nord lead A1試奏記
去る平成26(2014)年6月6日発売されたアナログモデリングシンセサイザー、nord lead A1を試奏してきました。
先に記したnord lead A1、nord lead A1Rが出るそうですと併せてご覧いただく事を前提とした記事です。
鍵盤、木製ピッチスティック及びそれと直角の位置関係にあるホイール、ボタン、つまみといった、奏者やマニピュレータとの接点の部分の感触は、nord lead 4と全く遜色がありませんでした。nord lead A1のコスト意識は、やはり、あくまで仕様の部分に働いたものと思われます。
平成26年6月11日現在、ノードの日本語サイトの表記では、nord lead A1、nord lead4のサイズは、ともに864(全幅)x 272(奥行き)x 94(全高)mmとなっています。しかしながら、両機が段違い平行に展示されているのを見た限り、両機の大きさには歴然とした差があります。nord lead A1は若干小さい。ただし、それ故のコントロールパネルの広さや操作子群の矮小化はありません。
現行nord leadシリーズの特徴ともいうべきモーフィングのソースは、ホイールやペダル、ベロシティのみで、nord lead 4でお目見えしたインパルスモーフボタンはありません。nord lead A1で働いた仕様でのコスト意識の一つがこれです。nord lead 4の様に三つとは言わないのですが、インパルスモーフボタンが一つだけでもあればなと思います。
ビブラートのセクションは、ビブラートデプスの径時変化を、手操作のモジュレーションホイールに依るか、規定値ディレイ1(0.5秒)/ディレイ2(1秒)のディレイタイムに依るかを設定します。
LFO/ENVは、モジュレーションのレイトと波形を設定します。
nord lead 4の場合、効果のデプスやディスティネーションをここで設定したのですが、nord lead A1は、オシレータやフィルターのセクションにデプスがあります。
nord lead A1のLFOは、たいへん遺憾ながら、なぜか多くのアナログポリフォニックシンセ同様(アナログポリシンセのLFOをつぶやく参照)モノフォニックで、押鍵したまま別鍵盤への新たな押鍵があった場合、押さえられている全ノートに等しくLFOがリトリガーされます。つまり、ビブラートセクションで設定したディレイタイム1、2が、全ノートに実行しなおされてしまうわけです。
本来LFOは周期変化の為のものなのですが、nord lead A1の場合、ENVのような1ショットの径時変化のソースとしても使えます。この場合はポリフォニックとして使えます。
ENVモードのおり、波形は径時変化の形を示すものになります。レイトつまみは、タイム設定の操作子になります。
下降型鋸歯状波や台形(上昇型鋸歯状波)の場合、アナログシンセサイザーminiKORG 700S、Roland SH-1、SH-2に載っているようなオートベンドに使えます。下降型鋸歯状波の場合、タイムつまみは効果の最大値から0までの、台形の場合は0から最大値に達するまでの時間を設定する事になります。
三角波の場合、理屈の上ではRoland JP-8000、SH-32、SH-201、GAIA SH-01等のピッチENVの様な事ができるのですが、アタックタイム、ディケイタイムを個別に設定する事はできません。タイムつまみで設定したバリューは、アタックタイムとディケイタイムの合計値、言い換えれば、アタックタイムとディケイタイムで、バリューの2分の1という同じ値を共有するという事です。
また、ビブラートのディレイタイム1/2の規定値二者択一という形でですが、実行開始までのディレイタイムを設定する事もできます。KORG MS-20、MS-20 mini、MS-20 KitのEG1や、Dave Smith Instruments POLY evolver PE keyboard等、デイブスミスインストゥルメント社のシンセのENVのディレイタイムに近い事ができます。
モッドENVに関して、nord lead A1、nord lead A1Rが出るそうですで、
先に記したnord lead A1、nord lead A1Rが出るそうですと併せてご覧いただく事を前提とした記事です。
鍵盤、木製ピッチスティック及びそれと直角の位置関係にあるホイール、ボタン、つまみといった、奏者やマニピュレータとの接点の部分の感触は、nord lead 4と全く遜色がありませんでした。nord lead A1のコスト意識は、やはり、あくまで仕様の部分に働いたものと思われます。
平成26年6月11日現在、ノードの日本語サイトの表記では、nord lead A1、nord lead4のサイズは、ともに864(全幅)x 272(奥行き)x 94(全高)mmとなっています。しかしながら、両機が段違い平行に展示されているのを見た限り、両機の大きさには歴然とした差があります。nord lead A1は若干小さい。ただし、それ故のコントロールパネルの広さや操作子群の矮小化はありません。
現行nord leadシリーズの特徴ともいうべきモーフィングのソースは、ホイールやペダル、ベロシティのみで、nord lead 4でお目見えしたインパルスモーフボタンはありません。nord lead A1で働いた仕様でのコスト意識の一つがこれです。nord lead 4の様に三つとは言わないのですが、インパルスモーフボタンが一つだけでもあればなと思います。
ビブラートのセクションは、ビブラートデプスの径時変化を、手操作のモジュレーションホイールに依るか、規定値ディレイ1(0.5秒)/ディレイ2(1秒)のディレイタイムに依るかを設定します。
LFO/ENVは、モジュレーションのレイトと波形を設定します。
nord lead 4の場合、効果のデプスやディスティネーションをここで設定したのですが、nord lead A1は、オシレータやフィルターのセクションにデプスがあります。
nord lead A1のLFOは、たいへん遺憾ながら、なぜか多くのアナログポリフォニックシンセ同様(アナログポリシンセのLFOをつぶやく参照)モノフォニックで、押鍵したまま別鍵盤への新たな押鍵があった場合、押さえられている全ノートに等しくLFOがリトリガーされます。つまり、ビブラートセクションで設定したディレイタイム1、2が、全ノートに実行しなおされてしまうわけです。
本来LFOは周期変化の為のものなのですが、nord lead A1の場合、ENVのような1ショットの径時変化のソースとしても使えます。この場合はポリフォニックとして使えます。
ENVモードのおり、波形は径時変化の形を示すものになります。レイトつまみは、タイム設定の操作子になります。
下降型鋸歯状波や台形(上昇型鋸歯状波)の場合、アナログシンセサイザーminiKORG 700S、Roland SH-1、SH-2に載っているようなオートベンドに使えます。下降型鋸歯状波の場合、タイムつまみは効果の最大値から0までの、台形の場合は0から最大値に達するまでの時間を設定する事になります。
三角波の場合、理屈の上ではRoland JP-8000、SH-32、SH-201、GAIA SH-01等のピッチENVの様な事ができるのですが、アタックタイム、ディケイタイムを個別に設定する事はできません。タイムつまみで設定したバリューは、アタックタイムとディケイタイムの合計値、言い換えれば、アタックタイムとディケイタイムで、バリューの2分の1という同じ値を共有するという事です。
また、ビブラートのディレイタイム1/2の規定値二者択一という形でですが、実行開始までのディレイタイムを設定する事もできます。KORG MS-20、MS-20 mini、MS-20 KitのEG1や、Dave Smith Instruments POLY evolver PE keyboard等、デイブスミスインストゥルメント社のシンセのENVのディレイタイムに近い事ができます。
モッドENVに関して、nord lead A1、nord lead A1Rが出るそうですで、
例えばフィルターに関して、仕様ページを読む限り、専用のENV(ADR/ADSタイプ)があるように解釈できるのですが、フロントパネルの画像ではそれに当たる操作子が見えず、モッドENVのデプスを決める操作子のみがあります。実際は、オシレータ等、他のセクションと共用、つまり、フィルターのカットオフフリケンシーは、モッドENVのディスティネーションの一つでしかないのかもしれません。本稿では、フィルターに専用のENVは無い、という見方で記していきたいと思います。
としたのですが、実際は、オシレータとフィルターでモッドENVを共有している、というのが正解だと思います。
モッドENVに私が考えていたほどソースとしてのフレキシビリティがあるわけではなく、ディスティネーションを設定する事はできません。オシレータとフィルターにモッドENVデプスがあります。
モッドENVは、完全なADSRタイプではないものの、nord lead 4のものがAD(アタックタイム、ディケイタイム)またはAR(アタックタイム、リリースタイム)なのに対し、ADR(アタックタイム、ディケイタイム、リリースタイム)ないしASR(アタックタイム、サスティンレベル、リリースタイム)と、より作り込めるようになっています。ASRというのは、ディケイタイム最大値の場合、アタックレベル(最大値固定)が押鍵中持続される、ようするに減衰しない状態の設定の事です。
全ての要素がモーフィングのディスティネーションとして設定できます。ディケイタイムはリバース曲線に設定する事もできます。
オシレータに関して、上級機nord lead 4以上に様々な作り込みが可能になっていると思います。
例えば、鋸歯状波やパルス波、三角波、サイン波を、オシレータコンフィギュレーションのシェイプモード時、オシレータコントロールの設定で、コルグのアナログモデリング機のコントロール1の要領で変調でき、さらにLFO/ENVやモッドENVで周期/径時変化を与える事ができます。
アナログシンセでサイン波を得る場合、VCFのレゾナンスを上げて自己発振させた音を使うのですが、中にはVCOにサイン波を持つモデルがあります。このVCOのサイン波というのが、必ずしも純粋なサイン波になりきれていないものの、より温かみが感じられるので、リード音の素材としてよく用いられています(KORG MS2000B導入記2参照)。オシレータ波形がサイン波でシェイプモード時、オシレータコントロールの設定で、純粋ではないサイン波を作る事ができると思います。
オシレータコントロールは、0.0~10.0の範囲の設定であり、コルグのアナログモデリング機のコントロール1の000~127ほどのきめはありません。
例えば、私が喜多郎miniKORG 700Sリードをシミュレーションする時に使う33%のパルスウィズ(3、6、9倍音が抜けるパルス波)を、nord lead A1のパルスウィズのシェイプモードで設定が可能か否かを試奏し忘れました。
アンプENVは文字通り、音量の径時変化を設定します。モッドENV同様、ADR/ASRです。全ての要素がモーフィングのディスティネーションとして設定できる事も同じです。アンプENVがADSRではなく、より簡便なADR/ASRである事も、nord lead A1で働いた仕様でのコスト意識の一つなのかもしれません。
アナログシンセ終焉期の国産機の多く、たとえばKORG Polysix、Roland JUNO-6、SH-101等が、VCF/VCAでENVを共有する形だったのですが、nord lead A1のフィルターとアンプENVは関連がありません。
私としては、アンプENVをカットオフフリケンシーの径時変化のソースに使うモードもあればなと思います。オシレータとフィルターで径時変化を共有するというシチュエーションが、私の音色発想に関して、無いからです。
ただし、かつて私が撥弦系の音色でよく使ったKORG Mono/PolyのEG変調のPWMは、ソースがVCF EGしか無いが故に、VCFとVCOで共有していました。
フィルターに関して、既に記した通り、専用のENVはありません。これもnord lead A1のコストカットに役立ったのではないでしょうか。
LFO/ENV、モッドENVのデプスがあり、カットオフフリケンシーに周期、径時変化を与える事ができます。
フィルターモードの中には、nord lead 4同様、ビンテージ機のVCFの風合いを模したラダーフィルターが2種類あります。元ネタも同じです。
内蔵エフェクターの構成はnord lead 4とは異なっていて、空間系はディレイとリバーブが独立して設定できます。
また、FXは選択肢が六つなのはnord lead 4と同じなのですが、内訳は異なっていて、フランジャー、フェイズシフター、リングモジュレータ、コーラス、アンサンブル、オーバードライブです。私はこれらの方がありがたいのですけどね。
nord lead A1は、インパルスモーフボタンが無い事以外、特段nord lead 4に劣っているとは思えない、というより、私がnord leadシリーズで行おうとしている事に関して、むしろかなり優れているのではないかと思います。
モッドENVに私が考えていたほどソースとしてのフレキシビリティがあるわけではなく、ディスティネーションを設定する事はできません。オシレータとフィルターにモッドENVデプスがあります。
モッドENVは、完全なADSRタイプではないものの、nord lead 4のものがAD(アタックタイム、ディケイタイム)またはAR(アタックタイム、リリースタイム)なのに対し、ADR(アタックタイム、ディケイタイム、リリースタイム)ないしASR(アタックタイム、サスティンレベル、リリースタイム)と、より作り込めるようになっています。ASRというのは、ディケイタイム最大値の場合、アタックレベル(最大値固定)が押鍵中持続される、ようするに減衰しない状態の設定の事です。
全ての要素がモーフィングのディスティネーションとして設定できます。ディケイタイムはリバース曲線に設定する事もできます。
オシレータに関して、上級機nord lead 4以上に様々な作り込みが可能になっていると思います。
