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ARP ODYSSEY、復刻成る

 ARP ODYSSEY復刻の報以来約1年、本日平成27(2015)年1月22日、ARP ODYSSEY復刻機が発表されました。

 ARP ODYSSEY復刻機は、KORG MS-20 mini同様、オリジナル機の86%にダウンサイジングされ、鍵盤もMS-20 miniやKORG RK-100Sと同じスリム鍵盤です。オリジナル機同様、ベロシティやアフタータッチはありません。

 カラーリング等の筐体デザイン及び独特の演奏操作子プロポーショナルピッチコントローラーは、オリジナル機の最終モデル、リビジョン3のものが採られています。私はこのプロポーショナルピッチコントローラーが最も気になっています。TEISCO S-110Fのタッチセンシティブモジュレーションは、この影響を受けたものなのかもしれません。

 しかしながら、リビジョン1、2のフロントパネルのデザイン、音色設定操作子の形状、ロゴ(「ARPODYSSEY」ではなく「ARP Odyssey」表記)を採ったモデルが、製造台数限定のカラーバリエーション機として発売されます。

 シンセサイザーエンジンは基本的にオリジナル機に準拠したものと思われるのですが、VCFはリビジョン1、2、3のもの全てが搭載され、VCFタイプスイッチで選択できる様になっています。

 また、リビジョン1と2及び3で効果が異なるポルタメント(ポルタメントタイムが0より大きい値に設定された状態でオクターブトランスポーズボタンを操作するとポルタメントがかかるか否か)も、選択できる様になっています。また、ポルタメントオン/オフ用のフットスイッチ端子があり、KORG PS-1、PS-3が使えます。

 フットスイッチが出たついでに足周り関連で記すと、エクスプレッションペダルの端子もあります。おそらくKORG EXP-2等が使えると思います。

 ARP ODYSSEYは、KORG 800DV同様、キーアサイナーが無かった時代からデュオフォニック演奏ができるのですが、800DVが完全なモノフォニックシンセ2台のロワー側を低着優先、アッパー側を高着優先という形で発声を割り振るのですが、ODYSSEYもVCO1を低着優先、VCO2を高着優先に割り振っています。VCF、VCAは1系統です。

 ODYSSEYがVCOのみ2声である事と関係があるのかもしれませんが、トリガーモードがマルチ固定です。しかしながらゲートアウト端子からからトリガーイン端子へパッチケーブルを廻すとシングルモードになり、スタッカート/レガートで、リトリガーする/しないを弾き分ける事ができる様になります。

 MIDI INとUSB端子があり、MIDI/DAW環境に組み込んで使う事ができます。

 CV方式はアナログシンセサイザー界のディファクトスタンダードともいうべきOct/Vなので、新旧のアナログシンセ周りの機器と併用する事ができます。

 かつてのARP ODYSSEYオリジナル機は、誰それが何々という曲のどこそこのパートで使っている、という形で人々の口の端にのぼる事が多ったシンセサイザーだと思います。

 コルグがその復刻に当たって、三つのリビジョン全ての性質を漏らさず継承しようとした理由も、あるいはそういう事に訴求しようとした面があるのかもしれません。

 しかしながらシンセサイザー黎明期に、この筐体の中にこれだけ理解しやすいマン/マシンインターフェイスと音色作りの幅や奥行きとを兼ね備えたモデルが、
あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!
といった形でのみ消費されるのは惜しい事です。

 私がもしこのARP ODYSSEY復刻機を手にする事ができたら、これまでワークステーション機で行ってきたのと同様、まず脳裏で音を鳴らし、それを解析してから、この素晴らしいレイアウト及び形状のスライダー類を上げ下げして行きたいと思っています。

 今回のARP ODYSSEYと同時に、アナログシンセサイザーモジュールKORG MS-20M Kit、アナログシーケンサーKORG SQ-1が発表されました。

 また先日、モーグがかつて製造していたシステムシンセサイザーsystem 55、system 35、model 15の復刻を発表しました。

 さらに復刻ではないものの、SEQUENTIAL prophet-6が、デイブスミスインストゥルメント社から発表されました。

 デジタルシンセサイザーがソフトウェアの中に併呑されて行く中で、実体のあるシンセサイザーの存在意義はアナログシンセサイザーの中にあるのかなと、YAMAHA DX7が出る前からアナログシンセサイザーが嫌いだった私は、今、多少の感傷とともに思っています。

 ARP ODYSSEY試奏記(1)ARP ODYSSEY試奏記(2)ARP ODYSSEY Moduleが出ますへ続きます。


ARP ODYSSEY
http://www.arpsynth.com/jp/arpodyssey/

The Return Of The Moog Modular(英文です)
http://www.moogmusic.com/news/return-moog-modular
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by manewyemong | 2015-01-22 13:05 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong