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minimoogのクローンbehringer Dが紹介されています

 数日前からインターネット上の複数のウェブサイトで、behringer Dなるどう見てもminimoogを模したと思われるシンセサイザーに関する画像と仕様が紹介されています。

 平成29(2017)年3月12日夜の段階で、ベリンガー社からの発表は無いようなのですが、同社ツイッターに、

MiniMoog or Model D? Here is the latest Uli said about the new Model D

のコメントがトップ固定で置かれています。

 “インターネット上の複数のウェブサイト”に、出所が同じと思われる仕様の列挙と画像が掲げられているので、それを元に私が理解できた範囲で、behringer Dについて触れたいと思います。誤りがある可能性についてご理解ください。

 今後、ベリンガー社の発表や日本の代理店等の情報公開の際に、大幅な加筆や改稿を加える可能性があります。

 behringer Dはアナログモデリングシンセではなく、minimoogと同じ非プログラマブルのアナログモノフォニックシンセサイザーです。

 鍵盤やホイール等のコントローラーは無く、基本的には卓上に設置するタイプの単体シンセサイザーモジュールなのですが、フロントパネル面を縦にした場合、ユーロラックの高さと合うようになっていて、ユーロラックのシステムシンセのセットに組み込む事ができます。

 behringer Dはモノフォニックシンセなのですが、ポリチェイン機能があり、MIDIを介して16台を連結して最大16声のポリフォニックシンセとして使う事ができます。behringer Dに限った事ではないのですが、ポリチェイン機能はMIDIを介して直列つなぎにしないと役目を果たす事ができず、それ故、behringer DのMIDI端子は、INだけでなくTHRUがあります。

 behringer Dのフロントパネルはminimoogと同じセクション分けがなされています。

 グライド(ポルタメント)があるのは同じなのですが、minimoogのようなオン/オフスイッチはありません。

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 画像は2016楽器フェアで撮ったminimmog model D復刻機です。minimmog model D復刻機はモジュレーションソースを、VCO3かフィルターEGか、ノイズかLFOかを選択するスイッチがあり、モジュレーションミックスで両者の混ざり具合を設定してディスティネーションへ送る形になっているのですが、behringer Dもこの機能を受け継いでいます。

 SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5にも、モジュレーションミックスと同じソースミックスという機能があるのですが、SEQUENTIAL prophet-6には継承されませんでした。

 宇宙戦艦ヤマト第1作から宇宙戦艦ヤマト2202に至るまで使われている、柏原満さんの手によるminimoogを使った効果音(「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の音「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の音参照)の中に、LFO(VCO3)とノイズを混ぜてディスティネーションへ送るモジュレーションミックス機能を活かした効果音がいくつかあります。また喜多郎さんもこの機能を活かした効果音を使っています。実はよく聴くと、ヤマトの主砲の弾道が砲門から放たれる音と喜多郎さんのこの効果音とが似ていたりします。

 喜多郎さんの「プルルルルルルルルルッ」もヤマトの主砲の「ブズズズズズズズ」も、LFO(VCO3)の上昇型鋸歯状波とホワイトノイズをモジュレーションミックスで混ぜ、自己発振させたVCFに送っているのですが、上昇型鋸歯状波故にピッチが上がるのとカットオフが開く事でノイズの割合が増していく効果を利用しています。

 ただ、LFO(VCO3)は周期変化のパラメーターなので、繰り返しの間隔を毎度毎度奏者やマニピュレータが決める事はできませんでした。かつて私が持っていたminimoogは、喜多郎さんのよりもLFO(VCO3)のフリケンシーを最遅にしても速過ぎるので、繰り返しの間隔がせま過ぎました。この点、minimoog model D復刻機やbehringer Dは、モジュレーションミックスのソースにVCF EGとノイズを充てられるので、鍵盤を押すと1回だけ「プルルルルルルルルルッ」や「ブズズズズズズズ」を発声させるという事ができます。押鍵やシーケンサーの設定で間隔をその都度決める事ができます。

 minimmog model D復刻機のLFOは、ホイール付近にあるレイトつまみを引っ張り上げるか否かで三角波か矩形波を選ぶ形なのですが、behringer Dはレイトつまみ、波形選択スイッチが独立して存在しています。

 三つのVCOは波形の種類やVCO3がLFOになるといったminimoogの仕様を継承しています。ランプ(Ramp:傾斜)波があるので、喜多郎さんの「MYSTERIOUS ENCOUNTER」の出だしの音のシミュレーションに使えます。

 三つのVCO、ノイズ、外部入力のレベルやホワイト/ピンクのノイズの種別の選択を行うミキサー部も、minimoogと同じです。

 なお、音声入力に限らず、入力端子、出力端子は、minimoogがリアパネル側にあるのに対し、behringer Dはフロントパネルの関係セクションの所に設けられています。

 VCFはローパスフィルターだけでなくハイパスフィルターもあります。併用ではなく、どちらかを選ぶ形です。

 VCA EGのディケイタイムをリリースタイムにするか否かのスイッチは、minimoogの場合、ホイールのそばにあったのですが、behringer DはVCA EGの横にあります。

 こうして見ていくと、behringer Dは、ビンテージminimoogというより、モーグの現行機minimoog model D復刻機の影響を受けたモデルのような気がします。

 behringer Dの価格は、複数筋で400ドルとされています。ちなみにモーグによるminimoog model D復刻機は3,749ドル。各々今の日本円で約46,000円、430,000円。

 寸分たがわず“どこかで聴いたような音”を出したかったらminimoog model D復刻機でしょうけど、私はむしろ“これ、なんか違うぞ”な効果が出せそうなbehringer Dの方に魅力を感じてしまいます。無論、試奏してみないとわかりませんけどね。


平成29(2017)年4月22日追記。

 ドイツで催されているSUPERBOOTH 2017で、behringer Dが出品されました。試作品だそうですがモックアップ品ではなく、発声します。


minimoog model D復刻機

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by manewyemong | 2017-03-13 10:25 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong