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Roland AIRA SYSTEM-1mが出ます

 平成27(2015)年4月15日、ドイツ・フランクフルト市でのmusikmesse 2015において、ユーロラックに沿ったセミシステムシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-1m、エフェクターモジュールDEMORA、SCOOPER、TORCIDO、BITRAZERが発表されました。

 その数日前からローランドAIRAサイトに、「Start Patching」のメッセージと、AIRA SYSTEM-1mやDEMORA、SCOOPER、TORCIDO、BITRAZERのシルエットの画像がアップされていました。ローランドがシステムシンセサイザーに類するものを発表するのは確実でした。

 蓋を開けてみるとこれらのモデル群に加え、アナログシステムシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-500を開発中である事が、アナウンスされました。

 ローランドのシステムシンセサイザーの最終モデルRoland SYSTEM-100Mは、たしか昭和54(1979)、モジュールによっては昭和55(1980)年になってから出た記憶があるのですが、いずれにしても同社約35年余ぶりの、パッチコードを抜き差しする機能のあるシンセです。

 Roland AIRA SYSTEM-1試奏記の最後に、

 Roland AIRA SYSTEM-1に関して、一つ分からない事があります。コルグのアナログモデリング機のバーチャルパッチにあたる機能があるわけでもないのに、一体どこがシステムなのか、です。

としました。AIRA SYSTEM-1mは、真に「SYSTEM」の名を冠するに相応しいSYSTEM-1といえるかもしれません。

 ただし、AIRA SYSTEM-1mは、あくまでRoland AIRA SYSTEM-1をベースにしたアナログモデリング、つまりデジタルシンセのモジュールであり、Roland SYSTEM-700や100Mのような完全なシステムシンセではなく、Roland SYSTEM-100やKORG MSシリーズ(アナログ)等、セミシステムシンセに類するモデルとも異なり、本体でのマニピュレーションにパッチングが必要不可欠なわけではありません。

 AIRA SYSTEM-1mは、ユーロラックや19インチラックにマウントするだけでなく、机上等に置いて使う事もできます。そのおり、フロントパネルは傾斜がつくような筐体デザインになっています。

 AIRA SYSTEM-1mは、元になったSYSTEM-1にあるジョグシャトル/ダイヤルは無く、それと関わりがあるアルペジエータとスキャッターもありません。

 音色メモリーは、SYSTEM-1同様八つなのですが、SYSTEM-1が1~8までのボタンで選択するのに対し、SYSTEM-1mはセレクトつまみを回して選びます。つまみがどの値を指しているかはLEDに表示されます。いずれにしても、SYSTEM-1と同じくSYSTEM-1mも、全てのパラメーターの操作子を共用する事無く実体を持たせている事と併せて、実質的には非プログラマブル機と考えていいと思います。

 完全デジタルシンセであるAIRA SYSTEM-1mを、パッチングの共通語が電圧であるシステムシンセサイザー環境に組み込む為に、パッチポイントのINにはA/Dコンバータが、そしてOUTにはD/Aコンバータが介在しています。

 パッチポイントINに関するものは、項目名の下に端子を指すように矢印が、そして、OUTに関するものは、項目名の上に上向きの矢印が描かれています。また、コントロールに関する端子の縁取りは青、音声に関する端子の縁取りは赤のLEDが光ります。

 KORG MS-20M Kitのパッチパネルにあるような、パルスウィズに関するパッチポイントは無く、PWMのソースに外部入力を使う事はできません。無論、SYSTEM-1mのPWMのソースは、SYSTEM-1同様、LFOやENV(ピッチ、フィルター、アンプ)が使えます。

 AIRA SYSTEM-1同様、SYSTEM-1mにもPLUG-OUTシンセRoland SH-101 PLUG-OUTが付属し、オプションのSH-2 PLUG-OUTPROMARS PLUG-OUTが使えます。

 パッチングは、AIRA SYSTEM-1mでPLUG-OUTシンセを使用している時も同じく使う事ができます。PLUG-OUTの各セクションを各々1台のモジュールとして、システムシンセサイザーの環境下に組み込む事ができます。

 思いつくまま使用例を挙げると、Roland SH-101のLFO波形にはノイズがあり、VCO、VCFの変調に使えるのですが、たとえばLFOの波形をノイズにしたRoland SH-101 PLUG-OUTのフィルターを使うと、ピンクノイズで変調された効果を得る事ができます。

 Roland SH-2のVCOには、VCFを自己発振させたものとは風合いの異なるサイン波があり、SH-2 PLUG-OUTもそれを継承しています。VCOサイン波を使った女声ハミングのようなリード音は、インストゥルメンタルのメロディや唄ものの間奏で使われる事があるのですが、SH-2 PLUG-OUT使用時、そのオシレータサイン波をシステムシンセに利用できます。

 各社から出ているユーロラックに準拠したモジュール資産は多種多様であり、ソフトウェアによるデジタルシンセの併呑は、むしろ実体を持つシンセサイザーの可能性を拡げたのかもしれません。無から音色を発想する感性と、それを具現化するデッサン力がある人がいる限り、音の画材たるシンセサイザーの退行はあり得ない。

 システムシンセサイザーが、昭和58(1983)年の春のYAMAHA DX7やMIDI登場以前の頃よりもはるかに広大な規模で、そして、機能や価格で親しみやすい形で我々の前に現れ始めている今、シンセサイザーの黎明期からモーグやローランドのシステムシンセサイザーを使い続けているこの人のこの言葉を掲げておきます。

「このシンセサイザーはどんな音がするのかという質問は、このバーベキューセットはどんな味がするのかと言っているのと同じ事」(冨田勲)。



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 画像は、KYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015の、ローランド・マレッコ(MALEKKO)のブースで撮ったものです。


平成27(2015)年5月14日追記。

 Roland AIRA SYSTEM-1mの発売日5月28日、価格79,920円(税込)。


Roland AIRA SYSTEM-1m
http://www.roland.co.jp/products/system-1m/

AIRA Mdular
http://www.roland.co.jp/aira/airamodular/

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by manewyemong | 2015-04-19 18:13 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong