前々日のKORG minilogue xd、volca modular、volca drum、前日のKROME EXに続いて、平成31(2019)年1月17日、KORG KROSS2-61のカラーバリエーション機KORG KROSS Special Editionが発表されました。

 KROSS SE GO(グレーオレンジ)、KROSS SE GB(グレーブルー)、KROSS SE GR(グレーレッド)、KROSS SE GG(グレーグリーン)のネオンカラー(蛍光色)4色。

 このうち、KROSS SE GO、KROSS SE GB、KROSS SE GGのカラーリングに、かつてのApple iBookのクラムシェル型モデルのタンジェリン、ブルーベリー、キーライムを思い出してしまいます。

 拡張PCMメモリに増装された波形を使った音色が追加されています。追加された音色プログラム、ドラムパターン、アルペジオパターン、オシレータ波形(マルチサンプル、ドラムサンプル)、ドラムキットのリストが、SE Extra Voice Name ListとしてPDF形式で公開されています。

 過去のカラーバリエーション機と異なり、KROSS Special Editionが限定生産機という記述がコルグのウェブサイトに無く、量産型機であるとも考えられます。

 発売日は来る3月3日、桃の節句。税込価格86,400円。


平成31(2019)年2月18日追記。

 KORG KROSS Special Editionの発売日が、来る3月3日から24日に変わったようです。税込価格は86,400円。

 また、KROSS Special Edition各色機の名称は、KROSS SE GO(グレーオレンジ)はKROSS2-61-GO、KROSS SE GB(グレーブルー)はKROSS2-61-GB、KROSS SE GR(グレーレッド)はKROSS2-61-GR、KROSS SE GG(グレーグリーン)はKROSS2-61-GGとなるようです。


KORG KROSS Special Edition
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kross2/#se

SE Extra Voice Name List

 前日のKORG minilogue xd、volca modular、volca drumに続いて、平成31(2019)年1月16日、ワークステーション機KORG KROME EXが発表されました。

 KORG KROMEから変わった点は、筐体のカラーリングがスペースグレイ?になった、オシレータ波形が増装された、音色の記憶数が増えた、です。

 取扱説明書のオペレーションガイドとパラメーターガイドは、KROMEのものがそのまま流用されています。

 KROMEにはパソコンベースのエディタが用意されたのですが、KROME EXには対応せず、KROME EX専用のエディタも用意されません。約1年余前に発売された同社ワークステーション廉価機KROSS2には、パソコンベースのエディタ/ライブラリアンがあります

 KROME EXのUSBはMIDIのみの対応で、パソコンとオーディオデータのやり取りはできません。KROSS2のUSBはMIDIにもオーディオにも対応しています。まあ、私はフットボリュームを、エクスプレッションペダルではなく、オーディオケーブルにかませたい主義なので、シンセサイザーのUSBはMIDI専門なのですけどね。

 リアパネル側の社号ロゴ、KROSS2は「KORG」の文字そのものが仄白く光るようになりましたが、KROME EXは旧機同様、「R」の文字の中の空白の部分に仕込まれたランプが灯る形です。ここだけは変更がなくて良かったなと思います。このランプにも必要性は感じませんけど、社号がでかでかと光るよりは品があると思います。

 私としては、シンセサイザーの歴史上、私が最も気に入ったマン/マシンインターフェイスを持つKROMEの寿命が、当分延びたという事は喜ばしいのですが、しかし、その事以外に特段の感慨は湧きません。

 Roland FAがPCM以外にSuperNATURALアコースティックトーン/シンセトーンを載せている事、YAMAHA MODXがAWM2(PCM)以外にFM音源を載せている事を考えると、EDS-X(PCM)だけのKROME EXは、それらより価格を下げないと厳しいかもしれないですね。KROMEの後継機にはEDS-Xに加えて、AL-1、MOD-7あたりを併せて載せてくるかと思ったのですけど…。

 KORG KROME EX、発売日は来る2月24日、税込価格はKROME EX-61が116,640円、KROME EX-73が133,920円、KROME EX-88が168,480円。


KORG KROME EX
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/krome_ex/


KORG KROME(製造終了)
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/krome/

 平成31(2019)年1月15日、プログラマブルポリフォニックアナログシンセサイザー、KORG minilogue xdが発表されました。

 私が海外でのminilogue xd、volca modular、volca drumに関するリークを見つけたのは元日だったのですが、かつて信じ難かったKingKORGKORG MS-20 miniが、その後、実際に発表されたという先例もあり、あるいはNAMM 2019で発表になるかもしれないと思っていました。

 minilogue xdの、プログラマブル、4声ポリフォニック、スリム鍵盤37鍵、操作子のレイアウトや形状、基本的なパラメーター構成等は、KORG minilogueを踏襲しているのですが、本稿では同機との相違点を中心に、フロントパネルを見渡す形で記したいと思います。

 筐体の色はminilogueのカラーバリエーション機minilogue PG(ポリッシュドグレー)に似ている感じがするのですが、ポリッシュド処理が施されていない、アルミの質感をそのまま残しているかもしれません。

 つまみやトグルスイッチの形状はminilogue由来のものなのですが、つまみにはどこを指しているかを示す線が入っています。KORG prologueは白線でしたが、minilogue xdはグレー。変に目立たない、しかし視認しやすい配色だと思います。

 ポルタメントタイムを設定する専用の操作子が設けられています。オン/オフのボタンは無く、設定値にもオフは無く0〜最大値です。試奏するまでわかりませんが、ポルタメントのカーブが非リニア変化である事を願っています。

 minilogueがポルタメントの設定値オフ/0で行っていたモノフォニック演奏時のトリガーモードのマルチ/シングルの設定は、エディットモード中のEGレガートという専用のパラメーターで行います。

 ボイスモードの操作子群がフロントパネル左端に移っています。minilogueにあったボイスモードのモノは、コードモードの選択肢の中にあります。

 オシレータに関して、二つのVCOに加え、prologueのようなマルチエンジンがあります。ノイズジェネレータ(4タイプ)、VPMオシレータ(16タイプ)、ユーザーオシレータがあります。

 VPMオシレータタイプの中にノイズ波形をモジュレータに使うものがあり、私としてはこれは使ってみたいなと思っています。

 minilogueの場合、アサイナブルEGをVCO2のピッチのソースにする時に、オシレータセクションにEGデプスがあったのですが、アサイナブルEGセクションでディスティネーションの選択と効果の深さを設定するように変わっています。

 フィルターは2ポール/4ポールの選択操作子はなく、2ポールのみです。またEGデプスは無くなっています。minilogueはアサイナブルEGをフィルターに使ったまま、設定値をVCO2のピッチとも共用できたのですが、minilogue xdはできません。

 カットオフフリケンシーのつまみのサイズが、他と同じになっています。私はこの方が好きです。

 アンプEGはADSRで、これまで同様、フィルター等、他のセクションと共用する事はできません。

 アサイナブルEGはADSRではなく、アタックタイムとディケイタイムのみに簡素化されています。ピッチ(VCO1、2、マルチエンジン全て/VCO2のみ)にかけるか、フィルターにかけるか、いずれにしても、ディスティネーションを一つだけ選ぶ形で、インテンシティ(最低値〜0〜最高値)もここで設定します。minilogue、prologue同様、オシレータ波形にかける事はできません。

 LFOのインテンシティは、最小値〜0〜最大値のいわゆるバイポーラではなく、0〜最大値(511)か、シフトキーを押しながら設定する事による0〜最小値(-511)のどちらかを選ぶ形になります。ただ、これ故、LFOの鋸歯状波を正逆とも設定できます。

 LFOには1ショットというモードがあり、本来周期変化のソースであるLFOを、径時変化に充てる事ができます。ディスティネーションを、ピッチ、オシレータ波形、フィルターの開きから一つを選ぶ事はminilogueと同じです。prologue同様、LFOにEG MODが無いので、フレキシブルEGをモジュレーションの径時変化に充てる事はできません。

 内蔵エフェクターは変調系、反響、残響系と三つに増えています。これらを同時に使う事ができます。各々にprologueのようなユーザースロットがあります。

 変調系はコーラス、アンサンブル、フェイズシフター、フランジャーがあり、さらに各々複数のタイプがあります。私としては特にアンサンブルが加わってくれた事がありがたい。

 ディレイ、リバーブ、つまり異なる空間系エフェクターを二つ同時使えるのは、コルグのアナログシンセの内蔵エフェクターとしては初めてではないでしょうか。そしてこれらにも、各々14、10のタイプがあります。

 コントローラーが斜めに配されたスライダーから、コルグの伝統ともいうべきジョイスティックになっています。ピッチベンドとモジュレーションを一つの操作子でコントロールできます。

 このジョイスティックのX+/X-(水平方向)はピッチベンドのみのソースでしかありません。ピッチベンドレンジはアップ/ダウン個別に設定できます。

 ジョイスティックのY+(上)とY-(下)とで異なるディスティネーションを割り振る事ができ、インテンシティを個別に設定する事ができます。インテンシティの設定値は最小値〜0〜最大値です。

 このジョイスティックのY+/Y-に充てられるパラメーターは結構多岐にわたっていて、本来のジョイスティックとは異なるユニークな使い方が考えられます。単につまみをひねるのではなく、指を離すと勝手にニュートラル位置へ帰ってくれるジョイスティックの特性を活かした演奏ができると思います。

 例えば、Y-にオートベンドのソースにしたEGインテンシティをアサインした場合、ジョイスティックを手前に引く行為をオートベンドのモーメンタリースイッチとして使う事ができます。喜多郎mini KORG 700Sリードのシミュレーション時、有効だと思います。

 minilogueのスライダーにLFOインテンシティを充てると、スライダーを左端に引き切らない限り効果が0にならなかったのですが、このジョイスティックはニュートラル位置で0になってくれます。

 鍵盤はMS-20 miniから続くスリム鍵盤。ベロシティがあります。フィルターのEGインテンシティと音量のみコントロールします。

 16ステップのシーケンサーの為の、16個の自照型ボタンが横一列に並んでいます。おそらく実行中のステップのボタンが点灯すると思われます。

 かつてのKORG PS-3300、3200のテンパーメントアジャストのような、マイクロチューニング機能が加わっています。23のプリセットに加え、6つのユーザースケール、6つのユーザーオクターブを記憶させる事ができます。

 リアパネルのピンカド材は、minilogue PGのようなシースルーブラックに塗装されているのではなく、minilogue量産型機と同じ処理と思われます。

 音声出力は内蔵エフェクターの効果を活かすためかステレオになっています。

 ダンパー端子が加わっています。残念ながらアサイナブルではなく、単にサスティンペダルを挿す為のもののようです。フットスイッチによるポルタメントのオン/オフ等に使えたらと思うのですけど…。

 CV IN端子が二つあります。ジョイスティックのY+/Y-に充てられるパラメーターを、ここを介して外部からコントロールする事もできます。シーケンサーやシステムシンセのモジュールの信号を受けるといった事が考えられると思います。このセクションもminilogue xdのマニピュレーションを面白くしてくれる要素だと思います。

 システムシンセサイザーやモジュールに関する事柄に疎いので、事実誤認の可能性があるのですが、例えば、MIDI INのあるKORG MS-20 miniやmoog MOTHER-32とminilogue xdのMIDI OUTをつなぐと、minilogue xdの押鍵をトリガーにする形で実行されるMS-20 miniやMOTHER-32のEGの信号をCV INを介して、minilogue xdのパラメーターに径時変化を与える事ができるとしたら、ありがたい事だなと思います。ただ、この信号はいわば4声ポリフォニックではなくパラフォニックの効果になると思います。

 ポルタメントの操作子が設けられ、コントローラーがジョイスティックに変更といった事によって、演奏中の操作性が増した事や、オシレータにマルチエンジンが加わった事、エフェクターの増装等で、単に安価で簡便なプログラマブルアナログポリフォニックシンセから抜け出た感があります。

 KORG minilogue xd、来る2月23日発売予定、税込価格は59,940円。


KORG minilogue xd
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/minilogue_xd/

 平成30(2018)年9月1日(現地時間8月31日)、Dave Smith INSTRUMENTS(デイブスミスインストゥルメント)が同社ウェブサイトで、社号を「SEQUENTIAL」(シーケンシャル)と改めた事を告知しました。旧に復した、といっていいかもしれません。

 現時点で「Dave Smith INSTRUMENTS」 となっているPRO 2OB-6、PROPHET REV2といった現行機のリアパネル等の表記も、今後はSEQUENTIAL prophet-6、PROPHET X同様「SEQUENTIAL」と記されるようになるのか否かわかりません。

 また、シーケンシャル社のウェブサイトで、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5が、発売40周年を迎えた事をアナウンスしています。


DSI is Now Sequential!(英文)
https://www.sequential.com/2018/08/dsi-now-sequential/

Prophet-5 40th Anniversary!(英文)
https://www.sequential.com/2018/08/sequential-celebrates-prophet-5-40th-anniversary/


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 implant4さんでオルガン/ストリングスキーボード、Roland RS-09を試奏させていただきました。

 RS-09にはボタンの形状やロゴの色が異なる前期型/後期型とあるのですが、implant4さんには平成30(2018)年8月18日現在、両方の在庫がありました。今回試奏させていただいたのは前期型です。

 アナログポリフォニックシンセが一般化する以前、複合キーボードと呼ばれる製品が各社から出ていました。

 複合キーボードとは、キーアサイナー方式以前の独立発信方式のアナログポリシンセ、ストリングス、オルガン等の音源を、1台のキーボードに搭載したものです。

 内外のメーカーの主なモデルを挙げると、KORG DELTA(アナログポリシンセ/ブラス/ストリングス)、TRIDENT(アナログポリシンセ/ブラス/ストリングス)、moog OPUS 3(ストリングス、オルガン、ブラス)、YAMAHA SKシリーズ(アナログモノ/ポリシンセ/ストリングス/オルガン)等です。

 ローランドの場合、ストリングスキーボードRoland RS-505(ストリングス、ポリシンセ)、ボコーダーVP-330 Vocoder Plus(ボコーダー/ヒューマンボイス/ストリングス)がこれに当たります。
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 Organ/Strings RS-09は、同社Saturn SA-09(オルガン/ピアノ)とならんで、1979年の発売当初から店頭価格が10万円を切った複合キーボードでした。これらとアナログモノフォニックシンセSH-09とを併せて、ローランドの型番09シリーズは、10万円以下でも本格的な性能を持つラインナップでした。

 シンセサイザーに興味を持って初めて楽器店へ行った時、小学6年生だった私にとって比較的現実的な価格であり、操作が分かりやすそうなRoland SH-2、SH-09、そしてこのRS-09に触れた事を覚えています。

 同価格帯のシンセサイザーがいずれもモノフォニックである中で、RS-09の鍵盤「ソドミ」を押すと、本当に「ザー」という合奏音が「ソドミ」で出てきて感動しました。

 冨田勲さんのアルバム「ダフニスとクロエ」に、ストリングスキーボードRoland RS-202がクレジットされていた事も、RS-09に興味を持った理由の一つです。ちなみに冨田勲さんのRS-202は、次作「大峡谷」からはRoland SYSTEM-100M(2VCOモジュール112が18台組まれている)にとって替わられました。

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 RS-09は、独立発振方式によるポリフォニックでも、polymoog、KORG PS-3300等のような、シンセサイザー1式を鍵盤数分搭載しているのではなく、KORG DELTAのようなオシレータにあたる部分のみ鍵盤数分搭載し、以降を1系統に簡略化した、いわゆるパラフォニックとよばれる方式と思われます。

 トリガーは先着優先。アナログポリシンセのLFOをつぶやくで、後着優先のキーアサイナー方式のアナログポリシンセに、発声数分ではなく1系統のLFO故に、押鍵を加える度に発声中の音全てのLFOにリトリガーがかかってしまう事を記しましたが、独立発信方式で先着優先のRS-09では、逆に最初の押鍵のLFOやENVの径時変化の状態を、その離鍵が無い限り継承し続けてしまいます。ともに、ポリフォニックはともかく、ホモフォニック演奏には問題無いと思います。


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 RS-09には前期型と後期型があります。

 内部の事は分からないのですが、視認できる範囲で記すと、

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ボタンの形状が異なり、前期型が傾斜の向きでオン/オフを設定する、
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後期型はRoland JUPITER-8(画像は2016楽器フェアで展示された冨田勲さんの遺品)や、
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TR-808等と共通の形状で、オンでランプが点灯する、
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フロントパネル上の「Organ/Strings 09」「ORGAN」「STRINGS」のロゴの色が、前期型は白、
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後期型はオレンジ、といったところです。

 前期型と後期型でボタンの形状が異なるのは、VP-330でも同じです。
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 フロントパネルを見ていきます。
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 トーンはスライダーを上げるほど音色が明るくなります。アナログシンセサイザーのVCFのカットオフフリケンシーと異なり、下げ切っても音が聴こえなくなる事はありません。

 ビブラートは、オルガンとストリングスのビブラートのレイトとデプス、押鍵から設定したデプスに至るまでのフェイドインタイムを設定します。

 “ディレイタイム”となっていますが、試奏した結果、この時代の多くのアナログシンセがそうであるように、押鍵から効果がかかり始めるまでの時間ではなく、押鍵時から効果が設定値に達するまでの時間、つまりフェイドインタイムのようでした。

 Roland JP-8000からAIRA SYSTEM-8に至るローランドのアナログモデリングシンセのLFOに、ディレイタイムが無くフェイドインタイムだけなのは、この事を継承しているのかもしれません。私としては、アナログモデリングシンセはデジタルシンセなのだから、ディレイタイム/フェイドインタイムを併せて設定したいのですけどね。

 トリガーが先着優先のため、押鍵中、別の鍵盤を押鍵してもリトリガーがかかりません。


 トランスポーズは手前に倒すと1オクターブ下がります。
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 オルガンセクション。

 オルガンセクションを使用する場合、オルガンボタンを手前側に傾けます。

 4つのフィートスライダーで音色を作ります。どうも私にはドローバーオルガンよりもアナログシンセ臭のする音のように感じました。否定的な意味ではありません。ピアノやオルガンが好きではない私には、むしろ使える感じがします。

 トーンI、トーンIIは、前者はこもった音、後者はブライトな感じだったのですが、後期モデルの場合、ここがトグルスイッチではなく2つのボタンになっていて、両方をオンにすると トーンI/トーンIIを併せて発声することができました。前期モデルはトグルスイッチなのですが、 トーンI/トーンIIを同時に鳴らせるか否かチェックするのを忘れてしまいました。

 オルガンセクションにアンサンブルエフェクトをかけるか否かのトグルスイッチがあります。
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 ストリングスセクション。

 オクターブ違いの2つのストリングスのボタンがあり、両方を併せて発声させる事ができます。オルガンボタン同様、手前側に傾けるとオンになるのですが、右横のアンサンブルエフェクトのオン/オフのトグルスイッチは逆に手前に倒すとオフになります。

 ストリングスセクションにのみENVのアタックタイムがあります。

 トリガーが先着優先のため、ビブラート同様、押鍵中、別の鍵盤を押鍵してもリトリガーがかかりません。
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 オルガンとストリングスの両方に、リリースタイムを設定する事ができます。

 アンサンブルモードのトグルスイッチで、アンサンブルエフェクトの効果の大(I)/小(II)を設定します。

 チューニングつまみはいわゆるファインチューンで、これをひねってピッチベンドをしようとしてもレンジが狭すぎました。もちろん元々あくまでチューニングのための操作子です。
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 鍵盤。

 Roland SH-1SH-2といった、同時期の同社シンセと同じものと思われます。

 この個体の鍵盤に関して、発売40年近く経つにもかかわらず、状態はすこぶる良いと思います。
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 リアパネル側。
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 「RRoland」のロゴ。
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 端子群。

 音声出力はアンサンブルエフェクトを活かすためにステレオ出力です。

 RS-09が現行機だった頃、楽器店で設置されていた環境はスピーカー1つのモノラルだったのですが、今回試奏にあたって、implant4さんがステレオで鳴らせるようにしてくれました。RS-09の内蔵アンサンブルの効果を、製造が終わって数十年越しに確かめることができました。

 RS-09は簡素な構成であり、奏者やマニピュレータの音に対する発想力を汲んでくれるといった性質の電子楽器ではありませんが、やはりアナログらしい圧(お)してくる感じが音にありました。フットボリュームとリバーブ等の空間系エフェクターは必需だと思います。

 アマチュア向けのポリシンセが無い時代に、まがりなりにも和音が出せたRS-09やSA-09は、ほんの短い期間、時代の隙間を埋める役割を果たしたのではないでしょうか。短い期間ながら、特にアマチュアの作品のクオリティを上げる事に寄与した気がします。

 複合キーボードは、安価なキーアサイナー方式のアナログポリシンセ(Roland JUNO-6等)、さらにそのプログラマブル化(KORG Polysix、Roland JUNO-60等)、そしてデジタルシンセの一般化で廃れました。

 YAMAHA DX7が店頭に並んだ頃、まだRS-09やSA-09等の複合キーボードは同じフロアに置かれていた記憶があるのですが、その後、いつの間にか我々の前から消えていきました。

 しかしながら、Roland V-Comboシリーズ、nord stage/electroシリーズは、現代の複合キーボードといえるかもしれません。

 平成28(2016)年、minimoog model Dが、かつてオリジナル機を製造したモーグ社自身によって数量限定で復刻され、その後、あっという間にその製造を終えた事は記憶に新しいのですが、平成30(2018)年7月6日、今度はminimoog model D walnutが発表されました。既に日本語のサイト及び取扱説明書(minimoog model D復刻機と同じ)が公開されています。

 minimoog model D walnutは、筐体が茶褐色のウォルナット材である事以外は、
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minimoog model D復刻機と同じのようです。

 以下、
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minimoog旧機と、minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutとの相違点について記したいと思います。

 鍵盤に関して、minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutには、イタリアFATAR社製の鍵盤が使われています。同社の鍵盤を採っているモデルには、Roland FA07、studiologic sledge等があります。ちなみに、かつてコルグはFATAR社製MIDIマスターキーボードの輸入代理店でもありました。

 minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutの鍵盤には、ベロシティ、アフタータッチがあります。

 minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutは、モジュレーションソースを、VCO3かフィルターEGか、ノイズかLFOかを選択するスイッチがあり、モジュレーションミックスで両者の混ざり具合を設定してディスティネーションへ送る形になっています。

 SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5にも、モジュレーションミックスと似たソースミックスという機能があるのですが、SEQUENTIAL prophet-6には継承されませんでした。

 宇宙戦艦ヤマト第1作から宇宙戦艦ヤマト2202に至るまで使われている、柏原満さんの手によるminimoogを使った効果音(「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の音「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の音参照)の中に、LFO(VCO3)とノイズを混ぜてディスティネーションへ送るモジュレーションミックス機能を活かした効果音がいくつかあります。

 また、喜多郎さんもこの機能を活かした効果音を使っています。実はよく聴くと、宇宙戦艦ヤマトの主砲の弾道(陽電子ビーム)が砲門から放たれる音と喜多郎さんのこの効果音とが似ていたりします。

 ヤマトの主砲の「ブズズズズズズズ」も、喜多郎さんの「プールルルルルルルルルッ」も、LFO(VCO3)の上昇型鋸歯状波とホワイトノイズをモジュレーションミックスで混ぜ、自己発振させたVCFに送っているのですが、上昇型鋸歯状波故にピッチが上がるのとカットオフが開く事でノイズの割合が増していく効果を利用しています。

 ただ、LFO(VCO3)は周期変化のパラメーターなので、繰り返しの間隔を毎度毎度奏者やマニピュレータが決める事はできませんでした。かつて私が持っていたminimoogは、喜多郎さんのよりもLFO(VCO3)のフリケンシーを最遅にしても速過ぎるので、繰り返しの間隔がせま過ぎました。

 この点、minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutは、モジュレーションミックスのソースにVCF EGとノイズを充てられるので、鍵盤を押すと1回だけ「ブズズズズズズズ」「プールルルルルルルルルッ」を発声させるという事ができます。押鍵やシーケンサーの設定で間隔をその都度決める事ができます。

 minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutのLFOは、ホイール付近にあるレイトつまみを引っ張り上げるか否かで三角波か矩形波を選びます。

 三つのVCOは波形の種類やVCO3がLFOになるといったminimoogの仕様を継承しています。ランプ(Ramp:傾斜)波があるので、喜多郎さんの「MYSTERIOUS ENCOUNTER」の出だしの音のシミュレーションに使えます。

 三つのVCO、ノイズ、外部入力のレベルやホワイト/ピンクのノイズの種別の選択を行うミキサー部も、minimoogと同じです。

 トリガーモードに関して、minimoog旧機はシングル固定でしたが、復刻機はコードD(D3、F#3、A3)を押健しながら電源を入れるとマルチに、Dm(D3、F3、A3)を押健しながら電源を入れるとシングルになります。

 minimoog model D復刻機を買い損ねた人にとって、minimoog model D walnutという形で、再び新品のminimoogを手にする機会が与えられた事の意義は小さくないと思います。

 minimoog model D walnut、7月28日発売。価格422,280円(税込)。
 

minimoog model D walnut
http://www.korg-kid.com/moog/product-details/minimoog-model-d-walnut/