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「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の音

 「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」が発売されますの中で、同作品がDVDとブルーレイで発売される事に加え、東京と大阪の映画館で1週間限定でレイトショーされる事に触れたのですが、大阪・心斎橋で観る事が出来ました。

 「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の記事を、「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の音「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の形と分けたのと同様、「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の音、「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の形として書きたいと思います。これらを併せて読んでいただけたらと思います。

 「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」は、平成21(2009)年12月に公開された「宇宙戦艦ヤマト復活篇」に、様々な改変が加えられた作品です。最大の変更点は物語の結末が全く違う事ですが、何よりも私が歓迎したいのは、効果音が柏原満さんの手による旧作品群のものに戻された事です。

 「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の音で、効果音に旧作品群ほどの手間が感じられない旨の記事を書きました。例えば主砲の砲声が、柏原さんの音の場合、砲門が光ってから射撃が終了するまでの径時変化が複雑な事や、目標に向かって砲塔が旋回する音の生々しさ、砲身の上下角を固定する「ギキュキュキュッ」まで作り込まれていた、としました。

 これらの事に加え、記事中いくつか旧作品群の効果音について触れたり、その後、かなりの量の追記を繰り返した理由は、単に旧作品群の音に聴覚が慣れ親しんだ事から来る違和感ではなく、旧作品群と「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の効果音の間に、はっきりとした力の差を感じたという事を言いたかったからです。

 柏原さんの効果音の復活で、「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」に臨場感が増した事は間違いなく、「宇宙戦艦ヤマト復活篇」のエンディングタイトルロールでは、音響スタッフの最後に小さく「協力 柏原満」だったのが、「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」ではお一人で、「オリジナルサウンドエフェクト 柏原満」とクレジットされていたのが、本当に嬉しかった。

 ちなみに佐渡酒造先生の愛猫ミーくんの鳴き声とのど鳴らし、「サザエさん」の猫のタマと同じ音です。ついでに書くと「さらば宇宙戦艦ヤマト」で、ヤマトの艦首ミサイルが都市帝国の上半分のガスに跳ね返される音、タマがジャンプする音と同じです。柏原さんは「サザエさん」の効果音も担当されています。

 また、サウンド&レコーディングマガジン創刊号のローランドの提供記事「サウンドコラージュ」によると、Roland SYSTEM-100Mが「ヤマトよ永遠に」から使われています。この作品から敵側の艦載機やビームの音が変わった理由は、SYSTEM-100M導入によるものかもしれません。敵側艦載機の飛行音に関して、私は第1、2作までの高速道路を走るバスかトラックのような音の方が好きでした。

 BGMに関しても触れておきたいと思います。

 SUSの巨大要塞の登場シーンのエドバルド・グリーグのピアノ協奏曲が別の曲になっている等、クラシックよりも旧作品群からのチョイスに置き換わっているケースが多かった。

 例えば戦闘シーンでは、「さらば宇宙戦艦ヤマト」で波動砲を渦の中心に打ち込まれた白色彗星が炎上するシーンに流れた曲や、「ヤマトよ永遠に」音楽集第2集に入っていた「大決戦」のシンセサイザーとチューブラーベルの後に続くオーケストラ演奏の部分(「ヤマトよ永遠に」劇中では未使用)が使われたりしました。それらの変更は、いずれも作品をより良い方向へ持って行ったと思います。

 残念ながらモノラル録音故か今回も、「宇宙戦艦ヤマト」テレビシリーズ第1作のBGMは使われませんでした。アクエリアスの氷原を割ってヤマトが飛び立っていく場面、「宇宙戦艦ヤマト復活篇」ではジ・アルフィーによる「宇宙戦艦ヤマト」テレビシリーズ主題歌の変奏曲だったのですが、今回はインストゥルメンタルに置き換わっていました。できればオリジナルBGMコレクション「宇宙戦艦ヤマト」Part1(日本コロムビア)でいうところの、「元祖ヤマトのテーマ」にしていただきたかった。

 また、第1作の、展望室で古代進が森雪と記念撮影をしようとしてひっぱたかれるシーンや、佐渡先生が日本酒を呑みながら宇宙遊泳するシーン等で流れた「ロマンス」「草原」といった小品を、できれば「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」でも耳にしたかった。佐渡先生が古代夫婦の一人娘、美幸に、両親は守るべき人がいたからこそ戦ったと語るシーンにBGMは無かったのですが、仮に使うとしたら、シリアスな曲より「ロマンス」「草原」の方が佐渡先生らしい気がします。

 最後に「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」に関する事を調べていて知った事を記します。

 エンディングタイトルロールで「音響スペシャルアドバイザー」としてクレジットされた旧作品群の音響監督、田代敦巳さんは、既に平成22(2010)年7月、この世を去っています。

 私の、音楽と音を一緒くたに捉える感性を育んでくれたのは、まぎれもなく子供の頃に観続けた「宇宙戦艦ヤマト」シリーズであり、その後、シンセサイザーへの興味や所有するに至った淵源は、まぎれもなく田代さんのお仕事です。

 「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの、聴覚に訴求する関する部分を作り上げた最高の功労者に、感謝したいと思います。

 「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の形に続きます。
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by manewyemong | 2012-01-31 17:31 | アニメーション映画 | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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