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KORG KARMA試奏記

 implant4さんで、ワークステーション機KORG KARMAを試奏させていただきました。

 初代TRITONやKARMAの中古機は、ボタンが弱っているものをよく見かけるのですが、この個体はそれが全くありませんでした。KARMAの中古機でここまでの美品を久方ぶりに見ました。既にimplant4さんのサイトの在庫リストに掲載されています。

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 KORG KARMAは平成13(2001)年の年明けに発表された、コルグの21世紀最初のシンセサイザーです。

 コルグの他のワークステーション機と違い、61鍵機だけで76/88鍵機はありません。

 KARMAが現行機だった頃、本来のカタログとは別にKARMA(カーマ)機能の解説に重点を置いた冊子が店頭で配布されたのですが、それによると初代TRITONの3倍の能力を持つCPUが搭載されているとの事でした。おそらくKARMA機能実行の高負荷に対応する為ではないでしょうか。

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 コルグには昭和58(1983)年に発売されたKORG PERSONAL KEYBOARD SAS-20に始まって、KORG PSS-50 SUPER SECTION、iシリーズ、そして現行機Paシリーズという、私が未だコンピュマジックアカンパニメント系と呼び、一般的にはインテリジェント系と呼ばれている電子楽器群があります。編曲や演奏を楽器が補助する機能を持っています。KARMA機能は、おそらくこういったモデルの開発過程で派生したのではないでしょうか。

 ただし、KARMA機能はコンピュマジックアカンパニメント系のような、編成と音楽ジャンルを指定し、奏者の弾くコードワークに沿ってデータを呼び出す伴奏機能ではなく、フレーズを発生させるツールだと思われます。

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 まず、筐体の独特の赤系統の色が目を引きます。後にも先にもこの赤をまとったシンセサイザーを知りません。

 全体のフォルムや操作子の配置等、基本的にはTRITONがベースになっていると思われるのですが、

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 KARMA独特の曲線部位も見られます。

 ちなみに本体重量は10kg。FDDという比較的大きめの外部記憶装置を備えたモデルとしては、やや軽量ではないでしょうか。

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 ジョイスティック及び二つのアサイナブルボタン。

 ジョイスティックは01/Wタイプのものを、TRITONを跨ぐ形で継承しています。

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 KORG TRINITY plusのジョイスティック。私はコルグの歴代ジョイスティックの中でこの01/Wタイプが最も気に入っています。

 KARMAのジョイスティックと二つのアサイナブルボタンの位置関係は、他のモデルがアサイナブルボタンを若干左へずらしているのに対し、KARMAは並んでいます。私は左手親指と人差し指でジョイスティックを操作しながら人差し指と中指でアサイナブルボタンをオン/オフするのですが、KARMAのこの並び方だとその操作がしづらい。

 なお、今回撮影し忘れたのですが、KARMAの外部記憶メディアである2HDフロッピーディスクのドライブは、この部位の下部にあります。

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 鍵盤。

 KORG TRITON Leとその後継機TRの61/76鍵機と同じものです。アフタータッチもあるのですが、オン/オフだけで深度のコントロールはできません。もっともこれは鍵盤ではなく、TRITONシリーズやKARMAのシンセサイザーエンジンであるHI音源の仕様の可能性もあります。

 この鍵盤、静粛性に優れていると思います。また、後のワークステーション廉価機KORG M50/KROMEの61/73鍵機のものより、感触が良いように感じられます。後者は押鍵時の反発力やニュートラル位置への帰りが緩い感じがします。

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 オプションボードEXB-PCMを装着するソケットスペースのカバーと、アサイナブルつまみ。

 EXB-PCM用のソケットスペースは初代TRITONが筐体底部にあるのに対し、KARMAはKORG TRITON STUDIO同様フロントパネルにあり、工具を使わなくてもロックスイッチを解除の方向へ動かすだけでカバーが開きます。

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 アサイナブルつまみは、本来もう少しフロントパネルの右に寄ったところにあるのですが、その位置にKARMA機能の操作子群がある為に、この位置に設けられています。

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 KARMA機能の操作子群。

 KARMAを持っていて、その後KARMA機能を備えたOASYS、M3KRONOSを手に入れた複数の人から、単なる馴れかもしれないが、演奏時のエディットやDAWのコントロールサーフェスと共用する形の操作子を使う事に違和感を感じる、とお聞きした事があります。それだけが理由か否かは聞きそびれましたが、KARMAは手放せないとの事でした。

 先に触れたボタン類の疲労以外によく見かける、KARMA機能の操作子の一つである四つのコードトリガーボタンの反応のばらつきは、この個体にはありませんでした。

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 KARMA機能のエディット画面群。

 KARMA機能には専用の分厚い取扱説明書「KARMA GE Guide」があり、私はこれをとても網羅的に理解し採り入れる事はできません。私の場合、こういう事をしたいがKARMA機能はそれに応えるか、という、いわば最初に目的ありきで調べてたどっていく形で使う事になると思います。

 ただ、プリセット音を使うにしても、その音色のKARMA機能の設定にはどういう意味があるのかを理解するしないでは、その活かし方、言い換えれば演奏表現に差がつくと思います。

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 液晶画面とバリュースライダー、DEC/INCボタン、タブボタン。

 バリュースライダーとDEC/INCボタンが画面左側にあるのですが、タッチビューでは無い故に余計にこの位置にある事の違和感を憶えたものです。その点、KARMAと同じ年の秋に登場したKORG TRITON Leは、バリュースライダーが排され、DEC/INCボタンが画面右側にあって使い易かった。そしてそれは、先般発売されたKORG KROMEに継承されています。

 それにしても、独特の赤の筐体、黒のフロントパネルに、黄色のバックライトの画面が映えます。

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 ダイヤルとカーソルボタン、テンキー。

 KARMAの約半年後に相次いで登場したRoland Fantom FA-76やYAMAHA MOTIFが、テンキーを排しているのに対して、コルグは21世紀に入ってからも、ワークステーション廉価機に至るまでテンキーを設けてくれています。

 私の場合、脳裏に作りたい音色のイメージが鮮明に浮かぶのと、それが音響だけでなくシナリオ(文章)や数値でも立ち上がって来るので、その機種になれて来ると最初からテンキーで入力する事がほとんどになるのですが、この点、21世紀になってからのローランドやヤマハのモデルは使いづらく、手許に置くのがコルグのワークステーション機ばかりになってしまいます。

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 バンクボタンと内蔵MIDIシーケンサーの操作子。

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 リアパネル。

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 MIDI端子はIN/OUT/THRU。ペダルはダンパー、フットスイッチ、エクスプレッションが使えます。オーディオ出力はステレオ1系統-モノラル2系統、もしくはモノラル4系統。

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 KORG KARMAのKARMA機能は、その後、単体機としてではなく、コルグワークステーションの上級機の中の一機能として継承されています。しかしながら、この機能に特化した形のマン/マシンインターフェイスを備えた単体機が登場して欲しいとも思えます。

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 デコラティブジャパン感を美意識の根幹に据えている私にとって、赤は黄金と並んで身辺にちりばめたい色なのですが、この独特の赤い筐体と特異な機能を持つ変わり種ワークステーション機KORG KARMAは、機会があれば身辺に置きたいモデルです。

 手許不如意でなければ、とっくにこの美品の個体を押さえたのですけどね…。


KORG KARMA
http://www.korg.co.jp/Product/Discontinued/KARMA/

KARMAセミナー
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Seminar/Karma/

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by manewyemong | 2012-11-24 13:04 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong