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KingKORG試奏記(2)

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 KingKORG試奏記(1)からの続きです。アナログモデリングシンセサイザーKingKORGのシンセサイザーエンジン部分やアルペジエータ等について記します。

 プリセット音に関して、どこかで聴いたようなものが数多ありました。それは音色だけでなく、ネーミングからも感じられました。

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 たとえばカテゴリーLEAD内にSilk Lead(シルクリード)なる音色があるのですが、これ、喜多郎さんの「シルクロード」オリジナルサントラ盤収録の「絲綢之路(しちゅうのみち)」というより、NHK特集シルクロードのオープニングタイトルバックに使われた音源のメロディ音に酷似しています。「シルクロード」のリード音だからシルクリードなのでしょうか。

 これまでのコルグアナログモデリングシンセが1ティンバー(ローランドでいうトーン、ヤマハのエレメント)に二つのオシレータだったのに対し、 KingKORGは三つあります。

 また、これまでコルグのアナログモデリングシンセのオシレータは、KORG MS2000シリーズ以来、1と2で仕様が異なっていました。MS2000が、遠くアナログシンセサイザーKORG MS-20の影響を受けたモデルだからかもしれません。

 しかしながらKingKORGは、基本的に三つとも同じです。オシレータ波形の数や種類、オシレータ波形に変化を加えるコントロール1が三つのオシレータ全てに備わっています。KORG MS2000シリーズ、micro KORGRADIASR3microKORG XLはオシレータ1のみです。

 ただし、以上のモデル全てのオシレータ1の基本的な波形である鋸歯状波、パルス波、三角波、サイン波にあった、コントロール2(コントロール1で設定した波形にLFOによるモジュレーションをかける)は無くなっています。これらの波形に関してコントロール2に相当する事をKingKORGで行う為には、バーチャルパッチLFO→コントロール1を組む必要があります。

 オシレータ波形はこれまで同様、アナログモデリング以外のDWGSやPCMも入っています。

 これまでオシレータミキサー部にあったホワイトノイズジェネレータは、KingKORGにはありません。三つのオシレータ各々のレベルだけです。

 フィルターに関して、これまでのものに加え、KORG MS-20等アナログシンセの特定の機種のVCFをモデリングしたモードが加わっています。取扱説明書におけるそれらの説明に関して具体的な機種名は出さないものの、あまりにもあからさまな記述なので、どのシンセの事なのかは判ると思います。

 プリセット音の中にMG Bassというminimoogのシンセベースのシミュレーションが入っているのですが、喜多郎さんの1980年代のライブや「巡礼の旅」「砂の神」(アルバム「敦煌」より)等で使われた音(「ガォゥゥゥゥン」と聴こえる)に似ています。1オクターブ上へレガートする時に長めのポルタメントをかけた時が特に…。このプリセット音のフィルタータイプはLPF MGでした。

 その他、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5、Oberheim Synthesizer Expander Module(4VOICE機の画像がシンセサイザーフェスタ’09にあります)のモデリングフィルターを選ぶ事ができます。

 フィルターのこれまでのモデルと異なるもう一つの点は、これまでバーチャルパッチでLFO→カットオフを組む事でしか得る事ができなかったグロウル効果のデプスを、KingKORGの呼び方でいうとLFO1ModIntという専用のパラメーターによって設定できます。

 また同じくバーチャルパッチでLFO→カットオフに、さらにモジュレーションホイールをソースにしたバーチャルパッチを組む事で得られた手操作によるグロウル効果のデプスの制御も、LFO1&JS-Yで設定できるようになりました。

 同じ事はバーチャルパッチを他のバーチャルパッチのディスティネーションとして設定できないMS2000シリーズやmicro KORG、R3では不可能でした。KORG RADIAS System Version 2.0で、バーチャルパッチを他のバーチャルパッチのディスティネーションとして使えるようになった事を喜んだ理由の一つがこれでした。さらにKingKORGは、専用のパラメーターを持ってくれたわけです。6本しかないバーチャルパッチの用途を、より難しい事に割り振る事ができます。

 EGは二つ。残念ながらRADIASやmicroKORG XLから一つ減り、MS2000シリーズやmicro KORGと同じになっています。

 EG1は一応フィルターに、EG2にはアンプにつながっています。EG1を一応とした理由は、フィルターのEGデプスを0にすることで、実質フィルターと切り離す事ができるからです。EG1をバーチャルパッチのソースとして、フィルターとは関係が無い事のディスティネーションへつなぐ事ができます。

