Roland JUPITER-80

 ドイツ・フランクフルトでの楽器見本市ムジクメッセ2011に合わせて、Roland JUPITER-80が発表されました。

 名称及び筐体のカラーリング、ボタンの形状やレイアウト等、国産アナログプログラマブルポリフォニックシンセサイザーの金字塔ともいうべきRoland JUPITER-8からの影響、というより、JUPITER-8風の皮膚をまとう事が、このシンセサイザーの企画意図の第一義だったのかもしれません。

 既にこれが超弩級ローランドシンセサイザーなのでしょうかで記した事と重複するのですが、分る範囲で記したいと思います。

 ワークステーション機Roland Fantom Gでは、オプションボードARXシリーズという形で、1枚1枚が半ば1台のシンセサイザーとして供給されたSuperNATURALが、JUPITER-80では標準のシンセサイザーエンジンとして採用されています。

 去る1月2日、コルグのサイトのトップに

KRONOS
PREPARE TO BE AMAZED
COMING NAMM 2011

というスーパーが出て来た時(コルグのトップページに“KRONOS”なる告知が…参照)、私はフロントパネルの大半を大型タッチビューが占め、操作子が実体ではなくアイコン化された、凹凸の無いのっぺりしたシンセサイザーを夢想しました。

 もちろんそれは完全に外れたのですが、今回のローランドの新製品がSuperNATURALをシンセサイザーエンジンとするのであれば、案外、操作子がおおむねアイコン化された大型タッチビューというマン/マシンインターフェイスは、有効なのではないかと思いました。

 その理由は、SuperNATURALは各楽器モデルによってパラメーターの構成が全く異なっていて、画面や操作子が一律だと、音色を作るにあたって楽器モデル毎の操作性に、得手不得手が出てしまうと思ったからです。もちろんこれは実際に触ったら払拭されてしまう懸念かも知れません。

 Roland JUPITER-80のSuperNATURALの楽器モデルがどれだけあるのか今のところ判りません。シンセサイザーとアコースティックの二つに分けられています。SuperNATURALによるアコースティックトーンという画像を見ると、ピアノ、金管、擦弦、撥弦といった区分けに見えるのですが、本文中には、電気ピアノやコンボオルガン、二胡、イリアン・パイプス、シタールなどの民族楽器から、シアター・オルガン、オーボエ、マリンバなど、といった記述があり、各々がSuperNATURALの楽器モデルとして用意されているのか否かは分りません。もしそうだとすると“超弩級”という表現は、少しも大仰だとは思いません。

 ルックスについて記していきたいと思います。音色作りに関する操作子はあまりフロント表面には出ていなく、ボタンやスライダー類は演奏操作子の範疇に入るものだと思います。Roland JUPITER-80はライブシンセサイザーと銘打たれています。

 鍵盤の下に傾斜がかかったパネルがあり、レジストレーションボタンがあります。電子オルガンに、本当に昔からよく見られる操作子ですが、私は同時にmini KORG 700/700Sのパネルを思い出しました。喜多郎さんが右手人差し指から小指までを使って鍵盤演奏しながら、親指でトグルスイッチを操作しているのを公演で見た事があります。Roland JUPITER-80のこのパネルに傾斜がかかっているというのは考えたなと思いました。垂直のパネルより親指が近くなると思います。

 Roland JUPITER-80の見た目の特徴であるJUPITER-8風の姿には、特段の意義を感じません。カラフルな所そのものは気に入ったのですが…。

 KORG POLY-61やYAMAHA DX7といった、デジタルアクセスコントロールタイプのシンセサイザーが登場する以前、操作子がスライダーやつまみだった頃のシンセサイザーのデザインと仕様には、より密接な相関関係があったと思います。その姿を見れば、仕様が把握できました。

 Roland JUPITER-8のあの仕様の為には、あのデザインが必要だったのであり、あのデザインだからこそ海外の高級機に引けを取らなかったあの強大な仕様を織り込む事ができたのではないでしょうか。しかしながらJUPITER-80は、仕様とJUPITER-8風のカラーリングやボタンとの関係が、どうも見えません。

 かつての名機JUPITER-8を知る人に訴求する為にあのデザインにしたのであれば、いっその事、徹頭徹尾JUPITER-8の音質や操作感を再現する事を目的とした仕様のシンセサイザー開発が為されてしかるべきだったのではないでしょうか。

 SuperNATURALシンセサイザーエンジンという仕様のシンセを出すのであれば、それが活きるデザイン、マン/マシンインターフェイスを開発すべきだったと思います。

 バラエティーに富んだ楽器モデルが入っているであろうJUPITER-80のSuperNATURALには、大変興味を持ちました。木管、そして私が希求して来た人声系が入っているのであれば手にしたいモデルです。

 Roland JUPITER-80試奏記に続きます。


Roland JUPITER-80(製品情報)
http://www.roland.co.jp/products/jp/JUPITER-80/

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by manewyemong | 2011-04-09 10:36 | シンセワールド | Comments(0)