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KORG TR 61試奏記

 implant4さんで、ワークステーションの廉価機KORG TRの61鍵機、TR 61を試奏させていただきました。

 まだ調整に入っていない個体との事でしたが、鍵盤や操作子群に疲労等が無く、美品でした。

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 KORG TRは平成17(2005)年秋、発表されました。しかしながら、たしかその1ヶ月くらい前の時点で、ネット上に61鍵機の画像が出ていました。

 KORG TR 61がお披露目されたのは、シンセサイザーフェスタ2005でした。

 同じくこの記事で採り上げた、YAMAHA MO(61鍵機MO6、88鍵機MO8)とKORG TRの間には、いくつか一致点があります。

 両機がともに各メーカーのミュージックワークステーションの廉価機である事や、同時に発売された事、そして、

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 各々元になった上級機、KORG TRITON、YAMAMA MOTIFの最初の2文字「TR」「MO」が名称になっている事です。

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 TRはTRITON Leのデザインや仕様をほぼ踏襲しています。オシレータ波形が増えている、外部記憶メディアがSDカード、そして、筐体がBKカラーであるという事が変更点です。

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 ただし筐体のカラーリングがBKである事に関して、KORG TRITON Extreme BKと同時に発売されたTRITON Le BKとも共通しています。両者をロゴや外部記憶ドライブ以外で見分ける事はできません。

 KORG TRにはTR 61、76鍵機TR 76、そしてハンマーアクションタイプのRH2を備えた88鍵機TR 88があります。

 価格はTR 61はもちろん、TR 76も新発売時から10万円を切っていました。アフタータッチ付きで新発売時からこの値段がついたモデルは、その後今日に至るまでありません。

 また、この価格であるにもかかわらず、KORG TRはMADE IN JAPAN、日本製です。

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 フロントパネル全景。

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 四つのアサイナブルつまみ、及びアルペジエータのオン/オフボタン。

 初代TRITONKORG TRITON STUDIO、TRITON Extreme等と違い、アルペジエータの三つの操作子はアサイナブルつまみと共用されています。

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 液晶画面、ダイヤル、DEC(decrement)/INC(increment)、カーソル、テンキーといった入力操作子群。

 液晶画面左横のバリュースライダーは無く、DEC/INCボタンはダイヤルの側にあります。

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 音色設定の入力操作子が固まってレイアウトされている事、操作子の形状や感触が上級機よりも気に入った事、

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 また、液晶画面1ページ内の各パラメーターのレイアウトが、必要最小限の操作でスクロールの必要が無くカーソルを移動させられる事等から、私はマン/マシンインターフェイスに関してTRITON LeとこのTRを、シンセサイザーの歴史上最も気に入ってきました。

 現行機KROMEもたいへん気に入っているのですが、今回試奏してみて、やはり、タッチビューではなく実体のある操作子を持ったこちらの方が良いと思いました。

 カテゴリーボタンを押すと、

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 コンビネーション/プログラムモード時はカテゴリー一覧と選択されているカテゴリー内のリストが表示されます。

また、エディットモード時、

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 オシレータ波形が既存のもの(ROM)の場合、

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 カテゴリー一覧と波形リストが表示されるのですが、

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 オシレータ波形がTRで増装されたもの(EX)に関して、カテゴリー分けは為されていません。

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 鍵盤。ベロシティとアフタータッチがあります。

 KORG TR 61/76は、TRITON Le 61/76、KARMARADIAS、USB/MIDIマスターキーボードKONTROL49と同じ鍵盤です。静粛性に優れている事と、後継機M50-61/73やKROME-61/73のものよりも剛性が感じられて、YAMAHA製FS鍵盤、LC鍵盤、KORG M3 KYBD-61/73アセンブリ、KRONOS 61の鍵盤と並んで気に入っています。

 なにより、21世紀に入ってからのワークステーションの廉価機は、TRを最後にアフタータッチがありません。

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 ジョイスティック及び二つのアサイナブルボタン。

 このTRITON Leタイプのジョイスティック、01/Wタイプと並んで気に入っています。廉価機の為にデザインされたにもかかわらず、その後、TRITON ExtremeやモンスターマシンKORG OASYSにまで継承されています。

 アサイナブルボタンのデザインは上級機が膨らんだ形なのに対して、フロントパネル上の他のボタンと同じ、へこんだものが使われています。

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 リアパネル側。

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 MIDI IN、OUT、THRU端子、ダンパーペダル、フットスイッチ、エクスプレッションペダル端子、音声出力。

 ペダル関係は同価格帯の他社機より充実しています。

 音声出力はステレオ1系統+モノラル2系統、またはモノラル4系統。現行廉価機は、完全にステレオ1系統のみになりました。

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 オプションボードEXB-SMPLを装着する事で、この部分がサンプラーのオーディオ入力端子及びSCSI端子になります。

 サンプラーそのものは元から本体にあり、スマートメディア(TRITON Le)、SDカード(TR)で音素片を供給できます。TRITON Le新発売時、音素片が入ったスマートメディアをおまけでいただけた記憶があります。

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 フロントパネルのメニューボタンを押す事で、音色エディットに入る事ができます。

 タッチビューではないのでF1〜8ボタンとカーソルボタンでパラメーターを選択します。

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 KORG TRITON STUDIO 61導入記(2)等、TRITON関連の記事で何度も書くのですが、EGのタイムまわりのオルタネートモジュレーションに関して、ソースを二つ、そして各々一つのインテンシティ値を全タイムで共有しなければなりません。-/0/+の設定は各タイム個別に行えます。

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 KORG TRはその姿や仕様でいえば、先発機TRITON Leからの改変らしい改変は無く、また、完全に一からデザインが起こされている後継機M50やKROMEに比べ、地味な存在なのかもしれません。

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 しかしながら、鍵盤や操作子の脆弱感等という話が、廉価機ですら無かった時代の最後を飾るモデルとして、私は今、KORG TRが気になります。

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 ちなみにKORG TRの中古機に関して、後継機のM50ほどには価格が落ちていないのと、状態が悪いものにお目にかかる機会が少ないシンセサイザーでもあります。

 KORG TR 88試奏記へ続きます。


KORG TR
http://www.korg.co.jp/Product/Discontinued/TR/

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by manewyemong | 2013-06-21 15:58 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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