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KORG minilogue試奏記(1)

 implant4さんで、プログラマブルアナログポリフォニックシンセサイザーKORG minilogueを試奏させていただきました。

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 KORG minilogue(ミニローグ)は、平成28(2016)年1月15日に発表され、同30日に発売されました。implant4さんには既に中古機が入荷していて、ウェブサイトの在庫リストにもアップされています。

 今回試奏させていただいたminilogueは、発売から一ヶ月を経ていない事もあり、新品としか思えない美品でした。

 全くの余談ですが、implant4さんには、このminilogue以外にも、Roland Boutique JP-08JU-06YAMAHA refaceと、発売からさほど日を経ていないモデルが入荷しています。バブルの頃、発売直後のシンセサイザー及びその周辺機器の新製品を中古で探す事は、特段難しい事ではありませんでした。今、もしかしたら、消費マインドが上向いて、多少なりともその頃に近づいているのかなとも思えます。

 このKORG minilogue試奏記(1)では、奏者やマニピュレータとの接点や、シンセサイザーエンジン以外の諸機能を、そして、KORG minilogue試奏記(2)では、シンセサイザーエンジン部分について記したいと思います。

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 KORG minilogueは、他に類例の無い不思議な姿をしています。少し反ったフロントパネルに、操作子群や鍵盤が配されていて、本体部分はその下に隠れる形になっています。

 奏者側と演奏を聴く側の視点によって、minilogueの印象はずいぶん変わります。かつてKORG RADIASM3のデザインに、演奏を観る側の視点の不在を感じたのですが、minilogueは双方の目線を意識したデザインになっていると思います。

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 リアパネルは木(ピンカド材)でできています。

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 フロントパネル右に有機ELディスプレイがあり、minilogueを発声させると、オシロスコープが、また、音色をエディットするとその内容が表示されます。

 店頭での試奏の折、つまみを動かしてもEG INT等一部のパラメーターしか表示されない場合、エディットモードのグローバルエディットを選び、ボタン5を1回押し、

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 パラメーターディスプレイを「Normal」から

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 「All」にすると、エディットされたパラメーターが表示されます。

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 鍵盤はKORG MS-20 miniRK-100SARP ODYSSEYと同じスリム鍵盤。

 ベロシティはカットオフフリケンシーの開きと音量のソースになります。これ以外の目的にベロシティを充てる事はできません。

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 コントローラーはコルグ伝統のジョイスティックでもホイールでもなく、右下がりに斜めに配されたスライダーです。ピッチベンド以外にも様々なディスティネーションを、ただし一つだけを選んでアサインできます。

 このスライダーは手指を緩めると勝手にニュートラル位置へ帰ってくれます。スライダーはニュートラル位置で左右をバネに挟まれた状態になっていて、左へ動かすと左側のバネが、右へ動かすと右側のバネが押されて動きます。このバネはニュートラル位置から遠くなるにつれて抵抗が強くなっています。

 コルグ伝統のジョイスティック、ローランドのベンダーレバー、そして、多くのメーカーが採っているホイールが、いずれも弧を描いて動くのに対し、minilogueのコントローラーはスライダー型故に、文字通り水平に滑って動きます。

 また、このスライダーは、ピッチベンドに使う場合、

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 ニュートラル位置から右(右下)へ動かす時と、

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 左(左上)へ動かす時で、バリューを個別に設定できます。これは私にとって非常にありがたい事です。私が知る限り、アナログシンセでこれができるのは、Roland JD-Xiのアナログシンセトーンだけでした。ただし、正逆の逆転は出来ません。

 また、例えばビブラートデプスを充てた場合、

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 ニュートラル位置でビブラートデプスの中間値が入った形になります。したがって、デプスを0にする場合、

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 スライダーを左端に持ってきておく必要があります。

 勝手にニュートラル位置に戻ってくるが故に、このスライダーでビブラートやグロウル効果をコントロールする場合、始終指を離す事ができないという事を念頭に置いておく必要があると思います。

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 音色設定操作子はつまみとレバーで、ボタンや上下に動かすタイプのスライダーはありません。選択設定操作子は全てレバーで、ボタンを押し送る形と異なり、往きつ戻りつができるので素早く選択できます。

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 操作子群の配置も、音色設定時、演奏時を問わず、動線的に実に合理的だと思います。例えば、フレキシブルEGはVCA EGより奏者側に、そしてそれに接する形でLFOが配されています。

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 音色プログラムはプログラム/バリューつまみを回して選びます。シフトキーを押しながら操作すると10音色跳ばせます。

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 フロントパネル右端奏者寄りに八つの自照型ボタンが並んでいます。局面によって役割が変わる(画像はグローバルモードのパラメーター表示に関するもの)のですが、その一つに、かつてKORG PolysixMono/PolyPOLY-800等でキーアサインモードと呼ばれたボイスモードの選択があります。

 このボイスモードは、キーアサインモードよりも素晴らしく進化しています。minilogueのシンセサイザーエンジン以外の機能で、私が最も気に入ったのがここです。

 ボイスモードは八つのボタン直下に語彙とアイコンが配されていて、上のボイスモードデプスつまみと併せて使う事で、キーアサインモードでは考えられなかった効果が出せます。

 コード弾きを左手でしかできない私としては、ボイスモード関連の操作子群がこの位置にある事は、大変都合が良いです。

 ポリの場合、4声のポリフォニックなのですが、ボイスモードデプスの操作によって、押さえた和音の転回形が発声されます。例えば「ドミソ」が「ミソド」「ソドミ」といった具合。

 デュオやユニゾンは、文字通り、4声を、2声やモノフォニックのユニゾンに振って発声させるのですが、ボイスモードデプスがディチューンになります。

 モノは、ボイスモードデプスが0だとモノフォニックの、いわゆるソロモードなのですが、このバリューを変えるごとに1オクターブ下、2オクターブ下の音が加味されます。

 また、ユニゾンやモノの時にポルタメントが、

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 オフだとトリガーモードはマルチ、

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 0だとシングルになります。

 ボイスモードのアルペジエータは、micro KORGmicroKORG XLといったコルグのアナログモデリングシンセに搭載されてきたものよりも進化しています。

 例えばマニュアルというタイプでは「ド」「レ」「ミ」と弾くと「ドレミドレミ…」と発声し、「ミ」「レ」「ド」では「ミレドミレド…」と発声します。つまりアップにもダウンにもなります。

 KORG minilogueには、16ステップのシーケンサーが載っています。鍵盤によるリアルタイム入力や、モーションシーケンサーとして最大四つのディスティネーションの周期変化/径時変化のソースになるのですが、KORG MS2000、RADIAS、R3のモッドシーケンス機能や、Roland V-synthのマルチステップモジュレータのように、押鍵すると1回実行される、あるいは押鍵中実行が繰り返されるといった使い方ができず、私としては特段興味が湧きませんでした。

 minilogueのLFO波形には、サンプル&ホールドあるいはランダムの類が無いので、私の場合、この16ステップシーケンサーにでたらめな音階を打ち込んで、それらしく使う事ぐらいしかなさそうです。

 なお、この16ステップシーケンサーを走らせるおり、先の八つの黒いボタンが1~8、9~16の実行中のステップを示してランプを灯します。ここはモッドシーケンス機能と同じです。

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 アルペジエータや16ステップシーケンサーのテンポの操作子が、なぜか遠く離れたフロントパネル左端にあります。

 音色設定操作子群の現状を発声に反映させる、要するにPolysixのマニュアルボタンに類する専用の操作子はありませんが、パネルロード機能(プレイボタン+シフトキー)で同じ事ができます。

 端子群について。音声出力はモノラル。音声入力端子があり、VCFへ通じています。MIDI端子は平成期のコルグアナログシンセとしては初めて、OUTがあります。シンクロイン/アウトがあります。

 KORG minilogue試奏記(2)に続きます。


KORG minilogue
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/minilogue/

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by manewyemong | 2016-02-22 10:16 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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