KORG KROSS試奏記(1)

 平成25(2013)年7月14日に発売されたワークステーションの廉価機、KORG KROSSの61鍵機KROSS-61及び88鍵機KROSS-88を試奏しました。集中的にではなく、楽器店前を通りかかったおり数分づつ、数回の試奏です。

a0060052_11432033.jpg
 
 このKORG KROSS試奏記(1)では、奏者やマニピュレータとの物理的な接点の部分を、KORG KROSS試奏記(2)では、シンセサイザーエンジンやマニピュレーションに関する事柄について記します。

a0060052_11433022.jpg
 
 KORG KROSS-61とKROSS-88で、ワークステーション機としての性能の違いはありません。ただ、サイズや重量以外に、デザインそのものに異なる点があります。筐体が上下に分かれている事は同じなのですが、KROSS-61は上部が下部におおいかぶさる形に、KROSS-88はKROME同様、下部が上部を受ける形になっています。

 筐体上部はBKカラーとは異なる落ち着いた黒で、フロントパネルにはショッキングピンクのストライプが横一文字に走っており、アクセントになっています。また、全ての文字は黒に映える厳かな感じの金色です。私はこの金色が大好きなので、ここでぐっと来ました。

 下部はフロントパネルのストライプと同じショッキングピンクで、特にKROSS-61の場合、完全に見えるのではなく、どこかちら見せの感があります。この部分、筐体下部がリアパネルを覆う形のKROSS-88は、若干ショッキングピンクが効き過ぎている様に思いました。

 全体的にKROSSは、奏者やマニピュレータ側、そして演奏を観聴きする側の視線を、バランスよく意識した姿になっていると思います。KROSS-88のリアパネル側はともかく、穿ち過ぎかもしれませんが、KORG KROSSは全体的にそこはかとなく日本を感じてしまいます。

 コルグ創業50周年記念モデルとして、黒い部分に黒漆、ショッキングピンクの部分に朱漆、金色の文字に金箔を施した限定KROSSなんていかがでしょうか。

 KROSS-61のリアパネルには取っ手が付いていて、重量が4.3kgと軽い事に加えて可搬性に富んでいます。KROSS-88は12.4kgと信じがたいほど軽い上に、オプションのソフトケースにはキャスターが付いています。

 なぜ73鍵機が無いのかについて考えてみたのですが、ソフトケースが背負える形のKROSS-61や、牽引する形で運ぶ事ができるキャスター付きソフトケースのKROSS-88と違い、73鍵機は持ち上げるか肩にかける形になるため、可搬性において中途半端だからかなと思いました。

 鍵盤に関して記します。KROSS-61、KROSS-88ともに、ベロシティのみでアフタータッチはありません。

 KROSS-88を店頭に設置している楽器店を、大阪市内に2軒見つけました。KROSS-88と同じNH鍵盤の先発機KORG KROME-88は大阪で見る機会が無く、今回初めて同鍵盤を体験しました。

 シンセサイザー使用の動機の第一義がピアノの代用ではなく、額面通りシンセサイザーを演奏する事である私にとって、この鍵盤は上級機のRH3鍵盤(KORG M3-88試奏記KORG M3 XP-88試奏記参照)と全く遜色の無い、というより、アフタータッチが無用な私には、むしろこちらの方が好感触に思いました。強弱やスタッカート/レガートの弾き分けやすさ、静粛性…NH鍵盤は、私がハンマーアクションタイプの鍵盤に求めるものを、完全に持っていました。

 KROSS-61の鍵盤は、試奏する前はKORG R3やmicro X程度のものを予想していました。しかしながら、鍵盤の裏側におもりは貼り付いていないものの、店頭で適当に弾いた限りでは、KROME-61KROME-73KingKORGの鍵盤に、著しく劣っているといった印象は持ちませんでした。静粛性についてはわかりませんでした。

 コルグは低価格機のコントローラーには、ジョイスティックではなくホイールを用いる事が多く、コルグワークステーション機には珍しい事ですが、KROSSにも採用されています。R3と同じものの様な気がしました。

 ホイールの近くにある二つの自照式ボタンは、単なるオクターブアップ/ダウンではなく、ありがたい事にKORG TRINITY以降の他のコルグワークステーション機同様、アサイナブルでした。オルタネートモジュレーションのソースとして、アイディアを活かして使う事ができます。

 カットオフやレゾナンス、その他様々な機能を予め割り振って演奏中に使う、アサイナブルつまみ/スライダーの類いはありません。

 選択操作子、あるいは入力操作子に採用されているダイヤルの形状は、KROSSで初お目見えの独特の形状をしています。指を置く形でもつまむ形でも扱う事ができます。わざと極端な緩急をつけた操作をしてみたのですが、きっちりと追従してくれました。フラグシップ機でありながらどこか感触に脆弱感があるKORG KRONOSのものよりも、はるかに良いと思いました。

 KROSSのパラメーターの入力操作子は、画面右横のダイヤル一つで、DEC/INCボタンやテンキーはありません。

 ボタン類はKROSSのオリジナルと、KROMEから継承したものの2種類があるのですが、二つとも、形状、感触、剛性ともに申し分の無いものでした。これもKRONOSよりも気に入りました。

 液晶画面はタッチビューではなく、またモノクロ表示です。詳しくはKORG KROSS試奏記(2)で書きますが、視認性の良いものでした。

 リアパネルの端子類、なべても足周りの類いは、あるいは軽量化の為に省略されているのかと思ったのですが、ダンパーペダル、フットスイッチ、エクスプレッションペダルのいずれもが存在しています。

 KORG KROSS試奏記(2)KORG KROSS-88試奏記KORG KROSS-61試奏記に続きます。


平成26(2014)年3月12日追記。

 KORG KROSS-88 BKが発表されました。4月下旬発売予定。なお、KROSS-88の従来色機は在庫が無くなり次第販売終了となります。


平成27(2015)年1月29日追記。

 平成27年2月22日、KORG KROSS-88の限定プラチナムカラーモデル、KROSS-88 PTが発表されました。1月28日発売。


平成29(2017)年9月2日追記。

 平成29(2017)年9月1日、KORG KROSS 2が発表されました。また、KROSSの製造が終了しました。


KORG KROSS
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kross/

[PR]
by manewyemong | 2013-07-27 11:39 | シンセワールド | Comments(0)