラメーターの操作子が露出していて、同じアナログモデリングシンセの他社機micro KORG、microKORG XLよりも、初めてシンセに相対する人にとっての敷居は低いと思います。
もし後継機を作るとしたら、全ての操作子を露出させ、メモリー機能を廃する、要するにアナログシンセ時代のSHシリーズ(Roland SH-101等)と同じにしてしまうというのはいかがでしょうか。かつてのアナログシンセの取扱説明書やキーボード雑誌にあったような、音色設定チャートが復活するのは楽しい気がします。
あるいはもう一歩進んで、SHシリーズをアナログシンセに戻してしまうとか…。
Roland GAIA SH-01
あるいはもう一歩進んで、SHシリーズをアナログシンセに戻してしまうとか…。
Roland GAIA SH-01
by manewyemong
| 2010-05-01 12:52
| シンセワールド
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