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KORG KROSS 2が発表されました

 平成29(2017)年9月1日、コルグはワークステーション廉価機KROSSの後継機、KROSS 2を発表しました。

 KORG KROSS 2には、通常色機KROSS 2-61-MB(スーパーマットブラック)、限定生産機KROSS 2-61-RM(レッドマーブル)、そして、NH鍵盤88鍵機KROSS 2-88(ダークブルー)があります。

 KROSS 2発表と同時に、コルグのウェブサイトからKORG KROSS旧機の記事へのリンクが消えました。本稿執筆時点で、まだウェブサイトそのものは存在しているのですが、そこで製造終了が告知されています。

 本稿はKORG KROSS旧機との相違点を中心に書きたいと思います。

 KROSSでは内蔵MIDIシーケンサーの操作子のそばにあったアルペジエータやドラムトラックのオン/オフボタンが、フロントパネルの左端に来ています。私の場合、コードを左手で押さえる事が多いので、これらは旧機の位置にある方がありがたいのですけどね。

 KROSSには無かった、スイッチ、ノブ1、ノブ2の3つの演奏操作子があり、セレクトボタンによって役割を選択する事ができます。ただ、奏者やマニピュレータが演奏中に操作したいパラメーターを、自在にアサインできるわけではなく、役割を3つで1セットになった6セットから選びます。また、これら3つの操作子は、オルタネートモジュレーションソースリストには含まれていません。

 KROSSの場合、カテゴリーダイヤルの右にあったプログラム選択ダイヤルが、KROSS 2では無くなっています。カテゴリーを選択した後、プログラムを指定するのはバリューダイヤルで行います。

 KROSSでもプログラム指定にバリューダイヤルを使う事はできました。エンターキーで選択する音色を確定させると、バリューダイヤルで再び音色を変えてもカテゴリー内リストが表示されず音色名だけが変わるのですが、再びエンターキーを押すとリストが表示されます。リスト表示状態でエンターキーで音色を確定させないまま、メニューボタンを押してエディットモードの入ろうとすると、音色が確定した状態のメイン画面が表示されます。もう1度メニューボタンを押すと、エディットモードに入ります。

 カテゴリーダイヤルやバリューダイヤルに関して、KROSSの場合、パラメーターを微細に変える折のつまむ、大きくに変える折の指を乗せて速く回す、のどちらの動き(動かし)にも絶妙に追従してくれる、シンセサイザーの歴史上最も素晴らしい形状と感度だと思っているのですが、KROSS 2は、つまむ、の方向へ寄った形状をしていると思います。

 DEC(ディクリーメント)/INC(インクリメント)ボタンが無いKROSS、KROSS 2は、それ故にバリューダイヤルの繊細な追従性が求められるのですが、先に記した通りKROSSはその点満足がいくものでした。KROSS 2のバリューダイヤルがそれを踏襲している事に期待しています。

 カーソルキーが4つのボタンだったものが、押さえる位置によって方向を指定する1つの操作子へ変わっています。バリューダイヤルとの位置関係が、KROSSの場合真横だったものが、KROSS 2では斜め横になっています。バリューダイヤルがつまみに近い形状である事と併せて、試奏時に使い勝手をチェックしたいと思っています。

 液晶画面はフロントパネルと平行ではなく、より急な角度がついて筐体内部に凹んでいます。

 KROSS 2のルックスに興趣を添えている要素の一つともいうべき、16個の自照型パッドが2段に分かれて並んでいます。ステップシーケンサーの操作子やフェイバリットボタンである事は、KROSSのフロントパネル横1列に並んだ自照型ボタンと同じなのですが、KROSS 2はさらにサンプラーやオーディオプレイ機能のパッドにもなります。

 KROSS 2のシンセサイザーエンジンはEDS-iで、パラメーター構成もKROSSと同じです。最大同時発声数は120と大幅に増えています。

 オシレータ波形は、KROSSの約111MB、マルチサンプル421個、ドラムサンプル890個に対し、KROSS 2は約128MB、マルチサンプル496個、ドラムサンプル1014個に増装されています。

