SEQUENTIAL prophet-6が出ます

 平成27(2015)年1月22日、デイブスミスインストゥルメント社(Dave Smith INSTRUMENTS)が、プログラマブルアナログポリフォニックシンセサイザーSEQUENTIAL prophet-6を発表しました。

 まだ詳らかな仕様やフロントパネル上の鮮明な画像が得られないので、事実誤認もあると思うのですが、判る範囲で記したいと思います。

 これまでのデイブスミスインストゥルメントシンセ以上に、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5、prophet-600、prophet-T8等、シーケンシャルサーキット社が元気だった頃のシンセの容姿の遺伝的特質を継承しています。

 鍵盤は49、ベロシティとモノフォニックアフタータッチがあります。ベロシティは二つのVCOのフリケンシー、各ENVデプス、アフタータッチはLFO及び各ENVのデプスのソースになります。

 赤くライトアップされたホイールは、デイブスミスインストゥルメントシンセ現行機でよく採られています。

 prophet-5やminimoogには、ホイールでモジュレーションをかける時に、LFOとノイズの割合を決めるパラメーターが、ソースミックス(minimoogの場合はモジュレーションミックス)という名であったのですが、どうやらprophet-6には無いようです。

 VCOミキサーにホワイトノイズのレベルもあり、ノイズジェネレータそのものはあります。モジュレータとしては使えないという事です。

 私が10代半ばだった頃、元一風堂の土屋昌巳さんがフジテレビ系「夕やけニャンニャン」に出演したおり、prophet-5を演奏した事があったのですが、いくつかメモリーされた音を鳴らす中で、「ヒューヒュー」とか「ヘホヘホ」とか聴こえるノイズが混じった木管系の様な音があり、自分もこんな音色を作ってみたいものだと思いました。

 当時所有していたRoland SH-101のLFOの波形にはノイズもあり、VCO、VCFへ送る事ができたのですが、prophet-5のソースミックスに比して、満足がいく効果を得る事はできませんでした。

 ちなみに私がminimoogで最も気に入っている機能も、モジュレーションミックスです。

 LFOの波形は、prophet-5の上昇型鋸歯状波、三角波、矩形波に加え、下降型鋸歯状波、サンプル&ホールドが加わっています。モジュレーションデプスにマイナス値を設定できないシンセのLFOには、やはり鋸歯状波は正逆とも必要だと思います。

 VCOの波形は単なる選択ではなく、つまみを右へ回す毎に三角波〜鋸歯状波〜パルス波〜矩形波と連続的に変える事が出来ます。しかしながらそれ故に、prophet-5の様に複数の波形を併せて出す事はできません。

 同じくVCO波形を連続可変できるmoog little phatty stage II等モーグシンセ現行機の場合、この波形つまみがパルスウィズを設定するパラメーターを兼ねているのですが、prophet-6の場合、パルスウィズは独立してパラメーターを持っています。

 prophet-5ではユニゾンモード時のみ可能だったポルタメントは、ポリフォニックでも行えます。もっともこれは、prophet-600からそうなのですけどね。

 VCFはローパスフィルターに加えハイパスフィルターがあります。

 VCFのキーボードトラックはオフと中間値、最大値を選択します。prophet-5ではオン/オフだけだったのですが、VCFを自己発振させたおり、音階をドレミ…つまり平均率にできました。おそらくprophet-6も同じだと思います。

 コルグのワークステーション機のフィルターやアンプ部のキーボードトラックの場合、パラメーターが数多あり、単なる変化の傾斜ではなく山や谷を作る事ができます。また、YAMAHA DX7のキーボードスケーリングを見た時、素晴らしいなと思ったものです。

 単にキーボードトラック(またはキーボードフォロー)というパラメーターがあるだけの場合、傾斜のみであり、61鍵ないしそれ以上鍵盤の端から端までを使える音色にすることは難しいと思います。私はアナログシンセサイザーの鍵盤は、minimoogやKORG 800DVMono/Poly等で採られている44鍵が限度なのではないかと思っています。

 そういう意味で、prophet-6の鍵盤が49鍵である事は、ハンディキャップどころかアナログポリフォニックシンセとして至極妥当な仕様だと思います。フロントパネル左端にオクターブキートランスポーズボタンがあり、49鍵で足りない時等にこれを使えば良いと思います。

 さらに、鍵盤が少ない事を補完する最も消極性に富んだ積極的な方法は、prophet-6を2台買って、右手用と左手用に個別に音色を設定する事だと思います。

 私はSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5試奏記で、prophet-5で最も気に入った事はENVのアタックタイムを緻密に設定できる事だとしました。アナログモデリングシンセstudiologic sledgeはその影響を受けている様に思えたのですが、このprophet-6もprophet-5のENVの性質を受け継いでいてほしいと思います。

 アルペジエータがあります。レンジは3オクターブ。アップ、ダウン、アップ/ダウン、ランダム、そして、Roland JUPITER-4、JUPITER-8、あるいはコルグの現行ワークステーション廉価機のアルペジエータの様に押鍵順が反映される、アサインというモードがあります。フライングジュピターの全てのモードが可能です。

 Dave Smith INSTRUMENTS POLY evolver PE keyboardPRO 2等、これまでのデイブスミスインストゥルメントのシンセの様な膨大なパラメーターは無く、またそのパラメーター群のほとんどを、バリューという形で視認する事無くマニピュレーションできるSEQUENTIAL prophet-6は、デジタルシンセがソフトウェアに併呑され、実体を持つシンセはアナログへという昨今の流れの中で、数多の人が待っていた、そして、そのうち出てきたであろうシンセだと思います。

 私としては、いっその事プログラマブル機能やベロシティ、アフタータッチを排してしまっていいのではないかと思うのですけどね。そういった事に凝るのはDave Smith INSTRUMENTS prophet'08、prophet 12、PRO 2等でやるという事で。

 ところでリアパネル等のブランドロゴが、「Dave Smith INSTRUMENTS」ではなく「SEQUENTIAL」となっているのですが、いよいよこれが使える環境が整ったという事なのでしょうか。


平成27(2015)年1月24日追記。

 デイブスミスインストゥルメント社サイトの記事「Sequential is Back!」によると、ローランドの創業者梯郁太郎(かけはし・いくたろう)さんの仲介で、ヤマハが所有していた「SEQUENTIAL」が、シーケンシャルサーキット及びデイブスミスインストゥルメントの創業者デイブ・スミス(Dave Smith)さんへと譲渡されたそうです。

 かつてロバート・アーサー・モーグ博士(Dr.Robert Arther Moog)が、自分の「moog」を取り返す為に書類で争うのはつらい事だと言われたそうですが、prophet-6に「SEQUENTIAL」が冠されたのは、関係者の友好的な雰囲気による取り決めの産物であるという事だと思います。


平成27(2015)年5月22日追記。

 デイブスミスインストゥルメント社サイトのSEQUENTIAL prophet-6の記事に、取扱説明書(英文)がアップされています。

 上の本文で、
prophet-5やminimoogには、ホイールでモジュレーションをかける時に、LFOとノイズの割合を決めるパラメーターが、ソースミックス(minimoogの場合はモジュレーションミックス)という名であったのですが、どうやらprophet-6には無いようです。
VCOミキサーにホワイトノイズのレベルもあり、ノイズジェネレータそのものはあります。モジュレータとしては使えないという事です。
当時所有していたRoland SH-101のLFOの波形にはノイズもあり、VCO、VCFへ送る事ができたのですが、prophet-5のソースミックスに比して、満足がいく効果を得る事はできませんでした。
としたのですが、今回アップされた取扱説明書のLFOの項に、波形をランダムにし、レイトを上げるとホワイトノイズ波形になるといった意味の記述があります。LFOの波形にノイズを充てるという事はできます。

 しかしながら、prpphet-5のソースミックス、minimoogのモジュレーションミックスのように、LFOとモジュレーションソースとしてのノイズの混ぜ具合を設定してディスティネーションに送るという事はできないようです。

 LFOの波形にノイズを選べるモデルとしては先に挙げたRoland SH-101があり、また、LFOのレイトを上げていくとノイズになるというモデルに関しては、KORG ELECTRIBE(旧機群で確認)。MS2000シリーズmicro KORG等があります。

 SEQUENTIAL prophet-6試奏記に続きます。


平成27(2015)年6月18日追記。

 日本語サイトができています。

SEQUENTIAL prophet-6
http://www.fukusan.com/products/DSI/prophet6.html

SEQUENTIAL prophet-6(英文)
http://www.davesmithinstruments.com/product/prophet-6/

Sequential is Back!
http://www.davesmithinstruments.com/2015/01/sequential-back/

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by manewyemong | 2015-01-23 12:54 | シンセワールド | Comments(0)