人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1242726.jpg
 
 implant4さんで、Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2を試奏させていただきました。中古機ではなく、implant4さんの展示品です。平成26(2014)年9月20日より店頭にあります。

 発売直後なので、現時点で中古機の在庫はありませんが、他の商品同様、implant4さんで新品をお求めいただけます。

 なお本稿は、平成26年7月20日にアップしたDave Smith Instruments PRO 2が出ますに、大幅な加筆と画像の添付という形で完全に改訂し、新たにDave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記としました。

 PRO 2は基本的にモノフォニックなのですが、4声のパラフォニックシンセとしても使えます。ポリフォニックではない、所謂ホモフォニック演奏が可能です。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1243647.jpg
 
 外観は、Dave Smith INSTRUMENTS prophet 12の特徴を継承しています。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12522100.jpg
 
 側面は木製の化粧版です。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_125451.jpg
 
 基本的なパラメーターには、フロントパネル上に専用の操作子があります。

 つまみの形やフロントパネル全体が醸し出す雰囲気、やはりそこはかとなく、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5prophet-T8の残り香を感じます。

 つまみは1種類、つまり、全て同じ形状なのですが、prophet-5、prophet-T8の様な、どこを指しているかを示す白線の入っているものは滑らかにまわり、そして白線が無いものにはクリック感があります。前者は大雑把に、後者は数値を1ずつ増減できます。

 オシレータ波形等選択に関するもの、そして、画面の上の四つのつまみは後者、カットオフやレゾナンス、ADSR等は前者です。但し、全てのパラメーターは画面の上の四つのつまみでの入力が可能です。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_126663.jpg
 
 アメリカのメーカーのシンセであるにもかかわらず、こたつやちゃぶ台といった日本的な設置場所にあっても、違和感を感じません。

 プリセット音の中には、例えば、

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1271395.jpg
 
 SEQUENTIAL CIRCUITSならぬ「Sequential Circus」。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_127669.jpg
 
 「CSFiveOh」などというものもあります。YAMAHA CS-50の事でしょうか。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1275275.jpg
 
 鍵盤。

 ベロシティだけでなくアフタータッチも使えます。けっこう静かでした。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1272777.jpg
 
 裏におもりが装着されています。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_128238.jpg
 
 ボリューム、アナログディストーションのデプス、オクターブアップ/ダウン、グライドのオン/オフ、ホールド、そして、この下にある二つのリボンコントローラーのラッチボタン。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1283198.jpg
 
 縦に配された二つのリボンコントローラー。

 触れた位置だけでなく指圧にも感応します。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1284754.jpg
 
 触れた高さに赤いLEDが追従します。最高位置で10個のLEDが灯ります。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1291467.jpg
 
 二つのホイールは、赤くライトアップされています。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1292983.jpg


Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1294835.jpg
 
 フロントパネル。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12103923.jpg
 
 フロントパネル中央上にある有機ディスプレイは、一度に表示する情報量は多いとはいえないのですが、画面左のShowボタンをオンにして各パラメーターの操作子を動かすと、最新保存値を視認する事ができます。

 基本的にデジタルアクセスコントロールタイプのシンセが好きながら、なまじ一度に沢山表示されるより、確認したり変えたりしたいパラメーターをたぐり寄せる形の方が好きな私としては、ありがたいインターフェイスといえます。

 エディットモード時、画面には最大四つのパラメーターが表示され、上に四つあるつまみでバリューを変更します。

 また、四つのページへの選択肢が表示される局面では、下の四つのボタンを使って入っていく事ができます。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12105431.jpg
 
 音色プログラムはバンクセレクト、プログラムセレクトつまみを以て選択します。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12122920.jpg
 
 コルグのアナログモデリングシンセのモッドシーケンス機能、Roland V-Synthシリーズのマルチステップモジュレータにあたる、アドバンスドステップシーケンサーを装備しています。モジュレーションマトリックスを介して、様々なディスティネーションの周期変化、径時変化、周期変化の径時変化のソースになります。

 アナログシーケンサーKORG SQ-10の12ステップ×3チャンネル、KORG MS2000シリーズRADIASのモッドシーケンス機能16ステップ×3チャンネル、Roland SYSTEM-100Mのアナログシーケンサーモジュール182 SEQUENCERの16ステップ×1チャンネルないし8ステップ×2チャンネル等に比して、PRO 2のアドバンスドステップシーケンサーは、32ステップ×8チャンネル、あるいは16ステップ×16チャンネルと、一度により多くのディスティネーションへの、そしてより細やかな変化のソースとして使えます。

 手操作によるつまみの動きのリアルタイム入力や、ステップ入力ができます。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12121427.jpg
 
 アドバンスドステップシーケンサー使用時、16個の自照型ボタンが点灯します。

 ボタンの上にある16個のランプは、多くのアナログシーケンサーやコルグのモッドシーケンス機能同様、実行中のステップに該当するものが点灯する様になっています。

 また、押鍵時のみアドバンスドステップシーケンサーが実行される設定の場合、押鍵中、Play/Stopボタンのランプが灯ります。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12122654.jpg
 
 内蔵エフェクターとして、コーラス、フランジャー、リバーブにもなるディレイ、遅延回路BBDをシミュレーションしたディレイを積んでいます。

 1980年代初頭、KORG SDD-3000(KORG SDD-3000 PEDALが出ます参照)やBOSS DD-2等、身近な所にデジタルディレイが現れ始めた頃、アナログディレイの風合いが陳腐な感じがしたですが、20余年経って電氣蕎麦さんで、たしかBOSS DM-2の濡れた風合いのエコー感を体験して、アナログディレイも捨てたものではないなと思う様になりました。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1213893.jpg
 
 LFOの専用操作子群。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1214239.jpg


Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12141891.jpg
 
 LFOの設定画面。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12151386.jpg
 
 オシレータの専用操作子。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12135811.jpg


Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1216056.jpg


Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12161545.jpg
 
 オシレータはVCOではなくアナログモデリングで、基本的な波形は四つ(鋸歯状波、パルス波、三角波、サイン波)。クロスモジュレーションやシンクロが使えます。波形を変調する事、さらにそれを様々なソース(LFO、オグジュアリーENV、アドバンスドステップシーケンサー等)をもって、周期/径時変化を加える事ができます。

 ノイズは、ピンク(画面ではなぜか“red”となっていました)とホワイトの他に、バイオレットなるタイプがあります。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12165056.jpg
 
 フィルターは2系統あり、そのカットオフ、レゾナンス、ENVデプス、ADSRは、操作子が2系統独立してフロントパネル上に設けられています。

 フィルター1はローパス、フィルター2は、ローパス、ノッチフィルター、ハイパスを連続可変でき、その割合は画面に表示されます(撮り忘れました)。また、フィルター2はバンドパスフィルターにもなります。

 フィルターはアナログだそうですが、その事の意義を微塵も感じませんでした。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12171458.jpg


Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12171754.jpg
 
 フィルターエディット画面。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12175240.jpg
 
 フィルターENVの操作子群。

 つまみ上部に白い目印があり、クリック感の無いタイプです。

 PRO 2のENVはDADSRタイプなのですが、押鍵からアタックタイム実行開始までの時間を設定するディレイタイムに関して、Dave Smith Instruments POLY evolver PE keyboardのフロントパネル左上にあるENV 3のような専用の操作子は無く、

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12181952.jpg
 
 画面に呼び出し、四つのつまみの左端のもので設定します。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12184919.jpg
 
 ADSRは、画面上の四つのつまみでより緻密に設定する事も可能です。

 また、この画面では、ADSRが折れ線グラフでも表示されます。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1219694.jpg
 
 アンプENV。

 二つのオグジュアリーENV4、5の呼び出しボタンもあります。

 オグジュアリーENVは、モジュレーションマトリックスを介して、一度に複数のディスティネーションのソースに割り振る事ができます。ディレイタイムが設定できる事も含め、様々なパラメーターに径時変化を与える事ができます。

 SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5試奏記で、同機のENVのアタックタイムの変化が恐ろしく緻密である事、そしてアナログモデリングシンセstudiologic sledgeがおそらくその影響を受けている事をstudiologic sledge試奏記で書きました。PRO 2のENVのアタックタイムも、両機ほどではないのですが緻密な設定が可能です。

 ちなみにKORG MS-20 miniの場合、アタックタイムを0にしてもアタック感が薄く、アタックタイムつまみを回す以前に右へ少し力が入っただけで、吹奏楽器みたいなアタックになってしまいます。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12192978.jpg
 
 リアパネル側。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1220942.jpg
 
 「PRO 2」のロゴ。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12203852.jpg
 
 USB、MIDI IN、OUT、OUT2/THRU、フットスイッチ、エクスプレッションペダルの端子群。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1221183.jpg
 
 CV IN/OUT、GATE OUTの端子群。


 CV出力でアドバンスドステップシーケンサーを、外部のシステムシンセサイザー等のアナログシーケンサーとしても使えます。

 ビンテージ機との併用はもちろん、昨今新たに製造され始めた電圧制御のシンセ、つまりアナログシンセ復刻機の流れと関係があるのかもしれません。

 ちなみにデイブスミスインストゥルメント社から、VCFモジュールDave Smith INSTRUMENTS DSM01 CURTIS FILTERが発表されています。既に創業者デイブ・スミスさん自身による、PRO 2発表時のデモンストレーション演奏の動画内に映り込んでいます。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12213163.jpg
 
 音声出力はステレオ1系統。音声入力端子もあります。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_122204.jpg
 
 「Dave Smith」「INSTRUMENTS」のロゴ。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12231718.jpg
 
 ADSRタイプとはいえディレイタイムのあるENV、モジュレーションマトリックス、アドバンスドステップシーケンサーの組み合わせは、脳裏で音を鳴らし、それを文書化(シナリオ化)、数値化してからマニピュレーションを始める私にとって、本当にかゆい所に手が届く機能です。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_12432596.jpg
 
 翻って、音を探す(Roland JD-800試奏記参照)形のマニピュレーションの場合、はたしてDave Smith INSTRUMENTS PRO 2の真価を引き出せるのでしょうかね。


 音を探す形の音色作りは、むしろ、続くSEQUENTIAL prophet-6の方が向いていると思います。


おまけ。

Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2試奏記_a0060052_1223168.jpg
 
 implant4さんの接客要員、アナログモノフォニックシンセサイザーSEQUENTIAL CIRCUITS Pro-One。


平成30(2018)年9月1日追記。

 平成30(2018)年9月1日(現地時間8月31日)、Dave Smith INSTRUMENTS(デイブスミスインストゥルメント)が同社ウェブサイトで、社号を「SEQUENTIAL」(シーケンシャル)と改めた事を告知しました。


Dave Smith INSTRUMENTS PRO 2
http://fukusan.com/products/sequential/pro2/

Dave Smith INSTRUMENTS DSM01 CURTIS FILTER
http://fukusan.com/products/sequential/dsm01/


令和元年(2019年)5月18日追記。

 同日、PRO2の製造終了が発表されました。

https://twitter.com/sequentialLLC/status/1129449330677432320

by manewyemong | 2014-09-23 12:29 | シンセワールド | Comments(0)