人気ブログランキング | 話題のタグを見る

nord lead A1、nord lead A1Rが出るそうです

 先のNAMM 2014で発表されたアナログモデリングシンセサイザーnord lead A1と、そのデスクトップモジュールnord lead A1Rの情報が、平成26(2014)年4月30日より、ノードの日本語サイトで公開されています。

 それを元に記事を書いていきたいと思います。サイトを読んだだけなので、誤りがある可能性をお含みください。

 例えばフィルターに関して、仕様ページを読む限り、専用のENV(ADR/ADSタイプ)があるように解釈できるのですが、フロントパネルの画像ではそれに当たる操作子が見えず、モッドENVのデプスを決める操作子のみがあります。実際は、オシレータ等、他のセクションと共用、つまり、フィルターのカットオフフリケンシーは、モッドENVのディスティネーションの一つでしかないのかもしれません。本稿では、フィルターに専用のENVは無い、という見方で記していきたいと思います。

 その他、誤認が判明すれば、nord lead A1試奏記で訂正いたします。

 nord lead A1のコスト意識は、あくまで仕様にのみ働いているようで、試奏前なので感触は分かりませんが、演奏/音色設定操作子類の形状やレイアウト等、奏者やマニピュレータとの接点の部分は、上級機nord lead 4と全く差をつけていないと思います。

 筐体の形状やカラーリングは、nord leadシリーズを踏襲しています。

 イタリア・ファタール(Fatar)社製の鍵盤は49、ベロシティが使えます。

 nord leadシリーズ独特のコントローラー、木製ピッチスティック及びそれと直角の位置関係にレイアウトされたホイールも健在です。
ゼロクロス付近の不感帯無し(仕様ページ)
という事で、モジュレーションホイールではなく、木製ピッチスティックを左右に振る事でビブラートをかける操作がしやすいと思います。

 姫神の公演での「月のあかりはしみわたり」「十三の砂山 -雁供養-」等の演奏のおり、撥弦系の音色でRoland D-50のベンダーレバーを左右に振る形でビブラートをかけていました。ニュートラル位置で止まる(引っかかる)コルグのジョイスティックやローランドのベンダーレバーに比して、ノードの木製ピッチスティックは、この操作が滑らかにできると思います。

 また、ピッチスティックの変化の度合いは、nord lead 4、Roland GAIA SH-01同様、単体アナログモデリング機では珍しい事なのですが、アップ/ダウンでバリューを別設定できます。私にとってたいへんありがたい機能です。

 nord leadシリーズの演奏性を彩るモーフィング機能は、nord lead A1にも継承されています。モーフィングのソースは、ホイール、各種ペダル、そしてベロシティ。nord lead 4で私が最も気に入った機能、インパルスモーフボタンはありません。

 各パラメーターの名称の左にランプがあるものは、悉くモーフィングのディスティネーションとして充てる事ができます。モーフィングのソースボタンを押しながら、ディスティネーションの操作子を動かす事で、効果のデプスを設定する事ができます。

 LFOはレイトと波形を設定するだけで、デプスの操作子はオシレータやフィルターといったセクション側にあります。それらはnord lead 4の場合、LFO側にありました。

 nord lead A1のENVはモッドENVであれ、アンプ部のENVであれ、minimoogのようなADR(アタックタイム、ディケイタイム、リリースタイム)ないしADS(アタックタイム、ディケイタイム、サスティンレベル)です。これらENVの諸要素は全てモーフィングのディスティネーションになります。

 EGの諸要素を、例えばベロシティ等でコントロールできるアナログモデリングシンセは、システム2.0以降のKORG RADIASmicroKORG XLKingKORGくらいしか思い出せません。吹奏や人声、擦弦系の音色を作る上で、私はこの機能を絶対に外せないのですが、タイム/レベルタイプではなくADSRのような簡便なEGでもできるようになった事は、私にアナログモデリングシンセへの興味を持たせた要因です。

 モッドENVは、リバース曲線を設定する事も可能です。シフトキーを押しながらディケイタイムつまみを操作する事で設定するのだと思います。

 オシレータは一見一つしか無いように見えるのですが、「OSCILLATORS」と末尾に複数形を示す「S」が付いている事からも分かるとおり、実際はオシレータコンフィギュレーションの選択で、オシレータ2に関する設定ができます。

 オシレータ波形は、矩形波、鋸歯状波、三角波、サイン波、その他FMやフォルマントシンセシス等があります。

 ビブラートデプスや、モッドENVをソースにしたオートベンドのデプス用の設定操作子があります。先に記したとおりnord lead 4では、LFOやモッドENVのセクションにディスティネーションの選択操作子やデプスがありました。

 フィルターは冒頭で記しましたが、ENVの操作子が見当たりません。その他、nord lead 4との違いは、48デシベルのローパスフィルターが無い代わりに、バンドパスフィルターがあります。また、nord lead 4と同じく、モーグやRoland TB-303のVCFを模したラダーフィルターがあります。

 アンプ部には専用のENVがあり、操作子もあります。モッドENV同様、シフトキー + リリースタイム操作子で、ENVに対するベロシティのかかり具合を設定できます。

 内蔵エフェクトは、FXのエフェクト数が六つなのはnord lead 4と同じなのですが、内訳はリングモジュレータ、フェイズシフター、フランジャー、コーラス、アンサンブル、オーバードライブと大きく異なっています。

 アンサンブルエフェクトが、KORG PS-3000シリーズやPolysix、ワークステーション機に入っているアンサンブルやポリシックスアンサンブルと、同じ効果なのか否かは分かりません。

 空間系エフェクトは、nord lead 4の場合、ディレイかリバーブかを選択しなければならなかったのですが、nord lead A1は併用できます。ディレイはディレイタイムをタップボタンを叩く事でも設定できるようです。またリバーブはバリエーションが増えています。

 この記事を書いている時、発売時期や価格に関する情報を見つける事ができませんでした。判明次第ここに書き添えるつもりです。

 もし、nord lead A1とnord lead 4の価格差があまり無い場合、両機はかつてのYAMAHA DX9とDX7のような関係になる可能性があります。ただ、DX9との仕様差と価格差がこれであれば、もう少しがんばってDX7を選ぶ、というのではなく、仕様差がこの程度(nord lead 4が劣っている点もある)なのであれば、多少なりとも価格が安いnord lead A1にするか、となるかもしれません。

 nord lead A1試奏記に続きます。


平成28(2016)年12月19日追記。

 同年11月1日より、代理店がKID(コルグインポートデザイン)からヤマハに変わっています。

 それに伴っての事と思うのですが、公式サイトの仕様ページの接続端子群に関する記述から、サスティンペダルとしてフットスイッチKORG PS-1、3、DS-1H、コントロールペダルとしてエクスプレッションペダルKORG EXP-2、XVP-10が使用可能であるという記述が消えています。

 しかしながら、もともとnord leadシリーズ現行機は、コルグ、ローランド、ヤマハ、ファターの特性に適合する設定がプリセットされていて、各メーカー製品用の設定を選択するだけで使えるようになっており、代理店交代後の個体を導入しても、先に挙げたメーカーの足回り製品を使うことができます。


nord lead A1
http://www.nordkeyboards.jp/products/nord_lead_a1/

by manewyemong | 2014-05-04 13:12 | シンセワールド | Comments(0)