「七時雨」(アルバム「姫神」より)

 岩手県安代町・西根町にある七時雨山 (ななしぐれやま)を表題にしたナンバーです。私は平成5(1993)年の八幡平公演の翌日まで「ひちじあめ」と読んでいました。読み方の誤りは私だけではなく、平成元(1989)年8月21日に北米及び日本でリリースされた姫神のオムニバスアルバム「MOON WATER」では、「7 o'clock rain」と誤表記されていました。

 減退系の透明感のあるメロディ音や軽快なドラムの演奏は、他の曲では聴けない「七時雨」独特のもので、旋回しながら飛翔するような優雅で軽やかな旋律と相まって、私は葛飾北斎の「富嶽三十六景」の「駿洲江尻(すんしゅうえじり)」という浮世絵を想起しました。

 「駿洲江尻」は、突然の突風に翻弄される旅人達を描いた浮世絵ですが、1コマの絵であるにも関わらず、旅装束の女性の懐紙がするすると飛ばされ大空に舞うというリズミカルな動きが表現され、また同時に、泰然とたたずむ富士山のシルエットが絵の奥に配されているという、ストーリー性に富んだ作品です。

 北斎が「駿洲江尻」の中に築いた世界の中を風になって吹き渡るような幻想…。「七時雨」という曲が私の脳裡に描いたイメージです。
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by manewyemong | 2005-11-09 00:01 | 音楽 | Comments(0)