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YAMAHA CS-15試奏記

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 implant4さんで、YAMAHA CS-15を試奏させていただきました。

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 フロントパネルや鍵盤に傷らしい傷が無く、つまみを動かした時のガリも出ない、良品といっていい個体でした。既にimplant4さんサイトの在庫リストにアップされています。

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 アナログモノフォニックシンセサイザーYAMAHA CS-15は、昭和52(1977)年に登場しました。

 この年ヤマハは、YAMAHA CS-50、CS-60、CS-80といった上級ポリフォニックシンセから、YAMAHA CS-5、CS-10、CS-30といった比較的安価なモノフォニックシンセまでを一気に発表し、アナログシンセサイザーCSシリーズをスタートさせました。

 私がシンセサイザーに興味を持ち、楽器店に足を運んだ1980年代初頭、大阪市内の楽器店や電気店では、CS-5やCS-10はもちろん、CS-15も10万円を切っていた記憶があります。

 YAMAHA CS-5、CS-10、CS-15、KORG MS-10、MS-20、MS-50、Roland SH-1SH-2、SH-09は、いずれも高校生がアルバイトで買える程度の価格だったため、雑誌やシンセの解説本で詳らかに取り上げられていました。読者が使う現実的なシンセサイザーはこれらだったからだと思います。

 当時、これらのシンセサイザーが、まるで互いを補完するかのような性能だったが故に、あるいはメーカー3社が談合しているのではないかと疑った事があります。後年、私と同じような考えを持った人が何人もいる事を知りました。

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 マニピュレーションの可能性としては、私は当初、KORG MSシリーズに軍配ありと思ったのですが、VCFとVCAが本格的なEGを独立した形で持っているのは、KORG POLY-800が登場するまでCS-10、CS-15だけだった事や、後述するオートベンドに関して、このCS-15だけがVCO1、2でデプスを別設定できるといった理由から、やがて、最初のシンセサイザーはYAMAHA CS-10、CS-15にと思うようになっていました。

 しかしながら結局、最初のシンセがRoland SH-101になった顛末は、Roland SH-101回顧記YAMAHA CS-5試奏記に書きました。

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 YAMAHA CS-15は、VCO、VCF、VCA、EGを2系統持っています。各々で別の音色を作りレイヤーするといった事ができます。ただし、KORG 800DVやARP ODYSSEYのようなデュオフォニック演奏はできません。あくまでモノフォニックシンセです。

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 コントローラー群。

 ポルタメント、VCFのカットオフポイントをVCFセクションのつまみではなく手許のスライダーで変えるブリリアント、そしてベンダーレバー。

 ブリリアントは、二つのVCFのカットオフの片方だけに作用させる事もできますが、特に一つの操作子で両方を変えたい時や、つまみよりスライダーの方が演奏操作子として使いやすい向きに特に有用だと思います。

 ベンダーレバーは手指を離すとニュートラル位置に帰ってくるタイプです。リミッターでピッチベンドのレンジを指定します。ニュートラル位置から押し切るか引き切るかすると、Nで2度、Mで3度、Wで1オクターブ音程が変化します。

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 鍵盤。

 当時の国産シンセサイザーの鍵盤では、群を抜いて好感触だと思います。

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 後のFS鍵盤のような仕切り等はありません。

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 電源のオン/オフは、鍵盤の右にあるこのスイッチで行います。電源が入っている時はランプが灯ります。

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 マスターチューン及びディチューンつまみ。

 VCO1、2とも、電源投入時からピッチは安定しています。ただ両者のピッチを完全に合わせる事はできませんでした。それがアナログシンセのVCOの良いところではあると思います。

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 LFO。

 レイト、そしてサイン波、鋸歯状波、サンプル&ホールドといった波形群。ディレイタイムやフェイドタイムは無く、モジュレーションの径時変化をつける方法は、奏者やマニピュレータが各ディスティネーション側のデプスつまみを手操作する事しかありません。

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 グライド。CS-15の場合、オートベンド(ピッチEG)の事です。

 Roland SH-2のオートベンド、KORG MS-20のEG1をピッチEGとして使った場合とは異なり、かけるか否かだけではなく、VCO1/2でデプスを独立して設定できます。デプスの向きを正逆とも設定できるので、ピッチをしゃくり下げる/しゃくり上げるができます。

 タイムとは、設定したデプス、つまりオートベンドのスタートレベルから0固定のサスティンレベルに到達するまでの時間です。こちらはVCO1/2共用です。

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 VCO1、2。二つのVCOの構成は同じです。

 VCOのオクターブを変える時、たしか音が途切れなかったと思います。

 ビブラートデプスは音色設定操作子としてだけでなく、演奏操作子としての役目もあります。

 波形は、三角波、鋸歯状波、パルス波です。

 パルス波はパルスウィズを左へ回し切ると矩形波になります。ここで恒例の喜多郎mini KORG 700Sリードのヒントを書くと、パルスウィズをセンター前後で探すとパルス33%が見つかります。

 パルスウィズモジュレーションのソースはLFOだけです。

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 ミキサー。

 ミキサー1は外部入力ないしノイズとVCO1をVCF1へ、ミキサー2はVCO1、2をVCF2へ送ります。

 ミキサー1のVCO1の最大値と、ミキサー2のVCO1、2を合わせた最大値は等しいレベルになります。したがって、時にミキサー1のVCO1のレベルを間引かなければならない局面が出てくると思います。

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 VCF。二つのVCFの構成はほとんど同じです。

 ローパスフィルター、バンドパスフィルター、ハイパスフィルターを切り替える形で使えます。

 EGセレクタースイッチで、どのEGをソースにするかを選択するのですが、リバース曲線に関して、VCF1はEG1、VCF2はEG2のみです。

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 VCA。二つの構成は同じです。

 イニシャルレベルは常にVCAから出力されるレベルを設定します。ARP ODYSSEY試奏記(2)で採り上げた同機のVCAゲインと同じです。また、考えようによっては本来0固定のVCA EGのスタートレベル/リリースレベルに相等するともいえます。ちなみにYAMAHA CS-10ではVCF EGにイニシャルレベルがあります。いずれにしても、通常は0にしておくと思います。

 廉価アナログシンセ及びアナログモデリングシンセでは珍しいと思うのですが、VCAにもEGデプスがあります。アンプ部にもEGデプスを持たせるという考えは、今夏発売されたアナログモデリングシンセサイザーYAMAHA reface CSにも継承されています。

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 EG。

 このセクションは操作子がつまみではなく、スライダーです。

 トリガー発生時、ランプが灯ります。

 タイム×5に関して、てっきりEGを5回実行し直してくれるのかと思ったのですが、実際はEGの各タイムが通常の5倍になるという事です。

 PSE騒動の頃、YAMAHA CS-10やCS-15は、他の同年代同価格帯のシンセほどには顧みられなかったと聞きました。現在も中古機の価格は比較的安いと思いいます。ただし、海外での評価はすこぶる高いとも聞きました。

 今回、数十年ぶりに試奏してみて、EGをVCF、VCAで独立して設定できる、VCAにもEGデプスがある、といった要素故に、金管系の音色時のフィルターが遅れて開いていく感じや撥弦系の径時変化を同価格帯のシンセよりも作り込む事ができました。二つのオシレータ個別にオートベンドのデプスを設定できる事と併せて、reface CSの上級機が出るとしたら、採り入れていただければと思います。

 あるいはいっその事、ヤマハさんがYAMAHA CS-10やCS-15、CS-30あたりを、当時のアナログシンセサイザーそのままに復刻してくれないかなとも思っています。

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by manewyemong | 2015-12-14 21:39 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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