人気ブログランキング | 話題のタグを見る

microKORG XL試奏記

 implant4さんで、microKORG XLを試奏させていただきました。既に在庫リストにアップされている個体です。状態はすこぶる良かったです。

microKORG XL試奏記_a0060052_13292916.jpg
 
 アナログモデリングシンセサイザーmicroKORG XLに関するインターネット上の最初の記事は、私が平成20(2008)年10月25日、東京滞在時に書いた、楽器フェスティバル2008でこんなものを見ましただったのではないでしょうか。楽器フェスティバル2008のサンシャインとは別に、コルグが独自に設けた会場トヨタアムラックスホール(平成25年12月23日閉館)の片隅に、参考出品機としてさりげなく置かれていました。

 しかしながら、翌日アップした続報microKORG XLに関する付記と併せて、それまでに無いほど数多のアクセスをいただきました。microKORG XLが、高い関心を得た事を実感しました。

 その後、コルグ公式サイトでの発表時、そして、発売直後に、同機について記してきました。今回これらの記事を廃し、新たに先日のimplant4さんでの試奏記を上げました。

microKORG XL試奏記_a0060052_13292180.jpg
microKORG XL試奏記_a0060052_1330367.jpg
microKORG XL試奏記_a0060052_13305896.jpg
 
 筐体の黒い部分には、アメリカ製の某打弦式電気ピアノを彷彿させる、しぼ感があります。

microKORG XL試奏記_a0060052_13304119.jpg
 
 ホイール。

 内外の多くのシンセサイザーメーカーが採用しているホイールですが、私はコルグのものが最も気に入っています。ちなみに、私が最も気に入っているコントローラーは、コルグのジョイスティックです。

microKORG XL試奏記_a0060052_13321863.jpg
 
 microKORG XLで新たにお目見えした、ナチュラルタッチミニ鍵盤。

microKORG XL試奏記_a0060052_13322223.jpg
 
 それまでのミニ鍵盤のイメージを変えたといっても過言ではないと思います。

 ベロシティの反応も良く、バーチャルパッチのソースをベロシティに、ディスティネーションをEGのアタックタイム等にした場合等、私の期待どおりの効果が出せました。

 静粛性に関しても比類が無いと思います。

microKORG XL試奏記_a0060052_13324929.jpg
 
 リアパネル側。

 残念ながら、エクスプレッションペダルEXP-2、フットスイッチPS-1、PS-3といった、足周り用の接続端子はありません。

microKORG XL試奏記_a0060052_13322134.jpg
 
 「KORG」のロゴにも、しぼ感があります。

microKORG XL試奏記_a0060052_13325575.jpg
 
 microKORG XLのフロントパネルを見ていきます。

microKORG XL試奏記_a0060052_13334936.jpg
 
 フロントパネルのアルミの部分、microKORG XLの後継機は筐体部分と同じ黒なのですが、私はこの銀色の方に、よりレトロ風味を感じて気に入っています。

microKORG XL試奏記_a0060052_13343414.jpg
 
 「KORG」「microKORG XL」「SYNTHESIZER/VOCORDER」のロゴ、ボリューム、アルペジエータのテンポつまみ、オクターブレバー。

 オクターブレバーは、ダウンであれアップであれ、その深度に伴って、ランプの色が緑、橙、赤と変わります。

 また、エディットモード時、液晶画面下右端にあるEXIT/SHIFTボタンを押しながらオクターブレバーを操作すると、選択されているパラメーターの設定値をDEC/INCボタンの様に1づつ増減する事ができます。

 「microKORG XL」のロゴには、micro KORGと異なり、「micro」と「KORG」の間にブランクはありません。

microKORG XL試奏記_a0060052_1334935.jpg
 
 音色選択操作子。

 音色選びは、レバーの操作による二つのプログラムバンク、つまみによる八つのプログラムジャンル、つまみによる八つのプログラムカテゴリーを組み合わせて行います。

 音を最初から作る私にとって、音色選択操作子にジャンルやカテゴリーが書かれている事は、はっきり言ってかなり邪魔です。特にプログラムジャンルに記された音楽の悉くが、私にとって全く関心が湧かないか、明確に嫌いなものばかりです。ジャンル及びカテゴリーつまみには語彙だけでなく、1~8までの数字も書いてはあるのですが…。

 microKORG XLのつまみは大小2種類あるのですが、いずれも今どこを指しているのかが、指でつまんだだけでは分からないのと、目を凝らさないと、白線が引かれた指し位置が少々見づらいと思います。

microKORG XL試奏記_a0060052_13353526.jpg
 
 音声入力端子(XLR)。

 付属のグースネックマイクはここへ取り付けます。

 今回の試奏で何か忘れている気がしていたのですが、implant4さんからの帰途、それがボコーダーである事に気付きました。今回、全く何もしませんでした。

 ボコーダーKORG VC-10以来の、筐体に直接装着するグースネック型ボコーダーマイクは、見た目の面白さはあると思うのですが、私には少なからず使いづらく、midroKORG XLを導入した場合、ボイスプロセッサーKORG DVP-1やアナログモデリングシンセKORG RADIASに付属していた様な市販のヘッドセットマイクを、別途購入する事になると思います。

