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Roland JUPITER-6試奏記

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 implant4さんで、Roland JUPITER-6を試奏させていただきました。

 私がアナログプログラマブルポリフォニックシンセサイザーRoland JUPITER-6を知ったのは、昭和58(1983)年の年明け、ローランドから送られて来た一通のダイレクトメールでした。

 JUPITER-6と同時発売の同社アナログプログラマブルポリフォニックプリセットシンセJX-3P、そしてMIDI規格登場の告知がその内容でした。このダイレクトメールの最後はたしか、

JUPITER-6とJX-3P、両機の可能性は無限だ!

という、ローランド臭漂う言葉で締めくくられていた記憶があります。

 Roland JUPITER-6は、最大6声のポリフォニックであることと、48個の音色を記憶させる事が出来るプログラマブルであることが仕様上の特徴です。

 基本的なフォルムやフロントパネルの各種操作子のレイアウトは、JUPITER-8が踏襲されています。カラーリングに関して、JUPITER-8が暖色系なのに対し、JUPITER-6は寒色系で、これがよく似ている両機の印象の違いを決定づけていると思います。

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 JUPITER-8同様、筐体が薄い上に、

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 リアパネルにヒートシンクが無いので、JUPITER-6はより洗練されています。

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 Roland JX-3Pと並んで国産初のMIDIシンセ。

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 この時代、鍵盤の感触に高級機と廉価機で違いが無く、Roland JUNO-6、60等と同じ印象を持ちました。

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 ベンダーレバーはSH-101等のものより若干大きく、感触もしっかりしたものでした。ピッチベンドをVCO1か2、もしくは両方へかけるかをボタンで指定できます。変化の幅は最大値を設定すると、たしか1オクターブ上げ下げできたのですが、ワイドを押すとさらに広くなります。

 手操作によるモジュレーションは、コルグのジョイスティックやローランドの現行機のようにベンダーレバーを前に押すのではなく、専用のモジュレーションボタンによって行います。もちろんこれはオン/オフしかできないのですが、JUPITER-6やJUPITER-8の場合、ライズタイム、つまりボタンが押されてから設定値に至るまでの時間を設定することができます。押鍵してからモジュレーションボタンを押すまでの時間がディレイタイム、ライズタイムは今日のLFOでいうフェイドインタイムです。

 私は今回の試奏でこのモジュレーションボタンが気に入りました。鍵盤のトレモロ奏みたいに複数の指を使って連打すると小刻みに変調をかけられる上、ライズタイムのおかげでXP-50より前のローランドシンセとは違い、手操作変調を有機的にかける事も出来ます。

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 JUPITER-6のアルペジエータは、Roland JUPITER-4及びJUPITER-8よりも劣っています。

 まずランダムモードが無い、そして、アップ、ダウン、アップダウンモード時、押鍵した順番を反映させる事ができません。したがって喜多郎さんのフライングジュピターは不可能です。

 私の記憶ではJUPITER-8以降、国産のシンセサイザーにランダムモードや押鍵順が反映されるアルペジエータが搭載されたのは、昭和60(1985)年秋のハイブリッドシンセサイザーKORG DW-8000だったと思います。

 JUPITER-6のアルペジエータは、Roland SH-101のそれとはちがい、レイトがLFOから独立しており、レンジを4オクターブまで設定できます。

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 LFO-1。レイトとディレイタイム、波形(三角波、下降型鋸歯状波、矩形波、ランダム)。ディレイタイムは他のアナログシンセのような、一体何時になったら遅れ始めるのかといった効果が鈍重なものではなく、素直に効いてくれます。しかしながらそれ故に、アナログポリシンセに発声数分のLFOが入っていないという事実を、はっきりと分からせてくれるモデルでもあります。

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 VCOモジュレーション及びパルスウィズ/パルスウィズモジュレーション。ビブラートデプスとENV-1をソースにしたオートベンドのデプス、ディスティネーション(VCO-1/2)の選択ボタン。パルスウィズとパルスウィズモジュレーションは、デプスを個別に設定できます。PWMのソースはLFOとENV-1。

 アナログシンセ時代、私はKORG Mono/Poly等のVCF EGをソースにしたPWMで、撥弦系の「ペアォゥゥゥン」と聴こえる音をよく作ったのですが、JUPITER-6はマニュアル設定のPWとPWMを一つのVCOで並立させられるので、結構気に入った効果が出せました。VCO波形をパルスにしてPWを最大値にすると、音は聞えなくなります。

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 VCO-1、VCO-2。JUPITER-8と違い、一つの波形を選択するのではなく、並立使用できます。VCO-1と2は個別レベルではなく、バランスを設定します。VCOを使わないためにレベルを0にする事は出来ません。というか、それを必要とするシチュエーションが、JUPITER-6には存在しません。理由は次のVCFで記します。

 それにしてもJUPITER-6の自照型ボタンの赤い灯の美しさ。

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 VCF。ローパスフィルターとハイパスフィルターを選択できます。レゾナンスを上げきっても自己発振しません。つまりVCO無しでは発声しません。VCF ENVは、ENV-1をオートベンドへまわす場合、ENV-2を選択してVCAと共有します。

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 VCA。コンボタイプのアナログシンセには珍しくENVデプスがあります。トレモロも設定できます。

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 二つのENV。ENV-1はVCOへかVCFへかを選択するフレキシブルなもの、そしてENV-2はVCAとつながっています。正逆を選ぶポラリティースイッチと、これもアナログシンセには珍しいENV用のキーボードフォローがあります。

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 二つの音程間を滑らかに移動するポルタメントと、ドレミで動くグリッサンドに関するタイム(実際はレイトでした)を設定します。

 Roland JUPITER-6は、VCF、LFO、PW/PWM、ENV、そしてポルタメントの変化の度合いが、私が10年使ったRoland SH-101と似ていて、音色を作る上でその記憶がそのまま活かせました。JUPITER-6は、各パラメーターが素直な弧を描いて変化するシンセだと思います。

 Roland JUPITER-6、プログラマブルアナログポリシンセの中古機としては、結構安価ではないでしょうか。お値段を発声数の6で割ると、モノフォニックシンセRoland SH-09の中古機等よりも安くなります。


おまけ

 Roland JUPITER-6で喜多郎mini KORG 700Sリードを模倣する為のヒントを記します。

 VCO1のみを使い、波形はPW。パルスウィズを4より若干下辺りを目安に音を聴きながら探ります。ENV-1をオートベンドにまわすので、VCFのENVは2を選択します。

 オートベンドに関して、ENV-1のディケイタイム以外全て0にし、ポラリティースイッチをリバース側にします。VCOモジュレーションのENV-1のデプスとディケイタイムを操作して好きな位置を決めてください。

 ビブラートはLFOのディレイタイムやVCOモジュレーションのデプスと併せて、モジュレーションボタンの設定、例えばライズタイム等との兼ね合いも一考すると、デジタルシンセほどのフレキシビリティは無いものの、コントローラー無しのmini KORG 700Sと違い、音を有機的に唄わせる事が出来ます。

 アサインモードはソロです。トリガーモードはシングルなので、スタッカート/レガートでリトリガーする/しないをタイトに弾き分けると、喜多郎さんのあのリード音の雰囲気が出せます。

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 平成23(2011)年9月8日現在、implant4さんには、Roland JUPITER-6の在庫が2台あります。implant4さんのサイトの在庫リストに価格や画像があります。また記事中のKORG POLY-800(リバース色鍵盤仕様)は、まもなく在庫リストにあがって来ると思います。

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by manewyemong | 2011-09-09 20:12 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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