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Roland AIRA SYSTEM-8が出ます

 平成28(2016)年9月10日、ローランドは、アナログモデリングシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-8を発表しました。

 一見して、Roland AIRA SYSTEM-1の姿やパラメーター構成がベースになっていると思うのですが、ここではSYSTEM-8になって変わった点を中心に書きたいと思います。

 鍵盤数が49になっていて、ベロシティがあります。ただし、そのディスティネーションは、カットオフフリケンシーの開き具合と音量だけです。また、ベロシティオフボタンで設定を無効化する事もできます。

 コントローラーがローランドの伝統的なベンダーレバーになっています。ピッチやカットオフのベンドのレンジやモジュレーションの感度をベンダーレバーの近くで設定できます。残念ながらRoland GAIA SH-01JD-XiJD-XAとは異なり、SYSTEM-1と同じくSYSTEM-8もピッチベンドレンジをダウン/アップ個別に設定する事はできません。

 フロントパネル中央近くに画面があり、その左横にシフトキーとメニューボタン、右側にバリューつまみ、カーソルボタン、確定ボタンが配されています。おそらく、音色設定操作子を動かすとバリューの変化が表示されると思います。

 64ステップのシーケンサーがあります。打ち込み方はステップだけでなく、リアルタイムも可能です。SYSTEM-8のこの内蔵シーケンサーの操作子に関して、ふとRoland SH-101のそれを思い出しました。

 アルペジエータ、コードメモリーがあります。

 MIDI IN OUT、USB Type Bに加えて、ミニタイプのCV OUT、GATE OUTがあります。もちろん、OCT/Vです。Roland SYSTEM-500等に使えると思います。

 シンセサイザーエンジン部分のSYSTEM-1からの変更点を見ていきたいと思います。

 LFOは、波形にバリエーション1〜3まであり、1にはSYSTEM-1と同じもの、2と3には各々6タイプがあります。

 オシレータ1、2の波形にもバリエーションが加わっています。バリエーション1でSYSTEM-1と同じ波形、2にはシステムのバージョンアップ時に加わった六つの波形があります。SYSTEM-1、SYSTEM-1mの場合、この六つの波形はレガートボタン+ 波形つまみで選択します。

 ローランドの現行機のSuperNATURALシンセトーン、アナログシンセのPWMのソースが、LFOしかない中にあって、SYSTEM-1はカラーのソースという形で豊富にあります。アナログシンセ時代、私は撥弦系の音にENV変調のPWMを使ったのですが、SYSTEM-8で発声数が8になった事はさらにありがたい。

 話が逸れるのですが、SYSTEM-1、SYSTEM-1m、そしてこのSYSTEM-8のバリエーション1にある三角波2が、GAIA SH-01やSuperNATURALシンセトーンの三角波B、ローランドのPCMのオシレータ波形700トライアングルと同一のものなのかをいつも確認し忘れてしまいます。これらはminiKORG 700、700Sの三角波を模したものと思われるのですが、いずれSYSTEM-8試奏の折に確認したいと思います。

 SYSTEM-8で新たに加わったオシレータ3/サブオシレータは、単に1、2オクターブ下の音を加えるだけでなく、波形をサイン波/三角波から選べます。また、オシレータ1、2同様カラーで波形を変調できます。ただしソースに関するパラメーターが無い事からマニュアル変調のみと思われます。

 オシレータミキサーがオシレータ間の割合では無く各々のレベルを設定する事から、SYSTEM-1同様、フィルターが自己発振するものと思われます。

 フィルターにもバリエーションがあり、1にはこれまでのフィルタータイプが、そして2は新たの6種のタイプが選べます。

 古くはRoland JUPITER-8、その後、SH-201を経て、最近ではBoutique JP-08にまで続くアッパー/ロワーが、パフォーマンスモード時のSYSTEM-8にもあります。エディットや発声をそろってするか否かを選べます。例えばオートベンドの有る無しを設定して、演奏時にオン/オフの代わりに使うといった事ができます。アッパー/ロワーがある事は、次に記すPLUG-OUTにJUPITER-8がある事も関わっていると思います。

 AIRA SYSTEM-1の特徴として、パソコンを通じて専用のソフトシンセを持ってくるPLUG-OUTがありますが、SYSTEM-8はこれが3種入るようになっています。付属としてJUPITER-8、JUNO-106モデルが用意されます。

 一見、姿もパラメータ構成も似たSYSTEM-1とSYSTEM-8が、奏者やマニピュレータが見えない世界では、かなり異質の存在である可能性があります。あるいはそれは、試奏すればわかる事なのかもしれません。

 かつてRoland AIRA SYSTEM-1が発表された時、特にキーボーディスト諸賢の中に、今回のSYSTEM-8のような姿のシンセを脳裏に描き、その登場を希求した向きも多いのではないでしょうか。キーボーディスト諸賢ではない私もその一人です。弾く人にとってSYSTEM-1は本来かくあれかしと考えたそのままが、SYSTEM-8として具現化した感があります。

 Roland AIRA SYSTEM-8の価格は159,840円(税込)、発売日は平成28(2016)年9月23日です。

 Roland AIRA SYSTEM-8試奏記に続きます。


Roland AIRA SYSTEM-8
https://www.roland.com/jp/products/system-8/

by manewyemong | 2016-09-11 08:41 | シンセワールド | Comments(0)