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「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」を観ました

 「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」を観てきました。

 第1作では描かれなかった、イスカンダルから地球への復路に起きた事件を描いています。

 現在上映中の作品なので、物語に関する事柄はここには記しません。主に設定に関する枝葉末節の雑感を中心に書きたいと思います。

 しかしながら、これもネタバレの可能性があるので、それを忌避したい人は、以下をお読みになるべきではありません。

 映画公開終了後、大幅な追記や改訂を行う可能性があります。

 「宇宙戦艦ヤマト2199」本編でも、ドメル艦隊の対戦相手や捕虜として姿を見せたガトランティスが、今回ヤマトと接触します。

 ガトランティスは、旧作の彗星帝国とはやや異なり、各人の粗野さが強調され、およそ生産性そのものは無さそうな存在として描かれています。

 もっとも、小説版「さらば宇宙戦艦ヤマト」(朝日ソノラマ刊)の、ゲーニッツがデスラーの敗死を会食中のズォーダー大帝とサーベラーに伝える場面、たしか

贅を極めた調度類、香りを極めた食卓も、全ては征服した星々から収奪したものである

といった意味の記述があったように記憶しています。

 今回彼等が使う花形兵器、火焔直撃砲も、虜にされたガミラス人技師が開発したものです。元寇のおり、敵軍が鎌倉武士団に使ったてつはうが、モンゴルに敗れた金国や南宋の技術であるという経緯と似た事の様な気がします。

 全体像は出て来ませんが、ガトランティス社会の雰囲気は、アッチラ王率いるフン族、匈奴や契丹(特別展「草原の王朝 契丹」が催されます特別展「草原の王朝 契丹」を観てきました参照)等、長城の北(外)に蟠踞した民族、あるいは「フラッシュゴードン」のモンゴ、映画「続・恐竜の島」の原住民(なぜか日本の甲冑を着ていて日本人風のお辞儀をする)に似たものかもしれません。

 「星巡る方舟」には登場しませんが、下半分は原初の大地、上半分に高低様々な建物が林立する摩天楼という都市帝国の姿は、単于や可汗の帳殿を中心に大小様々な幕舎が集まった宿営地が、土地ごと移動しているイメージと言えるのかもしれません。

 かつて「さらば宇宙戦艦ヤマト」「宇宙戦艦ヤマト2」でも、彗星帝国の艦隊司令は提督(語源は清国の水師提督)と呼ばれていましたが、ガトランティスの官職名が、なぜか都督、丞相といった漢風です。本作の続編があるとしたら、節度使とか中書侍郎なんてのが出て来るのかもしれません。

 サーベラーが通信で現れる場面、背後に赤い縦書きの文章が見えたのですが、モンゴル文字に似ています。それと、私の見誤りかもしれませんが、その文章の流れ方(書き/読み)が、左から右へ改行していくものの様に見えました。モンゴル語がそうです。日本語もそうすべきであると、私は37年来主張しています。このガトランティス語、おそらく速記並みの速さで書ける言語だと思います。

 ガトランティス人、男は映画「フラッシュゴードン」のモンゴ星の皇帝ミンに、サーベラーはミンの皇女に雰囲気が似ています。ミンもその皇女も、欧米人によるステレオタイプの野蛮人のイメージです。

 ちなみに淀川長治さんが解説を担当した「日曜洋画劇場」で「フラッシュゴードン」が放映されたおり、ミンの皇女の吹き替えを担当したのは、「さらば宇宙戦艦ヤマト」のサーベラー役、小宮和枝さんでした。

 山崎貴監督の映画「永遠の0」の空母赤城(あかぎ)の空撮映像(もちろん実際はCGです)や、赤城の飛行甲板下の2本の支柱のたもとで、宮部久蔵が部下と話す場面を見ていて思ったのですが、ガトランティスの高速中型空母は、近代化改装後の赤城がモデルなのではないでしょうか。「星巡る方舟」の高速中型空母は艦体前部が大きくせり出し、飛行甲板下の2本の支柱が陰に入って目立たなくなっています。

