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KORG POLY-800試奏記

 implant4さんで、KORG POLY-800を試奏させていただきました。

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 プログラマブルアナログポリフォニックシンセサイザーKORG POLY-800は、昭和58(1983)年秋に発売されました。シンセサイザー史上初の、定価が10万円を切るプログラマブルポリフォニック機です。実際の所、発売当初から店頭価格は9万円を切っていた記憶があります。

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 薄い筐体。KORG POLY-61から続くデジタルアクセスコントロール方式のマン/マシンインターフェイスを備えたPOLY-800のルックスは、愛嬌と洗練された感じが同居していると思います。

 コルグというシンセサイザーメーカーの豊穣な発想力には、今日に至るまで時に驚き、時に呆れる事しきりですが、この記事の下の方で示すPOLY-800の広告を見た時も、第一印象は「!」「?」でした。なんかこうコルグというメーカーに、東京というより江戸を感じてしまいます。

 前年出たRoland SH-101同様、ストラップを付けてショルダーキーボードとして使う事もできます。

 シンセサイザーとして、同社のDELTA(デルタ)からの流れを感じました。パラメーターに関する部分で触れます。

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 KORG POLY-800の背面側。

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 リアパネルの「KORG」のロゴ。

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 MIDI IN/OUT端子。POLY-800はコルグ初のMIDIシンセサイザーです。

 たしか翌年に出たモジュール版EX-800は、当初、MIDI IN/OUTしかなかったのですが、後にTHRUが増装されました。MIDI IN/OUTのみのモデルも改造できたと思います。

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 カセットテープインターフェイスは、この頃のプログラマブルアナログシンセのポピュラーな外部記憶方式だったのですが、半年前に登場したデジタルシンセYAMAHA DX7では、フロントパネルに挿すカートリッジが採用されていました。エラーが出る事が多かったカセットテープインターフェイスと違い、簡単に扱う事ができました。

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 ステレオアウトプット。

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 ジョイスティック。

 この画像の右端に写っているベンドレンジスライダーで変化のデプスを設定するのですが、画像にあるとおり最大値に設定しても、ピッチを1オクターブ上まで持って行く事ができません。例えば、「ド」の鍵盤を押してジョイスティックを右に倒し切っても、「ソ」あたりまでしかピッチを上げられません。したがってポルタメントやEG/ENVのカーブをつぶやくで書いた喜多郎KORG 800DVブラストーンリードのディレイオートベンドをマニュアルで再現する行為は不可能です。

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 鍵盤。DELTAを継承したのか49鍵です。

 KORG POLY-800は通常の白鍵黒鍵のモデルだけでなく、バロック時代の鍵盤楽器みたいに白黒が逆のモデルが用意され、当初の広告ではむしろ後者が推されていた感がありました。あの頃、買うとしたらこちらだと決めていました。

 特にリバース色鍵盤は、グリッサンドの跡が視認されるものをよく見るのですが、今回implant4さんで試奏させていただいたこの個体は、本当に美しい状態が維持されています。感触も良かったです。

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 電源のオン/オフ兼ボリュームのつまみ。ジョイスティックの所で触れたベンドレンジスライダー。

 そしてこれもPOLY-800の特長の一つなのですが、内蔵MIDIシーケンサー関係のボタン。シーケンサーのレイトはRoland SH-101のそれとは違い、MG(LFO)と共有ではなく独立しています。

 キーアサイナーのボタン類。鍵盤でコードを押さえてコードメモリーボタンを押すとコードがメモリーされます。また、ポリとホールドをオンした状態で1音づつ鳴らしコードメモリーボタンを押すという方法も使えます。この状態で一つの音を8回ないし4回押してコードメモリーボタンを押せば、ユニゾンモードとして使えるのか否かチェックするのを忘れました。

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 音色や各パラメーターの選択、入力するための操作子エリア。

 1〜8までの数字ボタンを音色選択に使う時は、パラメーターナンバーのLEDは「.P」になっています。

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 例えばこの画像は、音色11番のパラメーター56番DEG1(FOR DCO1)のリリースタイムが22である事を表示しています。

 パラメーターの入力操作子はダウン/アップボタンのみです。

 音色を書き込むボタンは、たしかKORG TRIDENT以来、コルグプログラマブルアナログシンセの伝統である赤色をしています。これはハイブリッドシンセサイザーDW-6000やDW-8000、そしてアナログモデリングシンセMS2000シリーズに継承されました。

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 POLY-61に続くDCO1/2及びノイズジェネレータ。PWやPWM等は無く鋸歯状波と矩形波だけです。

 DELTAのような16’、8’、4’、2’をスライダーを用いて混ぜ具合を決める事はできず、各々オン/オフだけです。それと仮に波形を鋸歯状波にしていても、例えば4’だけがオンで他がオフだった場合、矩形波が鳴ります。

 Roland JUPITER-6と違って、二つのDCO間のバランスではなくレベルの設定ができます。

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 VCFと内蔵コーラスエフェクトのオン/オフ。

 DCO1/2やノイズジェネレータのレベルを0にして、カットオフやレゾナンスを上げても自己発振しません。VCFのキーボードトラックは3段階の設定。ポラリティの正逆を設定できます。

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 DEG1(FOR DCO1)、DEG2(FOR DCO2)。「FOR DCO」となっていますが、ピッチEGではなく、VCA EGです。POLY-800から始まったADBSSR方式のEGは、後にスタートレベル、アタックレベル、リリースレベルを加える形で、コルグワークステーション機、M1やTシリーズ、そしてKRONOSに至るまで継承され続けています。

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 DEG3(FOR VCF & NOISE)。PolysixRoland JUNO-6、JUNO-60といったプログラマブルアナログポリフォニックシンセの民生機が、いずれもVCF/VCAでEGを共有していたのに対し、POLY-800は独立して持っていました。

 しかしながらキーアサイナー方式でありながら、VCFを発声数分ではなく一つしか持っていなかったので、押鍵毎にVCFはリトリガーされます。これをもってウソ八百などという人がいましたが、どんな高級機であれLFOを発声数分持っていなかったアナログポリシンセに、はたしてウソは無いのかという話を、アナログポリシンセのLFOをつぶやくで書きました。

 ちなみにDCOの所で触れたKORG DELTAは、基本的には独立発振方式なのですが、鍵盤の数だけシンセサイザーを搭載したKORG PS3000シリーズやpolymoogと異なり、鍵盤の数なのはオシレータのみで、続くVCF、VCAは1系統です。DELTAは、鍵盤数やオシレータと併せて、発声に対する考え方も、POLY-800に影響を与えていると思います。

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 MG(LFO)。レイトとディレイタイム、ビブラートとグロウル効果のデプス。VCAを変調する事はできません。

 KORG POLY-800及びその後継機POLY-800IIは、私がYAMAHA CS-5、CS-10、CS-15とならんで数少ない、できれば手許に置きたいと思っているアナログシンセサイザーです。今は手許不如意なので、今回の個体は諦めますけど…。

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 「キープル」NO.2(自由国民社刊)のKORG POLY-800の広告。

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 implant4さんには、平成23(2011)年9月22日夕刻の時点で、今回試奏させていただいたKORG POLY-800リバース色鍵盤モデルの在庫がありました。状態や価格等、implant4さんのサイトでご確認ください。


KORG POLY-800
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/POLY-800/

KORG DELTA
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/Sigma/

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by manewyemong | 2011-09-23 13:02 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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