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2016楽器フェアでこんなものを見ました

 平成28(2016)年11月4日から6日まで東京ビッグサイトで催されている楽器見本市2016楽器フェアに行ってきました。

 私は11月3日から5日まで上京していたのですが、そのうちの4、5日をこの催しの参観に充てました。詳らかな事は書けないのですが、関心を持ったものについて至極簡単に記したいと思います。

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 コルグのブース。

 楽器フェスティバル2008では、池袋サンシャインとは別に、今は亡きトヨタアミュラックスホールにブースを置いていたのですが、今回はブースを完全に囲って隔離する形でした。

 2016楽器フェア直前に、モノフォニックアナログシンセサイザーKORG monologueが発表された事もあってか、シンセサイザー関連のブースでは、ここに最も多くの人が来ていた印象があります。

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 KORG monologue-RD(赤)。

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 KORG monologue-GD(金色)。

 KORG monologueは、2016楽器フェア直前に発表されたアナログモノフォニックシンセ。展示会場には他にmonologue-BL(ダークブルー)、monologue-BK(BKカラー)が試奏用に設置され、monologue-SL(銀)はデモンストレーション用としてコルグブースのステージBでも使われていました。

 マイクロチューニング機能はデジタルシンセでは珍しくないのですが、アナログシンセの場合、かつてKORG PS3000シリーズのテンパーメントアジャストを想起させられます。

 押鍵中だけ実行されるモードがあるモーションシーケンサーは、様々なディスティネーションに充てる周期変化のソースたり得ると思います。押鍵中実行し続けるのだけでなく、1回だけ実行するなんてモードがあれば、周期変化だけでなく径時変化のソースとして使えるのですけど、調査し忘れました。

 KORG minilogue同様、ピッチベンドのレンジをダウン/アップ個別に設定する事ができます。

 ポルタメントのカーブはminilogueと異なり、非リニア変化だったような気がします。

 ちなみに語彙としての「monologue」には「独白」の意味があるそうです。

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 上手く撮れなかったのですが、これも2016楽器フェア直前に発表されたアナログモデリングシンセサイザーKingKORG BK。カラーリング以外変更点はなく、この発表に合わせたシステムのアップデートもありません。

 私は基本的に金色(こんじき)が好きなのですが、KingKORGの筐体の淡いシャンパンゴールドに絢爛さを感じられず、

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 むしろ黒地に金色の文字が描かれているKingKORG BKの姿に、我がデコラティブジャパン(絢爛な日本)感を刺激されてしまいます。デコラティブジャパン感の雄、豊臣秀吉の大坂城(大阪城)の色使いに通ずる気がします。ただ、いっその事micro KORG-BKBKのように白鍵も黒くしてしまった方が面白かったと思うのですけどね。

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 minimoog model D復刻機。

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 私が知っているminimoogとは、少し異なっています。


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 パッチングのソースとディスティネーションを指定するマトリックス。ただただ、壮観。

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 オクターブトランスポーズ、ポルタメント(グライド)のオン/オフ及びレイトの設定、発声の低着/高着/後着優先に関する選択等の操作子が、ホイールのそばに集約されています。私はここも気に入りました。

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 アナログリズムマシンARTURIA DRUMBRUTE。こういうものの使い方が分からないながら適当に触ってみたところ、民族音楽みたいな土俗的なリズムが出来てしまいました。

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 2016楽器フェア直前に既に販売が開始されているのですが、実機を見るのは今回が初めてです。

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 参考出品機ARP ODYSSEY FS及びKORG KRONOS LS。

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 ARP ODYSSEY FSは、ローパスフィルターをリビジョン1〜3から選べる事やプロポーショナルピッチコントロールがある事等から、Rev.1の復刻ではなく、86%にダウンサイジングして復刻したKORG ARP ODYSSEY Rev.1を、逆に約116.279%にアップサイジングしたアナログシンセサイザーといえると思います。

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 ワークステーション機KORG KRONOS LS

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 88鍵機ながらKORG KRONOS 2 88等のRH3(KORG M3-88試奏記参照)ではなく、軽い感触の鍵盤を採っているようです。

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 筐体は光沢のある小豆色(あずきいろ)。京阪神地区の人なら、阪急電車を思うかもしれません。

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 側面のこの化粧板に、某社電気ギターを想う人もいると思います。

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 VOX Continental。

 REON(レオン)のブース。

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 プログラマブルオーディオ/CVミキサーREON drift box C。

 こういうモデルがKORG volcaシリーズから登場する事を希求する向きがあるかと思います。

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 REON drift box W。

 計5本あるジョイスティックでどんな事ができるのか想像がつかないのですが、なんだかエグい表現ができそう。

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 先般復刻されたmoog system 55や35と雰囲気が似ているシステムシンセサイザー。気のせいか木の部分の仕上げが、私がこれまで見てきたREONのモーグシステムシンセ型システムシンセよりも上手くなっているような気がします。

