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Roland Boutique JU-06試奏記

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 implant4さんで、アナログモデリングシンセサイザーRoland Boutique JU-06を試奏させていただきました。新品としか思えない美品でした。次回の在庫リスト更新でアップされると思います。

 ちなみに平成28(2016)年8月26日の時点で、implant4さんの店内にはBoutique3機種全てが箱付きの状態でありました。

 JU-06は他のRoland Boutique同様、既に製造終了が伝えられているのですが、平成28年8月26日の時点で、国内の複数軒の楽器店さんで新品購入が可能です。

 Roland Boutiqueシリーズは、Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-06が出ますRoland Boutique JP-08試奏記Roland Boutique JX-03試奏記で採り上げています。

 JU-06の元になったアナログシンセサイザーRoland JUNO-106について、Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-06が出ますで少し触れています。

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 フロントパネルを見ていきます。

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 横一列に並んだ音色設定操作子のスライダーは、JP-08同様自照式です。JUNO-106と比べると、演奏操作子として使うにはやや小さすぎですが、細かい設定にこだわる、演奏時に鍵盤やコントローラー、アサイナブルボタン以外にはめったに触れないという、要するに私のような人間にとって、必ずしも悪く無い形状です。

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 電源を投入するとマニュアルボタンが点灯し、現在の音色設定操作子の状態の音色が、発声に反映されます。

 バンクボタン1~8とパッチナンバーボタン1~8の組み合わせで、記憶されている音色設定を呼び出すのですが、バンクボタン、パッチナンバーボタンとも、押し込まれたボタンがニュートラル位置に戻った時点、つまり、指がボタンから離れた状態になって初めて選択が確定されます。

 記憶された音色が呼び出された時点で、マニュアルボタンのランプが消えます。

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 Roland Boutiqueシリーズの演奏性やルックスに興趣を添えているリボンコントローラー。

 左側のリボンコントローラーC1がピッチベンドを、C2がモジュレーションをコントロールする事、指が触れる位置に右横のランプが追従する事等、他のBoutiqueと同じです。

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 LFO。

 レイトとディレイタイムのみで、波形の選択はできません。

 ディレイタイムは額面どおり、押鍵からモジュレーションが実行され始めるまで時間を設定します。ただ、ディレイタイム実行後、設定したモジュレーションデプスに達するまでに、若干のフェイドインタイムが既定値として入っていると思われます。唐突感を無くし、モジュレーションを有機的なものにしています。

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 オシレータ。

 波形は矩形波を含むパルス波と鋸歯状波。オン/オフが設定できる、つまりオシレータを無効化できるという事で、フィルターの自己発振が可能という事になります。

 パルスウィズモジュレーションのソースはLFOだけです。私としてはJUNO-106ではなく、Roland JUNO-6、JUNO-60のPWMのようにENVも加えていただきたかったところです。

 ただ、このLFO変調によるPWMと有名なJUNOコーラスの組み合わせが、アナログJUNOシリーズやBoutique JU-06の大きな魅力だと思います。

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 フィルター。

 ハイパスフィルターのカットオフフリケンシーは、JUNO-106、JUNO-60では4段階でしか設定出来なかったのですが、JU-06はJUNO-6同様、0~最大値までをスライダーで連続的に設定できます。

 ローパスフィルターは、自己発振させてサイン波を得る事ができます。キーボードフォローを最大値にすると、スケールが平均律になります。デジタル故か、きっちり平均律になりました。

 フィルターを自己発振させ、鉄琴かオルゴールを柔らかくしたような音にディレイビブラート(この場合、フィルターモジュレーション)がかかった音色を作り、喜多郎さんの「菩提樹」(アルバム「天竺」より)のオスティナートを弾いたのですが、雰囲気がよく出ました。

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 アンプ、ENV。

 ENVは、ローパスフィルター、アンプでのみ共用されています。オートベンドやモジュレーションの径時変化等のソースにはなりません。

 アナログJUNOシリーズは、アナログシンセにしてはENVが素直に変化してくれたのですが、もちろんJU-06はその事を継承しています。

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 内蔵エフェクターは、コーラス1、2、デジタルディレイがあります。

 JUNOコーラスとして知られる二つのコーラスは、JUNO-106の場合、どちらか一つしか使えなかったのですが、JU-06はJUNO-6、JUNO-60同様併用する事ができます。効果の風合いにアナログJUNOとの違和感がなく、音声のステレオ出力が活きます。かつてimplant4さんでJUNO-6を試奏させていただいた時と同様、しばし、あの頃に浸らせていただきました。

 また、マニュアルボタン + 12でコーラスエフェクトに混ざるノイズを選択することができます。1がオフ、2がハーフ、3がオリジナル。

 ディレイはJUNO-106には無かった機能。JX-03同様、マニュアルボタン + 14で元音とディレイ音のバランス、マニュアルボタン + 15でディレイタイム、マニュアルボタン + 16でフィードバック数を選択します。これらパラメーターを選択した後、マニュアルボタンを押したまま1~16ボタンを選択する事でバリューを入力(選択)します。16段階の設定という事です。

 コーラス2ボタンは、リボンコントローラーC1、C2と併用する形で、ポルタメントの設定に使います。コーラスボタンを押しながらC1の上方に触れるとオン、下方はオフ、C2でポルタメントタイムを設定します。

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 ポルタメントがどういう状態であるかを視認するには、コーラス2ボタンを押しっぱなしにします。リボンコントローラーC1のライトが灯っていればポルタメントがオン状態である事を、C2のライトの長さはポルタメントタイムを示します。

 ポルタメントのカーブは非リニア変化でした。Roland Boutique JX-03試奏記でも触れましたが、Boutique JX-03、JU-06は、非リニア変化のポリフォニックポルタメントがかけられるモデルとしては、シンセサイザーの歴史上、最も安価である可能性があります。

 また、コーラス2ボタンを押しっぱなしにした状態の時、キーアサインモードの、ソロ、ユニゾン、ポリフォニックのうち、選択されているボタンのライトが灯ります。

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 リアパネル側。

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 Micro USB、ヘッドフォン、音声出力、音声入力、の諸端子群及びマスターボリューム。

 USBはMIDIだけでなく音声も扱う事ができます。音声出力はステレオ。音声出力、ヘッドフォン端子ともミニプラグです。音声入力はここから入れた音声信号をJU-06で加工するといったものではなく、音声出力やヘッドフォン端子から出力されます。

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 MIDI OUT、IN端子、「RRoland」のロゴ。

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 他のBoutiqueよりパラメーター構成が簡便であるという事で、アナログJUNOシリーズ同様、マニピュレーション上で誰かの個性を汲んでくれるという可能性は低いシンセサイザーだと思います。しかしながら、ステレオ音場の端で、あるいはMIDIを介して他のシンセと組み合わせて一つの音色を作ったりと、隠し味に使うと映えるモデルのような気がします。

 Boutique3機種全てに思うのですが、サイズも形状も大きく異なる故に、元になったシンセサイザー達との操作感の違いは如何ともし難いのですが、出音に関して、似ているか否かでいえば、かなり良い線をいっているのではないでしょうか。無論、似ている事が全てではありませんけど。

 設定が簡便な音色をわざわざワークステーション機でマニピュレーションするくらいなら、JU-06で行った方が事は速く済む、ポリフォニックポルタメントを非リニア変化でかけられる、筐体が小型であり邪魔にならない、そして、価格が安い事を以って、JX-03と併せて導入を検討してみようかなとふと思いました。


Roland Boutique JU-06
https://www.roland.com/jp/products/ju-06/

Roland Boutique
https://www.roland.com/jp/promos/roland_boutique/

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by manewyemong | 2016-08-27 09:03 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong