KORG TRINITY plus導入記(2)

 KORG TRINITY plus導入記(1)からの続きです。

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 KORG TRINITYシリーズの外観及び操作上の最大の特徴は、液晶画面上のパラメーターを指その他で触れて選択するタッチビューグラフィカルユーザーインターフェイスだと思います。

 TRINITYシリーズが店頭に並んだ頃、このタッチビューの反応の鈍さと動作の遅さが気になったのですが、システムがバージョンを重ねる毎に改善されてきました。ちなみに当時、システムはフロッピーディスクで供給する形でした。現在のようにインターネットを介するという方法はありませんでした。

 私はかつてTRINITY pro Xに慣れ始めた頃、シンセサイザー等のタッチビューではない液晶画面も、つい指で触れてしまう事があり、時に周囲の人から怪訝に見られる事がありました。TRINITYシリーズやその後のコルグのワークステーション機等、タッチビューを装備したモデルのユーザーの中には、同じ経験をされた方がいるかもしれません。

 今日、駅の発券機や銀行のキャッシュディスペンサー、そしてApple iPhone、iPadといった情報ツール等にタッチビューが採用されている事に、感慨深いものがあります。

 シンセサイザーのタッチビュー、視覚的にも操作感的にももう少し進化したら、マニピュレーションが便利に、そして面白くなると思います。アイコンを多用するだけでも違ってくると思うのですが…。マン/マシンインターフェイスの進化は、シンセサイザー単体機復権の鍵になると思うのですが、そのヒントを昨今の情報ツールが教えてくれている気がします。

 ちなみにタッチビュー、時々キャリブレーションをやっておいた方が、感触が変わらないというか部位がずれないようです。

 同時期に発売されたフィジカルモデリングシンセサイザーProphecyと違い、M1、01/W同様、フロントパネルにはボリュームと操作子のスライダーが各々一つづつ、INC/DECボタン、そして回転操作子としてはコルグのワークステーション機初のダイヤルあるだけで、アサイナブルノブ/スライダーの類いは無く、それ故に洗練されている思います。

 アナログシンセのフロントパネルのごちゃごちゃ感が嫌いな上、つまみをひねりまわしたりスライダーを上げ下げしてのまぐれ当たりはなく、脳裏で音を鳴らしてそれをシナリオ化し、数値や選択語彙に写し取る形で音色を作ってゆく身には、テンキー入力ができる事と併せて機能的なデザインだと思います。

 TRINITYシリーズはデジタルアクセスコントロールを完全にタッチビュー上で行うのではなく、ページ指定用のボタンがフロントパネルの手前左寄りに八つ並んでいます。

 平成16(2004)年にシンセサイザー趣味を再開してKORG TRITON Le 61を使い始めて以来、エディットモードのページ選択が画面内に表示される事が身に付いてしまっていたので、今回TRINITY plusを導入して音作りを始めた時、ページの変更方法が一瞬分りませんでした。

 TRINITYシリーズのコンビネーションモードや音色プログラムは、カテゴリー分けが為されています。

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 画面右上の下向きの矢印付近に触れると、“Select by Category ”という選択肢があり、それを選んで次の画面に進み、カテゴリーとプログラムを選びます。

 ジョイスティックでのピッチベンドに関して、通常の滑らかに変化させるコンティニュー(Continuous)以外に、きめを粗く設定する事ができます。私は金管系や姫神の「神々の詩」の間奏の笛の音のシミュレーション時に使っています。この選択肢、続くTRITONシリーズやM3M50には継承されていません。コンティニュー固定です。

 アフタータッチは単なるオン/オフではなく、M3同様押し込み具合を感知します。エクスプレッションペダルの踏み込み具合を変える事で様々な音色変化の緩急をコントロールするのと同じ事が、アフタータッチでできます。TRITONシリーズではどうもオン/オフしかできません。私の設定に問題があるだけで、本当はTRITONシリーズでも同じ事ができるのかもしれませんが、今のところ私にはその方法が判りません。そもそも私はほとんどアフタータッチを使いませんけどね。

 先ほど触れた音色プログラムやコンビネーションモードと違い、TRINITYシリーズのオシレータ波形は、まだカテゴリー分けされていません。TRITONシリーズ以降はオシレータ波形もカテゴリー分けされています。現行機等に比べるとTRINITYシリーズのオシレータ波形の数は少ないのですが、それでも10年ぶりに所有し使ってみると、波形選択に若干の手間を感じます。

 ACCESS音源部でシミュレーションした喜多郎mini KORG 700Sの音色を弾いていて、ある発見をしました。

 モノフォニック発声のおり、スタッカート/レガートでリトリガーする/しないを弾き分ける為に、シングルトリガーに設定(Mono及びLegatoにチェックを入れる)して、例えば「ド」の鍵盤から2オクターブ上の「ド」へレガートした場合、なぜか「ド」ではなくその半音下の「シ」の音が、モジュレーションがかからない状態で発声してしまいます。

 取扱説明書には、シングルトリガーではマルチサンプルや鍵盤位置により、正しい音程で発音しないことがある、といった意味の注意書きがあります。

 逆に2オクターブ下へのレガートの場合は問題なく発声しました。また、波形によって現象が出るものと出ないものがあります。喜多郎mini KORG 700Sで使うPulse33%や鋸歯状波、矩形波、三角波といった、コルグのPCM系シンセではPCMではなくDWGSで作られている波形群で、同じ現象が出ました。

 同じ事をTRINITY plusのMOSS音源部で行った場合、現象は発生しませんでした。また、TRITONシリーズ(HI音源)やM3/M50(EDS音源)で行った場合も、問題はありませんでした。

 2オクターブ以上レガートするというシチュエーションは私にはあり得ず、全く困る事はないのですが、ちょっと気になりました。

 コルグのデジタルシンセで初めてフィルターにレゾナンスが付きました。私はあまりレゾナンスを使わないのですが、撥弦系や人声(男声)系の音をより作り込めるようになりました。

 前モデル01/Wシリーズにはウェーブシェイプ機能の1ソースとして“レゾナンス”があったのですが、他のソース同様、鋸歯状波以外にかけると単に音が汚くなるだけでした。ウェーブシェイプ機能、他のAI2音源のシンセサイザーに全く継承されませんでした。

 TRINITYシリーズのEGのタイムまわりのオルタネートモジュレーションそのものは、EGのタイム全体に対してしかかける事ができないものが1チャンネルあるだけなのですが、キーボードトラックとベロシティは独立してパラメーターがあり、各タイム個別に対する設定できます。

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 私にとってベロシティと経時変化の関わりに関するパラメーターは音作りの命なのですが、この部分、意外な事にTRITONシリーズで退行しています。KORG TRITON STUDIO 61導入記(2)で記します。

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 TRINITYシリーズは、他のコルグの前後のワークステーション機に比べて高価でした。しかしながら当時先進的だったタッチビューの採用や、それまで暗い色が多かったシンセサイザーのイメージを一変させた銀色のカラーリング、筐体形状の美しさ、筐体や奏者/マニピュレータとの接点部分(ダイヤルやボタン、スライダー)の作りの丁寧さ等、楽器として道具としての完成度が、現行機よりも高いシンセサイザーだと思います。


KORG TRINITY
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/TRINITY/

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by manewyemong | 2010-09-04 11:24 | シンセワールド | Comments(0)