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Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-06が出ます

 平成27(2015)年10月1日、アナログモデリングシンセサイザーモジュールRoland Boutique JP-08、JX-03、JU-06、そして、それらを搭載できる専用ミニキーボードK-25mが発表されました。

 まず、Boutiqueシリーズに共通する部分について、触れていきます。

 Boutiqueシリーズは各々独立したシンセモジュールとして使えるのですが、K-25mに着脱するためにサイズは統一されています。

 キーボードとシンセモジュールが合体するという発想は、1980年代半ばに出た倍音加算合成方式のデジタルシンセSEIKO DSシリーズを彷彿とさせられます。しかしながら、SEIKO DSとは異なり、K-25mは合体したBoutiqueの傾斜角を、水平も含め3段階に変える事が出来ます。

 K-25mはBoutiqueと併せて使う事が前提のキーボードです。KORG RADIASM3のKYBDアセンブリ同様、K-25mにMIDIやUSBはありません。

 フロントパネル左端に二つのリボンコントローラーがあります。左はピッチベンド及びトリガーの発生(K-25m、MIDI、USBに接続が無い時)、右はモジュレーション用です。

 音色設定操作子群が概ね実体を持った非デジタルアクセスコントロールタイプであり、本体上で各パラメーターを視る事はできません。

 スライダーのキャップやボタンが光ります。

 パネルの現状を音色に反映するマニュアルボタンがあります。

 シンセサイザーエンジンは、Roland AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1mにも採られているACBで、各々元になったモデルが解析されています。

 最大同時発声数4。元になったアナログシンセよりも少ないのですが、2台を連結して1台目のBoutiqueからあふれた発声を2台目に回す、チェインモードという機能があります。同じ機能が、かつてKORG M1Rにもありました。また、このチェインモードによって、1台目のマスター機の操作子の動きや設定が、2台目にも反映されます。

 簡便な16ステップシーケンサーがあります。

 各機のオリジナル機から継承したものの他に、Boutique共通の内蔵エフェクターとして、ディレイが搭載されています。

 ミニスピーカーが内蔵されています。

 MIDI IN/OUT端子があります。

 USBは、MIDI、音声の両方を扱えます。

 Roland Boutique JP-08の元になったRoland JUPITER-8は、昭和56(1981)年に登場しました。

 ただ、今回のBoutiqueのティザーではないですが、当時、もう少し早い時期から、今度こういうシンセが出るといった形でアナウンスがあったような憶えがあります。
 
 国産機離れした、大型で派手な、しかし、側面から化粧板が消えて垢抜けた薄い筐体、フロントパネルに並んだ数多のスライダーやつまみ群…加えて私がシンセサイザーに興味を持って以来、初めて新発売を待つ形で目の前に現れたモデルという事もあって、当時、何だか凄いシンセサイザーが出てきたなという印象を持ちました。

 プロの演奏で、私が最もJUPITER-8の使用が明確な形で見聴きする事ができたのは、今から30年余前、テレビの歌謡番組でC-C-Bが披露した「Romanticが止まらない」のイントロでした。当時、私はこの音をKORG Mono/PolyのS/X(シンクロ&クロスモジュレーション)で真似しました。

 Roland Boutique JP-08は、Boutique3機種中、最もパラメーターが多く、若干価格も高くなっています。

 LFOの波形に、三角波とノイズが加わっています。JUPITER-8同様、LFO波形の鋸歯状波は下降型のみです。JUPITER-8もJP-08もモジュレーションデプスにマイナス値を設定できないので、LFOのノコギリの刃の向きを変える事はできません。

 オシレータは1声あたり二つあり、ビブラートデプス、ENV-1をソースにしたオートベンド、パルスウィズ等を共有しています。PWMのソースは、マニュアル、LFO、ENV-1。

 JUPITER-8のVCOは、パルスウィズを下げ切ると矩形波になったのですが、JP-08のオシレータは、パルス波と矩形波を分けています。

 二つのオシレータレベルは各々独立しているのではなく、バランスを取る形です。したがってフィルターの自己発振を使う為にオシレータを無効化する場合、パルスウィズを上げ切る、つまりデューティー比を100:0にする事が考えられるのですが、パルスウィズがデューティー比100:0になるか否かは試奏するまで判りません。そもそもフィルターが自己発振するか否かも分かりませんけど…。

 JP-08はBoutique3機種中、唯一ENVが二つあります。ENV-2はアンプ部と接続されています。フィルター側で、アンプ部とENV-2を共用するか、独立してENV-1を使うかを選ぶ事ができます。また、ENV-1はポラリティスイッチを介してリバース曲線を選ぶ事ができ、例えばオートベンドのソースにした場合、しゃくり上げるか下げるかを設定できます。

 私は撥弦系の音色を作る場合、PWMをENVで変調できる事と、フィルターとアンプがENVを個別に持っている事が望ましいと思っているのですが、Boutique JP-08はその条件を満たしています。JP-08は現行機中、二つのオシレータのPWMのソースにENVを持つモデルの中で、最も安価なシンセです。

 私としては、VCOの波形をどれか一つ選択する形のJUPITER-8よりも、複数の波形を並列使用できるRoland JUPITER-6をACB化していただいた方がよかったのですけどね。

 Boutique JX-03の元になったRoland JX-3Pは、昭和58(1983)年の年明け、JUPITER-6と同時に発表されました。同機と並んで、日本のシンセサイザーメーカー初のMIDI対応機です。

 前年11月、私は最初のシンセサイザーRoland SH-101を手にしたのですが、その縁故か、JX-3P、JUPITER-6発表時にローランドさんからダイレクトメールが郵送されてきました。その最後の記述は、

JUPITER-6、JX-3P、両機の可能性は無限だ!

だった記憶があります。

 JX-3Pの3Pの意味は、Programmable Preset Polyphonicです。

 プリセットとあるので、てっきりJX-3Pは、全パラメーターに対応した操作子群を持つ、プログラマーと呼ばれる別売ユニットRoland PG-200が無ければ、当時まだ存在していたプリセットタイプのシンセ同様、本格的なマニピュレーションはできないものと思っていました、しかしながら、実は本体だけでも音色作りが可能です。私はこの事に、今回この記事を書くにあたってJX-3Pを調べて初めて知りました。

 Roland Boutique JX-03のフロントパネルは、JX-3Pというより、概ねPG-200のレイアウトを踏襲しています。

 1声あたり二つのオシレータを持っています。各々にLFO、ENVをピッチのソースとして使うか否かのスイッチがあります。効果のデプスは共有しています。

 オシレータ波形は1、2ともJX-3Pのものに、サイン波、三角波、そして、オシレータ1にはピンクノイズ、オシレータ2にはホワイトノイズが追加されています。

 クロスモジュレーションの効果の種類が、シンクロ、メタルとも二つに増え、さらにリングモジュレーションが加わっています。JX-3PからJX-03への最大の変更点だと思います。オシレータ波形の増装と併せて、クロスモジュレーションの可能性が広がったと思います。

 LFO波形には、新たに鋸歯状波、そしてノイズが加わっています。モジュレーションのデプスはマイナス値を設定する事はできませんが、LFOのノコギリの刃の向きは、上昇型、下降型ともあります。

 LFO波形にノイズを持つモデルとしては、過去にRoland SH-101がありました。ノイズを選んでビブラートやグロウル効果のデプスを上げていくと、前者にはホワイトノイズ、後者にはピンクノイズが加味されていきます。これもクロスモジュレーションと絡むと、JX-3P以上にユニークなものにしてくれると思います。

 いうまでもない事ですが、minimoogのモジュレーションミックスやSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5のソースミックスとは異なり、ノイズを他の波形と混ぜてディスティネーションへ送る事はできません。

