studiologic sledge試奏記

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 implant4さんで、アナログモデリングシンセサイザーstudiologic sledgeを試奏させていただきました。

 studiologic sledgeは、たしか既に1年前のNAMM 2012で発表された記憶があるのですが、日本では先月平成25(2013)年1月から販売が開始されました。

 シンセサイザーエンジン部分の技術はドイツwaldorf社からの供与を受け、

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 その事がフロントパネル上に表記されています。

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 筐体はフロントから底面にいたるまでプラスチックです。軽いです。

 筐体の黄色のカラーリングはレモン系ではなく、暖かみのある濃い黄色。CMYKでいえば単なるY(イエロー:黄)100%ではなく、M(マゼンタ:赤)を若干量加えた感じ。クレヨンの黄色、幼稚園児や小学生の帽子の黄色を思い出します。

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 背面。電源投入ボタンとACコードの差し込み口があるだけです。

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 各種接続端子は背面ではなく左側にあります。

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 鍵盤。ベロシティとアフタータッチ(モノフォニック)が使えます。

 アフタータッチは単なるオン/オフではなく、鍵盤が押し込まれた深度を感知するタイプのようです。モジュレーションホイールに割り当てられた効果が、アフタータッチの設定としても反映されます。

 感触は少し前のDTMキーボードに似ているような気がしました。

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 ホイール群。形状や感触に関して、以前どこかで触ったような気がするのですが、思い出せません。

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 フロントパネル。

 音色設定操作子は、一部が三つのソースで共有される形である事のぞけば、全て露出しています。一音色の中で、複数のトーンないしエレメントをレイヤーするという発想はありません。

 つまみ、自照型を含むボタンとも、形状や大きさ、感触は素晴らしいと思います。

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 各セクション名の字体がアナログシンセRoland SH-1、09、2及びウェイブアクセラレーションシンセRolnad SH-32に使われたものと似ています。

 かつて「オレたちひょうきん族」にYMOの偽物が出た時、彼等が弾いていた「Poland」なるブランドのシンセ(みたいな箱?)のロゴもこの字体でした。

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 液晶画面、各種設定、音色呼び出し、保存等を行う操作子群。

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 画面は、触れられた操作子が現在指している数値と前回セーブ時の値を、各々NEW〜、OLD〜として表示します。ちなみにこの画面は、フィルターENVのディケイタイムが、つまみは71を指し、最新セーブ値は77である事を示しています。

 つまみ操作タイプのアナログシンセや一部アナログモデリングシンセは、操作子が動かされた時点で前回セーブ時の値は分からなくなりますが、sledgeの場合、見比べながら作業が出来ます。

 コルグのアナログモデリング機の場合、前回セーブ時の値と操作子の値が一致した時、オリジナルバリューランプが点灯するのですが、それよりも分かりやすいのはいうまでもありません。

 画面横のバリュー入力つまみには「カリリ…」というクリック感があります。

 音色はこのバリューつまみ及び画面下のDEC/INCボタンによる1づつの押し送り、もしくはテンキーで直に選ぶ事が出来ます。テンキーは十の位をホールドしておく事も出来ます。

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 モジュレーションの音色設定操作子群。

 他のセクションがパラメーター毎に専用の操作子を持っているのと違い、ここはLFO1、LFO2、ホイールの三つで一つの設定操作子群を共有する形です。

 レイトとデプス、波形の選択子のみで、ディレイタイムやフェイドタイムに関するパラメーターはありません。

 波形は上昇型鋸歯状波、矩形波、三角波、サイン波、サンプル&ホールドに加え、ランプ(RAMP:傾斜)波があります。

 モジュレーションのディスティネーションは、一つのモジュレータから一つのディスティネーションを選択する形なのですが、オシレータ、つまりビブラートの場合、三つのオシレータのうち、全て、あるいはかけたいオシレータだけを選ぶ事が出来ます。

 波形、ディスティネーションとも、専用のボタンで項目を押し送る形で選択します。

 sledgeは、数値が−〜0〜+の範囲で変化するパラメーター、つまりモジュレーションのデプスやオシレータのセミトーン及びディチューンのつまみのセンター位置、つまり0の位置に引っかかり感が無く、つまみを動かす感触でセンター位置を探り当てる事は出来ません。ディスプレイの視認、もしくは聴感での知覚が必要です。

 ただ、これらの音色設定操作子を演奏操作子と捉えた場合、引っかかり感はむしろ邪魔だともいえます。演奏時、センター位置0を通る時に段がついたような変化になってしまうからです。

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 トリガーモード及びモノフォニックモードの選択ボタン。

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 グライド(ポルタメント)は、アナログシンセ同様、レイト設定です。スタッカート/レガートでオン/オフを弾き分けられるか否かをチェックするのを忘れました。

 後で記すENVのアタックタイムもそうなのですが、sledgeのグライドのレイトは、0〜最大値の間が均等に変わるのではなく、緩急を持たせているような気がしました。アナログシンセが好きな人の指向に沿ったもののような気がします。

 ちなみにKORG RADIASのポルタメントは、カーブの形を奏者やマニピュレータが選べるようになっています。

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 オシレータは三つあります。

 波形は鋸歯状波、矩形波、三角波、サイン波、PW/PWMがあり、

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 さらにオシレータ1にはウェイブテーブルがあります。ウェイブテーブルつまみを動かすと、

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 画面に、今、つまみが選択している波形(NEW)と、最新セーブ時の波形(OLD)の番号が表示されます。波形の名称は出ません。

 パルスウィズはパーセンテージで表示されます。喜多郎さんのmini KORG 700Sリードをシミュレーションする場合、パルスウィズは33か68にすると似ます。

 パルスウィズモジュレーションのソースはLFO1/2及びホイールだけで、ENVをかける事はできません。

 ピッチENVはもちろん、簡便なオートベンド機能もありません。

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 三つのオシレータ及びノイズジェネレータのミキサー。いずれもレベルとオン/オフを設定できます。

 ノイズジェネレータにはホワイト/ピンクノイズがあります。minimoogやprophet-5のようなモジュレーションのソースとしては使えません。

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 フィルター。

 カットオフフリケンシーのつまみが大きくとられています。音色設定だけでなく、演奏操作子としての役割が大きい事を考慮したものと思われます。

 フィルター/アンプを問わずENVのアタックタイムについて気付いた事があります。つまみを、時計の短い針でいうと、7時はもちろん10時位まで回しても、打/撥弦系の音の立ち上がりの感じが残っているのですが、単に変化が緩慢というのではなく、微妙なニュアンスを作り込む事が出来ます。

 以上は私がstudiologic sledgeで最も気に入った事なのですが、これ、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5試奏記で書いた同機ENVの特性と似ています。

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 アンプENV及び二つの内蔵エフェクトの操作子群。

 sledgeのベロシティは、音量の大小のコントロールしか出来ないようなのですが、それはここで設定します。

 内蔵エフェクトは、1がモジュレーション系、2が空間系です。各々タイプボタンを押し送って一つを選び、二つのつまみで設定します。

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 studiologic sledgeは、奏者やマニピュレータの音色に対する予め固まっている緻密な発想を汲むというよりは、Roland JD-800試奏記等で触れた“音を探す”向きに向いたシンセサイザーだと思います。それ故、私には全く使い道がありません。

 かつてKORG RADIAS試奏記で、
RADIASの細部にわたって考え抜かれた複雑なパラメーター群は、凝り性の私にとって非常に興味深いものでした。短い時間でしたが、音作りをしてみてこれまでに無いかゆい所に手が届く感じを味わえました。しかしながら多くのシンセユーザーがつまみ操作タイプのシンセサイザーに求めているのは、複雑な機能ではなくシンプルな操作感だと思うのですが、
としました。

 studiologic sledgeはそのシンプルな操作感を味わえるモデルだと思います。


平成27(2015)年6月20日追記。

 今年初めに発表された事なのですが、studiologic sledgeのシステムが2.0になっています。追加された機能を列挙していきます。

 発声数が最大24に なっています。

 スプリット/レイヤーが使えます。

 エフェクト2においてディレイかリバーブかを選択しなければならなかったのですが、併用できるようになっています。

 オシレータ1のウェイブテーブル波形群に関して、バリューのみだったのが名称も表示されるようになりました。


studiologic sledge
https://dirigent.jp/product/studiologic/sledge-2-0/

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by manewyemong | 2013-02-01 14:08 | シンセワールド | Comments(0)