 なお、今般REONは、クラウドファンディングという形でのREON driftbox X ユーザーカスタマイズ型”ビルトイン”シンセサイザーの開発計画を発表しています。詳しくはこちらREON driftbox X ユーザーカスタマイズ型”ビルトイン”シンセサイザーの開発(https://www.booster-parco.com/project/117)をご覧ください。

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 冨田勲さんのお使いになったシンセサイザーなどの機材を展示したTOMITA MEMORIAL MUSEUM。

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 全景。

 中央のmoog III c(モーグスリーコンソール)のみ冨田さん所蔵のものではなく、モジュールの構成からおそらくKYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015に展示されていた個体だと思われます。

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 システムシンセサイザーKORG MS-50とMollotron 400。

 MS-50がどういう使われ方をしたのかはわからないのですが、冨田さんのアルバムのリーフレットの写真に、冨田さんと一緒に映り込んでいる事が多いシンセです。「風の又三郎 ガラスのマント」オリジナルサントラ盤に至っては裏ジャケットに一緒に写っています。

 MS-50の「KORG SYNTHESIZER」のロゴの下に、「TOMITA」というテプラが貼ってあるのですが、冨田勲さん手づから打たれたのではないかとの事でした。

 Mollotron 400は、冨田さんの作品のあの壮大な人声を担った楽器です。単純にMollotron 400の多重録音ではなく、モーグのシステムシンセに通してお使いでした。ある意味、後述するカシオコスモシンセサイザーの使い方に近いと言えるかもしれません。

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 ポリフォニックアナログシンセサイザーYAMAHA CS-80のリアパネル側。

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 このCS-80は、デジタルシーケンサーRoland MC-8の音源として使う事ができるように改造されています。

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 SEQUENTIAL CIRCUTS prophet-5。アルバム「大峡谷」では、オーボエやクラリネット、チェレスタでクレジットされています。ヒートシンクが付いたリビジョンなのですが、たしかMIDIはありませんでした。

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 ヒートシンクと「prophet-5」のロゴプレート。

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 prophet-5の下に設置されていたRoland JUPITER-8。冨田さんの作品にクレジットされているのを見た事は無いのですが、昭和57(1982)年のいくつかの雑誌グラビアで、高輪の冨田さんのスタジオにあるのを見ました。

 JUPITER-8は昨年、Roland Boutique JP-08という形で蘇りました。またRoland AIRA SYSTEM-8に、PLUG-OUT JUPITER-8が用意されています。

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 CASIO COSMO SYNTHESIZER。

 カシオが作ったデジタルシンセサイザー試作機。

 冨田勲さんのアルバム「ドーンコーラス」で、獅子座AD星等変光星の明滅のグラフを、デジタイザータブレットを使ってこのコスモシンセサイザーへ読みこんでオシレータ波形の1セグメントとし、モーグやローランドのシステムシンセサイザーへ送り、そのシステムシンセをRoland MC-8、MC-4で演奏するという形が採られました。デジタルのコスモシンセサイザーとアナログのシステムシンセ群で、一つのハイブリッドシンセを形成したという見方もできると思います。

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 コスモシンセサイザーを構成するユニットの一つ、サンプラーZZ-1。

 フロントパネルの透明部分に、TOMITA MEMORIAL MUSEUMの近くにあったカシオのブースの「CASIO」が逆さまに「OISAC」となって映り込んでしまいました。

 このCASIO COSMO SYNTHESIZER開発で得た技術が、デジタルシンセCASIO CZシリーズ、サンプラーFZシリーズとして製品化されたのだと思います。

 4日12時に催されたTOMITA MEMORIAL MUSEUMステージでの第1回のトークライブ終了後、私の横に、晩年の冨田勲さん以上にアルバム「ダフニスとクロエ」「大峡谷」等のリーフレットの冨田さんによく似た方が立っておられました。多分、以前ビールのTVCMに出演されていたあの方だと思うのですが…。

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 ヤマハのブースで見つけたYAMAHA MX61 WH。MX61の白い限定生産機。

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 来る12月1日発売予定。

 2016楽器フェアで、私は結局シンセサイザー関連のブースしか体験できなかったのですが、それにしても、シンセサイザーという楽器に淫した人が、地球上にまだかくも数多いるという事をあらためて実感いたしました。

 21世紀に入ってシンセは終わったという声を聞かなくもないのですが、アナログシンセ廉価機や黎明期のモデルの復刻機からワークステーション機、ソフトシンセと、今ほど使う側の我々にとって広大な選択肢が用意された華やかな時代は過去に無かったと思います。あとは使う側の我々次第だと思います。

 一つシンセとは関係がない事を付記すると、特に2016楽器フェア2日目の5日土曜日、アコースティック/電子を問わずドラムメーカー各社の試奏コーナーで、幾人ものちびっ子ドラマーを見ました。とにかくバチさばきやキックが上手い事と、表情の真剣さに感じ入りました。


2016楽器フェア

「2016楽器フェア」コルグ/KID出展のお知らせ


TOMITA MEMORIAL MUSEUM

REON

REON driftbox X ユーザーカスタマイズ型”ビルトイン”シンセサイザーの開発


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by manewyemong | 2016-11-06 14:39 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong