Roland JUPITER-50試奏記
implant4さんで、Roland JUPITER-50を試奏させていただきました。調整前の個体だったのですが美品でした。
Roland JUPITER-50は、基本的にRoland JUPITER-80を継承しているモデルなのですが、鍵盤にアフタータッチが無い、レジストレーションボタンの位置が異なる、画面はタッチビューではなくモノクロ、といったところが変更点だと思います。
また電源がACアダプターになっている事もあり、JUPITER-50は全体的にスリムに、そして76鍵機であるにもかかわらず重量が11kgと軽量化されています。全体の大まかな印象として、Roland JUNO-STAGEからの転用部分が結構あると思います。
JUPITER-50のシンセサイザーエンジンSuperNATURAL(スーパーナチュラル)は、シンセトーンとアコースティックトーンの2種類に別れます。
シンセトーンのパラメーター構成は、Roland GAIA SH-01と似ています。1トーンの中に三つのパーシャルがあり、これはGAIA SH-01の1パッチに対する3トーンと同じ意味合いと考えられます。
オシレータ波形はGAIA SH-01と同じで各々三つのバリエーションがあります。加えてPCMの波形もあります。
Roland SH-201やGAIA SH-01同様、Roland JP-8000/8080、あるいはコルグのアナログモデリングシンセのようなコントロール1、2に当たるパラメーターは無く、オシレータ波形で変調をかけられるのは、GAIA SH-01同様パルスウィズとSUPER SAW(七つの鋸歯状波にディチューンをかける)だけです。
アコースティックトーンは楽器毎に独自の奏法のシミュレーションのバリエーションがあります。今回の試奏で私がエディットしてみたのは、この部分のほんの一部です。
例えばバイオリンに関するものは、弦を擦る「ジー」「ズー」に混ざるノイズの量やピチカートやトレモロ奏に設定するバリエーションというパラメーターがあります。
吹奏系はブレスノイズの量やグロウル効果、音色の終端の音程が下がるフォール(金管)等の効果を設定するバリエーション。
インドの撥弦楽器シタールに関するものは、共鳴弦の音の大きさや、シタールの演奏に添えて鳴らされる撥弦楽器タンブーラの音量や音程に関する設定をします。JUPITER-50のプリセット音においてこのタンブーラの装飾は、ベンダーレバーそばのアサイナブルボタンでオン/オフができるように設定されています。
シタールに限らずプリセット音は、二つのアサイナブルボタン各々に、異なるバリエーションの設定を持たせたものが多かった。
アコースティックトーンの奏法シミュレーションの生々しさは素晴らしいのですが、奏者やマニピュレータが音色設定に介在できるパラメーターが多いとはいえず、また、フィルターやアンプ、あるいは周期変化や径時変化、ベロシティに関するパラメーターは、シンセトーン同様GAIA SH-01程度のパラメーターしか無く、奏者やマニピュレータが脳内で鳴っている音色を写し取る為のツールたる本来のシンセサイザーの用途とは、違う発想が必要なのかもしれません。
こういった事をもってRoland JUPITER-80試奏記に於いてSuperNATURALを、
操作子のセクション名に被されたオレンジ色やカラフルな自照式音色選択ボタンは、JUPITER-8の影響を受けている、否、与えられています。ボタンの形状や感触、そして色は気に入りました。
タッチビューではなくモノクロです。おそらくJUNO-STAGEと同じものと思われます。
Roland V-Synth GTやFantom G、JUPITER-80のようなダイヤルをカーソルボタンが囲んでいるのではなく、V-SynthやFantom Xの系統なのですが、DEC/INCボタンとの位置関係等、レイアウトはより一考されています。私はJUPITER-80よりも気に入りました。
JUPITER-50と関係が無いのですが、こうして指の拡大画像を見ていると、私が子供の頃に観ていたテレビ活劇、「超人バロム1(ワン)」に出て来たウデゲルゲみたいですね。
JUPITER-80では、鍵盤の下の傾斜がかかったスペースにあり、鍵盤演奏中の指を使ってでも操作できました。
この色分けされた自照式ボタンを、演奏中に演出ツールとして使えないものかなと思いました。全部点灯させるとか、コルグのモッドシーケンス機能の実行中のステップを示すランプみたいに順番に点灯点滅するとか…。
