REON drift box S試奏記
シンセサイザーの買取/販売店implant4さんでアナログシンセサイザーREON drift box Sを試奏させていただきました。
REON(レオン)は、先般関西に誕生した、今のところ日本で、あるいは世界で最も新しいシンセサイザーメーカーだと思われます。代表はimplant4さんで店内ライブを行なったり、シンセサイザーフェスタ大阪2007及び2009のビンテージシンセサイザーの展示コーナーに、自作のシステムシンセサイザー(もちろんこれはビンテージではなく最新機です)や所有するビンテージ機群を提供された方です。
私はdrift box Sのプロトタイプを既に昨年から何度か触らせていただいたのですが、その時に感じたことも併せる形で雑感を記したいと思います。implant4さんに対してあえて詳らかな質問をせず、まさに黙々と試奏したので、記事中に間違いの可能性があることをご理解ください。
drift box S試作機の筐体は、私の世代にとって手に懐かしい感触のダイキャスト製でした。かつて玩具メーカーのポピーが製造していた“超合金”“ポピニカ”シリーズで採用されていました。ちなみに私は子供の頃、ポピニカの「人造人間キカイダー」のサイドカーを持っていました。drift box S商品モデルは異なる材質を採用したか、表面を滑らかな素材でコーティングしていて、良い意味でより今風の手触りになっています。
またつまみやトグルスイッチの感触に弛みや脆弱感が無く、かといって硬いわけでもなく、また形状も手指での扱いがしやすいものが採用されています。モノとしてのつくりが廉価機とは思えないほどきっちりとしています。
drift box Sの仕様について記していきます。
二つのVCOがあり、VCO1の波形は鋸歯状波、VCO2は矩形波と三角波です。VCO同士でクロスモジュレーションをかけることができます。
VCFはカットオフフリケンシーとレゾナンスがあります。部品はSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5と同じSSM2044を使用していて調達が難しいらしく、これだけが理由かどうかは分かりませんが、drift box Sは約50台の限定生産です。

drift box Sのフロントパネルです。11本並んだトグルスイッチは、奥に倒すとオン、手前に引くとオフになります。画像のトグルスイッチの状態はVCO2→VCO1、VCO1→VCO2、VCO1→VCF、VCO2→VCFがオンになっています。
VCOは上からモジュレーションデプス、レベル、フリケンシーと並んでいます。VCOが互いにモジュレータになり合うことと、drift box Sのつまみ全てに言えることですが、とにかく変化の幅が恐ろしく広いので、この三つ×2で多彩な音を作ることができます。1980年代初頭、私はアナログシンセのパラメータの効果の緩慢さにイライラしていたのですが、drift box Sでそれを感じることはありませんでした。
左から4本目のトグルスイッチでVCO2の波形(矩形波/三角波)の切り替えを行ないます。WAVEのトグルスイッチに関してどちらがどちらの波形なのか忘れました。
VCFはレゾナンス、カットオフフリケンシーと並んでいます。操作していて判ったのですが、VCO1/VCO2/VCFのフリケンシーのつまみが横に三つ並んでいるというレイアウトは、drift box Sの性質に沿った実に合理的なものです。
VCFの右横に音声入力のレベルとホワイトノイズジェネレータのレベルのつまみがあります。
音声入力に関して、昨年試作機のものを聴きました。通したソースは唄やギター、ベース、ドラムセットの入った一般的な音楽CDだったのですが、VCFを通して出て来る音がアナログシンセ音であるにもかかわらず、意外に唄、ギター、ベース、ドラムの元のニュアンスを残していて面白いと思いました。
アナログシンセはサンプラーの出現以降、そのソースとして使われることが多いのですが、音声入力は、逆に全ての音をアナログシンセにすることができます。drift box Sの用途の一つとして、音声入力による音のアナログシンセ化があると思います。
冨田勲さんが昭和59(1984)年夏に出したアルバム「ドーンコーラス」は、カシオのデジタルシンセサイザーの試作機コスモシンセサイザーに、獅子座AD星等の変光星の明滅のグラフを入力し、それをオシレータ波形の1セグメントとして、その信号をシステムシンセサイザーmoog III p、moog system 55、Roland SYSTEM-100Mへ送り、VCF、VCA、ENV、LFO等の設定を行ないました。つまり出音はモーグやローランドのシステムシンセの音だと言って差し支えないと思います。したがってdrift box Sに音声入力され出て来る音は、drift box Sの音と考えてもいいのではないでしょうか、もちろんdrift box Sを単にエフェクターとして使っただけだという見方もできると思います。

11本並んだトグルスイッチの最も右、ゲートのトグルスイッチをオンにした状態でdrift box Sは鳴り続けます。また、このゲートのトグルスイッチをオフにした状態で、フロントパネル右下の白いボタンがトリガーになります。押している間だけdrift box Sが発声します。今回試奏中ジョイスティックを全く触らなかったので、その役目が分かりません。

リアパネル。端子は入力がゲート信号、二つのVCO各々へのモジュレーション、音声入力(モノラル)。出力は音声(モノラル)1系統。画像では音声出力端子にのみケーブルが入っています。


「drift box S」のロゴがあるのは奏者/マニピュレータ側です。
REON drift box Sは、それ自体で吹奏、擦弦、撥弦、打といった楽音を作ったり演奏したりするのは難しいと思います。しかしながら私が電氣蕎麦さんに書いた
REON drift boxシリーズはS(シンセサイザー)の他、同じサイズの筐体を使ったアナログシーケンサーやリズムシンセサイザー、エフェクトボックス、ボコーダーの製造が予定されているそうです。またシステムシンセの仕様に関してもアナウンスされています。商品化が実現した場合、私の部屋にレオンのシステムシンセがそびえ立つ日が来るかもしれません。
REON drift box Sは以下の小売店さんでのみのお取り扱いです。繰り返しますが50台の限定生産です。
implant4
http://www.implant4.com/
REONへお進みください。
おまけ。以下の画像は昨年12月13日、電氣蕎麦さんで開かれたimplant4さん主催の忘年会“なめくじナイト”のおり撮影したREON drift box Sのプロトタイプです。

REON(レオン)は、先般関西に誕生した、今のところ日本で、あるいは世界で最も新しいシンセサイザーメーカーだと思われます。代表はimplant4さんで店内ライブを行なったり、シンセサイザーフェスタ大阪2007及び2009のビンテージシンセサイザーの展示コーナーに、自作のシステムシンセサイザー(もちろんこれはビンテージではなく最新機です)や所有するビンテージ機群を提供された方です。
私はdrift box Sのプロトタイプを既に昨年から何度か触らせていただいたのですが、その時に感じたことも併せる形で雑感を記したいと思います。implant4さんに対してあえて詳らかな質問をせず、まさに黙々と試奏したので、記事中に間違いの可能性があることをご理解ください。
drift box S試作機の筐体は、私の世代にとって手に懐かしい感触のダイキャスト製でした。かつて玩具メーカーのポピーが製造していた“超合金”“ポピニカ”シリーズで採用されていました。ちなみに私は子供の頃、ポピニカの「人造人間キカイダー」のサイドカーを持っていました。drift box S商品モデルは異なる材質を採用したか、表面を滑らかな素材でコーティングしていて、良い意味でより今風の手触りになっています。
またつまみやトグルスイッチの感触に弛みや脆弱感が無く、かといって硬いわけでもなく、また形状も手指での扱いがしやすいものが採用されています。モノとしてのつくりが廉価機とは思えないほどきっちりとしています。
drift box Sの仕様について記していきます。
二つのVCOがあり、VCO1の波形は鋸歯状波、VCO2は矩形波と三角波です。VCO同士でクロスモジュレーションをかけることができます。
VCFはカットオフフリケンシーとレゾナンスがあります。部品はSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5と同じSSM2044を使用していて調達が難しいらしく、これだけが理由かどうかは分かりませんが、drift box Sは約50台の限定生産です。

VCOは上からモジュレーションデプス、レベル、フリケンシーと並んでいます。VCOが互いにモジュレータになり合うことと、drift box Sのつまみ全てに言えることですが、とにかく変化の幅が恐ろしく広いので、この三つ×2で多彩な音を作ることができます。1980年代初頭、私はアナログシンセのパラメータの効果の緩慢さにイライラしていたのですが、drift box Sでそれを感じることはありませんでした。
左から4本目のトグルスイッチでVCO2の波形(矩形波/三角波)の切り替えを行ないます。WAVEのトグルスイッチに関してどちらがどちらの波形なのか忘れました。
VCFはレゾナンス、カットオフフリケンシーと並んでいます。操作していて判ったのですが、VCO1/VCO2/VCFのフリケンシーのつまみが横に三つ並んでいるというレイアウトは、drift box Sの性質に沿った実に合理的なものです。
VCFの右横に音声入力のレベルとホワイトノイズジェネレータのレベルのつまみがあります。
音声入力に関して、昨年試作機のものを聴きました。通したソースは唄やギター、ベース、ドラムセットの入った一般的な音楽CDだったのですが、VCFを通して出て来る音がアナログシンセ音であるにもかかわらず、意外に唄、ギター、ベース、ドラムの元のニュアンスを残していて面白いと思いました。
アナログシンセはサンプラーの出現以降、そのソースとして使われることが多いのですが、音声入力は、逆に全ての音をアナログシンセにすることができます。drift box Sの用途の一つとして、音声入力による音のアナログシンセ化があると思います。
冨田勲さんが昭和59(1984)年夏に出したアルバム「ドーンコーラス」は、カシオのデジタルシンセサイザーの試作機コスモシンセサイザーに、獅子座AD星等の変光星の明滅のグラフを入力し、それをオシレータ波形の1セグメントとして、その信号をシステムシンセサイザーmoog III p、moog system 55、Roland SYSTEM-100Mへ送り、VCF、VCA、ENV、LFO等の設定を行ないました。つまり出音はモーグやローランドのシステムシンセの音だと言って差し支えないと思います。したがってdrift box Sに音声入力され出て来る音は、drift box Sの音と考えてもいいのではないでしょうか、もちろんdrift box Sを単にエフェクターとして使っただけだという見方もできると思います。




REON drift box Sは、それ自体で吹奏、擦弦、撥弦、打といった楽音を作ったり演奏したりするのは難しいと思います。しかしながら私が電氣蕎麦さんに書いた
今日のシンセサイザーは少し、ただの楽器になり過ぎているのかもしれません。の、文字通りワークステーション機やアナログモデリングシンセとは別のつきあい方をするためシンセサイザーとして、REON drift box Sは現行機中、最も過激な存在だと思います。
AMDEK PCK-100はシンセサイザーに対する別のつきあい方のヒントをくれたような気がします。
REON drift boxシリーズはS(シンセサイザー)の他、同じサイズの筐体を使ったアナログシーケンサーやリズムシンセサイザー、エフェクトボックス、ボコーダーの製造が予定されているそうです。またシステムシンセの仕様に関してもアナウンスされています。商品化が実現した場合、私の部屋にレオンのシステムシンセがそびえ立つ日が来るかもしれません。
REON drift box Sは以下の小売店さんでのみのお取り扱いです。繰り返しますが50台の限定生産です。
implant4
http://www.implant4.com/
REONへお進みください。
おまけ。以下の画像は昨年12月13日、電氣蕎麦さんで開かれたimplant4さん主催の忘年会“なめくじナイト”のおり撮影したREON drift box Sのプロトタイプです。




