KORG TRITON Extreme BK試奏記

 implant4さんで、ワークステーション機KORG TRITON Extreme BKを試奏させていただきました。既に商品として、implant4さんのサイトの在庫リストにアップされている個体です。

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 KORG TRITON Extremeは平成16(2004)年の年明け、パソコンベースのソフトウェアシンセKORG Legacy Collection(MS-20、Polysix、WAVESTATION、Legacy Cell)と同時に発表されました。

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 今回試奏した筐体がBKカラーのモデルはそのちょうど1年後、TRITON Le BKとともに発表されました。TRITON Extreme BK、TRITON Le BKともに61鍵機のみであり、各々200台の限定生産でした。ちなみにTRINITYシリーズのBKカラーモデルは、61鍵機だけではなく76鍵機もありました。

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 KORG TRITON Extreme BKの筐体側面。

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 おなじみ中央に背骨があるヤマハ製FS鍵盤。

 TRITON Extreme BK及びこれに遅れること数ヶ月の平成17(2005)年5月に登場したモンスターワークステーション機KORG OASYS 76は、ヤマハ製FS鍵盤を採用した最後のシンセサイザーです。

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 演奏操作子群。KORG TRITON Leの形状を継承したジョイスティック、TRINITY以来の形状と機能を継承している二つのアサイナブルボタン、リボンコントローラー。

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 真空管エフェクトバルブフォース(VALVE FORCE)。

 バルブフォースは、コルグ創業40周年の平成15(2003)年、KORG ELECTRIBE MX/SX(DJツール)に装備され、D32XD/D16XD(MTR)にはオプションという形で用意されました。現行機でもデジタルピアノSV-1にバルブレクター(VALVE RECTOR)として装備されています。

 バルブフォース使用時、TRITON Extremeのレギュラーカラーモデルは、キャノピー内が青く輝くのですが、TRITON Extreme BKはオレンジ色です。

 昭和55(1980)年夏休みに公開されたアニメーション映画「ヤマトよ永遠に」に出て来た異星人のメカや降下兵の戦闘服は概ね黒尽くめで、放つビームが赤やオレンジなのですが、TRITON Extreme BKを見ると、いつもそのことを思い出してしまいます。

 今回試奏してみて、今更ながらこのバルブフォースの威力に感じ入りました。特にベースを含む撥弦系の音に影(陰ではない)を付ける事ができて、音色が有機的に変わったような気がしました。今後のワークステーション機に継承するか、オプションという形で出していただけたらと思っています。

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 蓋を開けると内部にKORG Z1タイプのフィジカルモデリング音源のオプションボードKORG EXB-MOSSを装着するスペースがあります。以前、EXB-MOSSの中古がZ1と同じくらいの値段で取引されていると聞いた事があります。

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 フロントパネル。

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 アサイナブルノブ、バルブフォースのオン/オフボタン。

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 モード選択ボタン群、エディットモード時の音色設定操作子バリュースライダーとDEC/INCボタン。コルグの場合、なぜかこの二つだけが、いつも画面の左側に設けられています。

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 タッチビュー。

 モノクロですが、その後の各社のシンセのカラー画面よりも見やすいような気がします。モノクロからカラーへの変化を、単純に進化と見るのは家電的な感性ではないでしょうか。シンセサイザー/ワークステーション機はあくまで楽器だと思います。

 と、書きつつ、一方で私はコルグのトップページに“KRONOS”なる告知が…で、
 あくまで全く根拠の無い私の予測にすぎないのですが、今度のKORG KRONOS、シンセサイザーエンジン部分以上に、マン/マシンインターフェイスに新機軸が織り込まれるのではないでしょうか。例えばKORG TRINITY plus導入記(2)やiMS-20でも少し書いたのですが、Apple iPadのように操作子のほとんどがタッチビュー化されるとか…。

 ボタンやスライダー、ダイヤル、テンキー等がタッチビュー化されたら、それらの感触に関して脆弱感もへったくれも無くなります。廉価機KORG M50ですらタッチビューが採用されているくらいですから、もう実際にボタンやダイヤル等を付けるより、液晶画面上に置いた方が安くあがるのかもしれません。

 大型タッチビューを利用して、取扱説明書がKRONOSの画面でiPadみたいに読める、つまり単なる同梱ではなく、シンセ本体に入っているというのはどうでしょうか。
等と書いたのですが…。

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 バリューダイヤル、エディットモードボタン、テンキー等、音色設定操作子群。

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 音色のバンクボタン、内蔵MIDIシーケンサー及びアルペジエータ操作子。私はTRITONのこのアルペジエータを、例えばRoland JUPITER-4のそれを模したフライングジュピター等、大変重宝しています。

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 リアパネル。

 初代TRITONには及ばないものの、TRITON STUDIOのような野暮ったさは無く、洗練されていると思います。

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 「KORG TRITON Extreme MUSIC WORKSTATION/SAMPLER」のロゴ。

 銘板(シール)の部分に「株式会社コルテック」と記されたのは、KORG TRITON Extremeが最初だったと思います。

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 コルグのワークステーション機で初めてUSB A/B端子に対応したモデルだったと思います。

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 アウトプットはステレオ1系統+モノラル4系統。Roland JUNO-G試奏記で書いたような理由で、できればコルグのワークステーション機もステレオ出力を2系統にしていただけたらと思っています。

 KORG TRITONシリーズの基本的な部分は、既にKORG TRITON STUDIO 61導入記(1)及び(2)に書いています。

 TRITON Extremeの他のTRITONシリーズのシンセサイザーエンジン部分の違いを記すと、オプションボードEXB-PCMに対応していないかわりに、そのかなりの音色波形やプログラムを予め内蔵しているという事です。

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 本来のTRITONシリーズのオシレータの内蔵波形は、「ROM」の中にあり、その他は追加波形です。例えば「OrchS」はEXB-PCM06のストリングス系波形群であり。「OrchB」はEXB-PCM07のブラス波形群からのチョイスです。

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 追加波形群は本来のオシレータ波形と違い、カテゴリー分けが為されていません。これはワークステーション廉価機TR、そしてオプションボードEXB-PCMシリーズも同じです。

 何度も書いているのですが、このKORG TRITON Extreme、Roland Fantom X、YAMAHA MOTIF ESの登場した平成16(2004)年を、私はシンセサイザーの歴史の一つの峠と見なしています。これより後、各メーカーの革新性が希薄になり、大鑑巨砲主義的に機能を詰め合わせたり、奏者やマニピュレータとの接点の部分のコストカットのペースをぐっと上げ始めた感があるからです。

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 今回試奏させていただいたKORG TRITON Extreme BKのコンディションが、新品かと思うほど素晴らしかったという事情もあるのですが、とにかく触っていて物理的な部分の不満が湧きませんでした。実体を持ったシンセサイザーが、結局どこで評価されるかといえば、この辺だと思うのですけどね。

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 KORG TRITON Extremeはその76鍵機が、近年人気を博した漫画かアニメの登場人物に使用されるという、想像を絶する要因が絡んで今日に至るまで中古価格があまり下がっていません。

 しかしながらその事以外に、先に挙げた奏者やマニピュレータとの接点部分に関する現行機への不満も、根底にあるのではないでしょうか。


KORG TRITON Extreme
http://www.korg.co.jp/Product/Discontinued/TritonExtreme/

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by manewyemong | 2012-06-08 15:15 | シンセワールド | Comments(0)