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Roland Fantom X6試奏記

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 ワークステーション機、Roland Fantom X6を試奏させていただきました。音出しはスピーカーではなく、ヘッドホンを使用しました。

 Fantom Xが登場したのは平成16(2004)年、前年に発売されたFantom-Sが、実質1年余の販売期間で退役するのと入れ替わる形での登場です。記憶が曖昧なのですが、Fantom-Sほど製造期間が短かったモデルは、古くはアナログシンセサイザーRoland SH-1、そしてFantom Xに続いて登場したその下位機ともいうべきFantom Xaぐらいではないでしょうか。短い期間で前者はSH-2に、後者はJUNO-Gに取って替わられています。

 各社ともモデルチェンジの度に増大していくオシレータ波形は、Fantom Xも膨大な数であり、オプションボードで波形を増やす事ができない、同期生のKORG TRITON ExtremeとYAMAHA MOTIF ESを凌駕していました。オシレータ波形のオプションボードはSRXシリーズのみで、初代Fantom FA-76のようにSR-JV80シリーズは挿す事はできません。

 Fantom Xのオシレータ波形の中には、mini KORG 700の三角波(喜多郎mini KORG 700Sリード参照)をサンプリングした“700 Triangle”があるので、プリセット音“Sinetific”からエディットして作ってみました。ポルタメントをレイト設定できる事もあり、良い出来映えでした。

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 ベンダーレバー。JV/XPシリーズの頃には、そばにボリュームやベンドのレンジを設定する為のスライダーがあったのですが、Fantom FA-76以降はすっきりしています。しかし、V-Synth GTからは、コルグのワークステーション機のようなアサイナブルボタンが並ぶようになりました。

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 Fantom X6の鍵盤。同い年のKORG TRITON ExtremeとYAMAHA MOTIF ESが、ともにヤマハ製FS鍵盤を使っているのに対し、Fantom Xは自社鍵盤です。

 アフタータッチを試すのを忘れたので、Fantom Xのそれがオン/オフしかできないのか、深く押し込んでいく毎に効果のデプスが変わるのか分かりません。

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 裏におもりが付いているのが見えます。

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 フロントパネルの「Fantom」「X6」のロゴ。Fantom Xで私がどうしても好きになれないのがここです。「X6」の大きさに、垢抜けない感じを受けました。ローランドさんの広告に見受けられる大仰なアピール性、そして、大阪を感じてしまいます。この頃、ローランドさんはまだ大阪に本社がありました。

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 Dビームコントローラーや外部入力、マスターボリューム等の操作子。

 Dビームコントローラーは現行機に至るまで、かざし続けている間効果が持続するモード、つまりモーメンタリーだと思うのですが、これをトグルスイッチのような、単に効果の切り替え操作子としても使えるようにならないかなと思っています。

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 コードメモリーやアルペジエータ、シーケンサー等を含む演奏操作子類。コルグのワークステーション機の場合、ジョイスティックそばにある二つのアサイナブルボタンは、ここにあります。

 コードメモリーは、かつてKORG PoysixMono/Poly、POLY-61、POLY-800シリーズにあったような単純なものではなく、ベロシティで構成音の発声のタイミングをコントロールする等、様々な効果を与える事ができます。ユーザーパターンを打ち込めるアルペジエータや内蔵シーケンサーと併用すると、ワークステーション機としての可能性が広がるような気がします。

 そのアルペジエータが、かつてのRoland JUPITER-4同様に、押鍵の順番が反映されるのか否かをチェックし忘れました。

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 シンセサイザーとして初めて、画面がカラーになりました。画面下のボタンは、表示された選択肢の指定に使います。

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 音色設定の操作子類。Roland V-Synth GTが発売のかなり以前に店頭展示されているのに遭遇したおりローランドさんから、V-Synthシリーズは画面の左に演奏に関する操作子、左に音色設定に関する操作子を集約しているとうかがいました。それはこのFantom Xも同じです。

 コルグのデジタルシンセの場合、TRITON LeTRをのぞいて、なぜかINC/DECボタンやバリュースライダーが画面左側にあり、ダイヤルやテンキー等が右にある為、タッチビュー上を手指が移動して画面を遮る事があるのですが、Fantomシリーズにはそれはありません。

 また、DEC/INCボタンが左右に並んでいる(コルグはPOLY-800等をのぞいて上下)事や、ダイヤルと四つのカーソルボタン、シフトキー、EXIT、エンターキーの位置関係が絶妙です。この点、V-Synth GTやFantom Gのダイヤルのまわりをカーソルボタンが囲む形は、視覚的には格好いいと思うのですが、今回まとまった時間操作してみて、使い勝手はFantom Xに劣っていると思いました。

 エディットの入り口にあたるパッチエディットボタンは、後継機Fantom Gでは存在せず、画面下のボタンからになっていました。かつてFantom Gを試奏したおり、一瞬探しました。音色を一から作っていく為のプロエディットへは、画面下のボタンで指定して入っていきます。

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 Fantom-S以降のFantomシリーズの用法や外見上の大きな特色である、赤く輝くダイナミックパッド。

 ベロシティを加減しづらいという感想を聞く事が多いのですが、私は形状も感触も気に入っています。

 Fantom Gは、文字を赤く浮かび上がらせる為か、パッドの上の平らな部分を黒くしているのですが、私はより眩く輝くこちらの方が気に入っています。

 また、Fantom G同様、パラメーターによってはテンキー、つまり入力操作子にもなるようです。ただ、Fantom Gのようなニューメリックボタンが無いので、どうやって使うかは取扱説明書を読んでいないので、現時点では分かりません。ちなみにFantom Xaには、たしかニューメリックボタンがありました。

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 このパッド、中古や店頭展示機に関して、タバコか皮脂か紫外線の影響かは分からないのですが、濁っているものをよく見かけます。しかしながら、今回implant4さんで試奏させていただいた個体は、実にきれいなものでした。たまたまこういう個体なのか、あるいはimplant4さんに洗浄する独自のノウハウがあってそれを駆使したのかを、聞きそびれました。

 それにしてもこのダイナミックパッド、視覚的に何だか美味しそうに感じられるのは、甘党の私だけでしょうか。渋めのお茶に合いそうな…。

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 リアパネル側。

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 USB端子は対パソコン用で、外部記憶メディアはPCカード。各種をアダプターを介して使えます。

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 ペダル端子は、片方はホールド専用で、コントロール用はフットスイッチ/エクスプレションペダルのどちらか一つしか使えません。私はどちらも併せて使いたいのですが…。コルグの場合、ワークステーション機はもちろん、アナログモデリングシンセMS2000シリーズRADIASR3でも、両方を併せて使えます。

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 ステレオインプットと2系統のステレオアウトプット。

 ローランドの多くのシンセは、このようにステレオアウト2系統で、鍵盤をスプリットして2パートを各々ステレオで出し、それらに個別のフットボリュームを咬ます事ができます。

 私はシンセサイザーの民生機のエンジン部分の性能が来る所まで来た年を、平成16(2004)年と考えています。この年、今回試奏したRoland Fantom X、KORG TRITON Extreme、YAMAHA MOTIF ESが登場しました。

 その後、特段根本的な技術の進歩は無く、ローランドやコルグは、半ば既存の機能を詰め込めるだけ詰め込む大艦巨砲主義と、1980年代初頭のシンセブームを知る世代の郷愁への訴求、そして、本体では一から音色を作る事すらままならない徹底的なコストカットへと進み、ヤマハは次のMOTIF XSから、ブレスコントローラー端子や別音源(FMや物理モデル)のオプションボード、内蔵シーケンサーのステップ入力を廃し、持ち前の革新性を放棄した感があります。

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 様々な意味で曲がり角になった、平成16年生まれのワークステーション機群の中にあって、Roland Fantom Xは、ミュージックワークステーションとして、他機をしのぐ性能と操作性を持った存在のような気がします。


Roland Fantom X6
http://www.roland.co.jp/products/fantom-x6/

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by manewyemong | 2011-11-05 19:27 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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