 私は基本的にはPCMシンセのオシレータ波形の数や精度にさほど関心が無いのですが、KROSS 2で増装されたオシレータ波形群の中には、「侘び寂びセット」「虚無僧セット」「フジヤマ(富士山)セット」「雅楽セット」等と読めるものがあります。民族楽器というか和楽器風の音を、多少なりとも生々しく出してみたいと思ってきた身には、ちょっと聴いてみたい波形群です。

 また、KROSS 2は、128MBの拡張PCMメモリにダウンロードという形で、オシレータ波形を増装できます。これが有償なのか、Roland Axialのような無償なのか等、まだ詳らかな事はわかりません。

 内蔵マルチエフェクターに関して、残念ながらKROSS同様、空間系エフェクターはマスター2でのみの使用です。つまり、同時に2つ以上の空間系エフェクターを使えません。私としては、フットボリュームより前で空間系エフェクターを2つ使いたい局面があるのですけどね。

 KORG KROMEKingKORG、KROSSのリアパネル側の「KORG」のロゴに関して、「R」の文字の中の空きの部分が光るようになっていましたが、KROSS 2の場合、「KORG」のロゴ全体が白く光ります。グローバルモードのロゴライトブライトネスの部分で、輝度の増減、あるいは消灯を設定できます。

 足まわりに関して、旧機同様、ダンパーペダル、フットスイッチ、エクスプレッションペダルの端子があります。10万円を切るシンセに関して、フットスイッチかエクスプレッションペダルのどちらかを選択しなければならないものが多い中にあって、コルグワークステーション機は、KROSS、KROSS 2のような廉価機であっても、3つのペダルが使えます。サスティンペダルは全く使わないものの、フットスイッチやエクスプレッションペダルを多用する私としては、大変ありがたいことです。

 USBはこれまでのUSB-MIDIインターフェイスに加え、USB-オーディオインターフェイスの機能も持っています。パソコンだけではなく、iPad、iPhoneといったiOS端末にも対応しています。コルグワークステーション機に関して、上級機はともかく、廉価機でこの機能が載ったのはKROSS 2が初だと思います。

 パソコンベースのライブラリアンが用意されているモデルは今でも珍しくないのですが、KROSS 2はここ数年の間に出たシンセとしては久方ぶりに、エディタ、プラグインエディタも用意されています。エディタに関して、他社機ではすっかり見なくなり、また、コルグでもKingKORGにはありません。

 コルグワークステーション廉価機のヘッドホン端子は奏者側左端にあり、KROSS 2-88もそれを踏襲しているのですが、KROSS 2-61-MB、KROSS 2-61-RMはリアパネル側にあります。

 KORG KROSS発表時、KROSS-61の4.3kgよりも、KROSS-88の12.4kgという本体重量に驚かされたのですが、KROSS 2は逆に、KROSS 2-88の12.3kgよりも、KROSS 2-61の3.8kgに目を見張りました。500グラムも軽量化されています。

 21世紀に入ってコルグは、KORG TRITON Leに始まるワークステーション廉価機を秋に発売する事が多く、TRM50、KROMEと続きました。

 私は、平成24(2012)年のKROMEから4年経った昨年秋に、同機後継機が発売されるものと踏んでいました。しかしながら、実際は今秋、KROSSの後継機KROSS 2が発売されます。あるいはKROME、KROSSとあった廉価機をKROSS 2という形で統合するのかなとも思えます。

 ただし、来るNAMM 2018あたりで、私のその考えが否定されるような事があるのかもしれません。コルグのジョイスティックを、ホイールやベンダーレバーといった他のどのコントローラーよりも気に入っている者としては、KROMEにも続きがあってほしいのですけどね。

 税込価格はKROSS 2-61-MB、限定生産機KROSS 2-61-RMが79,920円、KROSS 2-88が118,800円。発売日は9月24日。


KORG KROSS 2



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by manewyemong | 2017-09-02 11:23 | シンセワールド | Comments(0)

シンセサイザー、デコラティブジャパン(絢爛な日本)文化、絵巻、屏風、浮世絵、都市散歩、神社が好きです。鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」にちなみました。


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