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Roland JD-Xiが来ました

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 ハイブリッドシンセサイザーRoland JD-Xiが来ました。

 JD-Xiについて、マン/マシンインターフェイスまわりをRoland JD-Xi試奏記(1)、アナログシンセトーンのパラメーター構成をRoland JD-Xi試奏記(2)で、既に採り上げています。

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 Roland JD-Xi選択の理由は、複数のシンセサイザーエンジンを搭載、各シンセエンジンのパラメーター構成が豪華、そしてそれらの割に低価格、筐体の形状やカラーリングがユニーク、小型軽量、静粛性に優れたミニ鍵盤、です。

 JD-Xiは、ピッチ(オシレータ)、フィルター、アンプが、各々独立してENVを持っています。この価格帯では少ないと思います。microKORG XLは、三つEGを持っていても周期変化の径時変化に関するパラメーター(ディレイタイム、フェイドタイム)が無い故に、そのソースとしてEG一つを充てると、先に挙げた三要素の一つを犠牲にせざるをえません。

 SuperNATURALシンセトーンはもちろんアナログシンセトーンでも、ベンドレンジをアップ/ダウン個別に設定できます。ワークステーション機では当たり前なのですが、アナログモデリングシンセやアナログシンセでは少ない。Roland GAIA SH-01は、アナログモデリング単体機としては希少な例外です。

 Roland JP-8000、8080、SH-32SH-201GAIA SH-01AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1mといったローランドのアナログモデリング系単体機には、モジュレーションの径時変化のパラメーターに関して、フェイドタイムはあってもディレイタイムがありません。

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 しかしながらJD-Xiには、プログラムパラメーターのオフセットの所に、ビブラートディレイというパラメーターがあります。しかも、押鍵から効果が実行され始めるまでの時間(+:プラス値)だけでなく、逆に押鍵と同時にかかった効果が止まるまでの時間(−:マイナス値)をも設定できます。

 Roland JUPITER-80JUPITER-50FA06、08といった、SuperNATURALアコースティックトーン/シンセトーンを持つモデルに備わっているパラメーターなのですが、JD-Xiの場合、アナログシンセトーンにも使えるわけです。

 奏者やマニピュレータが、手操作で任意にビブラートをかけるのとは別に、パラメーターで径時変化を設定してシンセサイザーに唄わせたい身には、ありがたい機能です。

 ただし、このオフセットのビブラートディレイ実行中、モジュレーションホイールは効きません。

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 アナログシンセトーンのオシレータ波形の一つ、パルス波の幅の設定について触れておくと、ローランドのおそらく全てのアナログシンセサイザーがパルスウィズを下げ切った状態、すなわち0で矩形波になるのですが、JD-Xiはもう少し上の方まで矩形波と聴こえるポイントが広がっています。Roland JUNO-6試奏記で触れた、青白い矩形波、黄ばんだ矩形波とも設定できます。パルスウィズのデューティー比を緻密に設定できるという事です。

 ただ、Roland JD-Xi試奏記(2)でも触れましたが、パルスウィズのデューティー比0:100または100:0に設定する事は出来ません。発声する範囲です。

 ポルタメントは、アナログシンセトーンは、かかり始めは速く、やがて間延びしていくアナログシンセらしいカーブ、そして、SuperNATURALシンセトーンはリニア変化です。

 喜多郎さんが1オクターブ上へレガートしながらかけるポルタメントは、例えばKORG MS-20 miniの場合、8よりすこし上くらいの所になるのですが、JD-Xiのアナログシンセトーンの場合、50を少し超えるあたりが適当かと思います。

 SuperNATURALシンセトーンのポルタメントの場合、リニア変化故にあの雰囲気は出ません。

 SuperNATURALシンセトーンに関してたいへん残念な点を書くと、喜多郎miniKORG 700Sリードを、パルスウィズ33%使う方法、つまりオシレータ波形をPW-SQRのタイプB、パルスウィズを33にしてシミュレーションした場合、Roland JUPITER-80、JUPITER-50の取扱説明書にあるトラブルシューティングの一つ、
高い鍵域を演奏すると鳴りかたがおかしくなる
の個所で記されている現象が出てしまいます。

 しかし、波形を三角波タイプBだと、miniKORG 700、700Sの、あの全く三角波に聴こえない三角波になります。ローランドはこの三角波Bに関して、明らかにminiKORG 700、700Sを意識したはずです。これを使えば先の現象が現れる事無くシミュレーションできます。

 アナログシンセトーンの場合、パルス波で非常に上手く真似できます。

 SuperNATURALシンセトーンに、フィルター及びアンプのアタックタイムとリリースタイム、そしてポルタメントタイムにかかる、インターバルセンスというパラメーターがあります。押鍵の間隔で各タイムを伸縮させる事が出来ます。吹奏系の音色でこういうパラメーターが欲しかったのですが、ワークステーション機ではもっぱらベロシティ(アタックタイム)でやっていました。

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 昨年暮れあたりから、加齢のせいか、私の中で数十年来のシンセ観が瓦解し始めました。細かいところまで奏者やマニピュレータの意図に沿うようなパラメーター構成のモデルが、必ずしも至上の存在ではなく、脳裏で鳴っている音と実際にシンセから出る音の齟齬の存在は、実は必要条件なのではないかと思えるようになりました。音を考える上で、軛(くびき)が要るのではないかと感じはじめました。

 新たにシンセサイザーを入れるにあたって、かつては絶対に譲れなかったレベル/タイムタイプのENVを持つモデルを排す、ベロシティをソースにした音変化に重きを置かない、小型軽量な所謂ガジェット系ながら、玩具ではなくあくまで楽器としての本分を逸していない、を大まかな条件に据えました。結果、このRoland JD-Xiに行き着きました。まだ数時間弾いただけなのですが、今の私の意図に素直に応えてくれます。

 私は撥弦系の音色に関して、ENVをソースにしたPWMを使いたいのですが、もちろん、SuperNATURALやアナログシンセトーンでは無理です。その点、Roland AIRA SYSTEM-1、SYSTEM-1mは、二つのオシレータ個別にパルスウィズやパルスウィズモジュレーションを設定する事ができます。JDシリーズと互いに補完し合っているような気がします。次はこっち方面かなと思っています。

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 カテゴリーシンセサウンドメイクアップで、既に同カテゴリーで触れた音色を中心に、JD-Xiの音色設定を紹介する事を検討しています。パラメーター数が少ないアナログシンセトーンの設定になると思います。


Roland JD-Xi
https://www.roland.com/jp/products/jd-xi/


平成27(2015)年11月6日追記。

 11月14日、Roland JD-Xiのカラーバリエーション機JD-Xi LIMITED EDITIONが発売されます。色は、赤のJD-Xi-RD、白のJD-Xi-WH。完全な限定生産機です。

Which color do you like ? JD-Xi
http://blog.roland.jp/info/jdxi-color/

【新製品】JD-Xiの限定カラーバリエーション「JD-Xi Limited Edition」が登場!!
http://roland-planet.tumblr.com/post/132656327055/
新製品jd-xiの限定カラーバリエーションjd-xi-limited

by manewyemong | 2015-08-25 09:59 | シンセワールド | Comments(0)