Roland Boutique SH-01Aが発表されました
平成29(2017)年8月8日、ローランドはアナログモデリングシンセサイザー、Roland Boutique SH-01Aを発表しました。
元になったアナログシンセサイザーはもちろん、Roland SH-101です。音色設定の諸要素の構成や筐体の色、操作子の形状やその目印部分のカラーリング、ロゴのレタリング等、かつてのSH-101のそれを継承しています。
SH-101のアナログモデリング化は、既にRoland AIRA SYSTEM-1、SYSTEM-1m用のプラグアウトシンセサイザーSH-101 PLUG-OUTで実現していますが、Boutique SH-01AはあえてSH-101のままにしている部分がいくつかあります。
Boutiqueとしての仕様は他のモデルと同じで、ピッチベンド用、モジュレーション用の二つのリボンコントローラーや、オプションのK-25mに載せる事ができる等です。
SH-101は非プログラマブルのモノフォニックシンセですが、Boutique SH-01Aは64音色プログラマブル4声ポリフォニックで、ユニゾンも選択できます。SH-101を持っていた頃、KORG 800DVみたいに2声出せたらなと思う局面がありました。
SH-101の筐体はプラスチックでしたが、Boutique SH-01Aは他のBoutique同様、アルミのようです。しかしながら、公式サイトの画像を見る限り、SH-101のあの灰色が上手く再現されていると思います。
パラメーター構成を見ていきます。
LFOの波形は、SH-101から継承した三角波、矩形波、ランダム、ノイズ、そして新たに、正逆の鋸歯状波が加わっています。モジュレーションデプスにマイナス値を設定できないので、鋸歯状波を正逆とも載せたのだと思います。
LFOの波形にノイズがある事は、私がSH-101で最も気に入っていた要素でした。VCOやVCFのモジュレーションデプスを上げていくとノイズによる変調がかかります。なんとかSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5のソースミックスを真似したかったのですが、LFOとノイズを混ぜるのと、単に波形がノイズであるという事は根本的な違いがあり、満足のいく効果を生み出す事はできませんでした。
LFOのレイトに関して、どうやらSH-101同様、内蔵デジタルシーケンサーやアルペジエータのレイトと共用という形になっているようです。SH-101で私が最も残念に思っていた要素です。
オシレータ部は「VCO」と表記されていますが、もちろん実際はデジタルです。SH-101同様、一つの波形を選ぶのではなく、ソースミキサーで矩形波を含む非対称矩形波、鋸歯状波、サブオシレータの割合を決めます。
パルスウィズはマニュアル、LFO/ENVのソース選択によるPWMがあります。
フィルター(VCF)は、SH-101同様、ENVのリバース曲線を設定する事はできません。
フィルターはおそらく自己発振してくれると思うのですが、私が所有していたSH-101のような自己発振したりしなかったりする接触不良のようなポイント(カットオフ、レゾナンスとも7より上あたりで探す)が存在するか否かわかりません。SH-101 PLUG-OUTにはありません。発振するか沈黙するか、です。
そもそも私の所有機以外のSH-101ですら、そういうポイントが無い(発見できなかった)ものばかりで、あるいは私が持っていた個体独特のクセだったのかもしれません。件の状態でLFOのランダムをかけると水滴が跳ねるような音、そしてノイズをかけるとマキを火にくべたような「パチッ(チリチリ)パチッ(チリチリ)…」という、いずれも生々しい音になりました。
将来、「フィルターが自己発振したりしなかったりする接触不良のような状態」をもシミュレーションできるように、アップデートしてもらえたらと思います。
ENVはSH-101同様フィルターとアンプ(VCA)で共用する形です。SH-101 PLUG-OUTはフィルターとアンプで個別に設定できました。
Bputique SH-01Aは、Boutiqueシリーズ中、唯一、ベンダーレバーのレンジ(ピッチ、カットオフ)やモジュレーションデプスの操作子が露出しています。演奏しながらの調整ができます。
ポルタメントに関して、SH-101同様、タイム(おそらく実際はレイトです)を設定するつまみ、そしてオン/オフのトグルスイッチがあります。このスイッチはオン/オフ以外に、レガートの時だけポルタメントがかかるオートモードもあります。私の記憶に間違いが無ければ、YAMAHA DX7以前、レガートの時だけポルタメントがかかるという設定ができたのは、SH-101だけでした。
SH-101同様、100ステップのデジタルシーケンサーとアルペジエータがあります。アルペジエータはダウン、アップダウン、アップのモードがあり、アップダウンはおそらく「ドレミ」を押すと「ドレミレドレミレ…」と実行されるタイプと思われます。
MIDI IN/OUT、CV/GATE OUTがあり、これを介して内蔵デジタルシーケンサーの実行を他機へ送る事ができます。
なお、SH-101には灰色の通常色機の他に、赤、青のカラーバリエーション機があったのですが、Boutique SH-01Aにも通常色機以外に、赤のBoutique SH-01A-RD、青のBoutique SH-01A-BUが用意されます。
私が昭和57(1982)年11月に買ったRoland SH-101は、私の最初のシンセサイザーでした。その頃は私も世間も、単に安価なシンセという評価しか下していなかったと思います。アナログシンセ時代があの後もずっと続いていたら、あるいは今のような評価は受けていなかったのかもしれません。
10年後の平成5(1993)年の年明け、SH-101の買取価格が信じられない額になっていました。それに目がくらんで売却しました。
その後も、このシンセは名機としてもてはやされ、製造元のローランドによってSH-101 PLUG-OUTという形で復刻され、今回、Boutique SH-01Aの発表となりました。
かつて私が気に入っていたLFOの波形にノイズを充てられるという機能は、SH-101 PLUG-OUTや他のBoutiqueにもあるのですが、やはりBoutique SH-01Aで試してみたいものだと思います。
Roland Boutique SH-01Aの発売は、通常色機が9月29日、Boutique SH-01A-RD、SH-01A-BUは10月28日。税込価格は3色とも49,680円。
ちなみに、Boutique SH-01Aの「A」は「本物(Authentic)」の意だそうです。
平成29(2017)年9月11日追記。
本日、取扱説明書が公開されました。
Roland Boutique SH-01A
by manewyemong
| 2017-08-08 19:33
| シンセワールド
|
Comments(0)