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KingKORG試奏記(1)

 implant4さんで、店内備品のKingKORGを試奏させていただきました。

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 このKingKORG試奏記(1)では奏者やマニピュレータとの接点部分を、続くKingKORG試奏記(2)ではシンセサイザーエンジン部分に関する記述を中心にしたいと思います。

 ただし、KingKORGは基本的にはデジタルアクセスコントロールタイプのシンセサイザーながら、演奏操作子と音色設定操作子がほぼ共通なので、操作子の所でパラメーターや音色等に関する事を、パラメーターに関する所で操作に関する事柄に触れる事があります。

 アナログモデリングシンセサイザーKingKORGは、年明けのNAMM 2013において発表され、先月平成25(2013)年2月22日に発売されました。KORG MS2000シリーズRADIAS以来しばらく欠番になっていたアナログモデリングシンセサイザーの上級機といえると思います。

 KORG MS-20 mini同様、KingKORGは昨年末の時点でその姿がインターネット上に出ていたのですが、情報の出所のあいまいさや、どう読んでも巨大な類人猿の怪獣キングコングを模したとしか思えないそのネーミングから、所謂ガセネタではないかと多くの人が思ったのではないでしょうか。

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 KingKORGのフロントパネル。

 筐体はワークステーション機KORG KROMEのものがベースになっていると思われます。フロントパネルの色は、ワークステーション機KORG TRITON STUDIOに似た淡いシャンパンゴールドですが、DJツールのサンプラーKORG ELECTRIBE S mkIIの筐体の金色(こんじき)とは違い、若干くすんだ感じがします。

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 フロントパネルの操作子のつまみは、micro KORGのものに少し似た、ちょっと古めかしい感じがするものなのですが、回しやすい形状なのと回される事に対するパラメーター変化の追従性は申し分のないものでした。ボタンはKROMEと同じです。

 フロントパネルは、左寄りにエフェクター群が、中央から右端にかけてシンセサイザーエンジン部分に関する操作子や画面が並んでいます。

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 「KORG KingKORG SYNTHESIZER」のロゴ。

 「i」の文字がアメリカ・ニューヨーク市のエンパイアステートビルをあしらったものである事からも分かるように、映画「キングコング」にひっかけた名前なのだと思います。

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 DJツールKORG ELECTRIBE MX/SXやワークステーション機TRITON Extremeのバルブフォースのような真空管エフェクター。これまでのようにキャノピーに格納された形と違い、格子越しにのぞき見えるようになっています。効果そのものはバルブフォースと同じように感じました。

 バーチャルパッチでEGをかけたPWMで作った即席の撥弦系の音に、この真空管エフェクトをかけたのですが、期待通りの効果が出ました。

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 歪み、変調、空間、3系統の内蔵エフェクター群。

 各系統のエフェクトの選択つまみの下にある二つのつまみが、設定できるパラメーターの全てです。簡便な、そして演奏時の操作性を追った形だと思います。

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 フロントパネルのメインコントロール部。

 音色プログラムの呼び出しは、メイン画面の下に並んでいる八つのカテゴリーボタンとバリューつまみを組み合わせる形で行います。

 またフェイバリットボタン(押し送る事で五つのバンクを選べる)と八つのボタンを組み合わせる形で、任意の音色を記憶させていく事ができます。順番を使用頻度やライブのレパートリーに沿って記憶させておくと便利だと思います。

 この部分だけで、専用の操作子を持つものも含め、KingKORGのシンセサイザーエンジンの全てのパラメーターにアクセスする事ができます。

 microKORG XLの全パラメーターが構造化された形で並んでいるのとは違い、KingKORGは完全に1列に並んでいます。したがって専用の操作子が無いパラメーターは、ひたすらページ+/-を押し送って探す必要があります。

 ただし、例えばバーチャルパッチに関するパラメーターにアクセスする場合、最も近い専用操作子を持つパラメーターであるLFO2のフリケンシーに触れてメイン画面に呼び出し、その表示が消えないうちにページ+を押していくと最短でバーチャルパッチ1のパラメーターへと辿り着く事ができます。

 専用の操作子で呼んだパラメーターの表示が消えた時点で、そこを起点にパラメーターを探す事はできなくなります。前回ページ+/-で呼び出したパラメーターが起点になって、+/−で探す事になります。これは別の音色プログラムを呼び込んでもそれが反映されるようです。

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 オシレータ部。専用の画面があります。

 セレクトで三つのオシレータのどれをエディットするか選びます。

 タイプはオシレータ波形や音源システムを選ぶのですが、このつまみを押し送る事でアナログモデリング、DWGS、PCM、外部音声入力、オフを選ぶ事ができます。各々が赤い電光文字で表示されます。

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 フィルター部。ここにも専用の画面があります。

 カットオフフリケンシー、レゾナンス、フィルタータイプの選択ボタン、EGデプスの専用操作子があります。

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 LFOとEG。

 1列に並んだパラメーターでの順番は、EGが先でLFOが後です。また、LFOのデプス(インテンシティ)は、ピッチはオシレータ部の、フィルターはフィルター部の所にあります。

 EGもLFOも、1と2のどちらを選んだ状態になっているかが、音色プログラムを呼び変えても反映され続けます。

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 ジョイスティックとオクターブアップ/ダウンボタン。

 フィジカルモデリングシンセサイザーKORG Prophecy以来、コルグのモデリング機のコントローラーはずっとホイールだったのですが、KingKORGは初めてジョイスティックが採用されています。ありがたい事です。

 ただし、Roland GAIA SH-01の場合、ベンダーレバーのレンジのバリューをアップ/ダウン個別に設定できるのですが、KingKORGは絶対値のみです。これまで同様+/-を逆転させる事はできます。

 オクターブアップ/ダウンボタンは、コルグアナログモデリングシンセの旧機だと、押された深度によって赤→緑と色が変わっていったのですが、KingKORGは赤いランプの点灯→点滅へと変わります。また、これも音色プログラムを呼び変えても状態が維持されます。

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 鍵盤。

 ワークステーション機KORG KROME-61/73と同じ鍵盤です。

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 リアパネル側。

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 KROME同様「KORG」の「R」の真ん中が赤く点灯していて、押鍵されるとさらに輝度が上がります。

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 MIDI IN OUT及びUSB端子。

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 KORG monotribeやMS-20 mini等とつなぐCV/GATE OUT、足回りの端子類、ステレオ1系統の音声出力端子。

 KORG MS2000シリーズ、RADIAS、R3と違い、フットスイッチかエクスプレッションペダルかを選ばなければなりません。

 発売前のKORG RADIASに触れたおりに書いたKORG RADIAS試奏記に於いて、

RADIASの細部にわたって考え抜かれた複雑なパラメーター群は、凝り性の私にとって非常に興味深いものでした。短い時間でしたが、音作りをしてみてこれまでに無いかゆい所に手が届く感じを味わえました。しかしながら多くのシンセユーザーがつまみ操作タイプのシンセサイザーに求めているのは、複雑な機能ではなくシンプルな操作感だと思うのですが、

としました。

 KingKORGはそのシンプルな操作性を実現していると思います。Roland JD-800試奏記で記した、音を探す系の人達にも訴求すると思います。

 しかしながら同時に、凝り性の私の欲求にも応えてくれている仕様を持っています。

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by manewyemong | 2013-03-01 14:21 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong