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 ローランド・ミュージアムを見学させていただきました(アナログシンセ編)から続きます。

 令和6(2024)年3月26日、メルマガ「ローランドの楽屋にて」読者限定イベントで、ローランド・ミュージアムを見学したおりに見たデジタルシンセ群を採り上げた記事です。

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 Roland D-50。

 YAMAHA DX7が理解できなかった私にとって、アナログシンセのようなオシレータ/フィルター/アンプとセクションがあり、各々独立してタイム/レベル型ENVで変化を設定でき、ベロシティが使えるD-50は、私のデジタルシンセ時代の真の幕開けでした。

 初めて楽器店で試奏した時、エディットしながら何度も「これは分かるぞ」と心の中で呟きました。私がそろそろ二十歳に達する時期の事でした。

 D-50発売時に楽器店に置かれたカタログが通常よりもかなり大きく、正直これにもそそられました。私の初のプログラマブルシンセ、そしてデジタルシンセはD-50しかないと思い、早速貯金を始めました。

 しかしその後、マルチティンバーのPCMシンセ、MIDIシーケンサー、マルチエフェクトを、1台のシンセに載せたミュージックワークステーション機KORG M1が出てきて、その貯金はM1の導入に充てました。

 ただその翌年平成元(1989)年に買ったRoland D-10は、私の肝になる部分の音色をM1よりも多く担ってくれました。

 Roland Boutique D-05が発表されましたでも書いたのですが、なまじファクトリープリセット音が出来すぎていたが為に、多くの人がD-50のマニピュレーションの幅や深度といった事柄に取り組むよりも

 このシンセはこんな音が出る

の方へ行った気がします。とにかくあっちからもこっちからもD-50のファクトリープリセット音が聴こえてきました。

 例えばアメリカのドラマ「Xファイル」のオープニング音楽のメロディの口笛は、 D-50発表時に月刊誌の付録として頒布されたソノシート「D-50 SPECIAL」で既に使われていました。「Xファイル」本編放映後の短編映像「Xファイルズファン」に音楽のマーク・スノウさんが出演したおり、D-50であのメロディを奏でました。もちろんあの口笛の音色でです。

 これもD-05が発表されましたで書いたのですが、以前大阪・日本橋(にっぽんばし)のパソコン量販店のDTMコーナーで、客の男性が中古のD-50の鍵盤を弾きながら

 「V-Synth XTのD-50音源とはやっぱちゃうね~」

と連れの女性に言っているのを見かけました。実際はD-50とMIDIでつながったV-Synth XTに内蔵されたVC-1(D-50シミュレータ)の音でした。「やっぱちゃうね~」と言わしめた感性の正体って何なのでしょうね。

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 Roland PG-1000。

 D-50のオプションですが、ある楽器店の店頭で中古の価格が横にあったD-50本体よりも高かったのを見た事があります。

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 Roland A-80。

 MIDI登場以降、ローランドは早い時期からそれそのものには音源が積まれていないMIDIキーボードコントローラーを出していました。昭和59(1984)年に出た88鍵機MKB-1000は鍵盤が木でできていました。A-80は鍵盤機構が油圧式(オイルダンパー)でした。

 コントローラーに関して、ローランドの現行機の比較的上位機には同社伝統のベンダーレバーだけでなく、内外の数多のメーカーが採っているホイールも併せて備えているのですが、おそらくA-80がはしりではないでしょうか。

 また自社では扱っていないはずのブレスコントローラーの端子を持っていました。ブレスコントローラー端子は後継機A-90、シンセ鍵盤のA-70まで続きました。

 ローランドのブレスコントローラーも、YAMAHA VCシリーズのようなおしゃぶり型やヘッドセット型のものと思っていたのですが、平成28(2016)年、Aerophone AE-10として登場しました。不思議な姿をした単体機でした。

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 Roland MC-500 mkII。

 シンセ、MIDIシーケンサー、マルチエフェクトを1台のシンセに載せたミュージックワークステーション機をコルグやヤマハが投入し始めた頃、ローランドはJV-1000を出しつつも、それとは異なる方向をも見ていたような気がします。つまり、1台に収めるのではなく、むしろ鍵盤コントローラー、MIDIシーケンサー、シンセサイザーの独立を維持する。古くはMKB-1000、MC-500、SUPER JUPITER MKS-80、そしてA-80の頃はMC-500 mkII、JV-1080という形。

 集約せず各々の性能をより高める…という企図だったのかもしれません。結局ローランドもXPシリーズ等ワークステーション機を投入していく事になります。

 しかしながらパソコンやタブレット、はてはスマートフォンまでが、MIDIシーケンサーだけでなくMTRやシンセそのものにまでなる今、いつのまにかワークステーションと銘打たれたモデルが各社のラインナップから消えていました。

 実体を持つ単体機としてのシンセサイザーは、文字通りただのシンセサイザーに戻りつつあるのではないでしょうか。

 私が昨年10月手にしたRoland GAIA 2には、同じアナログモデリングシンセの上級機JUPITER-Xのような多数のシンセエンジンは無く、アナログモデリングシンセGAIA-2エンジンとモデルエクスパンションSH-101、有償のモデルエクスパンションJUPITER-8、JUNO-106くらいです。生々しいピアノやヴァイオリンの音は出ません。また、シーン、ゾーンという概念もありません。

 FANTOMのようなワークステーション機の残り香が漂うような何でもできる事を義務付けられたモデルはともかく、それ以外は見ただけでどのようなパラメーターがあるのか判る仕様のシンセに帰っていく気がします。

 次のシンセはそのはるか遠い先鞭だったのかもしれません。


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 Roland JD-800

 TR-808、TR-909同様、JD-800も製造が終わって後、評価が上がったモデルだったと思います。こういう事ってローランドさん的にはどうなのでしょうね。

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 ただ、遠い後継機ともいうべきRoland Boutique JD-08は、発売以来長く入荷待ち状態が続きました。

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 Roland XP-50。

 このシンセからローランドのベンダーレバーの形状が変わり、モジュレーションを単なるオン/オフではなく効果の深度を変えていけるようになりました。

 シンセサイザー部分はラックマウントタイプJV-1080と同じです。

 私はJV/XPシリーズ用のウェイブエクスパンションボードの波形が好きなのですが、ありがたいことにZEN-Coreに至るまで継承されています。オプションボードだった頃はもちろん有償なのですが、FA、JUNO-DS、FANTOM用はAxialから、FANTOM-0用はローランドクラウドから無償でダウンロードできます。

 JV/XPシリーズが現行機だった頃、このウェイブエクスパンションボードの音色の音声を収めたCD付き小冊子が、楽器店で配布されていた事があります。スタジオでのサンプリング風景やエンジニアの方のインタビューまで載っていました。

 令和元(2019)年11月30日のメルマガ「ローランドの楽屋にて」の大阪オフ会での、ローランドの社員さんとの個人的な会話のおり、この頃のサンプリングの現場の事をうかがいました。詳細は略しますがサンプリングに重要なのは、機材の性能もなのですが、やはり携わる人の対象楽器への理解度やどう録るかに関する発想力なのだと思いました。

 東祥高さんの公演で使われた2台のXP-50は、中身が別のシンセの基盤に換装され、フロントパネルの操作子群も本来とは異なる意味を持たされていました。あるいはこの改造もローランドのエンジニアが行ったのかもしれません。東さんの追悼公演のおり、演奏される事は無かったのですが、音を出せる状態で舞台に設置されていました。

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 Roland JP-8000

 ローランド・ミュージアムを見学させていただきました(アナログシンセ編)で採り上げたシンセ全てが、仕様とその姿の間に明確な相互関係がありました。やがてデジタルアクセスコントロールタイプのマン/マシンインターフェイスが主流になって以降、その関係は薄くなりました。

 しかしながらアナログモデリングシンセnord lead登場以降、再び仕様とその姿の相互関係が、見ただけではっきりと判るモデルが登場してくる事になります。日本ではやはりローランドからでした。デジタルアクセスコントロールタイプへの完全な移行をためらうかのように、製品のオプションにPGシリーズをリリースし続け、やがてJD-800という怪物まで出したローランドでした。

 JP-8000にも多くのファンがいると聞きます。現行機時代からなのか、例によって販売が終わってからなのかは知りませんが…。

 姫神の「火祭りの夜」の間奏の音色は、JP-8000のファクトリープリセット(パフォーマンスモード)GR-300 Soloです。

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 Roland GAIA SH-01

 平成22(2010)年4月24日に発売され最近まで販売されていました。明確なアナウンスは無いのですが、あるいは既に製造を終えているのかもしれません。いずれにしても息の長いシンセだと思います。

 このシンセも仕様とその姿の相互関係が明確なモデルではないでしょうか。

 3つのトーン(SuperNATURALシンセトーンでのパーシャル)の発声させるものさせないもの、エディット時のカレントトーンをパネル上のボタンで選べるようになっています。

 当時のアナログモデリングシンセ単体機では珍しくピッチベンドレンジをダウン/アップ個別に設定できました。

 ポルタメントの設定の仕方が独特でした。ポルタメントボタンを押しながら1〜8ボタンの上を指を滑らせるようにして設定する、ポルタメントボタンを押しながら、オクターブボタンを押して一づつ増減させる、エフェクトのコントロール1かLFOのフェイドタイムスライダーを動かす、という方法でした。ポルタメントのカーブはリニア変化です。

 オシレータにPCM波形が無い事を除いてパラメーター構成が、SuperNATURALシンセトーンと似ています。おそらくその原型なのではないでしょうか。

 一時期同社の多くの製品に採られたDビームコントローラーが載っています。

 3月26日のローランド浜松研究所でのシンポジウムで、時折壇上の方からの指示で、段下のローランドのエンジニアが、短くですが製品を鳴らす局面がありました。その中で何の製品だったか忘れたのですが、一瞬Dビームコントローラーを使った方がいて、それが良かった。その製品の開発者だったと記憶しています。

 Dビームコントローラー復活、いかがでしょうか。さらにいうと、Dビームコントローラーを、効果の深度の制御だけでなく、ポルタメントのオン/オフ等に使うトグルスイッチのようにもなってくれたらなと思います。

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 Roland FANTOM-6。

 新しいZEN-Coreという音源が発表され、その1号機として61鍵機FANTOM-6、76鍵機FANTOM-7、ハンマーアクション88鍵機FANTOM-8が発売されました。

 私はZEN-Coreを、アナログモデリングがベースだがPCMシンセなみの膨大なパラメーター群と、膨大なPCM波形を持った新音源と理解しました。

 その後、FANTOM-6を試奏したおり、ENV等パラメーターの設定値が大きく、つまりきめが細かくなっている事、ベロシティでのENVのアタックタイムのコントロールが、気のせいかきちんと設定すれば私の意図を既存機以上に汲んでくれる事等を感じたのですが、それ以外はXV-5080からJUNO-DSまで連綿と続いてきた同社PCMシンセと特段の変化は感じませんでした。

 モデリングがベースなのだから、ポルタメントのカーブをリニア変化だけでなくアナログシンセ的な非リニア変化もできたらと令和元(2019)年9月14日につぶやきました。

 すると同年11月15日に公開されたZEN-Coreシステム1.10で、ポルタメントのカーブがリニア変化以外に2つの非リニア変化が加えられていました。

 本来ならこのシステム更新に感謝してすぐにもFANTOM-6を買いに走るべきなのですが、既にJUNO-DS61Bを予約していた事と、何よりこのような高級機は腕におぼえのあるプロの演奏家の為のものと考えられる故に実行しませんでした。

 その15日後、メルマガ「ローランドの楽屋にて」の大阪オフ会のおり、ローランドの方々に深く感謝したのはいうまでもありません。この時、私が「ポルタメント…」と口にした時、ローランドの方から「カーブですよね」と返されました。

 ここで、私がそのシンセのポルタメントのカーブが、リニア変化か非リニア変化かを調べる方法を記します。持続音系の音色を作り、発声をモノフォニックモードにし、レガート先でリトリガーさせない為にトリガーモードをシングルにします。ポルタメントタイムを間延びした長さに取り、1オクターブ上へレガートします。リニア変化だと一定のペースで音程が上がっていくのですが、アナログシンセ的な非リニア変化の場合、最初は元気なのですがだんだんペースが落ちていきます。これがポルタメントを有機的に感じさせるわけです。ZEN-Coreの場合、これとは逆のカーブも用意されています。

 喜多郎さんがminiKORG 700S800DVで、この1オクターブ上へレガートする時に間延びしたポルタメントをかける、というのをされるのですが、これをカーブがリニア変化のポルタメントのシンセでまねるとしっくりこないのです。

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 Roland JUPITER-X。

 姿はJUPITER-8に似ているのですが、数多のシンセエンジンを載せています。その理由に関して、きっかけになったエピソードも含め、このシンセの開発者であるローランドの前社長が明かしておられるのを、同社のウェブサイトやメルマガ「ローランドの楽屋にて」で読みました。その企図はなるほどと思いました。

 しかしながら、MC-500 mkIIの所で書いた事とも関わるのですが、私がこのシンセを手にした場合、JUPITER-Xエンジン、JUPITER-8エンジンしか使わないと思います。この姿はやはりこれらのエンジン以外のマニピュレーションは難しい。

 ローランドは一度自社のビンテージ機を、エンジンはACB、つまりデジタルながら、音色や姿、操作感を徹頭徹尾オリジナル機に寄せて復刻するというのはいかがでしょうか。D-50の所で触れた「やっぱちゃうね〜」な人間ですらぐうの音も出ないような復刻機。私はSH-1JUPITER-6で見てみたい。

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 Roland JUPITER-X 50th Anniversary Model。

 令和4(2022)年6月4日大阪・アメリカ村のローランドのアンテナショップ以来、既に何度目かの接近遭遇。何度見ても我がデコラティブジャパン(絢爛な日本)感を刺激されます。

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 ベンダーレバー付近にさまざまな役目を割り振り可能なスライダー2本、ボタン3つが集約されています。演奏という目的ではJUPITER-8同様、ここが最も気に入っています。

 このJUPITER-X 50th Anniversary Modelに触れていると、ローランドの方から親しくお声をかけていただきました。JUPITER-Xを開発した方、つまりローランド社前社長の方でした。

 多分私の人生で2度とこういう機会は無いと思います。JUPITER-X、ひいてはZEN-Coreに関する事をお尋ねする上で、世界でこれ以上考えられない方だと思うのですが、JUPITER-Xの所で書いたような事を面と向かって言上するわけにはいかず、口をついて出てきたのはこの一言「JUPITER-X 50th Anniversary Modelの量産化・商品化の予定はありませんか」でした。お答えは「世界に4台です」でした。

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 Roland JUPITER-Xm。

 価格、大きさ、そして、昨年のGAIA 2導入以降の私の37鍵機指向から鑑みて、私の現実的な選択肢はJUPITER-Xmです。

 ローランドはコントローラーのホイールに関して世界で最も縁遠かったメーカーのはずなのですが、Roland JD-Xi以降、私は同社のホイールが世界で最も使いやすいと思っています。

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 Roland Aerophone AEシリーズ。

 ローランド浜松研究所でのミュージアムやシンポジウムの見学の後、浜松市街地に戻って、遠州男唄 濱松たんと本店さんでオフ会になったのですが、そこでAerophone開発者の方が、AEシリーズ上級機と思われるモデルで演奏を披露してくれました。素晴らしい演奏でした。そしてこの演奏で、ある事を発見しました。今回の日帰り旅行の最大の収穫かもしれません。

 演奏に使ったのはパンパイプ系の音色だったのですが、パンパイプというアコースティック楽器は音程毎に音源が独立して存在する、アナログポリフォニックシンセでいえばpolymoogやKORG PS-3000シリーズのような完全独立発振方式です。もちろん発声のトリガーである人間の口(息)は1つしかないのでモノフォニック楽器に聴こえます。音程間、言い換えれば音源間に連携はありません。

 それに対してサックスやフルート、尺八、リコーダー等は、1本の管に開けたいくつかの孔(あな)を、指やカバードキイで開けたり閉じたりして音程をとります。異なる音程間の連携も可能です。トリガーモードがシングルのモノフォニックシンセと似ています。

 今回のAerophone開発者の方の演奏は、音色はリアルなパンパイプなのに、指孔があるサックスやフルートみたいな発声だったのがユニークでした。

 ポリフォニックシンセの場合、これと逆の事が起こります。サックスやフルートが、変な表現ですが“オルガンで吹いている”ように聴こえる。ソロモードにしシングルトリガーにする事で一応解決はできます。

 やはり、シンセサイザーエンジンだけが音色を決めるのではなく、演奏の機構の部分は大きいなと。

 ただ、パンパイプやハーモニカの演奏で、時に目的外の音程も巻き添えに鳴らしてしまうというふるまいが、有機的な効果を生む事があるのですが、将来これを電子吹奏楽器でできるようになれば面白いと思います。

 また、サックスや現代フルートのようなカバードキイではなく、トラベルソ(ルネサンスフルート)や尺八等のように指孔の塞ぎ方、あるいは開けた指孔と指の距離で、様々なコントロールできる電子吹奏楽器が出てくる事にも期待したいと思います。

 AEシリーズ上級機にアルメニアの吹奏楽器ドゥドゥクの音色が入っています。ローランドの社員に、ドゥドゥクを入れようという発想をされる方がいた事がとても嬉しい。ちなみにサンプラーRoland S-50、S-10の頃からローランドは民族楽器のサンプルが充実していました。

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 いずれにしてもAerophone AEに興味を持ちました。まずはこのAerophone mini AE-01からでしょうか。否、がんばってドゥドゥクが入っている上級機で始めるべきか…。

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 Roland GO:KEYS 3、GO:KEYS 5。

 浜松駅からバスでローランド浜松研究所へ向かう車中、ローランドの方から今日発表される新製品が既にミュージアムに設置されている、本日17時までこの製品に関する情報を外に漏らさないでほしい、そして最後にぽろりと、この新製品がZEN-Core搭載機だと教えてくれました。

 その後の参加者の自己紹介のおり、私はこの新製品がZEN-Coreを搭載したJUNO-DSの後継機だと高らかに予言したのですが、盛大に外しました。

 ユーザーに公開されているパラメーターはわずかなのでプロエディットはできないのですが、音色はZEN-Coreそのものです。

 ホイールは1つだけですが、奏者から見てニュートラル位置より奥はピッチベンド、手前はモジュレーションといった異なった用途をいくつか設定する事ができます。

 ほとんどシームレスに近い滑らかなこの姿を見て、A-80、サンプラーS-50、W-30の頃のローランド製品を思い出しました。

 今回のメルマガ「ローランドの楽屋にて」読者限定イベント、送迎バスでJR浜松駅を出発してから、私が若干早く居酒屋遠州男唄 濱松たんと本店さんをおいとまするまで7時間あまり。短くも密度の濃い時間でした。

 ローランド浜松研究所が立つ浜名湖畔以外、特に観光地的な所を通ったわけでもないのですが、私は彼の地の風景を気に入りました。峻険ではないのですが、所々、谷というか切れ込みがあってそこに緑が残っていたりしました。たしか徳川家康が武田信玄に敗れた三方原に近かったと思います。いずれ泊まりがけで浜松を旅したいなと思いました。

 遠州男唄 濱松たんとさんでは、有名な中央にもやしが置かれた浜松独特のあの盛り付けの餃子を楽しみました。すこぶる美味でした。ちなみに遠州男唄 濱松たんと本店さんのスピーカーはローランド製でした。

 当日は雨だったのですが、プラカードを持って駅で案内してくださった方、雨に濡れながらバスの外で待っていてくれた方々をはじめ、全てのローランドの皆様、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。ラーメンRが描かれた楽器が、今以上に世界を席巻してくれたら良いなと思っています。

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Roland
https://www.roland.com/jp/

メルマガ「ローランドの楽屋にて」
https://www.roland.com/jp/promos/gakuya/

 今回のブログ記事は私がメルマガ「ローランドの楽屋にて」に登録していたが故に書けました。

遠州男唄 濱松たんと
https://www.tanto-otabe.com

 令和6(2024)年3月26日、メルマガ「ローランドの楽屋にて」読者限定イベントに参加する事ができました。

 JR浜松駅から送迎バスに乗って浜名湖畔のローランド浜松研究所に至り、本来は非公開の同社歴代製品を設置したローランド・ミュージアムを見学、シンポジウム聴講、そしてバスで浜松市街地へ戻り、居酒屋の遠州男唄 濱松たんと本店さんで、メルマガ「ローランドの楽屋にて」のオフ会というスケジュールでした。

 ローランド・ミュージアムで一つのシンセメーカーの新旧製品を見ているうち、特に旧製品が現行機だった頃、自分がどんな事を思っていたか、どんな事があったかを書き出してみたくなりました。

 長い記事になると思ったのでとりあえずアナログシンセ編デジタルシンセ編に分けたのですが、結局それでも長い記事になりました。記事に関して私の記憶違いや根本的な誤りがある可能性をお含みください。

 画像に関して、他のメルマガ読者さんや、同じ日の同社での株主総会参加の方々が入らないように配慮した事もあり、見づらいものも多いのですが、記録として見ていただけたらと思います。

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 Roland SYSTEM-700。見た目も音も非常に状態が良い個体でした。

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 現行機だった頃、大阪・日本橋(にっぽんばし)の電気店街にあったマイコン・シンセサイザーショップ・コンパスオカモトでこの姿を見た時はただただ呆然としていました。お値段は二百何十万円かでした。

 東祥高さん(故人)のニュートンスタジオには、SYSTEM-700が2セットあったそうです。moogではなくSYSTEM-700にした理由をお聞きしたところ、安かったからとの事でした。

 東さんのSYSTEM-700と併せて使う為に改造されたminimoog。この改造はSYSTEM-700やギターシンセGR-500等を設計したローランドの技術者の方の手のよるものでした。

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 Roland SYSTEM-100M。そしてモノフォニックキーボードコントローラー181。

 かつて大阪駅前第2ビル2階にあったローランドのショールームで、SYSTEM-100Mの膨大なモジュール群に圧倒された経験をお持ちの人は多いと思います。私もその一人です。

 当時のキーボード関連の月刊誌でコンパスオカモトが打っていた広告に、SYSTEM-100Mによる水洗トイレの水を流す音色の設定例が載っていました。SYSTEM-100Mの仕様を継承した現行機SYSTEM-500で、トイレの水を流す音色を試してみたい。

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 Roland SH-3A。

 miniKORG 700S800DVと同じ昭和1974年発売。今年50歳。

 渡米前(1980年代後半)までの喜多郎さんのステージにはSH-3Aが2台設置されていました。効果音にお使いだった記憶があります。

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 Roland SH-32や現行機SH-4dの姿のルーツを、遠くSH-3Aのこの部分にまで求める事ができる気がします。

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 Roland MC-8。

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 Roland MC-4。

 ローランドは同社のデジタルシーケンサーの上級機に、マイクロコンポーザー(Micro Composer)の名を冠していました。

 冨田勲さんは「宇宙幻想」からお使いでした。「大峡谷」のリーフレットで、MC-8、MC-4を、自身のプラズマシンフォニーオーケストラのアシスタントコンダクターと表記していました。ちなみにコンサートマスターはmoog III p、コンダクターは冨田さんです。

 この頃インタビューで「あなたはキーボーディストですか」と問われた冨田さんは、「“キーボード”にMC-8のテンキーも入るのであれば、私はキーボーディストです」といった意味のお答えをされていました。

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 MCシリーズはMIDI登場後も緻密な打ち込みとリアルタイム入力ができるデジタルシーケンサーとして続くのですが、リアルタイム入力の分解能480に達したMC-80を最後に、緻密な打ち込みよりも奏者やマニピュレーターの瞬発力に対応する仕様が求められるグルーブボックスへと転身を遂げます。

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 Roland CSQ-100。

 100ステップ入力できるデジタルシーケンサー。600ステップ入力できるCSQ-600もありました。MIDI登場前の喜多郎さんや姫神せんせいしょんのオスティナートはCSQ-600でした。

 現行のアナログモデリングシンセ等に簡便なステップシーケンサーを持つモデルが多いのですが、そのルーツをCSQに見る事はできないでしょうか。

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 Roland JUPITER-4。

 国産のキーアサイナー方式のポリシンセ、そしてプログラマブルシンセのはしりといえるモデルです。JUPITER-8が登場するまで、ローランドのコンボタイプのアナログシンセのフラグシップ機でした。

 喜多郎さんのフライングジュピターはこのシンセを使って出しています。NHK特集シルクロード第2部の沙漠の蜃気楼の場面で、単にフライングジュピターが鳴っているだけのBGMもありました。

 JUPITER-4のアルペジエータはランダムがあるところが味噌です。このアルペジエータはSYSTEM-100Mのポリフォニックキーボードコントローラー184にも搭載されています。仕様はもちろんボタンの形状や色も同じです。

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 Roland VP-330 Vocoder Plus

 ボコーダー史上最も有名なモデル。私の場合、喜多郎さんの「夜明け」の「シャンラーイズッ」や、姫神せんせいしょんの「赤い櫛」の「シャーッシャッシャッシャー…」のフレーズでボコーダーを知覚しました。

 昭和57(1982)年元日フジテレビ系新春かくし芸で、加藤茶さん、仲本工事さん、志村けんさんがシンセサイザー喜多郎さんの「絲綢之路」を演奏したおり、仲本さんがVP-330で「アァー…」と唄っていました。

 高倉健さん追悼として映画「南極物語」がTV放映されたおり、多くの場面で「アー」という音が鳴っていたのを耳にされたと思うのですが、あれはVP-330のヒューマンボイス部です。音楽はヴァンゲリスさんです。

 ローランド・ミュージアムに展示されているこの個体は後期型です。ボタンの形状で確認できます。前期型では下にあるストリングキーボードRS-505のボタンと同じものが採られていました。

 ここでボコーダーをお持ちでない人の為にアコースティックボコーダーのご紹介。ハーモニカの穴をできるだけ多く塞ぐ為に横に広くくわえ、声を出さずに何か喋ってみましょう。ボコーダーみたいに聴こえませんか。聴こえませんね。ただ、ボコーダーの原理は案外これに近いのかもしれません。

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 既に製造を終えていますが、遠い後継機としてRoland Boutique VP-03があります。

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 Roland SH-1

 私がアナログSHシリーズ中最も好きなモデル。片方は簡便なものながらENVが2つある等音色作りの可能性が深い事、VCOが一つである(私はアナログシンセの複数のVCOのディチューン感が好きではない)、そして小型機なのに武骨で存在感のある姿(宮崎駿さんや鳥山明さんが描くメカみたい)が理由です。

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 Roland SH-2

 小6の冬休み、冨田勲さんの「ダフニスとクロエ」を聴いてシンセに興味を持ち、生まれて初めて楽器店へ行き触れたシンセの中で、多少なりとも理解できたのが当時の最新鋭機SH-2でした。この時ちんぷんかんぷんで終わっていたら、その後シンセサイザーに触れる事は無かったと思います。

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 Roland TR-808とTR-909。

 ともにユーザーパターンを打ち込める事や楽器毎に独立して音声出力があります。

 TR-808にヤオヤというニックネームがある事や、中古機に信じられないようなプレミア価格が付いている事を私が知ったのは、21世紀になってからです。

 TR-808の評価の潮目が変わって人々が目の色を変え始める経緯を、シンポジウムで開発者の方ご自身による紹介で知りました。

 昨年亡くなった漫画家・松本零士さんの追悼として、尼崎市の塚口サンサン劇場で「さよなら銀河鉄道999」(昭和56年夏公開)が上映されました。終盤、999号が終着駅に近づく場面で、東海林修さん作編曲演奏の「大宇宙の涯へ〜光と影のオブジェ〜」(「交響詩さよなら銀河鉄道999」収録)が流れました。プレミア価格が付く名機でも何でもない頃の、単にユーザーパターンを打ち込めるリズムマシンとしての使われ方だった事、出荷されたばかりの経年変化の無い音、そして塚口サンサン劇場が音響設備が一考された映画館だった事もあって、純粋にTR-808の音色に感動しました。ちなみにこの曲にはSYSTEM-700、MC-8等も使われています。

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 Roland TR-909。

 既にYAMAHA RX11が登場して各社がPCMリズムマシンを出していくと思ったのですが、ローランドはアナログとPCMで構成されたTR-909を発売しました。

 RX11が手指で叩けるパッド(感触良)を持っていたのに対し、TR-909はコンピュータのようなボタンが並んでいました。RX11にはパッドを叩いて音が出せる事のおもちゃ的な面白さもあり、私はTR-909の現行機時代、触れる事はありませんでした。TR-909のルックスは他社のPCMリズムマシンよりも格好いいと思ったのですが、あの頃、既に出遅れたモデルのような気がしました。

 問題は、以上の事をオブラートに包む事なく、令和元(2019)年11月30日のメルマガ「ローランドの楽屋にて」の大阪オフ会のおり、となりに座った人物に話してしまった事でした。後でよくよく考えると、その方は会の冒頭、ローランドの社員でTR-909の開発者であると紹介されていました。不快な思いをされたと思います。

 で、今回のオフ会、居酒屋の遠州男唄 濱松たんと本店さんで、またしてもこの方のとなりに座ってしまいました。私はなるべく自分があの時の失礼な男だと気付かせないようにする為、TRだのリズムマシンだのではなく、かつてローランドの本社があった住之江区がどうの国道26号線がどうのというお話ばかりしました。TR-909には熱狂的なファンが数多います。そういう人をこそあの席へ座らせてあげるべきでした。

 設計者様、先の私の考えは昭和59(1984)年頃の、あまり賢くない高校生の考えです。どうぞ、お許しください。

 大阪オフ会の後、自分でTR-909の中古の実機に触れて、リズムマシンなのにある程度音色を作る事ができる、音色の独特の存在感を知るに至りました。デザインに関して奏者側よりも、むしろリアパネル側から見るともっと格好が良いという事も知りました。

 TR-808同様TR-909も、やがて天を突くようなプレミア価格が掲げられるようになりました。

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 Roland JUPITER-8。

 昭和56(1981)年、私が中学2年生の時に登場しました。私のシンセサイザーに対する理解が結構進んだ頃に現れたシンセでした。買えるわけがないので「百万近く出してこんな事しかでけへんのか」等と毒付いていたのですが、内心ではその仕様も姿もすごいなあと思っていました。

 操作子群を動かすと、音色が海外の高級機にありがちな妙なクセが無く素直に変化し、SH程度のシンセが理解できれば音色を作る事ができました。“音色が素直に変化し”は、ローランドのアナログシンセ全般の素晴らしい特長だと思います。

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 私がJUPITER-8で特に気に入ったのは、ベンダーレバー付近のレイアウトです。モジュレーションボタンにライズタイムという設定子があり、効果のカットインではなく効果の深度に有機的な径時変化を加える事ができました。

 ベンダーレバーやモジュレーションボタンのディスティネーションのオン/オフを細かく行う為のトグルスイッチの数が目立っています。

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 JUPITER-8の箱。

 昭和57(1982)年の早い時期、大阪市住之江区のローランドの当時の本社近くを偵察したおり、JUPITER-8の箱が見えた建物がありました。てっきりここがJUPITER-8工場だと思ったのですが、37年後、メルマガ「ローランドの楽屋にて」の「ローランド創立記念の旅」号で、倉庫会社である事が書かれていました。

 遠い後継機としてRoland Boutique JP-08があります。

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 Roland JUNO-60。

 オシレータがVCOではなくDCO、キーアサイナー方式のポリシンセJUNO-6にプログラマブル機能とMIDI以前のローランド独自の規格DCBを加えたモデル。

 あの頃、フロントパネル上の画面に数字が表示される事がものすごく未来的な感じがしました。当時JUPITER-8とSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5くらいしかありませんでした。

 JUPITER-8、JUNO-6、JUNO-60を起点に、ローランドのシンセサイザーの姿がより洗練され始めた気がします。

 遠い後継機としてRoland Boutique JU-06Aがあります。現行機です。

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 Roland JSQ-60。

 DCB版CSQ的なデジタルシーケンサー。オプションを足す事でJUPITER-8にも使う事ができました。

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 Roland SH-101

 私が初めて買ったシンセサイザー。私が中学3年生だった昭和57(1982)年11月13日(土)でした。その週の月曜日まで虫垂炎で入院していました。

 このシンセからベンダーレバーを前に押すとモジュレーションがかかるようになりました。もちろん効果のオン/オフだけなのですが、モジュレーションの効果の深度を設定するスライダーが、奏者から見てベンダーレバーの向こうにあり、白い線が描かれてつながっていました。ベンダーレバーを押しつつこのスライダーを動かすとモジュレーションホイールを動かすような有機的な効果を付ける事ができました。ホイールと異なりベンダーレバーを押す/戻すで効果のカットイン/カットアウトもかけられるので重宝しました。

 SH-101しか持っていなかった頃、モノシンセであるSH-101をどうにかポリシンセ化できないものかと考えたのですが、1つ方法があります。SH-101のアルペジエータのレイトを最大値にします。そして3和音を押さえてみてください。はい、ポリフォニックシンセになりました。うそです。

 昨年10月、アナログモデリングシンセRoland GAIA 2を買いました。21世紀に入って手にしたシンセサイザーで最も気に入っています。私のシンセサイザー観を42年前の原点に立ち返らせてくれつつあるシンセです。タイム/レベル型ENVがどうのベロシティがどうのと色々やってきましたが、結局、私はSH-101からさほど遠くへ翔べなかったようです。

 遠い後継機としてRoland Boutique SH-01Aがあります。現行機です。

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 Roland JUPITER-6

 プログラマブル6声ポリフォニックシンセ。VCOの波形を同時に複数選択できます。JUPITER-8にはあったリアパネル側のヒートシンクは無く、姿はJUPITER-8よりも気に入っています。

 ベンダーレバーそばのセクション、JUPITER-8から若干簡素化されています。ライズタイム付モジュレーションボタンは継承されています。

 残念ながらアルぺジエータからランダムが無くなっています。

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 Roland JX-3P。PG-200が装着されています。

 当時、私が楽器店の店先で見た全てのJX-3PにPG-200が載っていたので、オプションというイメージがあまり無く、一体化した存在と捉えていました。PG-200、そして続くJX-8PのPG-800も、その源流をSH-3Aに求められる気がします。

 DCOのシンセサイザーとしては、初めてクロスモジュレーションを搭載したアナログシンセであり、当時、他機種とは異なる安定感のあるクリアな金属的な音を出せたので、楽器店で触れるおり、それっぽい音ばかり作っていました。

 ローランドのシンセサイザーはコントローラーに関して、概ね鍵盤よりも左横に出ているのですが、おそらくこのJX-3Pのみ奏者から見て鍵盤の向こう側にあります。後にも先にもこういうレイアウトのモデルは無かったと思います。

 昭和58(1983)年の年明けだったかローランドからダイレクトメールが送られてきました。JUPITER-6とJX-3Pの発表、そしてMIDIの登場を告げるものでした。記事の最後に

 JUPITER-6、JX-3P、両機の可能性は無限だ!

と書かれていました。

 既に製造を終えていますが、遠い後継機としてRoland Boutique JX-03があります。

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 Roland MSQ-700。

 ローランド初、というか世界初のMIDIシーケンサーだったと思います。ただしMIDI以外にDCBにも対応していました。CSQのMIDI版といった所だと思うのですが、MC、CSQと異なりリアルタイム入力に対応していました。

 姫神がアルバム「まほろば」で使用しました。

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 Roland MSQ-100。

 MIDIシーケンサー。JUNO-106に続いて登場しました。カラーリングをJUNO-106に合わせていますが、もちろんJUNO-106専用ではありません。

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 Roland JX-8PとPG-800。

 同社キーボードシンセで初めてベロシティとアフタータッチが使えるモデルだったと思います。ちなみに取扱説明書ではベロシティを“ダイナミクス”と記していました。

 アナログシンセなのに意外にファクトリープリセットのピアノの音が良いなと感じました。同じ事がキーボード雑誌のJX-8Pの紹介記事にも書かれていた記憶があります。

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 遠い後継機としてRoland Boutique JX-08があります。現行機です。

 昭和58(1983)年のYAMAHA DX7登場以降、ヤマハは同社のデジタル楽器の型番に「X」を付け、派手な広告を打ったり1社で盛んにイベントを催したりして存在感を高めていました。

 デジタルシンセに関してローランドを始め他社機がすぐにも現れると思っていたのですが、“その時”はなかなか来ませんでした。

 “その時”は、昭和62(1987)年でした。

 ローランド・ミュージアムを見学させていただきました(デジタルシンセ編)に続きます。


Roland
https://www.roland.com/jp/

メルマガ「ローランドの楽屋にて」
https://www.roland.com/jp/promos/gakuya/

 今回の記事は私がメルマガ「ローランドの楽屋にて」に登録していたが故に書けました。

遠州男唄 濱松たんと
https://www.tanto-otabe.com


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 令和6(2024)年1月18日、コルグはアナログモデリングシンセmicroKORG2及びそのカラーバリエーション機microKORG2 MBK(メタリックブラック)、microKORG2 MWH(メタリックホワイト)、そしてKingKORG NEOを発表しました。

 ここでは製品発表と同時に取扱説明書が公開されたKingKORG NEOについて記したいと思います。近日中に発売が決まっているモデルなので、試奏後大幅な改稿がある可能性をお含みください。

 microKORG2に関して発表時点で未だ取扱説明書が公開されていないのですが、それが実現すれば一稿を上げたいと思っています。

 XMTエンジンや内蔵エフェクトは、マニピュレーションも含めてKingKORGを踏襲していると思われるのでKingKORG試奏記(1)KingKORG試奏記(2)をご覧いただければと思います。

 ただ、KingKORG NEOのオシレータの構成の内、DWGS波形はKingKORGの64種から40種に減、逆にPCM波形は30種から65種に増装されています。

 また、KingKORGの音色作りに加え、同機の姿をも特徴付けていた真空管エフェクトは載っていません。KingKORGのリアパネルにあったCV/GATE OUT端子はありません。
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 ワークステーション機KORG KROMEの61鍵機の筐体がベースになっていたKingKORGと異なり、KingKORG NEOはKORG wavestateに始まるコルグの現行37鍵機の筐体が採られています。筐体の寸法は同じです。おそらく鍵盤も同じと思われます。
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 筐体の色はKingKORG NEOのウェブサイトのトップの画像を見る限り乳白色なのですが、肉眼で実機を見たらまた印象は変わると思います。KingKORGの実際はくすんだ感じのシャンパンゴールドよりも華やかな感じがします。
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 KingKORGの操作子群がフロントパネル上にセクション単位で横1列に並んでいたのに対し、筐体の幅が狭くなったからかKingKORG NEOは2段になっています。

 また、セクションが並ぶ順番も変わっています。右端にあったLFOやEGが左側の奏者寄りに、オシレータやフィルター、アンプの操作子群は右奥へ、左にあったエフェクト群は右端へ移っています。

 KingKORGには無かったグースネックマイクがエフェクター群よりさらに右の奏者寄りに取り付けられるようになっているのですが、これはボコーダーKORG VC-10やアナログモデリングシンセMS2000Bといった標準鍵盤機のボコーダーマイクが左奥にあった伝統?からは外れたものになっています。私はVC-10やMS2000Bと同じ位置にあってくれた方が良いなと思っています。あるいはDVP-1RADIASと同じくヘッドセットマイクにするとか。

 つまみやボタンの形状はKingKORGと同じです。また、ジョイスティックはKORG minilogue xdと同じものと思われます。左右に振る、奥へ押す、手前に引く、の各動き(動かし)を個別にバーチャルパッチのソースに選ぶ事ができます。

 microKORG XLシリーズや今般発表されたmicroKORG2は、音色毎に5つのつまみに役割を割り振って記憶させる事ができるのですが、同じ事はKingKORGやKingKORG NEOではできません。私の場合、専用操作子の無いバーチャルパッチの効果の深度を演奏中に操作したいという局面が頻繁に出てくると思うのですが、KingKORGやKingKORG NEOの場合、その事にちょっとした工夫が必要になってきます。

 microKORG2は空間系エフェクトに関してディレイとリバーブを個別に設定できます。フットボリュームよりも前に空間系エフェクトを2つ使いたい局面が多い私としてはここはKingKORG NEOもmicroKORG2と同じにして欲しかったと思います。

 私はEGをソースに充てたPWMで撥弦系の音色を作りたいのですが、micro KORGやmicroKORG XL+ の場合、発声数がネックになって満足のいく効果を引き出すことができませんでした。最大発声数24のKingKORG NEOならいい線行くと思うのですけどね。ジャカジャカジャカ…っと鳴らしたい。
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 KingKORG NEOの発売日は来る令和6(2024)年1月27日、税込価格¥110,000。


令和6(2024)年3月2日追記。
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 KingKORG NEOを導入しました。画像を貼ります。
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 Roland GAIA 2と記念撮影。


KingKORG NEO
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kingkorg_neo/

microKORG2
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/microkorg2/

microKORG2 MBK / microKORG2 MWH
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/microkorg2_bkwh/

 令和5(2023)年5月11日、ローランドはRoland AIRA Compact S-1を発表しました。

 既に取扱説明書が公開されています。

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 AIRA Compactシリーズは、同社Boutiqueシリーズよりもさらに小型で安価な電子楽器群です。既にリズム・ベースマシンT-8、コードワークシンセJ-6、人声エフェクターE-4が発売されています。

 AIRA Compactは、小さくて愛嬌があってカラフルな姿、そして安価なのですが、操作子等奏者やマニピュレータとの接点の部分はしっかりしていて、楽器メーカーとしての矜持を感じます。

 S-1はACB(Analog Circuit Behavior)によってアナログモノフォニックシンセRoland SH-101をアナログモデリング化したシンセサイザーエンジンと、パターンシーケンサー、アルペジエータ、内蔵エフェクター(ディレイ、リバーブ、コーラス)等から構成されています。

 S-1はSH-101と異なりプログラマブル(音色を記憶できる)であり、4声ポリフォニックシンセです。

 SH-101をACBでモデリングしてプログラマブル4声ポリフォニックシンセ化した製品として、既にRoland Boutique SH-01Aがあります。

 音色はステップシーケンサーのデータとセットになったパターンという単位で記憶されます。あらかじめメーカープリセット16、そしてユーザーパターンが48なのですが、メーカープリセットはユーザーが書き換える事ができるので、ユーザーパターンは計64ということになります。

 SH-101由来のシンセサイザーエンジン部分について触れていきたいと思います。

 LFOはレイトと波形だけでディレイタイム/フェイドタイムが無いことはSH-101と同じなのですが、波形に関して三角波、矩形波、ランダム、ノイズに加えて、正逆の鋸歯状波があります。ビブラートやグロウル効果の深度の設定値にマイナス値が無いので鋸歯状波が正逆あるのはありがたいことです。

 minimoogのモジュレーションミックス、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5のソースミックスのようにLFOとノイズの混ぜ具合を決めてディスティネーションへ送るということはできないのですが、かつて私はSH-101のLFO波形にノイズがあることを非常にありがたいことと感じていました。S-1でそれが継承されていることが嬉しい。

 LFOのレイトには通常よりも極端に速くするモードがあります。変調に金属風味やノイズ感を加えることができると思います。

 SH-101の内蔵デジタルシーケンサーのテンポはLFOのレイトと共用でしたが、ありがたいことにS-1は別です。また、SH-101のように同期させることもできます。

 オシレータは鋸歯状波、矩形波を含む非対称矩形波(パルス波)、サブオシレータ(1オクターブ下の矩形波、2オクターブ下のパルス波、2オクターブ下の矩形波)、ノイズジェネレータの混ぜ具合を設定できるソースミキサーになっています。

 パルス波は、パルスウィズを設定できることと、マニュアルに加え、LFO、ENVをソースに充てられるパルスウィズモジュレーション(PWM)、さらにオシレータ波形を描くOSC DRAWという機能があります。OSC DRAWはBoutique SH-01Aには無い機能です。

 パルスウィズのデューティー比はシフトキー+PWM DEPTHボタンで呼び出しテンポ/バリューつまみで設定します。そしてPWMのソースはシフトキー+PWM SRCボタンで呼び出しENV/マニュアル/LFOのどれかをテンポ/バリューつまみで選択します。

 S-1の取扱説明書のパルスウィズに関する説明の部分で、私が喜多郎miniKORG 700Sリードに関する記事でよく引き合いに出すパルスウィズ33%に関する記述があります。パルスウィズ33%はRoland JD-XiのアナログシンセトーンやSYSTEM-8と同じ90あたりです。

 SH-101の場合、ノイズジェネレータはホワイトノイズだけだったのですが、S-1はピンクノイズも選ぶ事ができます。

 フィルターはSH-101のVCFと同じパラメーター構成で、ENVの効果の深度をリバース曲線にすることはできません。またキーボードフォローは右肩上がりの傾斜のみで、フィルターを自己発振させた場合、最大値で平均率、つまりドレミ…になります。

 アンプもSH-101のVCAと同じです。ENVはフィルターと共用です。

 S-1は4声ポリフォニックシンセですが、モノフォニックモード時、ここでトリガーをシングル(ゲート)にするかマルチ(ゲート+トリガー)にするかを選択します。

 ポルタメントはSH-101同様オン/オフやタイムだけでなく、レガートの時のみかかるオートもあります。また私にとって大変ありがたいことなのですが、ポルタメントのカーブは非リニア変化です。やっとデジタルシンセでのこの機能を手にする事ができました。

 SH-101のポルタメントタイムは専用の操作子があり、最小値0は時計の短針でいえば7時、最大値は5時と分かるのですが、S-1は各種共用のテンポ/バリューつまみを使うので、最小値0から最大値255までにテンポ/バリューつまみを何回転もさせる事になります。ポルタメントの演奏中のリアルタイム操作子として使うのは難しいかもしれません。ただし、ポルタメントタイムの設定値をより微細に決めたい場合、SH-101よりもむしろS-1の形の方が優れていると思います。私にとってはS-1の方に分ありです。

 SH-101同様、S-1もフィルターの自己発振にポルタメントをかける事ができます。

 アルペジエータに関して、SH-101の場合、1オクターブのみなのとランダムモードが無かったのですが、S-1はアップ、ダウン、アップ/ダウン(おそらくドレミミレドドレミミレド…ではなくドレミレドレミレ…と発声する)に加え、ランダム、そしてこれらの2オクターブモードがあります。

 アルペジエータに関してランダムモードがあるということは、喜多郎さんがRoland JUPITER-4や公演によってはSYSTEM-100M + ポリフォニックキーボード184のアルペジエータで出しているフライングジュピターが可能です。ローランドさんはこんな素晴らしいアルペジエータを、既に昭和53(1978)年発売のシンセサイザーに載せていました。

 S-1には筐体を傾けて音色をコントロールするD-MOTION(ディーモーション)という機能があります。今年2月に発表されたデスクトップ型シンセサイザーSH-4dで初お目見えしたコントローラーなのですが、登録したパラメーターの設定値を筐体が左右前後に傾けられた時に動かす仕組みです。SH-4d、S-1にはローランドの伝統的なベンダーレバーのようなコントローラーはありませんが、これを使って音色を様々にマニュアル変化させる事ができます。

 S-1には音声入力MIX IN L/Rがあるのですが、取扱説明書のシグナルフロー図によると、外部入力音声にS1のシンセサイザーエンジンによる変調や内蔵エフェクター(コーラス/ディレイ/リバーブ)をかけられるわけではなく、すぐにMIX OUT L/Rへ行っています。

 Roland AIRA Compact S-1のウェブサイトや取扱説明書を読んでいて、この小さな筐体の、そして安価なデスクトップシンセが、シンセSH-101、JUPITER-4/SYSTEM-100M用ポリフォニックキーボード184のアルペジエータ、そしてデジタルシーケンサーCSQ(64ステップなのでCSQ-600/CSQ-100ならぬCSQ-64というべきか)が詰め込まれたような仕様であることに驚きと感謝をせざるをえません。

 S-1はポルタメントのカーブが非リニア変化のデジタルシンセ(ソフトシンセを除く)の歴史上最も安価なモデルであると思われます。LFO波形にノイズがあること、PWMのソースにENVもあること、アルペジエータにランダムがあることと併せて、私の中のS-1への評価を決定的なものにしました。

 Roland AIRA Compact S-1、令和5年5月26日発売、税込価格¥21,890。


Roland AIRA Compact S-1
https://www.roland.com/jp/products/s-1/features/

 令和5(2023)5月9日、コルグはアナログモデリングシンセサイザーmicroKORG Crystalを発表しました。
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 平成14(2002)年秋のmicro KORG発表以来、KORG POLY-800のような白鍵と黒鍵の色が逆のモデル、micro KORG-BKBK、micro KORG-BKRD 、micro KORG PTといったカラーバリエーション機や、筐体や操作子等の色の改変だけでなくメモリバンクの増装やフェイバリット機能の追加、そしてスピーカーを搭載したmicroKORG Sが登場しました。

 microKORG S以外のこれら派生モデルは既に製造販売を終えていますが、microKORGオリジナル機は発売から今秋21年になる今も現行機です。

 また、micro KORGのパソコンベースのソフトウェアシンセmicroKORG for Mac/Winが販売されています。

 microKORG Crystalはmicro KORG20周年記念モデルという事ですが、コルグのウェブサイトを見る限り、限定生産品ではなく、あくまで通常の量産機のようです。

 シンセサイザーとしての仕様はオリジナルmicro KORGと同じです。microKORG Sのように新規のメーカープリセット音を入れたバンクC、ユーザーエリアのバンクDは無く、フェイバリットセレクト機能は無く、スピーカーは持っていません。

 micro KORGの店頭在庫が見当たらない時期が長かったのですが、同じくそのACアダプターKORG KA181も手に入らない状況が続いたと聞きました。今は買えるようですけど、microKORG CrystalのACアダプターがKA181であれば、当分KA181が販売終了・代替無しという状況にはならないと思われます。ちなみにmicroKORG Sの場合、コルグの多くの現行機と同じKA350です。

 microKORG Crystalの姿は、銀色のステンレスのフロントパネル、化粧板は銀色のアルミ、筐体は半透明になっていて、裏返すと基盤やケーブル、鍵盤の機構、電池のソケットまで透けて見えます。

 どうせなら、鍵盤の黒鍵を白色にしてはとも思ったのですが、否、黒鍵の黒は確かにアクセントになっていると思います。この場所に必要な黒。

 microKORG Crystalの方がオリジナルmicro KORGよりも、本体重量が200グラム重いです。使っている材料の違い故と思われます。

 そういえばmicroKORGが世に出た平成14(2002)年頃、アップルコンピュータ(現アップル)社の製品に、銀色の筐体をポリカーボネートのカバーで覆うというモデルが多かった記憶があります。

 先日動画配信サービスで観た「恋ノチカラ」という、平成14年1〜3月期に放映されたドラマで、ヒロインが働く起業したての広告制作事務所にも設置されていました。あの頃、アップルコンピュータさんの顰み(ひそみ)に習ってか、さまざまな分野でこういうデザインの製品が、その後もしばらく数多世に出たと思います。

 しかしながら、あの頃に登場したmicro KORGは、むしろ、そういう流行りとは異質の姿をしていました。どこか古めかしいつまみや側面の木の化粧板なんて、むしろ野暮ったく見せたいという意図すら感じました。ギザギザしたモビルスーツ群の中に宮崎駿さんのアニメーション映画の丸っこいイタリア車を置くような…。

 あるいはmicroKORG Crystalをデザインした人は、今度は逆にあの頃の世間のプロダクトが漂わせた空気感を、令和5年夏に売り出すシンセサイザーに織り込みたかったのかもしれません。

 microKORG Crystal発表からの数時間、ネット上で数多目にしている“スケルトン”“トランスルーセント”の語彙に、郷愁とはいわないまでも、一気にあの頃の空気感を思い出しました。

 繰り返しますが、micro KORGとmicroKORG Crystal、シンセサイザーとしてできる事は同じです。シンセとしてどちらかがどちらかと異なる何かを持っているわけではありません。ただ、この両機を私の目の前に置かれた場合、音色のマニピュレーションは違ってくるかもしれません。多分私は後者microKORG Crystalで、情緒的な音色を作ろうとしてしまうような気がします。

 ただ、コルグのmicroKORG Crystalのウェブサイトに、micro KORG、microKORG Crystalが写った画像があるのですが、それを見てつくづく思いました。私は両方欲しい。micro KORG、microKORG Crystalとも。

 microKORG Crystalには完全な透明で黒字の「KORG」のロゴが入った専用のキャリーバッグが付属します。micro KORGやmicroKORG Sユーザーにも欲しい人は出てくるかもしれないので、単体販売いかがでしょうか。

 私は防塵と遮光という観点から、普段シンセサイザーを出しっぱなしにせずソフトケースに入れているのですけど、この透明素材のキャリーバッグは遮光にはならないですね。microKORG用の黒いソフトケースSC-micro-MSGは生産を終えています。

 microKORG Crystal、発売時期は今夏となっているのですが、詳らかな発売日や価格の発表はまだありません。

 私がいつも言っている、EGがADSRのシンセは税別5万円以内で、という自己緊縛は、この際、捨てる時が来たのかなと思っています。


令和5(2023)年11月12日追記。

 microKORG Crystal、令和5年11月12日発売。夏からはやや外れた時候になりました。税込価格¥58,080。


令和5(2023)年12月23日追記。

 microKORG CrystalのACアダプターは、microKORG Sと同じKA350です。

 また令和5年11月13日東京楽器博で撮らせていただいた画像をこの記事に添付しました。
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microKORG Crystal
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/microkorg_crystal/

micro KORG
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/microkorg/

microKORG for Mac/Win
https://www.korg.com/jp/products/software/kc_microkorg/