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「青天」(アルバム「まほろば」より)

 アルバム「まほろば」でも記しましたが、このアルバムからデジタルシンセサイザーYAMAHA DX7が使われ始めました。「青天(あおぞら)」の冒頭のハーモニカ風のシンセ音、たしか“HARMONICA”というプリセット音です。レベッカの「ロンリーバタフライ」等1980年代半ばのヒット曲によく使われました。

 裏メロの笛風の音はKORG Polysixです。既に笛、さまざま(2)で採り上げました。

 姫神・星吉昭さんはご自分の生まれ育った宮城県若柳町に関して、「まわり360度、空だった」と平成6(1994)年2月13日に日本テレビ系列で放映された「遠くへ行きたい」でおっしゃっていました。

 東北新幹線を利用したおり、栗駒高原駅付近でこのあたりの田園地帯を車窓越しに見ましたが、なるほどまわりに高い山や高層建築物が無く、真っ平らな土地でした。「青天」は、あるいは彼の地の無辺の空のことなのかもしれません。

 YAMAHA DX7のハーモニカ風のメロディは文字通り青い天を、内蔵エフェクトのアンサンブルを効かせたKORG Polysixの笛の音は吹き渡っていく優しい風を、そしてこれもDX7が奏でるオスティナートは煌めく陽光の降り注ぐ様を、そしてYAS-KAZさんの打つ大太鼓は大地を表現しているように感じられます。

 今の時期、もうすぐ淀川べりの空き地や水を引いていない田んぼにレンゲのお花畑が現れるのですが、その中に腰を下ろしていると、市街地近くなのにすぐ近くにキジの雄鳥が来ることがあります。背伸びをしながら「ケーッ、ケッ」とけたたましい声で鳴いた後、翼をばたつかせる仕草をします。雌鳥に対するアピールや縄張りの主張をしていると思われます。

 しばらく身動きを止めて観察するのですが、たいていキジの方もこちらに気付いていて、目線を合わすと、人間に対する警戒心と若干の興味がないまぜになったような気持ちが伝わって来るような気がします。私にとって本当の意味で自然と交感できる数少ないひと時です。

 やがてキジが去り、身動きを止めることの緊張感から解放されて、目の前のレンゲの明るい紫色に意識が還った時、私はいつも姫神のこの「青天」を思い出します。
by manewyemong | 2006-04-15 11:23 | 音楽 | Comments(0)