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Roland Boutique JP-08試奏記

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 implant4さんで、Roland Boutique JP-08及びBoutique用キーボードRoland K-25mを試奏させていただきました。

 Boutique発売から日が浅いこともあると思うのですが、美品でした。早ければ次回の在庫リスト更新の折、アップされると思います。

 なお本稿は、先にアップしたRoland Boutique JP-08、JX-03、JU-06が出ますと、併わせてお読みいただくことが前提の内容になっています。

 今回の試奏は、implant4さんのこたつの上にあるスピーカーからのみの音出しです。内蔵スピーカーの音は確認しませんでした。電源はUSBアダプタを使いました。

 また、ポルタメントやステップシーケンサー、内蔵デジタルディレイを試すのを忘れました。専用の操作子が無い故、うっかりしてしまいました。

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 Roland Boutique JP-08を試奏してみて思ったのは、操作子の大きさや形状が異なる故に操作感は完全に異質なのですが、それでも、Roland JUPITER-8でのマニピュレーションの経験値が活きるということです。例えば、JUPITER-8でのENVのアタックタイムのスライダーの設定位置が、JP-08に於いても反映されました。

 1980年代初頭、楽器店や家電量販店の店頭でJUPITER-8を触っていたのですが、今回、Boutique JP-08を触れているうちに、当時自分が作っていた音色のことを思い出しました。結局、今回の試奏はJP-08を試すというより、単に“あの頃”に浸っていた感があります。

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 フロントパネルの音色設定操作子群は、JUPITER-8が横一列に並んでいたのに対し、LFO~オシレータと、フィルター~アンプ部~二つのENVで二段に並べられています。

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 スライダーにはオレンジ色の光が灯っています。上げ下げの感触には意外に適度な剛性があります。つまみも同様でした。

 しかしながら、いずれもその小ささ故、豪快に動かしたい向きには、やや難ありかと思われます。JP-08が、Boutiqueよりも扱いやすい操作子を持つRoland AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1m用のPLUG-OUTシンセになってくれればと思います。

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 Roland K-25mの鍵盤。Roland JD-Xiのそれと同じものと思われます。静粛性に優れています。

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 リボンコントローラー。

 左がピッチベンド用、右がモジュレーション用。

 ピッチベンド用リボンコントローラーはニュートラル位置に光が灯っていて、ピッチベンドをすると、

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 光が追従します。

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 モジュレーション用リボンコントローラーは、指の位置、つまりデプスの位置まで光が伸びてきます。

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 リアパネル側。

 電源をUSBから取っています。専用の電源アダプタは無く、USBか電池のみです。

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 音色設定操作子群を見ていきます。

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 LFO。

 三角波とノイズが加わっています。ノイズ波形の効果は、Roland SH-101のLFO波形をノイズにした時と同じです。

 鋸歯状波は下降型のみで、モジュレーションデプスにマイナス値が無いので、ノコギリの刃の向きを変える、つまり上昇型にすることはできません。

 ディレイタイムとありますが、押鍵からモジュレーションがかかり始めるまでの時間ではなく、多くのアナログシンセがそうであるように、実際は押鍵からモジュレーションデプスが設定値になるまでの時間、つまりフェイドインタイムです。

 このディレイタイムことフェイドインタイムは、ビブラート(オシレータ)、グロウル効果(フィルター)、トレモロ(アンプ)だけでなく、LFOをソースにしたPWMでも作用します。

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 VCO MOD。

 ビブラートデプスやオートベンド、パルスウィズに関する設定を行います。オシレータ1、2で共有しています。

 ENVデプス、つまりオートベンドデプスはプラス値のみで、正逆はオートベンドのソースであるENV-1で決めます。

 フリケンシーモジュレーションスイッチで、ディスティネーションをオシレータ1のみ、両方、2のみかを選択します。

 パルスウィズのソースは、マニュアル、LFO、そしてENV-1があります。パルスウィズを上げきっても音は消えません。つまり、デューティー比100:0にはなりません。

 かつて、店頭のJUPITER-8で、ENVによるPWMで撥弦系の音色をよく作ったのですが、フィルターとアンプ部で独立してENVを設定できることと併わせて、今回、あくまで記憶の内のお話なのですが、寸分たがわぬ効果が出せていました。

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 VCO。無論、実際はVCOではなく、モデリングシンセACBのオシレータです。

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 VCO-1。

 VCO2をモジュレータとして、クロスモジュレーションがかけられます。厳かな鐘の音も作ることができました。

 JUPITER-8よりもVCOのレンジは広くなっています。VCO1のレンジは切り替える形です。

 波形はサイン波とノイズが加わっています。パルスウィズは下げ切ると矩形波になりました。二つのVCOの波形をパルス波と矩形波にする場合を考えて、JUPITER-8もJP-08もVCO1にパルス波と矩形波を持っていると思われます。

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 VCO-2。

 VCO-1と異なり、レンジのつまみ(コースチューン)にクリック感が無く、切り替えではなく連続的に変化させることができます。大雑把なディチューンはここで行えます。

 チューンつまみ(ファインチューン)で微細なディチューンを行います。センター位置にクリック感があります。

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 ソースミックス。

 JP-08のVCFは自己発振せず、音源は常にオシレータです。二つのオシレータの各々のレベルでは無く、割合を決めます。

 センター位置にクリック感があります。

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 VCF(デジタルフィルター)。

 ソースミックスの所でも書きましたが、レゾナンスを上げても自己発振しません。サイン波はオシレータで得ることになります。

 ENV-1を使うかVCA(アンプ部)とENV-2を共用するかを選ぶことができます。

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 VCA(デジタルアンプ)。

 レベルスライダーがこのシンセサイザーのボリュームになります。

 トレモロのデプスを0~3で段階的に設定できます。

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 ENV-1。

 オートベンド、PWM、フィルターの径時変化のソースに充てられます。リバース曲線に設定することもできます。

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 ENV-2。

 VCA単独で使う場合と、フィルターと共用する場合とがあります。

 右のキーボードフォロースイッチは、キーボードフォローをどのENVにかけるかを選択します。

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 パッチナンバーボタン。

 1~8のボタンの二桁の組み合わせ、つまり、11~88で64音色を呼び出します。

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 パッチプリセットボタン。

 JP-08にはパッチ二つをレイヤー発声させるデュアルモードがあります。八つの組み合わせをこの1~8で呼び出します。 

 今回試し忘れたのですが、ポルタメントに関して、オン/オフはこの画像右端のデュアルボタンを押しながらリボンコントローラー左を、ポルタメントタイムはデュアルボタンを押しながらリボンコントローラー右で設定します。

 また、発声モードは、ソロをデュアルボタン+パッチプリセットボタン6、ユニゾンをデュアルボタン+パッチプリセットボタン7、ポリフォニックをデュアルボタン+パッチプリセットボタン8で指定します。

 マニュアルボタンは、音色設定操作子群の現状を、発声に反映させます。

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 この画像は、恒例の喜多郎mini KORG 700Sリードの設定です。

 リバース曲線のENV-1をオートベンドのソースに使い、VCF、VCAでENV-2を共用しています。

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 Boutique JP-08での喜多郎mini KORG 700Sリードのシミュレーションの肝になるパルスウィズの設定。上の方で書きましたがJUPITER-8での経験値そのままです。

 もっとも、かつてのローランドのアナログシンセ及びアナログモデリングシンセRoland JP-8000、JP-8080のパルスウィズの変化は、共通しています。

 Roland JD-Xiが来ましたで書きましたが、JD-XiのSuperNATURALシンセトーンのパルスウィズでこのリード音をシミュレーションすると、Roland JUPITER-80JUPITER-50のトラブルの一つ、

高い鍵域を演奏すると鳴り方がおかしくなる

の現象が出ます。しかしながら、Boutique JP-08の場合、至極自然に発声してくれます。

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 Roland Boutique JP-08、JX-03JU-06は限定生産であり、早晩、現行機ではなくなると思うのですが、ローランドさんにはその意を曲げて、もう少し後にこのシンセサイザーを手に入れる状況に至る人間の為の決断を下していただけたらと思います。


Roland Boutique JP-08
http://www.roland.co.jp/products/jp-08/

Roland K-25m
http://www.roland.co.jp/products/k-25m/

Roland Boutique
http://www.roland.co.jp/promos/roland_boutique/

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by manewyemong | 2015-12-29 07:45 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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