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Roland SH-201試奏記

 The NAMM Show 2006で少し採り上げたローランドのアナログモデリングシンセサイザーSH-201が店頭に並び始めました。

 私は先の記事で、

MS2000シリーズや今回のRADIASが各パラメーターを本体の液晶画面で視認できたり、micro KORGやELECTRIBEがつまみが最終セーブ時の位置に来た時にORIGINAL VALUEランプが点灯したりするのと違い、ローランドのアナログモデリングシンセは一旦つまみやスライダーを動かすと、各パラメーターの正確な内容は分からなくなってしまう

Roland SH-201には購入意欲は湧きません

と、どちらかというと否定的なことを書いたのですが、実機を試奏してみて、このシンセはスペックでは表面化しない部分に魅力が隠されていることを知りました。先に採り上げたKORG RADIASとは全く逆です。

 SH-201はたしかに液晶画面どころかバリューを表示するLEDすらありませんが、音作りをしてみて、必ずしもそれらを必要としないのではないかと思えました。つまみやスライダーの形状がKORG MS2000シリーズやRADIASと違い、実に人間工学にのっとった工夫が為されていました。

 つまみの形状は単なる円柱状ではなく、指でつまんだだけで指し位置が正確に分かりました。スライダーはエディロール(ローランド)のDTM用マスターキーボードPCR-M80/50/30の形状を踏襲したもので、逆三角の谷の中をスライダーが上下するようになっていて、これもその谷を指でなぞりつつスライダーをつまむと目で見なくとも位置が分かります。もちろんスライダーですから視認性そのものが高いのは言うまでもありません。

 エディタが付属しているので、USBを介してパソコンのデスクトップ上での音作りや音色の保存が可能です。

 SH-201のユーザー音色記憶数は、32しかありません。昭和56(1981)年発売のKORG Polysixと同じです。もしかすると、使用頻度の高い音色だけ記憶させて他はその都度作ってみてはいかがか、というローランドさんからの提案なのかもしれません。

 オシレータ波形の数こそMS2000シリーズやmicro KORG、RADIASより少ないのですが、オシレータ二つともにPWMが使えます。アナログ的なにじんだ音を作るのに都合が良いと思われます。ただ、鋸歯状波や三角波等の波形にモジュレーションをかけることはできないようです。MS2000シリーズやmicro KORG、RADIAS、そしてかつてのローランドのアナログモデリング機JP-8000/8080はそれが可能でした。

 Roland SH-32にはオシレータ波形のそれぞれにいくつかのバリエーションがありましたが、SH-201にはありません。

 またENVによる波形変調はできません。ローランドのアナログモデリングシンセでこれができるのはV-Synthシリーズだけではないでしょうか。V-Synthのアナログモデリング音源部のオシレータには変調用のENV(ADSRタイプ)があります。MS2000シリーズやmicro KORG、RADIASはENVによる波形変調が可能ですし、MS2000シリーズやRADIASはモッドシーケンスによる変調も可能です。

 LFOに関して、ディレイタイムは無く、フェイドインタイムをLFOボタンを押しながらRATEつまみを回すという、想像を絶する方法で設定します。つまみの動きをモーションレコーダーに記録することができるので、これをディレイ/フェイドインモジュレーションに利用することができるはずです。実際には試していないのですが…。

 ベロシティによるコントロールは、プリセット音を弾いてみた限り、フィルターの開き具合や音量のみのようです。感度をどうやって調整するのかは分かりません。

 ポルタメントはオン/オフボタンがあるのと鍵盤のレガートによるオン/オフの弾き分けができます。ポルタメントタイムの設定は少し変わっていて、ポルタメントボタンを押しっぱなしにして音色ナンバー1〜8ボタンの点灯数で短長を設定します。8段階でしか設定できないということで、少々粗いかなと思いました。しかしながらポルタメントの効果そのもののキメは滑らかです。私のファーストシンセRoland SH-101を彷彿とさせるものでした。

 このブログの音色関連の記事で紹介してきたうち、「七時雨(ななしぐれ)」のメロディ音笛、さまざま(1)「峠(とうげ)」のメロディ音を、店頭にいた僅かの時間に簡単に作ることができました。実機と変わらない効果を出せました。 

 またうねりを帯びた男声風パッド音のうち、“アナログ時代に私がKORG Mono/Polyで作った「アァ〜」”に関して、そして、笛、さまざま(2)のアンサンブルエフェクトを使わないケースに関して、容易に再現できました。

 つまみ操作系の常として、各パラメーターの細かい設定にこだわる向き(私もその1人です)には、全てを任せられるシンセではないかもしれません。しかしながらこれからシンセサイザーを始めるにあたって、音作りをなおざりにしたくない、プリセットに頼らず自分色を出したいという人にとって、このシンセは良いモデルだと思います。

 かくいう私も加齢のせいか、昨今長時間シンセの前に座っていることができず、現実問題として“能率”を考慮せざるを得なくなってきています。デジタルアクセスコントロールの緻密さや幅の広さをとるか、つまみ/スライダー操作による簡便さをとるか(デジタルアクセスコントロールかつまみ操作か参照)思案中です。

 店頭で喜多郎mini KORG 700Sリードを作る方法(SH-201の場合)でも、Roland SH-201について触れています


Roland SH-201
http://www.roland.co.jp/products/sh-201/

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by manewyemong | 2006-06-01 17:38 | シンセワールド | Comments(0)

「あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!」よりも、「価値あるものを買うのではなく自分で価値を作れる人間は強い」(岡崎武志「女子の古本屋」より)でありたいと思います。


by manewyemong