NEW POST

「宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防」を観ました

 平成25(2013)年1月12日から公開されている「宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防」を観てきました。

 第四章はテレビシリーズの第11話「いつか見た世界」、第12話「その果てにあるもの」、第13話「異次元の狼」、第14話「魔女はささやく」にあたります。

 「第一章 遥かなる旅立ち」以来、「宇宙戦艦ヤマト2199」に関する4本目の記事です。

 「第三章 果てしなき航海」同様、旧作には無い設定も多く、既にこの映画を観た人以外には文意がよく読めない記事になっている事、1回観ただけなので記憶違いや誤解の可能性がある事をご理解ください。また、今後、例によって追記や改変を繰り返す可能性があります。

 冒頭、冥王星以来もう見せ場は無いだろうと思っていたガミラス艦が活躍するのですが、相手は彗星帝国の艦隊でした。

 高速中型空母(艦橋の位置が旧作では左舷、今作では右舷にある)、駆逐艦、そしてフォルムは旧作のミサイル艦なのですが、艦首に2本の“破滅ミサイル”を継承しているものの、艦体を覆うようにあったミサイル群は回転砲座に変わっている艦艇がスクリーンに登場しました。

 戦闘は終始ガミラス艦隊優勢のうちに終わるのですが、高速中型空母が爆発する直前、1機のデスバテーターが飛び去っていきます。何かの伏線なのでしょうか。

 また、この場面のBGMは「白色彗星」のいくつかのパターンのうち、ニューディスコアレンジアルバム「不滅の宇宙戦艦ヤマト」に納められたものの新録音版でした。

 その後、ドメルが叙勲と転属の辞令を受ける為にガミラス星に帰ってみると、総統府での彼に対する華々しいセレモニーと市民の熱狂的な歓迎とは裏腹に、官庁街から少し出た所では路傍で反政府とみなされた人々が連行されていく場面に遭遇します。

 繰り返されているらしい彗星帝国の侵入や、総統府が掲げる理想について来ない人々の存在は、盤石と思われたガミラスの統治が、実は外からも内からもほころびが出て来ている事を、それとなくうかがわせる要素のような気がしました。

 捕虜のガミラス兵がヤマトを発つに際し、古代進が食料の入った包みを持たせる場面は第1作にもあったのですが、私はこの中身が何なのか、そしてこれを含め、ヤマトで与えられた食事をガミラス兵が気に入ったか否かが、気になって仕方がありません。ガミラス人の口に合うものであれば、自分が厚遇されていると感じるでしょうが、そうでなければ虐待と取る可能性があるからです。

 大東亜戦争時日本軍の捕虜になった連合国軍兵は、戦後、日本軍に木の枝を喰わされるという虐待を受けたと主張しました。木の枝とは、牛蒡(ごぼう)の事でした。

 「宇宙戦艦ヤマト2」では、捕虜になったデスバテーターのパイロットが、佐渡先生の勧める日本酒(あるいはヤマトカクテルだったか?)に気を良くして、彗星帝国の歌(たしかロシア民謡に似ていた)を唄う場面がありました。

 ヤマトとガミラス兵の接触は、双方が同じような存在である事を認識させるエピソードでしたが、別の場面でガミラスにも両横にお姐さんが座ってくれる店があるという描写も、それを裏付けていると思います。

 ただ、私は立場を異にする二つの存在は、お互いの共通点よりも、むしろ違いを認識する事の方が大事だと思いますけどね。

 たしかバブルの頃、名前は出しませんがアメリカの第三者からの評判の悪い某団体の穏健派の人が来日してニュース番組に出演したおりの「立場の違う者は、強固なフェンスで区切られているからこそ、親しい隣人付き合いができるのではないだろうか」という言葉を、私は全否定する気にはなれません。

 「第二章 太陽圏の死闘」を観ましたで、アメリカ・旧西ドイツ合作映画「眼下の敵」を引き合いに出したのですが、ヤマトとガミラスの次元潜航艦の戦いは、まさに「眼下の敵」の趣きです。映画パンフレットでは「眼下の敵」と題して、フラーケン艦長とその麾下の乗組員、そして彼等の駆る次元潜航艦が紹介されています。

 双方身を隠して相手の出方を窺(うかが)うという戦いは、「宇宙戦艦ヤマト」では珍しいのではないでしょうか。

 次元潜航艦とその艦長フラーケンは、旧作では「宇宙戦艦ヤマトIII」(私は観ていない)での登場です。フラーケンの命令を復唱するゴル・ハイニなる人物の口調が、古臭い言い方かもしれませんががらっぱちで、アニメというより洋画の吹き替えを聞いているみたいな感じがしました。もちろん、良い意味でです。彼等とヤマトの再戦に期待します。

 大小数多の岩塊が浮かぶ空間での戦闘だったので、ヤマトがアステロイドリングを使うかと思ったのですが、それはありませんでした。

 「宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防」の最後の話は、アンドレイ・タルコフスキー監督のソ連映画「惑星ソラリス」を思い出しました。

 有機体の海に覆われた惑星ソラリスはそれ自体が意志を持っていて、近づいてきた地球人の脳髄を読み取り、その心の内にあるものを実体化して、地球人を混乱させます。ちなみに主人公の前には、自殺した妻が繰り返し現れます。

 ガミラス側がある方法でヤマトの乗組員一人一人の心を読み取り、惑星ソラリスとは違って幻覚を見せる形で混乱させるのですが、私にはやや牽強付会の感のある流れで、ヤマトは今回の危機を切り抜けます。

 こんな攻撃を繰り返し恒常的に受け続ければ、ヤマトは早晩任務を完遂する事無く宇宙の塵になるかガミラスに拿捕されるかだと思うのですが、攻撃する側のある哀しい事情で、その可能性は消えます。

a0060052_1728955.jpg
 
 「宇宙戦艦ヤマト2199 第五章 望郷の銀河間空間」「第六章 到達!大マゼラン」「第七章 そして艦は行く」に続きます。

 また平成25(2013)4月7日、日曜日17時からMBS/TBS系地上波テレビでの放映が始まります。

 ちなみに昭和20(1945)年のこの日は、戦艦大和が撃沈された日です。


「宇宙戦艦ヤマト2199」
http://yamato2199.net/

[PR]
by manewyemong | 2013-01-14 17:33 | 漫画映画 | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong