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特別展「百獣の楽園 美術にすむ動物たち」を観ました

 京都国立博物館で催されている特別展「百獣の楽園」を観てきました。

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 それ自体が重要文化財である特別展示館の偉容。本当に来るのが楽しみな博物館です。

 常設展示品が置かれた平常展示館は現在解体され、百年記念館の建設が予定されています。したがって常設展を観る事は出来ませんでした。

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 特別展観「百獣の楽園 美術にすむ動物たち」は、京都国立博物館の生き物に関する収蔵品(絵画や造形、衣装等)を一堂に展示した物です。

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 縄文時代から現代までに至る、様々にデフォルメされた物から擬人化されたもの、日本画の技法ながら恐ろしく写実的なもの等が集まって来ています。

 気に入った、あるいは気になった作品について記したいと思います。

 「大絵巻展」以来久方ぶりに再会できた「十二類絵巻」は、今回も十二支達が鹿を歓待する酒席の場面が公開されていました。登場するキャラクター達には台詞が書き添えられていて、片野のキジで触れた戌(いぬ)による「これは片野のキジでございます」や、巳(へび)の「酒は一口飲んだ。今は衣をうち脱いでのびのびと寝たい」等とあります。手足の無いヘビが狩衣(かりぎぬ)を着ているのが可笑しい。

 森狙仙(もり・そせん)の「雪中三獣図襖(せっちゅうさんじゅうずぶすま)」は、イノシシが描かれているのですが、体躯のリアルさと、それに反する目つきのみの擬人化が、何だかアニメーション映画「もののけ姫」のイノシシ達に似ている気がしました。

 国井応文(くにい・おうぶん)と望月玉泉(もちづき・ぎょくせん)による「花卉鳥獣図鑑(かきちょうじゅうずかん)」は、日本画なのですが写実的で生々しく、しかし動物によっては愛嬌がある表情をしていて、あるいは今風に言えば、きもかわいい、という事になるのでしょうか。

 私が好きな伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)の作品も、有名な「百犬図」等がありました。「百犬図」は戯れる子犬達のその目の多くが、この絵を見る者へと注がれていてどこか怖い感じがするのですが、これも今風に言えば、きもかわいい、でしょうか。

 没後400年特別展覧会「長谷川等伯」で触れた「古木猿猴図(こぼくえんこうず)」や、今回の特別展の式部輝忠(しきぶ・てるただ)の「巌樹遊猿図屏風(がんじゅゆうえんずびょうぶ)」に出て来る猿達、日本にはいないシロテテナガザルという種類です。フジテレビ系「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」に、ナナちゃんというおむつを当てられた猿がよく出ていましたが、このシロテテナガザルです。南宋の画家、牧谿(もっけい)の「観音・猿鶴図」のシロテテナガザルの母子を、日本の絵師たちが手本にした事が、この猿が日本画によく登場する理由のようです。

 呉春(ごしゅん)の「狐の嫁入図屏風」は、キツネの擬人化というより、人がキツネの被り物を被っているような感じがします。黒澤明監督の映画「夢」に似た場面がありましたが、「狐の嫁入図屏風」のキツネ達は足下が判然とせず、彼等が単なるキツネの化身ではなく怪異の存在である事を描いています。

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 図録(表紙)。

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 図録(裏表紙)。 特別展図録としては通常より一回り小さいのですが、800円と安かったです。

 特別展観「百獣の楽園 美術にすむ動物たち」の会期は、平成23(2011)年7月16日(土)から8月28日(日)までです。


特別展観「百獣の楽園 美術にすむ動物たち」
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/

by manewyemong | 2011-07-28 11:28 | | Comments(0)