 LFOは二つあり、波形とレイトが設定できます。ワークステーション機のようなディレイタイムやフェイドタイムはありません。

 フェイドタイムをかける方法として、フィルターのEGデプスを0にしてEG1を遮断した上で、バーチャルパッチLFO→ピッチにさらにEG1をソースにしたバーチャルパッチをかける事が考えられます。

 ただし、EGがADSRタイプなので、この方法でディレイタイムをかける事はできません。KORG MS-20、MS-20 miniのEG1やDave Smith Instruments POLY evolver PE keyboard等のデイブスミスインストゥルメント社のアナログシンセのENVのように、押鍵から実行開始までのディレイタイムを設定できるEGなら可能だったのですが…。

 KingKORGには、ビブラートデプスの為のLFO2Modintというパラメーターがあるのですが、バーチャルパッチのディスティネーションではないので、バーチャルパッチLFO→ピッチを組まなければなりません。

 参考までに、LFO2Modint(以下のシンセでの呼称はVibratoInit)は、KORG MS2000シリーズ、RADIAS、R3でも、バーチャルパッチのディスティネーションとしては使えないのですが、モッドシーケンス機能のそれには設定できます。つまり、ディレイフェイドイン/アウトモジュレーションができるという事です。

 6本(6チャンネル)あるバーチャルパッチは、KingKORGの三つのオシレータの仕様に対応して、ディスティネーションが増えています。もちろんかつて私が希求し、RADIAS System Version 2.0で現実となったEGの各タイムも、ディスティネーションの中にあります。

 フロントパネル上に、バーチャルパッチ専用の操作子はありません。また、microKORG XLのようなアサイナブルつまみが無いので、演奏中にバーチャルパッチのインテンシティを操作する事について一考する必要があります。私はある方法を思いついていますが、ここには記しません。

 私はKORG Mono/Polyを使っていた頃、VCF EGによるPWM(パルスウィズモジュレーション)で、渋味のある撥弦系の音を作っていました。

 似た事をKingKORGで行う場合、一つのパルスウィズの設定を四つのVCOで共有するMono/Polyとちがい、三つのオシレータ各々のパルスウィズ(コントロール1)にバーチャルパッチを介してEGをつなぐ必要があります。これだけでバーチャルパッチを3本使ってしまいます。

 しかしながら、三つのオシレータのパルスウィズを変えたり、フィルターのカットオフやレゾナンス、EGの設定等を作り込めば、Mono/Polyとはまた違う撥弦系の音を作ることができそうです。

 アルペジエータは、これまでのコルグアナログモデリングシンセのものと同じです。同社ワークステーション機や、古くはRoland JUPITER-4やJUPITER-8のアルペジエータのような、アップ/ダウン/アップダウン(オルタネイティブ)モード時に押鍵順が反映される機能はありません。したがって喜多郎さんのフライングジュピターRoland JUPITER-4は、ランダムモードしかシミュレーションできません。

 喜多郎さんの音色が出たついでに、恒例の喜多郎mini KORG 700SリードをKingKORGでシミュレーションするヒントを記します。

 オシレータは一つだけ使い、波形はパルス波、パルスウィズ、つまりコントロール1は42、その他オートベンド等喜多郎mini KORG 700Sリードのコルグアナログモデリング機のくだりを参照していただきたいと思います。

 プリセット音miniKORG700やSilk Leadよりも、Low Leadからエディットすると楽だと思います。バーチャルパッチ1が、たしか既にオートベンド用の接続になっています。

 ちなみにSilk Leadのバーチャルパッチ1、2はフェイドインビブラート用の接続(バーチャルパッチ1:LFO → ピッチ、バーチャルパッチ2:EG1 → バーチャルパッチ1)になっています。

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 KingKORGは、フロントパネル上に露出している操作子が少ないので、一見簡便なシンセに見えたのですが、モッドシーケンス機能が無い、基本的なオシレータ波形にコントロール2が無い、EGが二つである事をのぞけば、これまでのコルグのアナログモデリングシンセサイザー同様、多彩な音色作りの可能性を秘めたモデルだと思います。

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by manewyemong | 2013-03-01 15:47 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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