 オシレータ、フィルター、アンプで、一つのENVを共用しています。正逆のポラリティスイッチは、ENVではなく、オシレータ、フィルター側で独立して持っています。

 JX-3Pには無かったポルタメントを使う事ができます。設定方法はコーラスボタンを押しながら、リボンコントローラー左でオン/オフを、右でタイムを設定します。JP-08、JU-06も押すボタンは異なるものの、左右のリボンコントローラーで設定します。試奏するまで判りませんが、ポルタメントのカーブがデジタル的なリニア変化ではない事を祈っています。

 Boutique JU-06の元になったRoland JUNO-106は、昭和59(1984)年の、たしか新学期頃に店頭に現れました。Roland JUNO-6、JUNO-60に続く3機種目のJUNOです。

 筐体の小型軽量化、シリーズ初のMIDI対応、音色記憶数はJUNO-60の56から128に増装、ポルタメント、ユンゾンモード(POLY1、2ボタンを同時に押す)が使えるようになりました。

 後にスピーカーを搭載したJUNO-106Sも登場し、これはTVCMも打たれました。日曜日の午前中によく観ました。全くの余談ですが、日曜日の午前中というこの時間帯、有名なパルナスケーキのCMも頻繁に観ました。

 JUNO-106発売直後、当時月刊誌だったキーボードマガジン7月号の創刊5周年特集「名機大集合! キーボードの未来を探る B-3、ミニムーグからDX、CMIまで」の中に、
JUNO-106は名機として記憶されるだろう
という意味の記述がありました。YAMAHA DX7が世界を席巻し、アナログシンセサイザーにプレミア価格がつく事なんか想像もつかない時代でした。今日JUNO-106の中古機は、高値で取引されていると聞きます。

 Roland Boutique JU-06のパラメーター構成は、概ねJUNO-106と同じです。

 LFOに波形選択は無く、1声1オシレータ、ENVをフィルターとアンプで共用しています。

 オシレータ波形は鋸歯状波とパルス波を同時に使えるのですが、オン/オフのみで、SH-101のソースミキサーのように各々のレベルを設定する事はできません。逆にサブオシレータにはオン/オフのボタンは無いのですが、レベルがあります。

 またパルスウィズはマニュアルとLFOのみで、JUNO-6、JUNO-60にあったENV変調のPWMはできません。

 ハイパスフィルターは、JUNO-60、JUNO-106が四段階なのに対し、Boutique JU-06はJUNO-6同様、通常の設定ができます。

 2種類のコーラスが内蔵されています。JUNO-106とは異なり、JUNO-6、JUNO-60と同様、二つのコーラスを併用する事もできます。試奏するまで判りませんが、仮に有名なジュノーコーラスの効果が再現されているとなると、私のBoutique JU-06を使ってみたいという欲求は、さらに高まってしまいます。Roland JUNO-6試奏記にも書きましたが、かつてJUNO-6のコーラス1を頻繁に使っていました。

 Roland Boutiqueシリーズの発売日は、来る平成27(2015)年10月24日。

 価格は、JP-08が税別50,000円、JX-03、JU-06は税別40,000円、K-25mは税別13,000円です。

 なお、たいへん遺憾ながら、Boutiqueシリーズは、数量限定生産だそうです。

 Roland Boutique JP-08試奏記Roland Boutique JX-03試奏記Roland Boutique JU-06試奏記へ続きます。


Roland Boutique
http://www.roland.co.jp/promos/roland_boutique/

Roland Boutique JP-08
http://www.roland.co.jp/products/jp-08/

Roland Boutique JX-03
http://www.roland.co.jp/products/jx-03/

Roland Boutique JU-06
http://www.roland.co.jp/products/ju-06/

Roland K-25m
http://www.roland.co.jp/products/k-25m/

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by manewyemong | 2015-10-01 18:38 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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