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Roland FA06、FA08試奏記(2)

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 Roland FA06、FA08が出ますRoland FA06、FA08試奏記(1)の続きです。Roland FA06、FA08のシンセサイザーエンジン部分について記します。

 SuperNaturalアコースティックトーンの楽器モデルは、JUPITER-50の117種から大幅に減って31種になっています。アコースティックピアノ系、打弦式電気ピアノ系、ドローバーオルガン、ナイロン弦ギター、スチール弦ギター、コントラバスのピチカート奏、E.ベース系、擦弦アンサンブル系といったバリエーションです。

 シンセサイザー奏者というよりは、キーボーディストの必要性を勘案したチョイスと思われます。残念ながら、私がJUPITER-50試奏時に気に入った吹奏系や撥弦系民族楽器は継承されていません。

 SuperNaturalアコースティックトーンの各楽器モデルのパラメーターそのものは、JUPITER-50と同じです。例えばアコースティックピアノ系は、JUPITER-50、FA06/FA08とも同じく九つのモデルがあり、五つのパラメーターの内容も同じです。

 SuperNaturalシンセトーンは、そのまま継承されていると思います。あるいは、私が最も多用するFA06、FA08のシンセサイザーエンジンは、SuperNaturalシンセトーンかもしれません。

 SuperNaturalシンセトーンには、450種のPCM波形があります。もちろんシンセトーンのオシレータ波形そのものに、鋸歯状波、矩形波を含むPW、PWM(LFO変調のみ)、サイン波といった波形があるのですが、SuperNaturalシンセトーンのPCM波形には、アナログシンセサイザーRoland JUPITER-8、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5、ギターシンセRoland GR-300(Roland JP-8000試奏記参照)、デジタルシンセRoland D-50、JD-800等からのサンプリングと思われる音素片もあります。

 VP-330 Choirという、恐らくRoland VP-330 Vorcorder Plusのヒューマンボイス部のサンプルもあります。JV/XPシリーズ用オプションボードSR-JV80-04 Vintage Synth、Roland Fantom X/JUNO-G/JUNO-STAGE用SRX-07 Ultimate Keys、そしてFantom Gのオシレータにあるサンプル波形VP-330ChoirA、VP-330ChoirB、VP-330ChoirCとは異質で、むしろコルグのシンセのオシレータ波形Vocorder-VPに近い感じがします。

 SuperNaturalのENVはADSRタイプであり、タイムとレベルで構成されたENVを持つD-50やJD-800といったデジタルシンセの音色設定を、完全に再現する事は不可能です。

 PCMシンセトーンは、Fantomシリーズの元になったRoland XV-5080がベースになっていて、オシレータ波形群のINIT-Aの内容や順番はXV-5080と同じ、その他のパラメーター構成も同じです。

 また、ローランドのシンセサイザーの音色設定を追加供給している、同社Axialというサイトから、本体のオシレータに使える波形をダウンロードして、FA06、FA08に増装する事もできます。

 私はRoland JV/XPシリーズのオーケストラ系や民族楽器系、人声系のオプションボードを使いたいが故に、Roland JV-2080やXV-5080を手にしたいと思ってきたのですが、FA06、FA08とこのサービスを併用すれば、中古を探す手間を省く形でこれらを使う事ができる様になります。

 FA06、FA08のインサーションエフェクトは最大16個が使えます。FA06、FA08を額面通りの16マルチティンバーのミュージックワークステーションとして使う場合、16マルチティンバー各々に少なくとも一つのインサーションエフェクトを割り振る事ができるという事です。これはかつてのフラグシップ機Fantom Gと同じです。

 恒例の店頭での喜多郎さんのminiKORG 700Sリードのシミュレーションのヒントを。

 たしかTri Lead 2という、SuperNaturalシンセトーンのオシレータ波形三角波Bで作られたプリセット音がありました。喜多郎miniKORG 700Sリードを知っている人が作ったのかと思えるほどで、逆にあからさまにあのリード音に聴こえない様な設定にしてあるのですが、その部分をエディットすると、喜多郎miniKORG 700Sリードが見えてきます。

 オートベンド(ピッチENV)をエディットしたり(店頭で喜多郎miniKORG 700Sリードを作る方法 Roland SH-201の場合参照)、ポルタメントタイムを長くして1オクターブ上へレガートすると、「あっ」となります。Pulse Lead 2は、レガートすると短いポルタメントが常にかかる様になっています。

 ちなみに1980年代半ばに出たあるシンセサイザーのムック本での、ローランド、コルグ、ヤマハの技術者に、他社製品では何が好きかという質問に対して、ローランドさんはminiKORG 700S、800DV、コルグさんはリズムマシンBOSS Dr.Rythm、ヤマハさんはたしか、無し、でした。

 このクラスのワークステーション廉価機に、複数のシンセサイザーエンジンを持つモデルが出て来た事で、例えばKORG KROMEクラスの後継機に、EDS系だけでなく、AL-1(アナログモデリング)、MOD-7(ウェイブシェイピングVPM)等が載る事になるのかなと期待しています。


平成29(2017)年6月20日追記。

 平成29(2017)年6月20日、ローランドはFAシリーズの76鍵機、FA07を発表しました。

 FA07は単にFA06の76鍵機ではなく、ベロシティありアフタータッチ無しのセミウェイテッド鍵盤を採っています。

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Roland FA06/FA07/FA08

by manewyemong | 2014-02-15 15:42 | シンセワールド | Comments(0)