 ボコーダーは、micro KORGの8バンドではなく、他のコルグのアナログモデリングシンセサイザー同様16バンドです。

 コルグのmicroKORG XLのサイトには、デモンストレーション演奏の音声データがアップされているのですが、その最後の曲「VOCODER」を聴いた限り、姫神せんせいしょんがボコーダーの名機Roland VP-330 Vocorder Plusを使った「赤い櫛」(アルバム「遠野」より)の「シャー、シャッシャー…」や、「えんぶり」(アルバム「姫神」より)の「オッオッオッ…オーオー」をシミュレーションすることができそうな気がします。

microKORG XL試奏記_a0060052_1336444.jpg
 
 液晶画面、各モード選択ボタン。

 フロントパネルの銀色に、液晶画面の橙色のバックライトが映えていると思います。

 WRITEボタンのロゴの色が反転されているのですが、加えて私としては、ボタンの色そのものを、コルグのプログラムアナログシンセのWRITEボタンの伝統ともいうべき、赤色にしてほしかった。KORG MS2000シリーズでは、赤ボタンが採用されています。

microKORG XL試奏記_a0060052_13362533.jpg
 
 音色設定操作子群。

 パラメーターが前回保存時と現在のつまみ位置が合致した時に点灯するオリジナルバリューランプは、たしかコルグシンセサイザー独特の機能だったと思います。

 その右横にあるつまみは、より手前の三つ並んだつまみの役割を選択する操作子。

 マン/マシンインターフェイスに関して、デジタルアクセスコントロールタイプのシンセが好きなのですが、今回改めて試奏してみて、簡便なエディットはともかく、音色を最初から作る場合、パソコンのエディタを使うのが現実的だと思いました。

 シンセサイザーエンジン部分に関して、私が興味を持った部分について記します。

 オシレータ1の波形の内、鋸歯状波、パルス波(矩形波含む)、三角波、サイン波は、オシレータ内でのモジュレーションのタイプ(ウェイブフォーム/クロス/ユニゾン/VPM)を選択できる様になっています。

 その中のユニゾンは、先に挙げた波形を五本ユニゾンする様になっていて、オシレータのコントロール1で五本の波形のディチューン、コントロール2で押鍵時の位相を設定します。

 参考までに、ローランドのアナログモデリング機は、Roland JP-8000からGAIA SH-01に至るまで、鋸歯状波のみSuper Sawという形で似たもの(コルグの波形5本に対して、たしか、もう1、2本多かった)を持っていたのですが、AIRA SYSTEM-1からは、鋸歯状波だけでなく、矩形波、三角波もあります。

 今回このオシレータモジュレーションのユニゾンを矩形波で試したのですが、姫神せんせいしょんがKORG Polysixで出していた、笛、さまざま(2)にそっくりな音を作る事ができました。笛、さまざま(2)は、アンサンブル感をPolysixの内蔵エフェクト、アンサンブルで出しているのですが、矩形波のユニゾンでよく似た効果が出せました。ワークステーション機の矩形波にアンサンブルエフェクトをかけたものより、自然な感じがしました。

 KORG MS2000シリーズやmicro KORGと異なり、microKORG XLには内蔵エフェクターにアンサンブルが無いのですが、あるいは、このユニゾンというオシレータモジュレーションがあるが故に、外したのかもしれません。

 KORG RADIAS System Version 2.0で、バーチャルパッチのディスティネーションに、私が希求したEGの各要素(アタックタイム、ディケイタイム。サスティンレベル、リリースタイム)や、他のバーチャルパッチが加わったのですが、これらの要素は、System Version 2.0リリース直後のmicroKORG XLには、最初から備えられています。

 RADIASの様な上級機ではなく、こんな安価で小さなアナログモデリングシンセに、これら素晴らしい機能が載った事が、microKORG XL登場の報が私にとって吉報であった事の最大の理由です。

 現在、金色の筐体、61のナチュラルセミウェイテッド鍵盤、そして、これまでのコルグアナログモデリングシンセには無いマン/マシンインターフェイスと性能を持った、KingKORGが存在します。

microKORG XL試奏記_a0060052_18194303.jpg

 しかしながら、三つのEG、三つのアサイナブルつまみ、そして、コントロール2(KingKORGは同じ事をする為にバーチャルパッチを消費しなければならない)等、マニピュレーションの深度において、microKORG XLの方が優れている部分があると思います。できれば両機を併用したいのですけどね。


microKORG XL
http://www.korg.co.jp/Product/Discontinued/microKORGXL/

by manewyemong | 2014-11-04 13:38 | シンセワールド | Comments(0)