 「宇宙戦艦ヤマト」シリーズは、セル画の第1作から「完結編」はもちろん、CGの復活篇まで、登場する宇宙艦艇の悉くが、海の上の話かと思う様な鈍重な動きしかしませんでした。私は子供心にこれが不満で、昭和54(1979)年頃、作ったプラモデルをかざしながら、こんなアングルでヤマトを観たい、ガミラス艦や彗星帝国の駆逐艦、高速中型空母は、本当はこんな風に飛ぶはずだ等と夢想していたのですが、「宇宙戦艦ヤマト2199」の艦艇はいずれもすばしっこく動いてくれます。「星巡る方舟」のヤマトとガトランティス駆逐艦の追撃戦やクライマックスの艦隊戦は、海戦のイメージから外れたアクティブなものになっています。

 被弾した艦艇が爆発するカットの描き込みが、「宇宙戦艦ヤマト2199」テレビシリーズ時よりもはるかに緻密です。艦体が爆発するカット、テレビだとすぐに爆煙に包まれる、というか艦体が爆煙にすり替わる(映画「スターウォーズ」によくある)という事が多かったのですが、「星巡る方舟」は、ビームが命中した部位が溶融し、艦体が光を放って崩壊していく所まで、緻密に描き込まれています。しかも、CGにありがちな模型が壊れるような感じではなく、セル画的な風合いを残したままでです。

 今作では終盤、ヤマトのパルスレーザー群のこれまでに無い見せ場があります。私は歴代作品のヤマトのパルスレーザーの場面で最も好きなのは、「ヤマトよ永遠に」の黒色銀河内で暗黒星団帝国の新イモムシ型戦闘機を迎撃する場面でした。照り返しが緻密に描かれていて迫力がありました。

 第六章終盤及び第七章序盤、第2バレラス市が放ったデスラー砲の影響で、ヤマトの左舷のパルスレーザー群は艦尾方向へ湾曲して使い物にならなくなっていたのですが、今回はその左舷のパルスレーザーのターゲットがこれまでに無いもので、零距離射撃を浴びせ倒します。波動砲を封印したヤマトが、それとは真逆の武器によって血路を開きます。

 平成9(1997)年12月に起きたテレビアニメ「ポケットモンスター」に関するある事件以来、光の明滅に関して一考ある事は理解できるのですが、ヤマトのパルスレーザー群、金田伊功さんが描いた「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅」の戦闘衛星とアルカディア号の砲撃戦みたいに、もっと照り返しと影を派手に付けて「バチバチッ!」っとやっていただけないものでしょうか。

 最後に一言、これはこの映画のストーリーに関する事です。既に観た人にしか理解できない書き方をしたいと思います。

 大和ホテルの最後の場面、古代とバーガーが引き金を引かなかった事をもって、個々の人間や異民族が、汎人間という規模で分かり合える等と結論づけるのは早計です。可能性を示唆するものではありますけど…。

 大和ホテルに投宿したガトランティス人達は、おそらく引き金を引いたが故に、皆、死体となって転がっていましたが、私は生物として至極真っ当な存在なのは、むしろ粗野なガトランティス人の方だと思います。

 大和ホテルで桐生美影が聞かされた絵本のストーリーの裏側に、私には別の内容が読み取れる。イスカンダル人同様ジレル人も、種としては完全につんだ連中であり、心を読む故に自分達は迫害されたというジレル人の主張は、私には空気を読めず人から避けられる傾向のある人間の言い分に聞えて仕方がない。

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 映画館の売店にあった「宇宙戦艦ヤマト2199」劇場特別セット「ヤマト&ランペア リミテッドクリアver.」。バンダイのプラモデル・メカコレクションシリーズの2199ヤマト及び第2空母の、スケルトンというかトランスルーセントというのか要するに透明なモデル。

 映画館の階下の玩具売場に新旧のメカコレクションがありました。「2199」のものだけでなく、あの頃、私が組み立てたものが、今も販売されている事に驚きました。旧作と「2199」で被っているモデルもありました。


宇宙戦艦ヤマト2199 
http://yamato2199.net/

「続・恐竜の島」予告編
https://www.youtube.com/watch?v=JT1PBjG4fY0

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by manewyemong | 2014-12-09 09:41 | 漫画映画 | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong