KORG M3-61試奏記(1)

 本日発売されたコルグの新しいワークステーション機M3(KORG M3 THE NAMM SHOW 2007参照)を20分程度なのですが試奏してきました。主にマニピュレーターや奏者との接点部分に関して雑感を記していきます。

 鍵盤に関して、これまではヤマハ製FS鍵盤を採用して来たのですが、今回は独自開発のものが採られています。M3 KYBD-61の鍵盤、私がこれまで触って来たシンセサイザーの中で最高の感触だと思いました。M3の横にあったMOTIF XSや先日試奏記を書いたRoland V-Synth GTよりも気に入りました。

 手指の動きに自然に寄り添ってくれる感じがしました。鍵盤を強く弾いた時にどこかにぶつかった感触が伝わって来ることなく、また指の力を緩めて鍵盤がニュートラル位置に帰って来る時の、バネの振動が伝わって来るような感じもありませんでした。何よりも私がこのブログのあちらこちらでさんざん書いて来た鍵盤の静粛性に関して、全く非の打ち所がありませんでした。

 アフタータッチは単なるオンオフではなく、どうやら鍵盤の押し込み具合を感知してくれるタイプのようです。私はXP-50より前のローランドのシンセのベンダーレバーが嫌い(笛、さまざま1後半部分参照)なのと同じ理由でアフタータッチをあまり使わなかったのですが、M3 KYBDのアフタータッチはコルグのジョイスティックが好きなのと同じ理由(これも笛、さまざま1後半部分参照)で気に入りました。

 ジョイスティックは今回新たにデザインされていますが、私が現在使っているKORG TRITON Le型よりも細やかに操作することができ、姫神風ピッチベンドがしやすいように思えました。

 ただ、ジョイスティック周りのライトはよほど暗い場所じゃないと見えにくいと思います。まあ、暗いステージ等で奏者がジョイスティックの場所を視認する為のものなのでしょうけど。それと、正直、経年劣化が早く来そうな感じがしました。これはこのジョイスティックの使いやすさと一体化している事柄かもしれませんが…。

 テンキー等のボタンは感触は悪くないと思うのですが、これも経年劣化が早く起こりそうな感じがしました。ボタンの形状そのものは良いのですが、支点がボタンの大きさに比して細いのではないでしょうか。KORG M3で危惧した、私が多用するジョイスティック近くの二つのアサイナブルボタンの感触は、これまでのコルグのワークステーション機とくらべて遜色はなく、危惧は杞憂でした。

 これまでのコルグのワークステーション機では四つのアサイナブルノブだったのが、M3は8本のスライダーになっているのですが、これは単に演奏時のフィルターやEGのコントローラーとしてだけでなく、KARMA機能やUSBを介してのパソコン上のアプリケーションの操作子としても使うことを考慮してのことだと思います。KORG M3では、
音色操作用にしてもKARMA機能コントロール用にしてもスライダーよりもノブの方が使い勝手がいいように感じる
としたのですが、今日操作してみて、むしろこちらの方が私の好みに合っていました。

 TRINITY以降のコルグのワークステーション機の上位機種の特徴であるタッチビューは、これまでになく頑丈な作りが施されていて、Roland V-Synth(旧タイプ)のタッチビューのように、触れると一瞬画面に波紋が現れるようなことはありませんでした。ちなみに私の使っているApple iBook G4の液晶画面にも、触れると波紋が現れます。もちろんiBookの画面はタッチビューではありませんけど…。

 また、あくまで私の情緒的な事柄なのですが、M3のタッチビューは頑丈に作られているが故に、これまでのように触っても“気が引ける”感じがしませんでした。頑丈に作られている理由は、このタッチビューが単に音色エディットの操作子ではなく、X-Y方向に使えるタッチパッド型コントローラーでもあるからだと思われます。また画面の見やすさは、となりにあったYAMAHA MOTIF XSとは比較にならないくらい素晴らしいものでした。

 今回、20分しか触れなかったので、シンセエンジン部分を深く探ることができなかったのですが、いくつか前もって決めていたチェックポイントに関して記します。

 オシレータ波形の増装、及び高精度化はM3でも顕著でした。ローランドのシンセと違ってオシレータ波形がカテゴリー分けされていることと、テンキー入力が可能なので、私のように一から音色を作る人間には音作りを始めやすい。コルグはマニピュレーターや奏者が自分で音を作ることを未だ諦めていないメーカーだと思います。全てのシンセサイザーメーカーがかくあるべきだと思います。

 オシレータ波形“0188 Voice-Yah”(「ンヤァァ〜」と聴こえる)及び“0189 Voice-Eeh”(「エェー」と聴こえる)という、日本の女性民謡歌手とおぼしき声がサンプリングされたものがあるのですが、これに関して、姫神ヴォイスの中島和子さんの声によく似ています。0189 Voice-Eehは、姫神のアルバム「SEED」の「空の海」のリードボーカルと酷似しています。もしかするとサンプリングのソースは中島さんなのかな、と思っています。もちろん真相は判りません。

 ポルタメントに関してKORG M3で、
これまでコルグの民生ベースのワークステーション機のポルタメントに関して、タイム(時間)での設定は出来てもレイト(速さ)に関するパラメーターはありませんでした。この機能、たしかKORG OASYSにはあるのですが、ローランドやヤマハなら廉価機のJUNO-GやMO6ですら実現しています。こういう細かい所での進化が為されていればいいのになと思います
と書いたのですが、レイト設定は実現しています。

 21世紀に入って以降、各メーカーから出されるフラグシップ機に興味を失っていたのですが、Roland V-Synth GTとこのKORG M3は、これらを作ったメーカーがまだまだ発想力を失っていないことを印象づけてくれました。

 Roland V-Synth GTでは、ガジェット系シンセ?の方に興味が移行しつつある、としたのですが、機材の山に埋もれるのが嫌いな性分の私には、こういう搾れば搾るほど数多の使える音色を出してくれそうなシンセサイザーを手許に1、2台置いておく方が、やはり合っているように思えます。KORG M3、そのうち買うと思います。

 KORG M3-61試奏記(2)、店頭で喜多郎mini KORG 700Sリードを作る方法(KORG M3の場合)M3-88試奏記KORG M3 XPANDEDKORG M3 XP-88試奏記KORG M3 XP-73試奏記へ続きます。


KORG M3
http://www.korg.co.jp/Product/Synthesizer/M3/
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by manewyemong | 2007-03-23 21:25 | シンセワールド | Comments(0)