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Roland Boutique JU-06Aが発表されました

 令和元(2019)年9月6日、ローランドはRoland Boutique JU-06Aを発表しました。

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 Roland Boutique JU-06Aは、昭和57(1982)年に発売されたプログラマブルアナログポリフォニックシンセサイザーRoland JUNO-60、及び昭和59年発売のJUNO-106を、ACBでモデリングしたシンセモジュールです。

 既にJUNO-106のACBモデルとして、Boutiqueの第1世代Boutique JU-06があります。製造は終わっています。

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 JU-06Aは、Boutiqueの仕様だけでなく、その姿にも興趣を添えていた2本のリボンコントローラーは無く、そのスペースにアルペジエータやステップシーケンサー等の操作子、そして画面が配されています。

 スライダーやボタンといった操作子群が多少なりとも大きくなっている事とカラーリングの影響で、JU-06AはJU-06よりもかつてのJUNOの雰囲気に近くなっています。

 特にボタンがオシレータ関連のもの以外自照式ではなく、アナログJUNOの形状や色を継承していて、初めてウェブサイトの画像を見た時、JU-06Aの末尾の“ A ”が、Boutique SH-01Aの“ A ” と同じ“ Authentic ”(本物)であろうと思いました。

 フロントパネルのレイアウト順、セクション毎に、JU-06Aを見ていきます。

 キーボード。ホールド、コードメモリーのオン/オフ、ノートボタンがあります。

 ノートボタンを押してランプを灯らせると、ボタン1〜12を鍵盤1オクターブ分として演奏に使う事ができます。

 ボタン13、14がオフターブダウン/アップ、ボタン15、16はキーアサインモードのソロ、6オシレータユニゾン、ポリフォニックの切り替えボタンです。

 ソロ、ユニゾンモード時のトリガーモードに関して、シングル/マルチの選択の方法が分かりません。どちらかに固定されている可能性もあります。モノフォニックモード時、スタッカート/レガートでリトリガーする/しないを鳴らし分ける機能は、私としては必需なのですけどね。

 アルペジオ。アルペジエータに関する操作子群。

 JU-06Aのアルペジエータには、アップ、アップ/ダウン、ダウンのモードがあります。ランダムノートはありません。アップ/ダウンは「ドレミミレドドレミミ…」ではなく、かつてのローランドのアナログシンセの常として「ドレミレドレミレド…」と発声すると思われます。

 アルペジエータのレンジは3オクターブ。

 LFO。レイトとディレイタイムの操作子があります。

 ディレイタイムは言葉の上からだと、押鍵してから変調がかかり始めるまでの時間なのですが、JU-06Aは実際のアナログシンセ同様、押鍵してからビブラート(オシレータ)及びグロウル効果(フィルター)の深度が設定値に達するまでの時間、つまりフェイドインタイムです。

 アナログJUNOやJU-06のLFOは三角波固定だったのですが、JUNO-06Aはマニュアルボタン(ボタン16)を押しながらボタン5を押し、バリューつまみを動かす事で、波形を選ぶ事ができます。三角波、矩形波、昇/降鋸歯状波、サイン波、ランダム1、ランダム2があります。

 ボタン6でLFOの信号がいわば垂れ流し状態か、押鍵毎に周期が始まるかを選択する事ができます。

 ビブラート(ピッチ)、グロウル効果(カットオフ)の深度は、LFOセクションではなく、各々オシレータ、フィルターで設定します。トレモロ(アンプ)はありません。

 DCO。

 1オシレータですが、鋸歯状波、矩形波を含むパルス波を選ぶ事ができます。ただ、アナログJUNOシリーズ同様、Roland SH-101のようなソースミックスではなくオン/オフだけです。

 パルスウィズモジュレーションのソースは、LFO、ENVがあります。JU-06はJUNO-106と同じくLFOだけでした。かつてSH-101やJUNO-6のENV PWMを使って、ベースを含む撥弦系の音色を作っていた身にはありがたい事です。私がJU-06Aを所有したら、これは多用すると思います。

 1オクターブ下の矩形波を加えるサブオシレータは、レベルだけでなくオン/オフボタンもあります。JUNO-106の場合、レベルのスライダーだけでした。

 ホワイトノイズジェネレータがあります。これはオン/オフボタンは無く、スライダーだけです。

 ピッチENVは無く、オートベンドはできません。

 ハイパスフィルター。

 JUNO-60モード時、JUNO-60同様0、1、2、3の4段階でしか設定できないのですが、なぜかJUNO-106モード時、0〜最大値の設定が可能です。しかしながら、本来、JUNO-106はJUNO-60同様4段階の設定です。JUNO-6は0〜最大値の設定でした。

 VCF。

 VCF、となっていますが、もちろんボルテージコントロールフィルターではなく、ローランド風にいえばTVF(タイムバリアントフィルター)、つまりデジタルフィルターです。ローパスフィルターです。

 レゾナンスを上げると自己発振するか否か分かりません。

 ENVデプスにマイナス値は無く、ポラリティスイッチで正逆を切り替えます。

 キーボードフォローは0〜最大値だけで、効果の傾斜の向きを変える事はできません。

 VCAはもちろんボルテージコントロールドアンプではなく、デジタルです。パッチ毎の音量をここで決めます。

 ENVは、PWM、フィルター、アンプで共用しています。

 ステップシーケンサー。16ステップのノートを打ち込み、実行する事ができます。シンセサイザーのスライダーの動き(動かし)を記憶させる類いのものではなく、あくまでノートの打ち込みです。

 アルペジエータにランダムモードはありませんが、ここでデタラメな音階を打ち込む事でそれらしい事ができると思います。

 コードメモリーと組み合わせて使う事ができます。

 メモリー。画面には、バンクの番号とパッチの番号が表示されます。音色設定の操作子が動かされてエディットに入ると、パッチ番号の右に“ . ”が表示されます。

 音色の設定は、JUNO-60モード、JUNO-106モード各々に、8バンク × 8パッチ、64種記憶させる事ができます。

 パッチの選択は4つのバンクボタンと8つのパッチボタンの組み合わせで行います。バンクボタンは4つしかありませんが、各バンクボタンを押す毎に、1と5、2と6、3と7、4と8が切り替わります。

 内蔵エフェクターには有名なジュノーコーラスに加え、ディレイがあります。

 コーラスはコーラス1、コーラス2のオン/オフボタンがあり、JUNO-106の場合、どちらか1つしか使えなかったのですが、JU-06Aは、JUNO-6、JUNO-60、Boutique JU-06同様、2つのボタンを押す事で同時使用ができると思います。私はかつて、JUNO-6のコーラス1のみを使う事が多かったです。

 また、JU-06同様、コーラスにはアルペジオボタン + ボタン10を押し、バリューつまみでオフ、ハーフ、オリジナルを選択する形で、アナログJUNOシリーズのコーラスにあったノイズを加える事ができます。

 アナログシンセに詳しくない人が、コーラスのノイズがオリジナルの状態に設定されたJU-06の音を聴いて、「JU-06から雑音が出る」と言っているのをこの目で見たのですが、デジタルシンセでこういう小芝居をすると誤解される可能性がありますね。

 ディレイは、オン/オフボタンはフロントパネルにありますが、設定はディレイボタン(ボタン15)を押しながらボタン1を押してレベル、ボタン2でディレイタイム、ボタン3でフィードバック数を、バリューつまみで設定します。

 マニュアルボタンは、選択したパッチではなく、音色設定操作子群の現状を発声に反映します。

 専用の設定操作子は無いものの、音色設定や演奏に必要と思われる操作に関して記します。

 ポルタメントのオン/オフやタイムの設定は、シーケンサーセクションにあるエディットボタンを押して、ランプを消し、マニュアルボタン(ボタン16)とボタン1を押しながら、バリューつまみを回すとオン/オフ、ボタン2でポルタメントタイムを設定します。

 試奏するまで分かりませんが、JU-06Aのポルタメントのカーブのフィーリングが、非リニア変化である事を期待します。

 ピッチベンドレンジは、エディットボタンでランプを消灯させ、マニュアルボタン(ボタン16)とボタン3を押しながら、バリューつまみでオフ、1〜24と半音区切りで設定します。ダウン/アップ個別の設定はできません。

 JU-06Aはチェインモードを使う事ができます。2台以上のJUNO-06Aを、MIDIを介して直列に連結する事で、単体では4声の発声数を増やす事ができます。アルペジオボタン + ボタン9を押しながらバリューつまみでオン/オフを選択します。

 私は基本的には自分の音色をワークステーション廉価機で作りたいと思っているのですが、パルスウィズ、パルスウィズモジュレーション、そして、カーブのフィーリングが非リニア変化のポルタメントに関して、現状、アナログモデリングシンセかアナログシンセを使うしかありません。

 また、私はENVがADSRのシンセの予算に関して、できれば税別5万円を上限にと考えています。

 価格やポルタメントのカーブは不明ながらこれらの条件を、Roland Boutique JU-06Aは満たしていると考えられます。

 最初のポリフォニックシンセがRoland JUNO-6だった事もあり、私にとって“あの頃”に浸ったり、その頃に作った音色をたたき台に今の自分の音を作る為のシンセになるのかもしれませんが、今よりも音色をもっと大雑把に捉えて形にするシンセとして、私の手許に置けたらと思います。

 Roland Boutique JU-06A、発売日は令和元(2019)年10月5日。価格は税抜46,000円。


令和3(2021)年1月9日追記。

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 Roland Boutique JU-06Aを導入しました。本稿に画像を添付しました。

 ポルタメントのカーブのフィーリングは、ありがたいことに非リニア変化でした。

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 Roland JUNO-DS61、JUNO-DS61Bと記念撮影。


Roland Boutique JU-06A
https://www.roland.com/jp/products/ju-06a/

by manewyemong | 2019-09-08 08:45 | シンセワールド | Comments(0)