YAMAHA CS-50試奏記

 implant4さんで、アナログポリフォニックシンセサイザーYAMAHA CS-50を試奏させていただきました。

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 YAMAHA CS-50は昭和52(1977)年に登場しました。この年、ヤマハはCS-80、CS-60、このCS-50の系統、そしてCS-30LからCS-15CS-5に至る黒い筐体の系統を一気に発売します。

 YAMAHA CS-50の発声数は4声ポリフォニック、1声あたり1VCO-1VCF-1VCAです。

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 49鍵機なのですが重量は35kgもあります。1990年代のワークステーションの88鍵機より重く、今回の設置に際してimplant4さんには、お忙しい中、本当にお骨折りいただきました。ありがとうございました。

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 筐体は当時流行っていたハードケース一体型。上蓋を取り付けるとケースに収納された形になります。

 シンセサイザーのACコードは通常、リアパネルから伸びているのですが、CS-50は付け根が筐体底部にあり、まとめて内部に格納できるようになっています。また、底部には脚を4本取り付けるようになっていて、スタンドを用意しなくても設置する事ができます。

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 リアパネル側。

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 音声出力はモノラル。エクスプレッションペダル端子、そしてサブオシレータ(LFO)のソースとしての音声入力端子があります。

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 音叉マークの付いた「YAMAHA」のロゴ。

 YAMAHA EX5試奏記にも書きましたが、CSシリーズのプログラマブルモデル、YAMAHA CS70MやCS01、DX7あたりからロゴの前に音叉マークが無かったのですが、CS-50には付いています。リアパネルのロゴにこのマークが復活するのは、平成11(1999)年のYAMAHA S80とCS6xからです。

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 鍵盤。49鍵でアフタータッチが使えます。CS-50でいうタッチレスポンスという語はベロシティの事ではなくアフタータッチです。ベロシティはありません。

 鍵盤の感触は、後年ヤマハやコルグのデジタルシンセに使われる、ヤマハ製FS鍵盤に似ていると思いました。影響を与えたのかもしれません。

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 フロントパネル。

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 取扱説明書にブロックダイアグラムが載っているアナログシンセは多いのですが、CS-50はフロントパネルに描かれています。

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 VCO。とにかく音程が安定していて、デジタルシンセかと思えるくらいでした。電源投入直後からきちんと音階を演奏することができました。

 PWMの変調ソース専用のレイト、PWM、PW、矩形波/パルス波及び鋸歯状波のオン/オフボタン、ホワイトノイズジェネレータ。

 PWMとPWを併用できます。パルスウィズは90%が上限です。シンセサイザーのノウハウが一般的でなかった当時、パルスウィズを100:0にした時に音が消えるのを、故障と解釈されるのを避けたからではないでしょうか。これはVCFのカットオフを下げ切っても音が消えない事とも共通していると思います。

 YAMAHA CS-50で喜多郎mini KORG 700Sリードを模する場合、パルスウィズをこの画像のあたりで探ってみてください。

 YAMAHA CS-5やCS-10等のように矩形波/パルス波と鋸歯状波の混ぜ具合を設定する事はできません。あくまで両者のオン/オフだけです。

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 VCF。ハイパスフィルター、ローパスフィルターを併用できます。レゾナンスを上げきっても自己発振はしませんでした。EGデプスやキーボードトラックはありません。

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 VCF EGはヤマハのアナログシンセサイザー独特の要素、イニシャルレベル、アタックレベルを設定できます。ADSRタイプか、より簡便なものしか無かった頃、ヤマハは既にこんなEGを載せていました。

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 VCA。VCFからの信号をどれだけのレベルで持って来るか、トレモロのデプス、EG(アタックタイム、ディケイタイム、サスティンレベル、リリースタイム)、そしてVCAレベル。

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 リングモジュレータの操作子。

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 スライダーではなく弧を描いて動くレバーです。設計者は奏者やマニピュレータに対して、ここを音色設定の操作子だけではなく、演奏操作子として使わせたかったのではないでしょうか。ここを操作しまくると、とにかく狂気的に音色が変わっていき、つい遊んでしまいました。

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 YAMAHA CS-50はプログラマブルシンセではないのですが、予め設定されたプリセット音が13種用意されています。当時のエレクトーンと同じ操作子で選択するようになっています。

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 フロントパネルの音色操作子による設定、つまりマニュアル音を使う場合は、この白い「PANEL」ボタンを押します。

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 アフタータッチの設定操作子。ここもスライダーではなくレバーです。アフタータッチそのものはKORG TRINITYM3-61/73KRONOS 61のような押し込み具合を感知するタイプではなく、オンオフのみです。演奏中のこのレバーの操作との兼ね合いで、効果にバリエーションを持たせる事ができると思います。

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 このサブオシレータとはLFOのことです。

 ファンクションはLFO波形。サイン、降昇二つのタイプの鋸歯状波、矩形波、ピンクノイズ、そして外部音声入力。

 LFOの波形にノイズがあるモデルは後年のRoland SH-101があります。ビブラート、グロウル効果、トレモロのソースにノイズを使うと、ホワイトノイズと併せた爆発音や濁りを帯びた木管などに使えます。

 またポルタメント/グリッサンドの設定もここで行います。

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 右端に電源の投入ボタンがあります。

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 音色設定上の仕様や音質でいえば、YAMAHA CS-50は私には全く使い道が無いシンセサイザーです。しかしながら、鍵盤、ボタン、スライダー、レバーといった、奏者やマニピュレータとの接点に関して、現行機とはちがい、丁寧に作られている感があります。製造から35年が経過しているにもかかわらず、鍵盤や操作子に疲労が感じられない、心地よい操作感でした。

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 このまま実体のあるシンセサイザーが、ソフトウェアとの消耗戦に敗れて滅び去る前に、人が触れる部分にこのYAMAHA CS-50に負けないくらいのこだわりが貫かれたモデルが、日本のメーカーから一つでも出て来てくれないものかと思います。

 それにしても今回試奏させていただいた個体、素晴らしい美品だと思います。implant4さんの最終的なチェックが入った後、サイトの在庫リストにアップされる事になると思います。


YAMAHA CS-50
http://jp.yamaha.com/product_archive/music-production/cs50/?mode=model

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by manewyemong | 2012-04-27 13:19 | シンセワールド | Comments(0)