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moog little phatty stage II試奏記

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 implant4さんで、プログラマブルモノフォニックアナログシンセサイザー、moog little phatty stage IIを試奏させていただきました。

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 little phatty stage IIの構成は、2VCO、1VCF、1VCA、1LFO。EGはADSRタイプがVCFとVCAに独立して備わっています。

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 ホイールは蜜柑色に光っています。形状、感触とも申し分の無いものでした。

 しかしながら、モジュレーションホイールを手前に引ききった状態、つまり変調をかけていない状態から、かけ始め(かかり始め)に入るのが急というか唐突な感じがして、微妙なニュアンスを出しづらい感じがしました。ただし、これはきつめの変調をかけたりかけなかったりをタイトに繰り返す奏者にとっては、むしろ都合の良い操作感だと思います。

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 鍵盤。裏におもりが装着されています。

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 フロント側から見るとわかりにくいのですが、横からだとlittle phatty stage IIが独特の形状の筐体を持っている事がわかります。

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 リアパネル側にある事が多い音声出力やMIDI、USB、電源のオン/オフボタン等が、左側面にあります。

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 したがって、背面はすっきりしています。「moog」のロゴも大きく書かれています。

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 私には、おとぎ話に出てくる馬車の後部のように見えてしまいます。

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 little phatty stage IIのフロントパネル。

 little phatyは、各セクション毎に一つの入力つまみと、それを囲む形でパラメーターの値を示すランプがあります。

 エディットしたいパラメーターの自照式ボタンを押すと灯りが点灯し、つまみのまわりのランプが現在の値を指します。したがって、つまみやスライダーといった純然たるアナログ操作タイプのシンセと違い、音色をエディットして保存後、操作子を別の事に使っても、後からパラメーターを視認する事ができます。

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 音色の呼び出しやMIDI関連等の設定、グライド(ポルタメント)のオン/オフ、オクターブ切り替え操作子等のセクション。

 グライドやオクターブの状態は、音色毎に保存時のものが反映されます。例えばアナログモデリングシンセサイザーKingKORGの場合、音色を呼び変えても現在の状態が継承されます。

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 オクターブボタンは自照型で、押された回数によって蜜柑色、ピンクへと変わります。

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 音色を呼び出した状態では、画面に「PRISET ACTIVE」が表示され、プリセットボタンは蜜柑色なのですが、

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 音色をエディットし始めると「PANEL ACTIVE」が表示され、プリセットボタンはピンクになります。

 エディット中にプリセットボタンを押すと「PRISET ACTIVE」の表示と、最後に保存された時の設定の音色が発声されます。もう一度押すとエディット作業中の状態に戻ります。要するにコンペアと現在進行中の音とを聴きくらべる事ができるわけです。

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 LFO。

 レイトとデプスの設定、波形、ディスティネーションの選択を行います。

 この画像では操作子にデプスが充てられ、バリューは7を指しています。

 little phatty stage IIの、複数の項目から一つを選ぶためのボタンは、この波形やディスティネーションに関するもののように縦長で、押し送る形で指定します。

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 VCO1及び2。二つはほぼ同じです。

 波形は三角波から鋸歯状波、矩形波、PWまで、連続的に変化させる事ができます。「的に」と表記した理由は、他のパラメーターもそうですが、バリューは15段階で変わるからです。スムースな変化ではありません。

 パルスウィズが最もせまい値、つまり15になっても、音は消えません。

 グライドはレイト設定で、VCO1/2共有です。VCO1/2はバランスではなく各々のレベルを設定できます。バランスではなくレベル故に、VCOを鳴らさない事もできます。

 little phatty stage IIのピッチの安定度は素晴らしく、DCOかなとも思ったのですが、チューニングの為の技術が発達しているらしく、VCOでこの安定を保てています。

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 恒例の喜多郎miniKORG 700Sリードのシミュレーションのヒントは、VCO波形はこの位置が良いと思います。VCOは一つで良いのでVCO2レベルは0。

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 VCF。ローパスフィルターです。

 レゾナンスを上げきって自己発振させる事ができます。また、グライドをかけることができます。キーボードアマウントを最大値にした時、音階をドレミ…、つまり平均率にする事ができます。

 VCF EGの正逆をポラリティスイッチではなく、EGアマウントのマイナス〜0〜プラスで設定できます。

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 ADSRタイプの二つのEG。下、つまり奏者に近い方がVCF EG、遠い方がVCA EGです。

 かつてアナログシンセ時代、電圧制御のEGにイライラさせられたものですが、little phatty stage IIはデジタルなのか、割と素直にいう事を聞いてくれます。

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 シンセサイザーエンジン部分はシンプルな構成であり、little phatty stage IIは何もかもが大仰だった1980年代によく謳われた

無限の音色作りができる

からはほど遠いモデルです。

 
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 しかしながら、プログラムした音色を後にきちんと視認する方法を、円形に配されたランプの位置という、あくまでアナログ的な形で示してくれています。見た目の印象も、安定感と可愛らしさが同居しているような気がします。

 implant4さんには、little phatty stage IIの他に、そのデスクトップモデルともいうべきslim phattyも入荷していました。試奏はしませんでしたが、今回記したlittle phatty stage II同様、美品でした。両機とも、近日中にimplant4さんのサイトの在庫リストにアップされると思います。

 なお、先般モーグミュージック製品の日本国内の代理店業務を、コルグが行う事が発表されました。新品の価格等に変更が起きる可能性があります。そしてそれは、中古機にも影響を及ぼす可能性が考えられます。


moog little phatty stage II
http://www.korg-kid.com/moog/product-details/little-phatty-stage-ii/

by manewyemong | 2013-04-26 14:39 | シンセワールド | Comments(0)