例えば、鋸歯状波やパルス波、三角波、サイン波を、オシレータコンフィギュレーションのシェイプモード時、オシレータコントロールの設定で、コルグのアナログモデリング機のコントロール1の要領で変調でき、さらにLFO/ENVやモッドENVで周期/径時変化を与える事ができます。
アナログシンセでサイン波を得る場合、VCFのレゾナンスを上げて自己発振させた音を使うのですが、中にはVCOにサイン波を持つモデルがあります。このVCOのサイン波というのが、必ずしも純粋なサイン波になりきれていないものの、より温かみが感じられるので、リード音の素材としてよく用いられています(KORG MS2000B導入記2参照)。オシレータ波形がサイン波でシェイプモード時、オシレータコントロールの設定で、純粋ではないサイン波を作る事ができると思います。
オシレータコントロールは、0.0~10.0の範囲の設定であり、コルグのアナログモデリング機のコントロール1の000~127ほどのきめはありません。
例えば、私が喜多郎miniKORG 700Sリードをシミュレーションする時に使う33%のパルスウィズ(3、6、9倍音が抜けるパルス波)を、nord lead A1のパルスウィズのシェイプモードで設定が可能か否かを試奏し忘れました。
アンプENVは文字通り、音量の径時変化を設定します。モッドENV同様、ADR/ASRです。全ての要素がモーフィングのディスティネーションとして設定できる事も同じです。アンプENVがADSRではなく、より簡便なADR/ASRである事も、nord lead A1で働いた仕様でのコスト意識の一つなのかもしれません。
アナログシンセ終焉期の国産機の多く、たとえばKORG Polysix、Roland JUNO-6、SH-101等が、VCF/VCAでENVを共有する形だったのですが、nord lead A1のフィルターとアンプENVは関連がありません。
私としては、アンプENVをカットオフフリケンシーの径時変化のソースに使うモードもあればなと思います。オシレータとフィルターで径時変化を共有するというシチュエーションが、私の音色発想に関して、無いからです。
ただし、かつて私が撥弦系の音色でよく使ったKORG Mono/PolyのEG変調のPWMは、ソースがVCF EGしか無いが故に、VCFとVCOで共有していました。
フィルターに関して、既に記した通り、専用のENVはありません。これもnord lead A1のコストカットに役立ったのではないでしょうか。
LFO/ENV、モッドENVのデプスがあり、カットオフフリケンシーに周期、径時変化を与える事ができます。
フィルターモードの中には、nord lead 4同様、ビンテージ機のVCFの風合いを模したラダーフィルターが2種類あります。元ネタも同じです。
内蔵エフェクターの構成はnord lead 4とは異なっていて、空間系はディレイとリバーブが独立して設定できます。
また、FXは選択肢が六つなのはnord lead 4と同じなのですが、内訳は異なっていて、フランジャー、フェイズシフター、リングモジュレータ、コーラス、アンサンブル、オーバードライブです。私はこれらの方がありがたいのですけどね。
nord lead A1は、インパルスモーフボタンが無い事以外、特段nord lead 4に劣っているとは思えない、というより、私がnord leadシリーズで行おうとしている事に関して、むしろかなり優れているのではないかと思います。
平成28(2016)年12月19日追記。
nord lead A1
http://www.nordkeyboards.jp/products/nord_lead_a1/
同年11月1日より、代理店がKID(コルグインポートデザイン)からヤマハに変わっています。
それに伴っての事と思うのですが、公式サイトの仕様ページの接続端子群に関する記述から、サスティンペダルとしてフットスイッチKORG PS-1、3、DS-1H、コントロールペダルとしてエクスプレッションペダルKORG EXP-2、XVP-10が使用可能であるという記述が消えています。
しかしながら、もともとnord leadシリーズ現行機は、コルグ、ローランド、ヤマハ、ファターの特性に適合する設定がプリセットされていて、各メーカー製品用の設定を選択するだけで使えるようになっており、代理店交代後の個体を導入しても、先に挙げたメーカーの足回り製品を使うことができます。
nord lead A1
http://www.nordkeyboards.jp/products/nord_lead_a1/
by manewyemong
| 2014-06-11 15:18
| シンセワールド
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