私がいつも気にする二つのアサイナブルボタンは、フロントパネルの自照型ボタンと同じものです。この点は、Roland JUNO-STAGE、あるいはKORG TRITON Le、TR、M50、KROMEと同じです。ローランドであれコルグであれ、上級機の場合、このベンダーレバー/ジョイスティックそばのアサイナブルボタンに関して、専用のデザインが採られています。
例えばS2を押すと、金管系のプリセット音だと終端がフォールされたり、擦弦の場合ピチカートになります。
「JUPITER-50」のロゴの字体は、デジタルシンセRoland D-50、サンプラーS-50、S-10の頃からXVシリーズまで使われていたものです。Roland Fantom FA-76やSH-32、V-Synthを跨いでJUPITER-80で復活しました。ちなみにRoland JUPITER-4、JUPITER-8、JUPITER-6は別のデザインだった気がします。
Roland JUPITER-50は素晴らしいシンセサイザーですが、「JUPITER」の名を冠する事の意義は感じません。
フットスイッチ、エクスプレッションペダルを併せて使えます。
76鍵盤をスプリットして2パートを別出力し、各々にフットボリュームをかませる事ができます。よく似たサイズ、筐体のJUNO-STAGEはステレオ1系統でした。
としました。故に、考えようによってはRoland JUPITER-50は、生々しい音を平易なマニピュレーションで得る事ができるシンセサイザーといえるかもしれません。
私がシンセサイザーで行っている事に関して、仮に1台で事を為す必要に迫られた場合、JUPITER-50はその目的から外さざるを得ないのですが、ワークステーション機に添える形でなら、様々な用法を考える事が出来るモデルです。
ローランドの製品から、JUNO-G、Fantom Gを最後にワークステーション機が続いていない事が気になります。
そして、FM音源キーボードYAMAHA GS/CSシリーズが、DX7をはじめとするFM音源シンセサイザーYAMAHA DXシリーズへと進んだように、SuperNaturalにも脱皮が必要な気がします。もちろんそれは、音を発想し、緻密な思慮をもって形にしていく能力を持つ奏者やマニピュレータ、つまりそういうシンセサイザーを必要とするユーザーの存在が無ければ意味はありません。
Roland JUPITER-50
また電源がACアダプターになっている事もあり、JUPITER-50は全体的にスリムに、そして76鍵機であるにもかかわらず重量が11kgと軽量化されています。全体の大まかな印象として、Roland JUNO-STAGEからの転用部分が結構あると思います。
JUPITER-50のシンセサイザーエンジンSuperNATURAL(スーパーナチュラル)は、シンセトーンとアコースティックトーンの2種類に別れます。
シンセトーンのパラメーター構成は、Roland GAIA SH-01と似ています。1トーンの中に三つのパーシャルがあり、これはGAIA SH-01の1パッチに対する3トーンと同じ意味合いと考えられます。
オシレータ波形はGAIA SH-01と同じで各々三つのバリエーションがあります。加えてPCMの波形もあります。
Roland SH-201やGAIA SH-01同様、Roland JP-8000/8080、あるいはコルグのアナログモデリングシンセのようなコントロール1、2に当たるパラメーターは無く、オシレータ波形で変調をかけられるのは、GAIA SH-01同様パルスウィズとSUPER SAW(七つの鋸歯状波にディチューンをかける)だけです。
アコースティックトーンは楽器毎に独自の奏法のシミュレーションのバリエーションがあります。今回の試奏で私がエディットしてみたのは、この部分のほんの一部です。
例えばバイオリンに関するものは、弦を擦る「ジー」「ズー」に混ざるノイズの量やピチカートやトレモロ奏に設定するバリエーションというパラメーターがあります。
吹奏系はブレスノイズの量やグロウル効果、音色の終端の音程が下がるフォール(金管)等の効果を設定するバリエーション。
インドの撥弦楽器シタールに関するものは、共鳴弦の音の大きさや、シタールの演奏に添えて鳴らされる撥弦楽器タンブーラの音量や音程に関する設定をします。JUPITER-50のプリセット音においてこのタンブーラの装飾は、ベンダーレバーそばのアサイナブルボタンでオン/オフができるように設定されています。
シタールに限らずプリセット音は、二つのアサイナブルボタン各々に、異なるバリエーションの設定を持たせたものが多かった。
アコースティックトーンの奏法シミュレーションの生々しさは素晴らしいのですが、奏者やマニピュレータが音色設定に介在できるパラメーターが多いとはいえず、また、フィルターやアンプ、あるいは周期変化や径時変化、ベロシティに関するパラメーターは、シンセトーン同様GAIA SH-01程度のパラメーターしか無く、奏者やマニピュレータが脳内で鳴っている音色を写し取る為のツールたる本来のシンセサイザーの用途とは、違う発想が必要なのかもしれません。
こういった事をもってRoland JUPITER-80試奏記に於いてSuperNATURALを、
シンセシストにはどちらかというと、縁の下の力持ちといった使用法になるのではないでしょうか。たとえばアナログシンセ時代のメロトロンとかFM音源キーボードYAMAHA GS1のような…。そういうスタンスのシンセ、昨今ありそうで無かったのですけどね。としました。
操作子のセクション名に被されたオレンジ色やカラフルな自照式音色選択ボタンは、JUPITER-8の影響を受けている、否、与えられています。ボタンの形状や感触、そして色は気に入りました。
タッチビューではなくモノクロです。おそらくJUNO-STAGEと同じものと思われます。
Roland V-Synth GTやFantom G、JUPITER-80のようなダイヤルをカーソルボタンが囲んでいるのではなく、V-SynthやFantom Xの系統なのですが、DEC/INCボタンとの位置関係等、レイアウトはより一考されています。私はJUPITER-80よりも気に入りました。
JUPITER-50と関係が無いのですが、こうして指の拡大画像を見ていると、私が子供の頃に観ていたテレビ活劇、「超人バロム1(ワン)」に出て来たウデゲルゲみたいですね。
JUPITER-80では、鍵盤の下の傾斜がかかったスペースにあり、鍵盤演奏中の指を使ってでも操作できました。
この色分けされた自照式ボタンを、演奏中に演出ツールとして使えないものかなと思いました。全部点灯させるとか、コルグのモッドシーケンス機能の実行中のステップを示すランプみたいに順番に点灯点滅するとか…。
私がいつも気にする二つのアサイナブルボタンは、フロントパネルの自照型ボタンと同じものです。この点は、Roland JUNO-STAGE、あるいはKORG TRITON Le、TR、M50、KROMEと同じです。ローランドであれコルグであれ、上級機の場合、このベンダーレバー/ジョイスティックそばのアサイナブルボタンに関して、専用のデザインが採られています。
例えばS2を押すと、金管系のプリセット音だと終端がフォールされたり、擦弦の場合ピチカートになります。
「JUPITER-50」のロゴの字体は、デジタルシンセRoland D-50、サンプラーS-50、S-10の頃からXVシリーズまで使われていたものです。Roland Fantom FA-76やSH-32、V-Synthを跨いでJUPITER-80で復活しました。ちなみにRoland JUPITER-4、JUPITER-8、JUPITER-6は別のデザインだった気がします。
Roland JUPITER-50は素晴らしいシンセサイザーですが、「JUPITER」の名を冠する事の意義は感じません。
フットスイッチ、エクスプレッションペダルを併せて使えます。
76鍵盤をスプリットして2パートを別出力し、各々にフットボリュームをかませる事ができます。よく似たサイズ、筐体のJUNO-STAGEはステレオ1系統でした。
奏者やマニピュレータが音色設定に介在できるパラメーターが多いとはいえず、また、フィルターやアンプ、あるいは周期変化や径時変化、ベロシティに関するパラメーターは、シンセトーン同様GAIA SH-01程度のパラメーターしか無く、
ローランドの製品から、JUNO-G、Fantom Gを最後にワークステーション機が続いていない事が気になります。
そして、FM音源キーボードYAMAHA GS/CSシリーズが、DX7をはじめとするFM音源シンセサイザーYAMAHA DXシリーズへと進んだように、SuperNaturalにも脱皮が必要な気がします。もちろんそれは、音を発想し、緻密な思慮をもって形にしていく能力を持つ奏者やマニピュレータ、つまりそういうシンセサイザーを必要とするユーザーの存在が無ければ意味はありません。
Roland JUPITER-50
by manewyemong
| 2013-02-11 15:58
| シンセワールド
|
Comments(0)