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KORG KRONOS 73試奏記

 昨日、本日発売のワークステーション機、KORG KRONOS 73を10分少々ですが試奏してきました。

 KORG KRONOSに関してこれまで、コルグのトップページに“KRONOS”なる告知が…KORG KRONOS (THE NAMM SHOW 2011)第1報KORG KRONOS(1)KORG KRONOS(2)KORG KRONOSの発売日及び価格で採り上げてきました。

 エディットする時間が無かった事と、九つのうちの五つ、ピアノ(アコースティック/電気)、オルガン、PolysixEX、MS-20EXに対する興味が湧かないこともあり、シンセサイザーエンジン部分の記述はしません。マン/マシンインターフェイスに関する部分のみ雑感を述べたいと思います。

 過去記事で、KRONOSに関してコルグは珍しく堅実な設計をしたのではないかと書いたのですが、筐体は頑丈なつくりで、初代TRITONM3のような、時を経ると煤(すす)が付いたような汚れが目立つという事は無いと思います。落ち着いた色調なのですが光沢があり、地味という感じはしません。

 KRONOSの73鍵機の鍵盤は、これまで88鍵のワークステーション機やコルグデジタルピアノに採用されて来たRH(リアルウェイテッドハンマーアクション)の3世代目、RH3です。

 シンセサイザーにはKORG M3-88から採用されています。同じRH3でもM3-88、M50-88、デジタルピアノでは若干感触が違うような気がするのですが、KRONOS 73はアフタータッチがあるからかM3-88に近い気がしました。いずれにしても本当に弾きやすい鍵盤だと思います。

 ちなみにRH3鍵盤は京都府美山町で作られています。本当にこんな所にシンセサイザーの鍵盤を製造している場所があるのかと思う程、のどかな所です。

 操作子に関してKORG M3試奏記(2)等においてかなり辛口の評価を下したのですが、今回のKRONOSは、ボタンやスライダーの形状も感触も良く、脆弱感も感じませんでした。これだけ値段が安いのにフラグシップ機としての面目を完全に保っています。

 あえて言えばINC/DECボタンが小さい事が気になりました。感触は悪くありません。同じサイズのボタンは音色選択関係にもあるのですが、私のように一から音色を作る者としては、INC/DECは頻繁に触れるボタンであり、もう少し大きい方が良いと思いました。この小ささがコスト意識によるものなのか、設計者のセンス上の確信によるものなのかはもちろん判りません。また、できればKORG TRITON Le/TRのようにタッチビューの右側、ダイヤルの下あたりにあればなとも思いました。

 ジョイスティックは気のせいかM3/M50よりも若干短くなったような気がするのですが、それが特段操作性に影響を与えているとは感じませんでした。ライトアップされている事もM3/M50におなじです。

 タッチビューはOASYSでのパラメーターレイアウトを縮小した形でそのまま踏襲されているらしく、この画面の大きさでは文字が小さく、また指で触れる事によるパラメーター指定のポイントの範囲が狭いと感じました。タッチのポイントの狭さは、慣れれば、というか、こつを覚えれば克服できそうなのですが、先に記したINC/DECボタンの小ささと併せて気になりました。

 私はコルグのトップページに“KRONOS”なる告知が…の頃、フロントパネルの大半をマルチタッチのタッチビューが占め、操作子が概ねアイコン化されたようなマン/マシンインターフェイスを想像していました。結果的にその点に置いてKRONOSには革新的な部分は無く、何度も記しますが既存の物を堅実に織り込んだという印象です。

 たしかプログラムモードのプレイ画面で、アナログシンセサイザーKORG 800DVハイブリッドシンセサイザーDW-8000、アコースティック楽器等の画像が取り込まれています。それらは各々オシレータ波形のカテゴリーを示していたと思うのですが、ローランドの場合はFantom X/Fantom Gで既に行われています。

 試しにHD-1音源で喜多郎mini KORG 700Sリードを作ってみたのですが、店頭で喜多郎mini KORG 700Sリードを作る(M3の場合)が、そのまま通用しました。Espress Leadというプリセット音もPulse 33%というオシレータ波形も存在します。

 HD-1のプリセット音は、TRITONシリーズのHI、M3/M50のEDSといったシンセサイザーエンジンのそれが、かなり継承されています。

 私が所有しているコルグのワークステーション機KORG TRINITY plusTRITON STUDIO 61に無い部分、例えばポルタメントのレイト設定やEGのタイムまわりのオルタネートモジュレーションの不完全な部分を完全に補っています。私が今2台で行っている事をKRONOSなら1台でできてしまいます。

 また、冒頭で使わないとしたPolysixEX、MS-20EXに関しても、私の蔵書に掲載されているアナログモノフォニックシンセサイザーKORG MS-20やプログラマブルポリフォニックシンセサイザーPolysixの音色設定を、それらで再現するといった使い方が考えられます。特にMS-20に関するものはYAMAHA DX7登場以前主流を占めていた事もあり、キーボード雑誌や専門書、「コルグサウンドメイクアップ」に至るまで膨大な音色数が世にあると思います。

 「コルグサウンドメイクアップ」昭和58(1983)年2月号の姫神・星吉昭さんの手によるKORG Polysixの音色設定を、中古実機とKORG OASYS EXi LAC-1 Legacy Analog Collection PolysixEXで試してみたら、後者の方が姫神せんせいしょんのレコードのPolysixの音に近かった事は既に書きました。

 それにしても気になるのは、このKRONOSの次にコルグさんがどんな事をするのだろうかです。ここまで同社が持つ限りのシンセサイザーエンジンを惜しみなく積み込んだ後は、やはりマン/マシンインターフェイスでしょう。

 KORG KRONOS 88試奏記に続きます。


KORG KRONOS
http://www.korg.co.jp/Product/Synthesizer/KRONOS/

RH3鍵盤
(京都美山町で作られた高いクオリティの日本製鍵盤)
http://www.korg.co.jp/Product/DigitalPiano/RH3/
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by manewyemong | 2011-05-21 08:30 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong