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特別展「北魏 石造仏教彫刻の展開」を観ました

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 平成25(2013)年9月7日(土)から大阪市立美術館で催されている特別展、「北魏 石造仏教彫刻の展開」を観てきました。

 昨年の「草原の王朝 契丹」(特別展「草原の王朝 契丹」が催されます特別展「草原の王朝 契丹」を観てきました参照)に続く、漢土を支配した異民族王朝に関する特別展です。

 私が多少なりとも北魏という国を意識したのは、昭和62(1987)年2月8日に放映されたNHK特集「大黄河」第9集「仏陀の道」の、龍門石窟の場面が最初でした。賓陽中洞の柔和な表情の釈迦如来坐像が、北魏の名君といわれた第6代孝文帝をモデルにしたのかもしれないという、緒形拳さんのナレーションの声音を憶えています。

 私は「菩薩」(アルバム「絲綢之路」より)で、敦煌莫高窟の三千体の塑像を、

沙漠(さばく)の国の仏たち

としました。南北朝時代、敦煌は北魏の支配域の西の端にありました。

 アカデミズムとは無縁の、あくまで私の珍説なのですが、その沙漠の国の仏達が、我々にとって馴染み深い姿に変わっていくとば口は、あるいは北魏なのかもしれません。

 今回の特別展のタイトル「北魏 石造仏教彫刻の展開」が示すとおり、展示品は仏教や道教等、宗教的なモチーフを彫った像、あるいはうがたれた龕(がん)でした。

 後世成立する密教系の憤怒の像は無く、穏やかな笑みを浮かべたものや、微笑ましい表情のものが全てです。あるいは北魏という王朝、特に孝文帝の性格が、自分達が征服した民に優しく、身内に厳しい(漢化政策に従わなかった皇太子を笞刑にした上で廃嫡し庶人におとす等)事と関係があるのかもしれません。

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 特別展「北魏 石造仏教彫刻の展開」のチラシ表面に載っている「菩薩立像頭部」(大阪市立美術館蔵)。柔和な、そして静謐感のある微笑み。あるいは北魏朝を打ち立てた人々の容貌を伝えているのかもしれません。

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 特別展「北魏 石造仏教彫刻の展開」のチラシ裏面。

 上部中央の「菩薩半跏像」の衣には、微かに瑠璃色が残っていたと思います。また、左端上から二つ目の「菩薩交脚像龕」 には朱が残っていました。あるいはこれらの像や龕には、色が塗られていたのかもしれません。

 漢土の文化のエポックメイキングは、時に、この北魏や唐、遼(契丹)といった異民族王朝であり、それは遠い日本へも微妙な影響を及ぼすのですが、北魏、というテーマで、これほどの特別展が催される機会が、今後さほどあるとは思えません。

 無論、そんな歴史的な事に思いを馳せずとも、この、誰に対しても「No!」を言いそうにない、優しいお顔の仏達に会いに行く事は、至極楽しい事だと思います。

 大阪市立美術館の特別展「北魏 石造仏教彫刻の展開」の会期は、10月20日(日)までです。月曜日は休館日なのですが、祝祭日は開館されています。

 さる9月16日(月)敬老の日は、当初、台風18号の影響で休館とされたようなのですが、暴風警報解除後、開館しました。


おまけ。

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 青空にそびえ立つ、あべのハルカス。


大阪市立博物館特別展「北魏 石造仏教彫刻の展開」
http://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/northernwei/


参考資料:

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「新十八史略 四 秋風五丈原」(駒田信二、常石茂等編、河出文庫刊)

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by manewyemong | 2013-09-19 14:29 | | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong