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「宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン」を観ました

 「宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン」を観てきました。

 第六章はテレビシリーズの第19話「彼らは来た」、第20話「七色の陽のもとに」、第21話「第十七収容所惑星」、第22話「向かうべき星」にあたります。

 第19、20話は、第1作にもあった七色星団でのヤマトとドメル艦隊の死闘を描いています。第21、22話は「宇宙戦艦ヤマト2199」のオリジナルエピソードです。

 第20話「七色の陽のもとに」のタイトルは、「第四章 銀河辺境の攻防」を観ましたで引き合いに出したアンドレイ・タルコフスキー監督の映画「惑星ソラリス」の元になった、スタニスワフ・レムの小説「ソラリスの陽のもとに」に依ったものと思われます。

 「第六章 到達!大マゼラン」が公開中であり、基本的にこの第21、22話には触れずに書いていきたいと思います。1回観ただけなので、事実誤認の可能性がある事をご理解ください。

 第1作でのドメルからヤマトへの七色星団という場所を指定しての決闘の申し込み、宙域到達の前にヤマトの乗組員達が水杯(みずさかずき)を交わす場面は、今回はありません。

 また、第1作の設定資料でいう多層式宇宙空母、バンダイのプラモデルでいう三段空母、そして戦闘空母はいずれも老朽艦である、兵員があらかた新兵と古参兵(老兵)で構成されている、となっています。

 前章第五章 望郷の銀河感空間で、ヤマトがバラン星の亜空間ゲートの管理施設を破壊した為に、数多のガミラス艦隊が宙域に置き去りになったのと、この作戦に親衛隊が保有する精鋭を割かなかった事が理由です。

 ヤマトとドメル艦隊、沖田艦長とドメル司令の間に、物理的な戦力の彼我の極端な差を出したくないという設定意図なのかもしれません。   

 第1作のドリルミサイルは対ヤマト戦の為に工廠に発注した新兵器でしたが、今作ではトンネル工事のシールドマシンのような掘削機の一種、つまり工作機械の既製品の転用で、その事がヤマトの技官(今回は真田ではなく新見)とアナライザーが簡単に中へアクセスできた事の理由になっていると思われます。

 旧作の七色星団(七色混成発光星域)が、性質の異なる六つの星と暗黒星雲で構成されているのに対し、「第六章 到達!大マゼラン」では、この宙域には「ヤマトよ永遠に」の暗黒銀河(ブラックギャラクシー)の様な星間物質が満ちていて、水の様な濃厚な部分と雲や霧の様な部分、さらに希薄な透明の部分があります。濃厚な部分には乱れた流れがあり、絶えず中へ引きずり込む力が働いていて、本来上も下も無いはずの宇宙空間に、上下の様なものを形成しています。

 第1作での飛行甲板を発ったガミラス機が一瞬機体が少し落ちるという演出は、今回も継承されています。理屈にこだわれば無重力状態でそういう事は起こらないのですが、今回の七色星団の設定の理由の一つは、あるいはそういう絵を作りたいという事に対する理屈付けかもしれません。

 同じく七色星団を往くドメル艦隊の各艦が、時に海上を航行する艦の様に航跡をひく、雷撃機の魚雷が炸裂すると水柱が立つ(爆発の反動と化学反応で白濁した星間物質の濃厚な部分が、希薄な方へせり立っている?)といった描写にも関わってきます。

 七色星団が戦場になったのは、この宙域の位置や特異な自然環境に対する、ある意味、沖田艦長とドメル司令の読みが一致した事に起因しています。

 第1作では、ドリルミサイルを反転させるまでドメル艦隊が圧倒的に優勢であったのに対し、今作はそれとは趣きが異なります。詳細は記しませんが、それ故、むしろ乗員を含めた各艦の様子をもう少し寄って描けていると思います。

 無論、瞬間物質移送機でワープしてきた急降下爆撃機に火器と各種探知機を破壊される、ドリルミサイルで波動砲砲門を塞がれる、雷撃機が放った魚雷によって艦体が大きく損傷するといった、まさに、ヤマト命旦夕に迫る、という状況に変わりはありません。

 瞬間物質移送機に転送された急降下爆撃機や雷撃機が、ヤマトの至近距離に雲霞の如く現れ殺到して来る描写と、1機、また1機と現れる度に音程が上がっていくあの効果音。

 昭和20(1945)年4月、米軍機が回避行動中の戦艦大和を真上から撮った写真に触発されたと思われる、同時に幾条もの魚雷の航跡がヤマトの両舷に向かって伸びていくカット。

 それらを旧作の本放映や再放映で観た時、子供心にヤマトがどうやってこの危機を切り抜けるのか手に汗を握ったのですが、今回、劇場でその時の自分の感覚を追体験したような気がしました。

 戦闘の顛末は、第1作とはやや異なり、ドメル艦隊が繰り出した手にヤマトが競り勝ったというのが、私の印象です。

 ドメルは敗因を、装備の老朽や新兵、老兵ばかりだから等といった諸事情に責任転嫁する事無く、自分の作戦の誤りであるとし、生き残った兵員に退艦を指示し、考え得る最後の一手を実行に移そうとします。それに対して兵員達はいずれもドメルと行動を供にすることを望み、ドメルもそれを受け容れます。

 記憶が極めて不確かなのですが第1作では、瞬間物質移送機やドリルミサイルの工廠で副官のゲールから、これらが功を奏さなかった場合どうするのかと問われたドメルは、たしか「最後の決め手」と答えています。そして敗色が決定的になった時、自爆装置の起動とセットカウントを指示した後、「これが最後の決め手だよ、ゲール君」と述べています。

 ひるがえって「宇宙戦艦ヤマト2199」は、「第一章 遥かなる旅立ち」のゆきかぜ、「第三章 果てしなき航海」のシュルツ艦同様、ここでも死を決する事が、指揮官の意図に部下を巻き込む形ではなく、関係者の総意であることが描かれています。

 「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズ中「第六章 到達!大マゼラン」は、今のところ最も劇場で観る事の意義を感じた作品です。

 その理由はもちろん先に挙げた七色星団の戦いの迫力なのですが、他にドメル艦隊が払暁のバレラス市を飛び立っていく場面、艦の背後に市街地やガミラス星の自然が見えるカットが素晴らしかった。

 また、第1空母の飛行甲板から発艦する戦闘機1機を前から撮る形のカット、空母から遠のくとその1機に対してカメラ(視点)が距離を取り始め、フレームに入ってきた僚機群とフォーメーションが組まれたところでカットが終わるのですが、ここも素晴らしかった。宮崎駿監督の作品とは別の趣きの飛翔感がありました。

 七色星団の戦い以外のエピソードについて、本筋と直接関係無い範囲で少し触れたいと思います。

 そこに至る事情を全て省きますが七色星団に続く、ロバート・レッドフォードさん主演の映画「ブルベイカー」のような、囚人虐待と不正の温床になっている刑務所での殺伐としたエピソードの後、イスカンダル人、ガミラス人、地球人のおそらく同年代の女性3人が、ヤマトの艦内食堂でパフェを食すという場面がありました。

 私が「宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防」を観ましたで書いた、

ヤマトで与えられた食事をガミラス兵が気に入ったか否かが、気になって仕方がありません。ガミラス人の口に合うものであれば、自分が厚遇されていると感じるでしょうが、そうでなければ虐待と取る可能性があるからです。

に対する、一応の答えを得る事ができました。果たして、ガミラス嬢がパフェをお気に召したか否か、劇場でお確かめください。

 このシーンで一つ気になったのは、「第二章 太陽圏の死闘」で出たOMCS(オムシス)の食材の謎、異星人に説明しなくて、後で困った事にはならないのでしょうか。「知らない方がいいと思うよ」の一言で済んだのでしょうか。

 また、この場面等を観て思ったのですが、イスカンダル人ユリーシャは、どうも我々が想い描くステレオタイプのプリンセスではないようです。

 それからこれもそこに至る事情を全て省きますが、森雪が案内されたバレラス市内のセレステラ邸(もしくは迎賓館の様な施設?)で、家政婦をしている冥王星のシュルツ司令の遺児ヒルデと出会います。仕事の内容からすると、おそらく現代日本語の「メイド」のニュアンスより旧来の「家政婦」が近いと思うのですが、服装は大阪の電気店街日本橋(にっぽんばし)で、紙片を配っている女の子達のそれに近い気がしました。

 ヒルデ達ザルツ星人が、テロン人というか日本人に似ているという特徴は、「第六章 到達!大マゼラン」のある出来事とも絡んできます。

 BGMについて記すと、タイトルは忘れたのですが、第1、2作でよく使われた、所謂ブリッジカンマ?のバリエーションの一つを聴くことができました。「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダァァァァァァァァン」というフレーズ。第1作のBGMを納めた「YAMATO SOUND ALMANAC 宇宙戦艦ヤマト BGM集」でいえば、「54. エンディング・コード・ブリッジコレクション ブリッジA,A♭,B,C,D」に入っています。

 その曲が旧作で流れた場面で今思い出せたのは、「宇宙戦艦ヤマト2」の第11番惑星攻略中のナスカ提督が、大戦艦をヤマトに差し向けるくだりです。ブリッジカンマは「宇宙戦艦ヤマト2199」ではあまり使われていないのですが、第1作には川島和子さんのスキャットが入った「美しい大海を渡る」の変奏曲もありました。

 1980年代初頭、モノフォニックのアナログシンセサイザーと4トラックのカセットテープMTRしか持っていなかった頃、習作として「宇宙戦艦ヤマトBGM集」に入っていたブリッジカンマ群を何曲か多重録音で模倣しました。短尺なので完成までの時間が速く、多重録音の効果を確認しやすかったのがその理由です。

 旅の往路最後のワープを終え、イスカンダルとガミラスが視認できる位置に達したヤマトに、ピンク色の巨大な光の奔流が伸びてきます。

 そしてこの緊迫の場面、第1作には存在しなかったあの曲、低音の擦弦楽器のオスティナートで始まるあの曲が鳴り響き、「第六章 到達!大マゼラン」は幕となります。

 この場面、ヤマトの背後に土星に似た星があり、ふと、「The IDEON(イデオン)<発動編>」のガンドロワの試射シーンを思い出しました。

 ヤマトはこの危機をどう切り抜けるのでしょうか。

 あるいは第七章の序盤で、真田技師長のあの伝説的な台詞、

「こんな事もあろうかと思ってな」

を聞く事ができるのかもしれません。

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 最終章「第七章 そして艦は行く」へ続きます。


「宇宙戦艦ヤマト2199」
  http://yamato2199.net/

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by manewyemong | 2013-06-20 12:48 | 漫画映画 | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


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